ヘンリー・ローソンの家畜追いの妻の日本語訳 結城永人 - 2020年4月14日 (火) 十九から二十世紀のオーストラリアの作家、詩人で小説家のヘンリー・ローソンの小説の家畜追いの妻(1892)の日本語訳を行った。一つの文学作品として人間の洞察力に富んだ優れた内容を持つだけではなく、表現も意義深いから外国語の英語の聞き取りと読み取りの教材としても最適だと感じる。 目次ヘンリー・ローソンの家畜追いの妻の英語の出典ヘンリー・ローソンとはどんな作家かヘンリー・ローソンの家畜追いの妻の日本語の訳文 ヘンリー・ローソンの家畜追いの妻の英語の出典 Henry Lawson by May Moore / Public domain ヘンリー・ローソンとはどんな作家か ヘンリー・ローソンは、1867年6月17日にオーストラリアのニューサウスウェールズ州グレンフェルという採金地で生まれた作家、詩人である。 ローソンは幼い頃から耳の病気で聴覚を失い、14歳で完全に聴覚を失った。その後、カソリックの学校に入ると先生から詩について習い、ディケンズやマリアットの小説を愛読するなど、文学に親しむようになった。 1887年から雑誌『ブレティン』への寄稿を始めた。1920年から21年まで『ブレティン』から旅費を得てオーストラリアの内陸部へ旅行した。このとき、日照りに苦しむニューサウスウェールズの現状を目の当たりにしたことが後の作風に大きな影響を与えた。 ローソンの作品は、オーストラリアの奥地で働く開拓民の悲喜こもごもの生活を、深い同情をもって描き出している。また、ローソンはオーストラリアの自然や風土を生き生きと描くことでも知られており、彼の作品はオーストラリア国民のアイデンティティの形成に大きな役割を果たした。 ローソンは1922年9月2日に、脳出血により、55歳で亡くなった。 ローソンの代表作には短編『家畜追い妻』(1892)が挙げられ、オーストラリアで最も読まれた作品と称されるほどの人気があった。 ローソンは、オーストラリアの文学史において最も重要な作家の一人であり、彼の作品は今日もなおオーストラリアで広く愛読されている。 ヘンリー・ローソン|Bard The Drover's Wife by Henry Lawson/ヘンリー・ローソンの家畜追いの妻 原文Wikisouce(作品集)朗読LibriVox(クリス・グリーヴス) 両方ともパブリックドメイン(著作権なし)だから無料で自由に使って構わない。 関連ページヘンリー・ローソンの家畜追いの妻の原文と注解 ヘンリー・ローソンの家畜追いの妻の日本語の訳文 Gone Driveabout 17, Bush at Yuin Station, Western Australia by Phillip Capper / CC BY 二部屋の家が丸太と厚板と繊維質の樹皮で建てられて床を張るのは分割式の厚板だ。片端に立つ大きな樹皮の台所は家自体よりも広い、ベランダを含めて。 辺り一面の低木――地平線のない低木、というのも土地が平坦なためだ。広がりは切りがない。低木地帯は矮小で、腐敗した自生の林檎の木から成る。下草はない。数本のモクマオウが狭い、殆ど水のない小川の上に溜め息を漏らしているが、その深い緑しか目を和らげられるものはない。文明の最も近い表れへは19マイル――幹線道路の掘っ立て小屋。 家畜追い、前大牧場主は羊と共に不在だ。彼の妻と子供たちだけがここに残されている。 四人の見すぼらしい、干からびて見える子供たちが家の周りで遊んでいる。突然と彼らの一人が声を上げた:「蛇だ! 母さん、蛇がここに!」 痩せ痩けた、日焼けした顔のブッシュウーマンが台所から駆け急ぎ、赤ん坊を地面から引っ手繰り、左腰裏に抱え、そして棒を取った。 「どこだ?」 「ここだ! 材木の山へ入った!」と喚いた長男――鋭い顔立ち、興奮した十一歳の腕白小僧。「止まって、母さん! 俺が取るよ。下がって! 俺がそいつを取るよ!」。 「トミー、こっちへ、さもないと噛まれるよ。いったら早くこっちへ、さぁ、小さな暴れん坊」 若者は渋々と来た、自分よりも大きな棒を運びながら。そのとき、彼は喚いた、得意気に: 「そこへ入る――家の下だ!」、すると棍棒を振り上げて駆け去る。同時に大きな、黒い、黄色い目の、選り選りの犬が成り行きに否激しい興味を示し、自分の鎖を引き千切るとあの蛇を追って突進する。一瞬、遅れる、しかしながら鼻が厚板の裂け目に、丁度、その尻尾の先が消えるときに達する。略同じ瞬間に少年の棍棒が下りて来て先述の鼻が擦り剥ける。アリゲーターはこれと少し気付いて建物の下を掘り始める;ただし一藻掻きの後に制圧されると鎖に繋がれた。彼らには失うことはとてもできない。 家畜追いの妻は子供たちを犬小屋の近くに一緒に立たせると同時に蛇を只菅に待つ。牛乳の二枚の小皿を取ると壁の近くに置いて誘き出そうとする;しかし一時間が過ぎてもそれは姿を見せない。 日暮れが近く、しかも雷雨がやって来ることになる。子供たちを室内に入らせるべきだ。彼女は家に彼らを連れて行かない、というのもそこには蛇がいると分かっているし、粗雑な厚板の床の裂け目からいつ何時と通り抜けて来るかも知れないためだ;そこで彼女は数抱えの薪を台所へ運び、それから子供たちをそこに連れた。台所には床がなく――あるいはむしろ土製のもので――低木地帯のこの部分を「一階」と呼んだ。その場所の中央には大きな、粗雑に作られたテーブルがある。彼女は子供たちを中に入れてこのテーブルに着かせる。二人の少年と二人の少女――ほんの赤ん坊だ。彼女は彼らに夕食を何か与え、そうして暗くなる前に家へ行って枕と寝具を幾つか引っ手繰る――今直ぐにでも蛇を見付けるか捕まえることを期待しながら。子供たちのために台所のテーブルにベッドを作ると、一晩、見守るべく、傍らに座る。 彼女は角に目を付ける、さては青い若木の棍棒がそばの食器棚に準備して置かれていた;裁縫篭と『ヤングレディースジャーナル』一冊も。彼女は犬を部屋の中へ入れた。 トミーが不服に入って来、ただ俺が、一晩、起きて目の眩んだ蛇をぶっ潰すよという。 母親は、何回、悪態を吐くなといったかを彼に訊ねる。 彼は寝具の下に自分の棍棒を持つ、するとジャッキーが主張する: 「おっ母! トミーが棍棒れこっ酷く叩くんだ。取り上げて」 トミー:「黙ら、お前は小さい―――! 蛇に噛まれてが良えのか」 ジャッキーは黙る。 「噛まれりゃ」というトミー、止まった後に「腫れ上がり、して臭く、して赤くなる、して緑に、して青く、全身、ぶっ倒れるまで。じゃないか、母さん?」。 「おやまあ、子供を怖がらせないで。寝なさい」、彼女はいう。 二人の年少の子供たちは寝、間々、ジャッキーが「竦み上がらされる」ことに不満を漏らす。部屋は彼のために多く作られている。間もなくトミーはいう:「母さん! あいつら(形容詞)小さなオポッサムを聞いて。苛立たせる首をくしゃくしゃに丸めたい」 するとジャッキーが眠たげに抗議する。 「でもね、誰も傷付けない、小さな苛立たせ!」 母親:「よしよし、私はお前がジャッキーに悪態を吐くことを教えるっていった」、ただし意見で笑顔になる。ジャッキーは寝る。 間もなくトミーは訊ねる: 「母さん! あいつらがいつか(形容詞)カンガルーを救い出すんだと思う?」 「何とも! 分かるはずがない、子供よ? 寝なさい」 「もしも蛇が出て来たら起こしてくれるかい?」 「はい。寝なさい」 真夜中近く、子供たちは皆寝入って彼女はそこに静かに座った、編物と読書をやり交わしながら。時折、床や壁板の周りを見遣り、物音が聞こえるといつでも枝木に手を伸ばす。雷雨が訪れて風は厚板の壁の裂け目を通して突進しながら蝋燭を吹き消そうと脅かす。彼女は食器棚の保護された場所にそれを置くと新聞紙を固め上げて防いだ。光のあらゆる閃きに厚板の間の裂け目は磨かれた銀みたいに煌めく。雷がゴロゴロ鳴るや雨が土砂降りになる。 アリゲーターは床に身を伸ばして寝そべり、目を仕切りの方へ回す。彼女はこれにより、蛇がそこにいると知る。住居の床下に開くその壁には大きな裂け目がある。 彼女は臆病者ではないが、最近の出来事には心細くなった。義理の兄弟の小さな息子が蛇に噛まれたばかりで、しかも亡くなった。その上、夫から、六ヵ月、音沙汰がなくて心配してもいる。 彼は家畜追いで、彼らが結婚したときに大牧場主をここで始めた。十八年毎の旱魃――台なしの彼。群れの残党を捨て売りにしなくてはならなくて再び家畜追いに行った。帰って来れば最寄りの町へ家族を移すつもりで、その間、彼の兄弟、幹線道路に掘っ立て小屋を構える者が一ヵ月に一度の規定で立ち寄る。妻は未だ一番いの乳牛と一頭の馬と数匹の羊を飼っている。義理の兄弟は後者の一匹を、時偶、屠り、彼女に必要な分を渡すと残りを別の規定から見返りに貰う。 彼女は一人で残されるのは慣れている。十八ヵ月、このようにかつて暮らした。少女のときは浮き立って城を築いた;しかしその少女らしい望みや憧れは長らく感じられなくなってしまった。彼女は欲する全ての刺激や気晴らしを『ヤングレディースジャーナル』に見出だし、もはや可哀想にも! スタイル画に喜びを得ている。 夫はオーストラリア人で、彼女もそうだ。彼は無頓着だが、十分に良い夫だ。もしも手段が適うならば彼女を町へ連れて姫君みたいに扱う。彼らは離れていることに慣れている、または彼女が少なくとも。「煩わされる用はない」、彼女はいう。彼は自分が結婚していると時に忘れるかも知れない;しかしもしも良い小切手を得れば帰って来たときにその大部分を彼女に渡すだろう。お金を持ったとき、彼は彼女を何度でも町へ連れた――寝台列車を借りたし、最高のホテルに宿泊した。軽装馬車も買ったが、彼らは例の残りと一緒に捨て売りにしなくてはならなかった。 最後の二人の子供は低木地帯で生まれた――夫が酔っ払いの医者を、力尽く、彼女に立ち合わせようと連れて来ることになった間に一人。彼女はこの時点で、一人で、大変に衰弱していた。熱病に冒されていたのだった。援助が送られるように神様に祈った。神様はブラックメアリーを送った――土地中で「最も白い」ジンを。または少なくとも神様は「ジミー」を最初に送り、そしてブラックメアリーが送られた。彼は黒い顔をドアの柱に回すと一目で状況を把握して陽気にいった:「大丈夫、奥さん――私の老母を連れて来るよ、小川の下流遠く」 子供の一人は彼女が一人でここにいる傍らで死んだ。援助へ19マイルと馬に乗った、その亡くした子供を運びながら。 ✳ ✳ ✳ ✳ ✳ 一時か二時近くに違いない。火が弱く燃えている。アリゲーターは自分の足の上に頭を休めて壁を見守る。見た目に非常に美しい犬ではなくて光が数多くの毛は生えないだろう古傷を顕にする。地表か地下に恐れるものは何もない。若い雄牛を蚤を組み飛ばすように容易に組み飛ばすのだ。全ての他の犬を憎んで――カンガルードッグを除く――家族の友達か縁者への著しい嫌悪を持つ。彼らは滅多に呼ばない、しかしながら。知らない人と時に友達になる。蛇を憎んで何匹も殺したが、いつの日か噛まれて死ぬだろう;大抵の蛇取り犬はそんなふうに最期を迎える。 間々、ブッシュウーマンが作業を止めて見守り、そして聞いて思う。自らの生活のことを思う、というのも思い巡らすことが他に殆どないためだ。 雨が草を繁らせるだろう、するとこれによって彼女は夫が不在中にかつて低木火災と如何に戦ったかを思い起こさせられる。草は長くて非常に乾いて火は全てを焼き尽くそうと脅かした。彼女は夫のズボンの古い一本を穿いて緑覆う大枝で火炎を叩き消した、煤けた汗の大きな滴が額に浮き出して黒くなった腕に筋となって走るまでに。トミーはズボンの母親の光景を素晴らしく面白がり、そのそばで小さな英雄みたいに働いたが、ただ赤ん坊は怖がって「母ちゃん」へ一生懸命に喚いた。火は四人の興奮したブッシュマンが間一髪で到着しなかったら彼女を支配しただろう。それは全てに亘るゴタ混ぜの事態だった:彼女が赤ん坊を抱き抱えに行ったとき、絶叫しながら痙攣的に藻掻かれた、「黒人男」だと思われたので;するとアリゲーターは自身の本能よりも子供の感覚をもっと信頼しながら激怒して突っかかって(年老いて耳が僅かに聞こえなかったけど)興奮して最初は女主人の声を認めず、ただそのモールスキンへ食い下がり続けた、トミーが鞍留めで喉を押さえ付けるまで。犬の大失敗の悲しみと全くの間違いだったと知らせる不安はボサボサの尻尾と上手くやれたはずの12インチのはにかみに等しく明白だった。それは少年にとって栄光の時代だった;何年間も振り返って口に上らせて笑い捲る一日。 彼女は夫のいない間に如何に洪水と戦ったかを思う。水浸しの大雨の中に何時間も立って小川に構えるダムを守ろうと排水口の溝を掘った。しかし守ることはできなかった。ブッシュウーマンにもできないことがある。翌朝、ダムは決壊し、彼女の心も略瓦解した、というのも夫が帰宅して苦心した長年の成果が一掃されたのを見たときにどのように感じるだろうかと考えたためだった。彼女は、そのとき、泣いた。 彼女は〈胸膜肺炎〉とも戦った――数頭の残った牛に投薬して瀉血し、さらに二頭の最高の乳牛が死んだときは再び涙を流した。 重ねて彼女は一日と家に攻め込んだ狂った若い雄牛と戦った。弾丸を用意すると古い猟銃で厚板の裂け目を通して発砲した。それは朝に絶命した。彼女は皮を剥ぐと獣皮として7シリング6ペンスを得た。 彼女は自分の鶏を狙う烏や鷲とも戦う。戦闘の計画は非常に独創的だ。子供たちが「烏だ、母さん!」と叫ぶと彼女は急いで出て行ってそうした鳥へ箒の柄をまるで銃のように目がけて「バン!」という。烏は慌てて去る;彼らは狡猾だが、女の狡猾さが優る。 時偶、ぞっとするブッシュマンか酷く悪く見えるサンダウナーが現れてもう心底と震え上がらされそうになる。彼女は、大抵、怪しげに見える余所者には夫と二人の息子がダムの下で仕事中か終えて庭にいると話した、というのも輩はいつも親分を狡猾に尋ねるためだ。 先週だけ、悪党染みた顔のスワッグマンが――その場に男がいないと満悦しながら――ベランダに身の周りの品袋を投げ下ろして食べ物を要求した。彼女は何か食べるものを渡した;すると彼は夜に泊まる意図を表明した。日暮れの頃だった。彼女はソファーから小角材を取り、犬を解き、余所者に立ち向かった、片手に小角材を掴みながらもう片方は犬の首輪で。「もう行きなさい!」、彼女はいった。彼は彼女と犬を見るや縋り付く口調で「大丈夫だ、ママ」といって去った。彼女は決然として見える女だったし、アリゲーターの黄色い目が不快に睨み付けもした――さらには犬の噛み止め器具がその名を貰ったものと凄く良く似ていた。 彼女は蛇を警戒して暖炉のそばに一人で現に座りながら考えて嬉しいことは幾らもなかった。全ての日が似たり寄ったりだった;ただし日曜日の午後には自分の服装を整え、子供たちを綺麗にし、赤ん坊を粧し込むと目の前に乳母車を押しながら低木地帯の通り道へ辺鄙な散歩に出かける。これを毎週日曜日に行う。彼女は自分自身と子供たちが町区でするつもりなのと同じくらいお洒落に見えるようにすることに気を付けた。見るべきものはなく、しかしながら、会うべき人もいない。この通り道は地点を良く覚えられなければ20マイルと歩かれるかも知れない、ブッシュマンでないかぎり。これは矮小な木々の永続する、発狂させられる一様さのせいだ――逃れては列車が行けるかぎりと旅する、また船舶が進めるかぎりと進みたくならせずにいないあの単調さ――さらに遠くへ。 しかしこのブッシュウーマンはそうした孤独に慣れている。若妻のときは憎んだ、しかし今はそれから離れて不思議に感じるのだ。 彼女は夫が帰るときが嬉しい、しかしそれについて喋り捲ったりや大騒ぎしたりはしない。彼に良い食事を取らせて子供たちを身綺麗にする。 彼女は自分の境遇に満ち足りたようだ。子供たちを愛するが、それを表すべき時間はない。彼らへは荒々しいようだ。彼女の周囲には「女らしさ」か性質の情に脆い側面を発展させるのに有利なものはない。 ✳ ✳ ✳ ✳ ✳ もう直ぐ朝に今や違いない;しかし時計は住居にある。蝋燭はもう直ぐ尽きる;彼女は蝋燭を切らすのを忘れていた。もう少しの材木がないと火を燃やしておけないに違いないので、彼女は犬を内側に閉ざしながら材木の山へ急ぎ回る。雨は上がっていた。棒を掴んで引き出すと――ガシャン! 積み上げが完全に崩れ落ちる。 昨日、彼女はアボリジニと材木を幾つか持って来ることを思いがけずに交渉し、そして彼が働いている間に行方不明の乳牛を探しに出かけた。一時間程、留守にし、すると原住民の黒人は自分の時間を巧みに利用していた。帰ると彼女は煙突のそばに材木の好適な山を見てとても驚かされたので、煙草の小片を上乗せしてあげて怠慢ではないことを称えた。彼は彼女に感謝すると頭を真っ直ぐに胸を突き出して去った。その部族の最後の一人で、王だった:〈しかし彼はあの凹んだ材木の山を組み上げたのだった〉。 彼女は今や傷心してテーブルのそばに座りながら目に涙を浮かべる。涙を拭い去ろうとハンカチを取る、しかし裸の指で代わりに自分の目を突く。ハンカチは穴だらけで、親指が一つを抜けて人指し指がもう一つを抜けてしまったと気付く。 これに笑い声を上げるや犬まで驚く。彼女には滑稽者の鋭い、非常に鋭い感覚がある;何れかの時、物語ってブッシュマンを面白がらせるだろう。 彼女はそんなふうに、以前、面白がることがあった。ある日、「思う存分と泣こう」と座り込んだが、彼女がいうと老猫も自分の服に擦り寄って「泣いた」ようだった。そのとき、彼女は笑わないわけには行かなかった。 ✳ ✳ ✳ ✳ ✳ もう直ぐ夜明けに今や違いない;部屋は正に閉じられて暖炉のせいで暑い。アリゲーターはじっと壁を、時折、見守る。突然と大変な興味を示すようになる;自らを仕切りへ何インチか近く引き寄せると拍動が全身を走り抜ける。首の後ろの毛が逆立ち始めて赤色灯が黄色い目の中だ。彼女はこれが意味するものを認めながら枝木に手を置く。仕切りの厚板の一方の低い端は両側に大きな裂け目がある。小さい、明るい、ビーズ並みの目の邪悪な一対がこれらの穴の一つできらきら輝く。蛇――黒いやつ――が姿をゆっくりと現し、約1フット、そしてその頭を上下に動かす。犬はじっと寝そべって彼女はまるで身動きが取れない者のように座る。蛇は1フットを越えて姿を現す。彼女が自分の枝木を持ち上げるや爬虫類は、まるで突然と危険を察知したようだ、厚板の別の側の裂け目へ頭を突き通して急いで後から尻尾を巻き取る。アリゲーターは跳ぶとその顎がガブリと一緒に来た。この回は捕り逃がす、というのも鼻が大きいためで、もはや厚板と床で形作られた角度の下へ身を閉ざす蛇の身。その尻尾が回って来るときに再びガブリと噛む。蛇を今や捕らえ、そして18インチと引っ張り出す。ドスン、ドスン、女の棍棒が地面に来た。アリゲーターは再び引く。ドスン、ドスン。アリゲーターはもう少し引く。蛇を今や捕らえ切る――黒い動物、体長5フィート。頭が上がってきょろきょろ動く、しかし犬は敵の首近くを捕らえている。大きな、重たい犬だ、しかしテリアのように素早い。蛇をまるで人間種と共通に原初の呪わしさを感じたように振り動かす。長男が目覚め、棒を掴み、ベッドから出ようとする、しかし母親の鉄の一掴みによって戻るように強いられる。ドスン、ドスン――蛇の背中は散り散りに破壊される。ドスン、ドスン――その頭は粉砕され、そしてアリゲーターの鼻は再び擦り剥けた。 彼女は切り苛まれた爬虫類を枝木の先に持ち上げて火へ運ぶと投げ入れる;それから材木の上に積んで蛇が焼かれるのを見守る。少年と犬も見守る。彼女は犬の頭に手を置く、すると激しいばかりの怒りの光が黄色い目から失せる。年少の子供たちは静まって間もなく眠る。汚い足の少年はシャツ姿で、暫くの間、立っている、火を見守りながら。間もなく彼は彼女を見上げ、その目の涙に気付き、ついにその首に腕を回しながら声を上げる: 「母さん、俺は家畜追いなんて決して行かない;もしもやれば厳しく叱ってよ!」 もはや彼女は彼を窶れ切った胸に抱いてキスした;もはや彼らは一緒にこうして座る、夜明けが低木地帯にうっすら現れる間に。 参考サイト夫婦円満考 その1 『家畜追いの妻』『くっすん大黒』 英語の小説の日本語訳 コメント 新しい投稿 前の投稿
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