ローラ&アントンのLa Vie en rose(エディット・ピアフ)|人生歌 結城永人 - 2020年1月7日 (火) 2014年に発表されたローラ&アントンのカヴァーで聴いたLa Vie en rose/バラ色の人生(エディット・ピアフ)が人生歌として胸に響いた。 エディット・ピアフのLa Vie en rose Édith Piaf from Studio Harcourt / Public domain 作詞はエディット・ピアフ、作曲はルイギで、オリジナルの歌手はエディット・ピアフになる。 La Vie en rose(1947/オリジナル) 実際はルイギの作曲は名義だけかも知れず、エディット・ピアフは自分が作曲も行ったといっていたんだ。フランスのSACEM(Société des auteurs, compositeurs et éditeurs de musique/音楽作詞者作曲者出版者協会)に登録してなくて作曲に関して他人の名義を使うしかなかった。 当初、詞だけできて曲はマルグリット・モノーに依頼したけれども駄作だと断られたらしい。そこでエディット・ピアフはもはや自分しか作曲できないと決めて実現したわけだったんだ。 歌手の弟子で恋人でもあったイヴ・モンタンを思って書いたとされる。彼女は彼を芸能界で成功へ導くために日々の修行を共にした。1946年に彼が映画のLes Portes de la Nuit/枯葉〜夜の門〜に出演して主題歌のLes feuilles mortesがヒットすると彼女は自分は必要ではなくなったと悟り、身を引いた。別れに際して取りかかったのがLa Vie en roseなので、二人の思い出の日々が反映していると考えられる。 エディット・ピアフが歌っていると周りの人たちはLa Vie en roseを良い曲だと思わず、歌うのを勧めなかった。本人も聞き入れては演目の中心から外したけれども1946年にコンサートで歌うや否や観客から大盛況を得たらしい。同年、歌手のマリアン・ミシェルにLa Vie en roseは提供されて歌詞の一部を変更したものが発表されて人気を博した。何れも第二次世界大戦が終結した翌年で、真実の愛を見出だした喜びという内容が今聴いても素晴らしいけれども未だ荒廃したフランスの疲弊した人々を殊更に勇気付けるように励ましたせいかも知れなかった。 1947年にエディット・ピアフがシングルでオリジナルを発表すると欧米を中心に全世界でヒットして歌手のエディット・ピアフの名前を一躍とスターダムの頂点へと押し上げた。 ローラ&アントンによるカヴァー Laura & Anton - "La Vie En Rose"|Foxtails Brigade ローラ&アントンのLa Vie en roseのカヴァーはテンポを大きく、中々、先へ進まないと焦れるくらい遅らせているのがユニークだ。題名通りのバラ色の人生、つまりは毎日のかけがえもなく素晴らしいかぎりの幸せな気持ちそのものを少しでも長く味わうには本当にぴったりの表現だと感心する。歌に込められた思いが他には何も要らないくらい大事に磨き出されているようで、聴きながら良い曲の全体から部分まで克明に心に刻まれるのが嬉しい。 La Vie en roseの歌詞の内容 出だしの部分; 見詰めれば圧倒される目 口付ければ隠れ出す笑い これが正しく引き写しの 付き合う人が私にはいる 抱かれる腕のなか 低い話し声に バラ色の人生を見る 愛の言葉を聞いた 毎日の言葉で 何かが生み出された 原文 Des yeux qui font baisser les miens Un rire qui se perd sur sa bouche Voilà le portrait sans retouche De l'homme auquel j'appartiens Quand il me prend dans ses bras Qu'il me parle tout bas Je vois la vie en rose Il me dit des mots d'amour Des mots de tous les jours Et ça m'fait quelque chose エディット・ピアフのLa Vie en rose(訳出) 歌の内容は恋愛感情を示しているけれども「バラ色の人生を見る」(Je vois la vie en rose)というのがむしろ一つの経験として伝わる所以になっている。恋人と出会って自分自身が新しく生まれ変わって行く様子がそれこそ生き生きと歌われるのが人生歌の真骨頂だ。そして幸せな気持ちを取り上げているのは何よりも憧れを抱かされる。 その他のアーティストによるカヴァー 十五組の楽曲; ビング・クロスビー(1950)ルイ・アームストロング(1950)マレーネ・デートリッヒ(1954)ディーン・マーティン(1962)イヴ・モンタン(1974)グレイス・ジョーンズ(1977)ミレイユ・マチュー(1985)ドナ・サマー(1993)パトリシア・カース(1998)ディー・ディー・ブリッジウォーター(2005)ベリンダ・カーライル(2007)イギー・ポップ(2012)ダニエラ・アンドラーデ(2014)ザーズ(2013)ヴァレリア・サッタミニ(2014)レディーガガ(2018) 世界でカヴァーが続々と生まれているLa Vie en roseは人生歌のスタンダードな名曲に他ならない。 参考サイトラ・ヴィ・アン・ローズLa Vie en roseLa Vie En Rose by Edith PiafÉdith Piaf – La vie en rose LyricsCover versions of La vie en rose by Edith Piaf 結城永人の人生のスタンダードな名曲選集 コメント 新しい投稿 前の投稿
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