飽和脂肪酸の多いココナッツオイルの過剰摂取の危険性とその他の健康上の利点 結城永人 - 2020年3月18日 (水) パンや菓子や揚げ物などに安く使用されるマーガリンやショートニングなどのトランス脂肪酸が動脈硬化を引き起こすと世界的に避けられる一方で、代わりに新しく使用される他の食用油によって必ずしも健康的な食生活が確保されるとはかぎらない状況も出て来てしまっているのが厄介なんだ。 脂質による健康影響 最も問題視されるのが飽和脂肪酸の過剰摂取によって動脈硬化に由来するなどの様々な病気を招き得る。食品の原材料にマーガリンやショートニングなどのトランス脂肪酸が含まれないとしてもそれだけか他の食品と併せて寿命を縮める恐れが否定できない。 飽和脂肪酸の多い食用油の中からココナッツオイルについて過剰摂取の危険性とその他の健康上の利点を覚えて上手く健康と長生きに繋げたい。 目次ココナッツオイルの飽和脂肪酸の割合は危険な九割程度に上る巷でトランス脂肪酸の代替品かそれでなくともパンや菓子や揚げ物に同じように使われる食品として大丈夫かどうかが気になるココナッツオイルの健康上の利点は中鎖脂肪酸が多い直ぐに代謝されて体脂肪に残り難いために脂肪の塊だけれどもココナッツオイルはダイエット効果が指摘される ココナッツオイルの飽和脂肪酸の割合は危険な九割程度に上る Coconut oil in glass jar by DanaTentis / Pixabay ココナッツオイルはココヤシの果肉から得られる植物油で、別名はやし油とも呼ばれる。やし油としてはパーム油の原料のアブラヤシの種子から得られるパーム核油を差していることもある。パーム核油はココナッツオイルと構成成分が非常に良く似ているために同等に扱われる。 ココナッツオイルとパーム核油のやし油は殆ど全てが脂肪分で、九割程度を飽和脂肪酸が占めている。その内訳は五割程度のラウリン酸と二割程度のミスチリン酸と一割以下のパルミチン酸やカプリル酸(オクタン酸)やカプリン酸(デカン酸)やステアリン酸(オクタデカン酸)となって残りは不飽和脂肪酸から一割の一価不飽和脂肪酸のオレイン酸と一割の多価不飽和脂肪酸のリノール酸が占める。 参考サイト油脂類/(植物油脂類)/やし油 - 脂肪酸-脂肪酸総量100g 巷でトランス脂肪酸の代替品かそれでなくともパンや菓子や揚げ物に同じように使われる食品として大丈夫かどうかが気になる 「スーパーフード」のひとつとしてもてはやされてきたココナッツオイルのブームにストップをかけることになったミシェル教授の主張は、ココナッツオイルの脂肪分の80パーセント以上が飽和脂肪酸であるという点にある。この飽和脂肪酸の量は、ラードの2倍にあたる。 じつは、ココナッツオイルが有するこの飽和脂肪酸の量については、昨年既にアメリカ心臓協会が指摘し、その安全性に疑問を呈していた。つまり、ココナッツオイルは悪玉コレステロールを増加させるため、肯定的な効果はなく摂取は推奨できないと発表したのである。 しかし、アメリカでは国民のおよそ4分の3がココナッツオイルの有効性を信じており、心臓協会の発表のあともこの説に同意した栄養学者は37%にとどまっているという。 ミシェル教授はこうした世論に警鐘を鳴らすように、「ココナッツオイルは、口にしうる食物の中で最も危険なもののひとつ」と断言した。 「ココナッツオイルは毒そのもの」ハーバード大学の教授が指摘|財経新聞 植物油の中でも飽和脂肪酸の含有率が八割程度と断トツの域に達している。もはや動物油と遜色がなく、常温で個体になり易いという不思議な性質を持つ。大体、20℃以下で個体、21~25℃で半個体/クリーム状、25℃以上で液体になるんだ。乳脂肪に近いために食品としてはココアバターやホイップクリームやアイスクリームなどに使われ易いらしい。 ココナッツオイルは飽和脂肪酸の組成が特徴的で、動物油とは全く異なり、中鎖脂肪酸のラウリン酸を半分くらい持つ。これは消化吸収に優れてエネルギー効率が良いために体脂肪に残り難かったり、健康上の利点も認められるもののやはり飽和脂肪酸には変わりないようで、その他の半分くらいの組成を含めて過剰摂取の危険性を免れるものではなさそうだ。 動脈硬化を引き起こして心臓病や脳卒中を招くかも知れないから注意して取らないには越さないと考える。 あるいは肥満(メタボリックシンドローム)に陥れば高脂血症や高血圧などから生活習慣病の無視できない一因になるのも明らかだろう。 日本では食用油脂のココナッツオイルには表示義務がない現状から例えば「植物油」や「植物油脂」などとしか食品の原材料に記載されないかも知れないからそうした部分に着目して漠然と避けるしかない。 ココナッツオイルの健康上の利点は中鎖脂肪酸が多い Broken coconut by Couleur / Pixabay ココナッツオイルに多く含まれる飽和脂肪酸の組成中に最も多く含まれるのが中鎖脂肪酸のラウリン酸で、これは他の食品では得難くてもはやココナッツオイルが断トツなんだけれども非常に素晴らしい健康効果を持っている。 細胞のエネルギーを産生するミトコンドリアが活性化されると同時に細胞のミトコンドリアの数も増えて全身が元気になるそうだ。 中鎖脂肪酸は健康と長生きに根本的に役立つ栄養素として重宝されずにいない。 肝臓で代謝されて糖分の代わりに細胞のミトコンドリアのエネルギー源として使われるケトン体を作り出す。通常、ケトン体は体内で糖分が少ないときに自然に増やされるけれどもココナッツオイルなどから中鎖脂肪酸を取ると同じような結果になる。速やかにエネルギーに変換されて各臓器への負担が少ないために病人食に使われたり、あるいは筋肉に急速なエネルギー補給が必要とされるスポーツ選手が好んで取り入れたりもする。 直ぐに代謝されて体脂肪に残り難いために脂肪の塊だけれどもココナッツオイルはダイエット効果が指摘される 細胞のミトコンドリアが活性化されてしかも数が増えるとそれだけで全身の代謝率が上がって体脂肪が消費され易くなる面があるかも知れない。 多く取り過ぎるとコレステロールのバランスが崩れて様々な病気を招くという不安を免れないので、喜んで取るとしてココナッツオイルは一日に大さじ一杯くらいに止めるべきだろう。 白澤医師が院長を務める「お茶の水健康長寿クリニック」(東京都千代田区)ではアルツハイマー病患者に、ココナツオイルから中鎖脂肪酸だけを抽出したMCTオイルを処方。1回7グラム、1日3回摂取させている。 「肝臓で代謝される約3時間後には記憶力の回復がみられる」と白澤医師。「50代でバリバリ働いていた方が、点滴の針を刺していることも忘れて動いてしまう…。そんな悲惨なケースを診てきましたが、臨床では9割の患者に効果がある」と語る。肝心なのは、糖とトランス脂肪酸を控えた食事習慣を並行することで、健康な人でも学習能力向上が認められるそうだ。MCTをコーヒーに入れて乳化するまでよく攪拌(かくはん)すると、カフェラテのようにマイルドになって飲みやすい。 「無香」でブーム再燃の「ココナツオイル」 認知症予防にも|産経ニュース|産経新聞社 中鎖脂肪酸や糖分不足――糖尿病だと食事から糖分を十分に取っても相応に活用できなくて結果的に不足したのと同じ状態になる――で増えるケトン体は脳のエネルギーにも使われるので、認知症の改善にも効果を発揮する可能性が大いにあり、加えて健康な人にとっても学習能力の底上げが期待されもする。 その他、食品ではないけれども化粧品のクリームなどの保湿成分にココナッツオイルやパーム核油が使われて何れも豊富な中鎖脂肪酸が塗った肌に速やかに浸透して潤いや弾力を与える。さらにビタミンEも幾らか含まれているから抗酸化や血行促進で皮膚の健康を維持するのに向いているので、中鎖脂肪酸との二つの有効性から肌理を整えて皺を減らして肌を若返らせる効果があると考えられる。 中鎖脂肪酸でも特有のラウリン酸には抗菌作用もあるらしく、衛生面でも効果があり、洗浄力も高いために石鹸やシャンプーなどの洗浄剤に配合されることも珍しくない。 ココナッツオイルとパーム核油はどちらもやし油と呼ばれるけれども化粧品の成分としては前者のみが「ヤシ油」、後者はそのままの「パーム核油」と表記上は区別されて商品の成分表示には記載される。性能は殆ど同じで、主要なラウリン酸の割合は変わらないものの他のところの例えばオレイン酸がココナッツオイルのヤシ油よりもパーム核油にもっと多いなどの特徴の違いから細かく使い分けられる。 関連ページ余分な脂肪の吸収を抑える珈琲やお茶/緑茶・烏龍茶・紅茶は健康に欠かせない 参考サイトココナッツオイルが謳う「健康効果」とはココナツオイルがミトコンドリアに効くココナッツオイル タイプによる違い(認知症・アルツハイマー)話題の「ココナッツオイル」 認知症に役立つって本当?美容ジャーナリストが実践! 保湿クリームをココナッツオイルへシフトココナッツオイルって体にいいの? 摂りすぎると心臓病のリスクが上がるかもヤシ油とは…成分効果と毒性を解説パーム核油とは…成分効果と毒性を解説 コメント 新しい投稿 前の投稿
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