トランス脂肪酸の恐怖:動脈硬化の原因のマーガリンやショートニングやファットスプレッドは避けたい 結城永人 - 2020年3月14日 (土) 安くてカロリーも低くなく、沢山、食べずともそれなりに栄養が取れるから惣菜パンは良いと思う。日本に特徴的な食品とも聞かれて確かに人気があってパンの売り場では数多くの種類を見かける。食事代わりになって直ぐにしかも軽く済ませられるのが便利なダイエット食品として頼もしい。 僕も昼食に惣菜パンを二個なんて日もあるけど、ところが残念なのは取り分け貧乏人には助かって止まないはずの安いという大量生産品にかぎって原材料にマーガリンやショートニングやファットスプレッドが良く使われている。元々、バターよりも安いから代替品として使われ始めたようで、安いパンにこそ含まれるのは当たり前かも知れないんだけれども1990年代頃から食品の安全性が問われるうちに人体に有害なトランス脂肪酸が見付かって欧米を中心に注意が呼びかけられている。 すぐにわかるトランス脂肪酸|農林水産省 脂肪の分子に炭素の二重結合がある不飽和脂肪酸の中で、その炭素に繋がる水素の向きが片側に寄っているシス型ではなく、互い違いになっているトランス型のものがトランス脂肪酸と呼ばれる。これは自然界では牛や羊などの草食の反芻動物の胃の中の細菌が作る以外は殆ど見られない。人工の食品として液体の植物油や魚油から個体、または半個体の油脂を水素添加という仕方で作ると副次的に出て来る。分離された二重結合の炭素の一部が又同じように二重結合を果たす際に以前のシス型からトランス型に変わってしまうためらしい。 代表的な食品としてマーガリンが挙げられるが、筆者の人生のほとんどの間、トランス脂肪酸はあらゆるタイプのスナック菓子や加工食品、パン類、それにレストランのメニューに含まれていた。 だが今、トランス脂肪酸は、心筋梗塞や脳卒中など循環器系疾患のリスクを高める成分として広く知られている。なにしろ、健康に敏感な人たちが摂取を控えてきた飽和脂肪酸よりも、はるかに危険だというのだ。 トランス脂肪酸を取りすぎると、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールが増える一方で、善玉コレステロールが減って、動脈内膜に炎症が起きやすくなるといわれる。 トランス脂肪酸からの摂取カロリーが2%増えただけで、冠動脈性心疾患のリスクは29%も上昇する。米国医師学会(AMA)によると、トランス脂肪酸を含む油を、オリーブ油(エクストラバージン)や菜種油に切り替えるだけで、年3万〜10万件の早死にを防止できるという。 「トランス脂肪酸」を食べると危ない根本理由|東洋経済オンライン|東洋経済新報社 パン以外にも菓子や揚げ物などにマーガリンやショートニングやファットスプレッドといった植物油の一種が使われていてトランス脂肪酸を含んでいる場合がある。 血中で細胞膜やホルモンや胆汁酸の材料となるコレステロールを運ぶ悪玉コレステロールを増やして余ったコレステロールを持ち去る善玉コレステロールを減らして動脈硬化を進めるために血管が悪化して心臓病や脳卒中を始めとした様々な不調を引き起こすかも知れない。 2003年に出された世界保健機関/WHO(World Health Organization)と国際連合食料農業期間/FAO(Food and Agriculture Organization)の共同勧告の食事と栄養と慢性疾患の予防(Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases)によるとトランス脂肪酸の摂取量は一日に必要なエネルギーの1%以下に制限する必要があるらしい。一日に必要なエネルギーは年齢や性別や活動量によって異なるけれども成人で、大体、1900kcalとすると1%は19kcalで、1g当たり9kcalの脂肪で換算するとトランス脂肪酸の一日の摂取量の上限は2g程度になる。 New WHO REPLACE initiative launched to eliminate industrially-produced trans fat|World Health Organization (WHO) 欧米や東南アジアではトランス脂肪酸は毒物として認識されて食品規制の対象に指定する国や地域が増えていて世界保健機関も昨年から五年後の2023年までに食品への完全な使用禁止を求めると共にトランス脂肪酸の摂取量の上限も半分くらい下げた(一日に必要な全脂質の2%以下とされるので、当の全脂質を総カロリーの約1900kcalのおよそ25%とするとそのうちの2%は9.5kcalになり、1g当たり9kcalの脂肪で換算すると1g程度になる)けれども日本は現時点で何もしてない。 平均的な日本人より多いトランス脂肪酸摂取量を基にした諸外国における研究結果によれば、トランス脂肪酸の摂取により、冠動脈疾患の発症については増加する可能性が高いと考えられた。また、肥満、アレルギー性疾患についても関連が認められたが、その他の疾患については、その関連を結論できなかった。更に、妊産婦、胎児等に対しては健康への影響が考えられた。しかしながら、現時点の平均的な日本人の摂取量において、これらの疾病罹患リスク等と関連があるかは明らかでない。 トランス脂肪酸の摂取と健康への影響|農林水産省 日本人は一日に2g程度もトランス脂肪酸を取ってなくて大抵が半分以下で収まっていて健康被害は少ないという理由から国の対策としても生産者へ食品中のトランス脂肪酸の低減を呼びかけているだけなんだ。 トランス脂肪酸|食品安全委員会 年々、食品のトランス脂肪酸は減っているようだけれども調べてみると食パン一片が50gならば0.08g、菓子パン一個が80gならば0.16g、ビスケット一枚が9gならば0.162g、ショートケーキ一個が120gならば0.852gといったような現状になっている。 一日にどのくらい食べて構わないかは1g程度を上限とすると食パンだと十二片以下、菓子パンだと六個以下、ビスケットだと六枚以下、ショートケーキだと一個以下が一日の安全な摂取量と概算されるけど、ただしトランス脂肪酸は色んな食品に含まれていてマーガリンやショートニングやファットスプレッドを使わない牛肉やチーズなどの自然界の食品にも同じくらい多く含まれるから比較的に問題視されないにしても念のためには個々の安全な摂取量はもっと下げる必要が出て来るかも知れない。 国がトランス脂肪酸を毒物として認識してきっちり規制しない以上は自分で注意してマーガリンやショートニングやファットスプレッドを含まないものを選ぶか含まれるものを必要以上に食べないように取り計らわなくては命を縮める結果になるのは確実だと思う。 関連ページ余分な脂肪の吸収を抑える珈琲やお茶/緑茶・烏龍茶・紅茶は健康に欠かせない 参考サイトトランス脂肪酸問題についてのQ&A食品に含まれるトランス脂肪酸の由来トランス脂肪酸による動脈硬化性疾患の発生機序の解明と健康影響評価手法の確立(PDF)トランス脂肪酸トランス脂肪酸による疾患発症機序の一端を解明トランス脂肪酸の撲滅に向けた6つのステップ WHOが発表 コメント 新しい投稿 前の投稿
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