所ジョージ/世田谷一郎の自分も別荘を所有する沖縄を守るための愉快な反戦歌 結城永人 - 2019年2月19日 (火) 沖縄県名護市の辺野古へのアメリカ軍の基地建設――同県内の宜野湾市普天間基地からの移設――が昨年十二月十四日の埋め立て地の土砂の投入から実地に着々と動き出している。 14 日、政府は、沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の「移設先」として、名護市辺野古の沿岸部に土砂の投入を始めた。前日13日には、沖縄県の玉城デニー知事が岩屋毅防衛相および菅義偉官房長官と面会し工事中止を求めていたが、政府側は応じなかった。新基地建設の強行的な本格開始に、憤りの声が上がっている。 辺野古埋め立て開始に沖縄の憤り:県民投票で今度こそ声は届くか?投票権の剥奪を危ぶむ声|スプートニク日本 従来、犯罪や事故が酷いままに繰り返されるのに加えて珊瑚礁を持つ国内でも有数の美しい海を失うのではないかという自然破壊の恐れから地元の住民が全く容認してないので――「埋め立てやめろ」「あきらめない」辺野古で1千人抗議――アメリカ軍の基地建設の計画を断行してしまった国:日本政府との敵対関係が政治的にどうなるかは本当に予断を許さない状況ではあるんだ。 Coral reefs and fish of the Oura bay in Henoko by Ayumu Kawazoe / CC BY-ND 色んな人が色んな声を発するけど、僕にいわせれば今の時代の軍隊は廃れ行く煙草のような無用の長物だから平和に寄与するには人々から引き離すべきでしかないだろう。危ぶまれる平和にどうしても戦争のための装備が欲しければ無人島に基地を置いて実際に生活を営む兵士のために町を新しく不満がないくらい作れば何とかなりそうだと考える。世界中の国々で煙草の煙が鬱陶しいとどんどん遠ざける社会に変わって来ているわけだから軍隊の力も同じで、現実に役立たないと気付いたときは一般市民に悪影響を及ぼさないところへ移動分断させるのは決して無理ではない。 昨今の辺野古の基地問題を巡って世の中で最も引き付けられたのが所ジョージがYouTuber世田谷一郎で公開した二つの反戦歌だった 2018-2019年始年末の無題を聴く最近の唄123 沖縄の土地を聴く 追記:世田谷一郎――その後、SETAGAYA BASE 工作部に改名――のYouTubeチャンネルは広告システムの変更を受けて閉鎖された(所ジョージ 広告が入るYouTubeは閉鎖 「遊ぶ」に誰より真剣な彼らしい筋の通った考え)。 所ジョージが別名の世田谷一郎でYouTubeチャンネルを開設していると知らなかった。調べるとホームページなどのメインサイトがなくて本人の発言が見付からなくてちょっと怪しかったんだ。しかし例えば所ジョージが若手芸人に助言 「1つのネタにしがみつくな」や所ジョージ、密かにYoutuberとして活躍…ベールに包まれた音楽活動とプライベートのようなインタビューや取材の内容からYouTuber世田谷一郎は本物の所ジョージがやっていると分かって来た。自作曲を主に公開していて著作権も強く主張しないらしくて作者名を出せば他人が作品の素材として当の動画から切り取って別のところで使って構わないというのが特徴的だ。如何にも所ジョージらしいというか、気儘に生きる自由人の乗りを受け取って微笑ましい。YouTuber世田谷一郎の動画作品にかぎっては著作権まで緩い感じでやっている。 所ジョージは沖縄県名護市に沖縄ベースと称する敷地四万二千坪の広大な別荘を所有していてアメリカ軍の基地建設が進行中の辺野古とは同市内の対岸に位置しているらしい。当然、影響は大きいと推測されるところで、かりに別荘だからいつも本人は住んでいるわけではないにしても選り選りの気に入りの場所が軍事面の過度な緊迫感を伴う政治上の騒乱に巻き込まれながら幾多の危機に瀕しているのは耐え難いと察する。 身近で親身な問題意識の元に辺野古のアメリカ軍の基地建設を否定する気持ちの反戦歌をYouTubeで聴いて愉快だと気に留まったんだ Border between Camp Schwab and Henoko, Nago in Okinawa by Vitalie Ciubotaru / CC BY-SA 埋め立て地の土砂の投入が始まって国と市民:現政権と辺野古との敵対関係が一層と激化してニュースにも多く取り沙汰されたけれども芸能人のローラがInstagramで皆へ反対するように――辺野古の土砂投入、中止署名10万人達成。ローラさんも呼びかけ「沖縄をまもろう!」/以前から環境問題に取り組みたい気持ちが強かったらしいので、象徴的にいえば死に行く珊瑚礁(一つの生態系の中心としてビーバーの森の湿地帯のように失われると周りの他の生物が全て同時に滅ぼされ得る)が見過ごせなかったんだろう――呼びかけたのが新しい大きな話題になっていた。Instagramのフォロワーが何百万人もいるので、所謂、インフルエンサー(影響者)として人々を余程と動かすかも知れなかった。大物では他に僕も気に入りのイギリスの世界的なロックバンドのクイーンのギタリストのブライアン・メイがTwitterで賛同したり――ブライアン・メイも辺野古工事停止の署名呼びかけ「最後のチャンスだ」/まださほど売れない頃にも大熱狂でコンサートを迎えられた感謝の親日家のゆえに沖縄の酷いばかりの自然破壊への憂いを抱いてはどうにも見過ごされず、抗うべき声をもはやはっきり上げずにいられなかったようだ――して政治運動としていつにないほどに格段に盛り上がっていた。辺野古のアメリカ軍の基地建設を中止させる、すなわち現政府の専ら自民党と公明党から成る与党の好き勝手にはさせないという人々の気運が高まった流れから所ジョージ/世田谷一郎がYouTubeに公開した反戦歌もさらに火に油を注ぐように注目されずにいなかった。 2018-2019年始年末の無題を聴く 2018-2019年始年末|世田谷一郎 動画の二分四秒から所ジョージ/世田谷一郎の反戦歌が沖縄の楽器の三線を伴奏に使った自作自演で収録されている。 辺野古の政治上の騒乱が加速しているタイミングで出されて真っ先にメディアで多く 取り上げられて僕も含めて所ジョージがYouTuber世田谷一郎だと初めて気付かされた人も多かったかも知れない。 アメリカの飛行機 アメリカに降りてョ 周辺諸国の防衛 沖縄の人の感情 両者正義で何年目ももめて その間諸国は 攻めるの休んで くれているの か~な~ 2018-2019年始年末|世田谷一郎 所ジョージらしいというか、普通のいきり立ったような反戦歌とは趣きを異にしている、全く。肩の力が抜け切った感じが如何にも自由人のスタイルと印象的だ。日頃の嫌なものを笑い飛ばして気持ちを好きな方へ切り替えさせる独特の愉快な反戦歌に仕上がっている。戦争が気に入らなくても対立して真っ向から否定して打ち倒すだけが全てではないと捉えるととても聡明な自己表現だし、堅牢な主張の仕方だろう。 歌詞の意味は非常に詩的な言葉遣いで深くて分かり辛いけれども要するにアメリカは「周辺諸国の防衛」という自分たちの「正義」ばかりを考え過ぎて相手が「攻めるの休んで」こそ大丈夫なのも「か~な~」と自覚してないように茶化している。 本当に考えないと勿体ない認識が込められている。僕も愉快な反戦歌というけど、しかし只単に気晴らしで終わらせるのは詰まらないと悔やまれる。日本の沖縄に自国軍の基地を置きたがるアメリカの事情を客観的に捉えながらそれこそ平和的な見識からは無用の長物でしかないのが本当に面白いし、現実に可笑しいわけだ。何等かの争いが他国と懸念されれば何でもかんでも武力で一方的に抑え付けるべきとした旧態依然の好戦的な発想を冷静に抜け出している。互いに触れ合って友好関係を築いてこそ戦争も避けられるというのが現代の民主主義の理想的な在り方ではないか。 新しい世界へと導いて聴く人の心を爽やかに和ませてくれるのが所ジョージ/世田谷一郎ならではの愉快な反戦歌の尊いばかりの特徴だ。 最近の唄123 沖縄の土地を聴く 所ジョージ 最近の唄123 沖縄の土地|世田谷一郎 他にも反戦歌がある。真っ先に注目された今年の年初の2018-2019年始年末の無題の一曲よりも半年前に公開されていた。題名が沖縄の土地と明確に付けられていてYouTubeの【最近の唄】のシリーズに含まれるんだ。 実演はドナルドダックの帽子を被った得意のお巫山戯が可笑しいギターの弾き語りで行われるけど、とにかく自作曲として存分に完成されているので、打ち込まれる歌手の思い、所ジョージ/世田谷一郎にとって沖縄とは何かも良く分かる。 沖縄のアメリカ軍 基地あちこち移動 沖縄のアメリカ軍 空母じゃなんで~ダメなの 滑走路が足らなけりゃ長い空母をつくれんじゃネェの でっけえ舟にしろよ キクキナ イヤイヤ キイテナ イヤイヤ フェンスで囲んで入っちゃダメよ 沖縄のアメリカ軍 基地あちこち移動 沖縄のアメリカ軍 空母じゃなんで~ダメなの 滑走路が足らなけりゃ長い空母をつくれんじゃネェの でっけえ舟にしろよ キクキナ イヤイヤ キイテナ イヤイヤ フェンスで囲んで入っちゃダメよ フェンスで囲んで入っちゃダメよ 無人機が飛ぶ時代 人数減らしなさいな ガンダムのでかいやつ 倉庫でチラッと見える演出 年がら年中 迷彩服 リバーシブルの服で普段は花柄とか 街に溶け込むとか キクキナ イヤイヤ キイテナ イヤイヤ フェンスで囲んで入っちゃダメよ フェンスで囲んで入っちゃダメよ 沖縄のアメリカ軍 来る度 菓子折配りなさい アメリカのイイとこに 沖縄分だけ土地ちょうだい 土地ちょうだい 所ジョージ 最近の唄123 沖縄の土地|世田谷一郎 歌の各連の最後、「でっけえ舟にしろよ」、「でっけえ舟にしろよ」、「街に溶け込むとか」、「土地ちょうだい」にアメリカに面と向かって伝えるのは憚られるほどに強いメッセージを受け取る。日本人としてのみならず、個人的に気に入って別荘も所有する沖縄にとことん肩入れした本音が出ていると思う。 テレビで難癖ない言動を好むような所ジョージの人々と下手に仲違いしたがらない和睦のイメージからすると相当に驚異的な自作曲だ 決して声を荒げたり、怒り心頭の詞でもないけれども透き通った炎が燃え盛るような情熱そのものは親身に受け取らずにいない。 Marines shoot at targets June 5 at Range 10 on Camp Schwab during squad offensive operations training by Lance Cpl. John Gargano / Public domain 沖縄からアメリカの軍隊を完全に追い払うような内容ではないから現実的というか、地元民との妥協点を真面目に探った上で、双方の目論見を公平に取り纏めるべく、第二次世界大戦以来、積年の基地問題へ冷静な判断力を示したところはユニークで格好良い。 基地の代わりに「長い空母」を使うと地域の自然環境への影響が少なくて良いのではないか。できれば「人数減らしなさいな」と軍縮していつも軍隊でも「花柄とか」気楽にやるのが望ましい生活ではないか。どうしても要求する場合は丁寧に自重しながら「菓子折」や「土地」を渡すような配慮(この感覚自体は日本こそアメリカから兵隊という決死の存在を自国防衛のために借りもするわけだから口に出すのは無様だけれども「フェンス」で何もかも受け付けられないかぎりのやり切れなさが殆どだろう)が大切ではないか。 どれも正論だし、聴いて納得頻りの愉快な反戦歌だ。所ジョージ/世田谷一郎は戦争よりも平和こそ最重要視して沖縄の基地問題を捉えているから僕はもう本当に素晴らしく共感せずにいられない。何かの理由で少しでも人殺しに加担するのを拒絶する思想を持っている人なんだと確信させる。 沖縄を守るために現下は辺野古へ是非とも基地を欲しがるアメリカ(安全保障条約などから中央集権的に迎合する日本も含まれる)を揶揄うようなニュアンスはふんだんに盛り込まれるし、ある意味、全てを戯画化して見下すような気持ちも厳しく味わわされるのは否定できない。しかしながら所ジョージ/世田谷一郎の沖縄の土地の愉快な反戦歌としてのメッセージの核心は各々の譲り合いの精神に他ならない。決して喜ぶのは沖縄だけで良いという主意的な思想を表現してないのではないか。こうした基地問題にかぎっては自分一人ではなくて皆の社会から決めるように向き合って行かないと不誠実だろう。本人の生き方に反するから無理なはずし、テレビで色んな人と仲睦まじい所ジョージのキャラクターにもぴったりだけど、アメリカが喜ぶのも含めて良いとむしろ実利的な思想を表現しているのが個性的だし、聴いて平和を受け取る歌心だと認める。 現今、簡単に上手く行かないどころか日本政府の計画通りに辺野古へアメリカ軍の基地建設が反対する人々の抵抗を払い除けて実現されようとさえもしている A view from the sea towards Camp Shwab in Henoko by Ayumu Kawazoe / CC BY-ND どうなるかは本当に予断を許さない状況にせよ、沖縄を守るための政治運動としては劣勢がどんなに明らかでもやはり諦めたら終わりなので、すると所ジョージ/世田谷一郎の愉快な反戦歌は笑いを誘って同胞を最後まで闘争する情熱を引き戻させないのが際立って効果的ではないかと驚く。 普通では分からないかも知れないけれどもメッセージの情熱が透き通っているゆえに笑いと両立するような仕掛けになっているんだ。他に例が全く思い付かない。情熱を駄目にしない笑いが大変な鼓舞として沖縄を守るための政治運動の士気を抜群に高めてくれると想像する。 同胞の纏まりを欠くとか結束力を失うなんて恐れから情熱だけしか要らないのが普通の反戦歌だ。だから普通ではないのは間違いないけれども所ジョージ/世田谷一郎の愉快な反戦歌は只単にユーモアではない。メッセージは真剣そのものといって良いくらい強いし、揺るぎない意思を示している。つまりは魂に誓って掴み取られるガッツに満ちた言葉を与えるせいだ。気持ちは凄まじいけれども笑いも手放さないのが面白いとしかいいようがない。 落ち込んでも又直ぐに立ち直り、目的を果たすまで断じて引き下がらない勇気に代わる力添えを透き通った情熱と笑いの両面で人々へ送り込む所ジョージ/世田谷一郎の愉快な反戦歌は沖縄を守るための政治運動に寄与するだけではなく、少しでも人殺しへ加担するのを拒絶する思想に基づくとすると世界平和を実現するためにも欠かせない。 補足:世田谷一郎の楽曲は「50歳を過ぎた頃からは、権利にもこだわらなくなった」(所ジョージが若手芸人に助言 「1つのネタにしがみつくな」)といわれるもので、本稿では彼の削除前のYouTubeチャンネルから二曲の動画をダウンロードして再掲載した。 参考サイト所ジョージ 辺野古を訪問、米軍基地について歌う動画に反響所ジョージさんは何を感じたのか 沖縄で辺野古歌った動画を投稿第040回 『“沖縄ベース”スペシャル』第041回 『続“沖縄ベース”スペシャル! 海遊び&バギー』Ourawan/Henoko 2014 コメント 新しい投稿 前の投稿
コメント