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サキの余計者の日本語訳|イギリスの小説

十九から二十世紀のイギリスの作家、小説家のサキの小説の余計者(1919)の日本語訳を行った。一つの文学作品として人間の洞察力に富んだ優れた内容を持つだけではなく、表現も意義深いから外国語の英語の聞き取りと読み取りの教材としても最適だと感じる。

作品の出典

E・O・ホッペのヘクター・ヒュー・マンロー、別名サキの肖像
Hector Hugh Munro aka Saki by E.O. Hoppé / Public domain
The Interlopers by Saki/サキの余計者
原文:Wikisouce作品集
朗読:LibriVoxC・T・ハート

※朗読は原文通りではない箇所が幾つかある。

両方ともパブリックドメイン(著作権なし)だから無料で自由に使って構わない。

日本語の訳文

ウクライナのカルパティア山脈の様子

カルパティア山脈の東の尾根の混成繁茂したどこかの森の中、一人の男が立ち、冬のある夜のこと、まるで山林の中から現れる何かの動物へ視界と、その後にはライフルの範囲内に待ち構えるように目を凝らし、聞き耳を立てていた。ところがそんな激烈な見通しが保たれる存在の猟獣はスポーツマンの日程表の合法で適切な狩猟のように考え入れられるものではなかった;ウールリック・フォン・グラドウィッツは人間の敵を探し求めて暗闇の森の中を巡回した。

グラドウィッツの森林地は程広くて猟獣も良く備えていた;その郊外に横たわる急峻な山林の狭い区域の土地は目立って猟獣が隠れたり、狩猟ができたりはしなかったものの全ての所有者の領土が最も警戒して護られていた。有名な訴訟に彼の祖父の時代の小地主の近隣家族の不法所有からの捻り取りがあった;所有できない方は裁判所の判決に決して黙って従わなかったが、すると長い一連の密猟騒動や同じような醜聞によって両家族の関係は三世代に亘って恨みを抱くものとなった。隣人の確執はウールリックが家長になった頃からは個人的なものへと発展したのだった;この世に大嫌いで、不幸を願う男がいるとすればそれはジョージ・ズネーム、喧嘩の継承者、休みない猟獣の略奪者、紛争する境界の森の侵略者だった。その確執が収まりかけるか歩み寄りを見せるかも知れないのはきっと二人の男の敵意が立ち塞がれない場合だ;子供では互いに相手の血に飢えていたし、大人では各々が相手に降りかかるかも知れない厄災を祈った、そしてこの風が鞭打つ冬の夜、グラドウィッツは森林官を結集して暗闇の森を見張り、追い求めるのは四つ足の獲物ではない、土地の境界を越えて進行中と怪しまれる盗人の徘徊に向けて用心を保つのみだった。ノロジカの雄が暴風の間は避難所の洞穴にいつもいるのに狩り追われるように今夜は走っており、暗闇の時間は眠りに就くのが習慣の生き物たちに波乱と動揺があった。確かに森の中に妨害要素があってウールリックはそれが起きたところからは四分の一マイルだと推測することができた。

彼は丘の頂上に待ち伏せて配置した見張り番たちからはぐれるや略奪者の姿と音を木の幹を越えて見詰めてひゅーひゅーぴゅーぴゅー鳴る風と休みなく打ち付ける枝を越えて聞き取りながら原野の縺れた下草の真ん中の急な坂を下って遠く彷徨った。この原野の夜、この闇、人跡稀な地点でありさえすればジョージ・ズネームと、一対一、誰にも目撃されずに出会すかも知れなかった――それこそ考え得る最上の願いだった。するや巨大なブナの幹を回って踏み込みながら彼は探し求める男と顔を合わせた。

二人の敵が互いに睨み合いながら長い沈黙の瞬間に立っていた。各々が手にライフルを抱え、各々が心に憎しみと胸のうちに最上の殺意を抱えていた。終生の激情を遺憾なく発揮するべき機会の到来だった。ところが自制する文明の規範の下に育った男には冷血と一言もなしに隣人を撃ち倒す勇気を振り絞ることは自らの家庭や面子を害される以外では簡単にはできないのだ。かくて躊躇いの瞬間が実行へ移される以前に自然の猛威の行動によって圧倒される両者だった。嵐の恐るべき金切り声が頭上にドガシャンと割れて応じられるやブナの木の倒れる塊の傍らへ跳ね退くこともできないうちに彼らに凄まじい勢いで落ちたのだった。ウールリック・フォン・グラドウィッツは地面に伸びている自分に気付いたが、片腕は背中で感覚を失い、もう片方は串刺しの枝の緊密な縺れの中に殆ど無力に等しく固まっており、他方、両脚は倒れた塊の下にピン留めだった。重い射撃靴で足は細かく粉砕されるのを免れていた、しかしかりにあったかも知れない大きな骨折ではなかったとしても少なくとも明らかなのは誰かが来て引き出してくれるまでは現在の位置から動けないことだった。顔の皮膚が下向きの細枝で切り付けらてしまい、彼は瞬いて睫毛から血の滴を幾つか払って初めて災害の全体図を手に入れた。その側、普通の状態では殆ど触ることができるくらい近くに横たわったのがジョージ・ズネームで、生きて藻掻くものの彼自身と同じくらい無力に縛り付けられるのは明らかだった。彼らの周りには割れた枝や壊れた細枝の厚くばら蒔かれた残骸があるきりだった。

生きられる安堵と囚われる苦境から信心深い感謝の捧げ物と痛烈な呪詛の奇妙な繋ぎ合わせを唱えるウールリックだった。ジョージは目にぽたぽた垂れる血によって早々に何も見えず、藻掻くのを止めて、少しの間、聞いていた、そうすると短く唸る笑い声を上げた。

「さては貴様は死ななかった、当然のことのようにな。ただし貴様は捕まった、どうにも」と彼は叫んだ;「さっさと捕まった。ほぅ、何て笑い種か、自分の盗まれた森で罠にかけられたウールリック・フォン・グラドウィッツとは。貴様への真の正義だ!」

そして彼は再び笑った、にたにたと意地悪く。

「俺が捕まったのは自分の森林地だ」といい返したウールリック。「仲間が連れ出しに来たら貴様は隣人の土地の密猟で捕まったよりは益しな苦境だときっと願うだろう。恥を知れ」。

ジョージは、少しの間、黙った;それから静かに答えた:

「連れ出しが良く適うとは間違いないか? 俺にも仲間がいて森の中で、今夜、後ろに近付く、もはや〈連中〉はここで先に連れ出しを行うだろう。これらの忌々しい枝の下から俺が引き出されたら貴様の上にこの木の幹を直に転がす方の手間は大してかからないだろう。貴様の仲間は倒れたブナの木の下で死んだ貴様を見付けるんだ。形許り、俺は貴様の家族にお悔やみの言葉を送ろう」

「それは役に立つ心得だ」と狂暴にいったウールリック。「俺の仲間には十分以内に追って来るように指示してある、既に過ぎたところでは七分だが、ついに彼らが俺を脱出させたときに――心得を思い出そう。貴様が俺の土地で密猟しながら斃ったときだけは俺はお悔やみのどんな言葉も貴様の家族へきちんと送るとは考えない」。

「構わん」と唸ったジョージ。「構わん。俺たちはこの喧嘩を死ぬまで戦い抜く、貴様と俺と俺たちの森林官で、俺たちの間に現れる呪うべき余計者は持たず。死と滅亡を貴様に、ウールリック・フォン・グラドウィッツめ」。

「貴様に同じだ、ジョージ・ズネームめ、森の盗人が、猟獣の略奪者が」

男両者は有り得べき敗北の苦さを相手に並べ立てていた、というのも各々がその仲間の捜索か発見が長引いてそうだと気付いたためだった:どちらの一団が現場に先に到着するかは時の運でしかなかった。

両者とももう自らが押さえ付けられた木の塊から自由になろうと無駄に藻掻くのは止めたのだった;ウールリックは片方の部分的に自由な腕を外側のコートのポケットへ十分に近寄せてワインフラスコを引き出そうと努めることだけに取り組んだ。そんな作業をやり遂げたにしても塞いだ栓を回し開けたり、喉に液体を少し流し込むのにも長くかかった。しかし何と天与の一飲みと思われたことか! 開ける冬で、雪は今のところは少ししか降っていなかった、このために虜たちは一年のそうした季節よりも寒さに苦しまなかった;とはいえ、ワインは負傷した男を温めながら回復させることになった、すると彼は憐れみの感動みたいな何かで横たわる敵へ見渡したが、丁度、その唇が痛みと疲弊の呻き声に緩んだときだった。

「このフラスコに手が届くか、貴様へ投げてやれば?」と突然と訊いたウールリック;「良いワインが入っているし、できるだけ快適になると良い。飲もう、今夜、俺たちのどちらが死ぬとしても」

「否、何も見られやしない;目の周りに血がこってり被さり過ぎているんだ」といったジョージ、「それにどうあっても俺は敵とワインなんか飲まない」。

ウールリックは、数分間、黙り、そして疲弊した風がキーキー鳴るのを聞きながら横たわった。ある考えが脳裏にゆっくり形成されながら発展していた、自分が戦っている男が痛みと消耗に余りにも顔を歪めるのを見越したどんなときでも強さを得るという考えが。ウールリック自身が感じている痛みと怠さの中で、古い恐るべき憎しみが死に倒れかけているようだった。

「隣人よ」と彼は間もなくいった、「好きにしてくれ、どうぞ、貴様の仲間が先に来たらな。それが公平な盟約だった。しかし俺に関しては気が変わった。もしも俺の仲間が来るのが先ならば貴様を救うのが先だろう、まるで客人のようにさ。俺たちは木がそよ吹く風に真っ直ぐ立つことさえもできない森のこの詰まらない区域に全生活をかけて魔物みたいに喧嘩した。ここに、今夜、俺たちは可成の馬鹿者だったと考えるようになったと考えながら横たわるときに;境界紛争を有利に運ぶよりも良いことが人生にはある。隣人よ、貴様が昔の喧嘩を葬り去る手助けをしてくれるならば俺――俺は貴様に友達になってくれと頼む」。

ジョージ・ズネームが長く黙っている余り、ウールリックはきっと傷の痛みで意識を失ってしまったのだと思った。それから彼はゆっくりと痙攣しながら喋った。

「地域全体は如何に見抜いて捲し立てよう、もしも俺たちが一緒に市場広場へと乗り込んだら。仲良く語らい合うズネーム家の者とフォン・グラドウィッツ家の者に見覚えのある住民はいない。そして森林官の皆には何と平和があることか、もしも俺たちが、今夜、確執を終えたならば。そしてもしも俺たちが誰彼に平和を齎すことを選ぶならば干渉するような他の誰もいず、外部からの余計者はいない……貴様は訪れた俺の屋根の下で聖シルヴェスターの夜を祝うし、または俺は訪れた貴様の城で祭日か何かを愉しむんだ……俺は貴様の土地で決して発砲しないんだ、客人として招かれたときでなければ;もはや貴様は猟鳥のいる湿地の元に俺と一緒に来て撃つんだ。遍く地方に妨げる者はいない、もしも俺たちが平和を齎すことを望むならば。一生で貴様を憎むよりも他のことを欲するとは決して考えなかった、しかし俺も事によると気が変わっちまったと考えるよ、この半時間近くに。つまり貴様は自らのワインフラスコを俺に差し出したし……ウールリック・フォン・グラドウィッツよ、友達になるんだ」

暫くの間、男両者は黙っていた、この劇的な和解が引き起こすだろう素晴らしい変化へ考えを巡らしながら。冷たい、薄暗い森の中、風は葉のない枝を通して断続的に煽るし、木の幹の周りにひゅーひゅー鳴った、彼らは横たわりながら両一団へ今にも連れ出しに来て助け出してくれるだろう応援を待った。そして各々が個人的な祈りを、すなわち自分の仲間が先に到着した結果として友達になった敵へ名誉ある配慮を先に示すことを祈った。

間もなく、風が、少しの間、収まったときにウールリックが沈黙を破った。

「応援を叫ぼう」、彼はいった;彼はいった;「この小康で声が少しは届くかも知れない」

「木々と下草を越えて遠くへは届くまい」といったジョージ、「しかし俺たちにはやれる。一緒に、それでは」。

二人は尾を引く狩猟用の鳴き囮に声を上げた。

「再び一緒に」と数分後にいったウールリック、おーいという返事を無駄に聞き求めた後だった。

「聞こえるのは厄介な風の音だけだな」と嗄れ声でいったジョージ。

何分か沈黙が再びあり、そしてついにウールリックは喜ばしい叫びを放った。

「森を抜けて来る人影が見えるぞ。俺が下りて来た丘の斜面の道を追っている」

男両者は奮い起こせるだけの大きな叫び声を上げた。

「聞こえる! 止まったぞ。今や見ている。俺たちの方へ丘を駆け下りている」と叫んだウールリック。

「何人、いるんだ?」と訊いたジョージ。

「はっきり見えない」といったウールリック;「九人か十人」

「それでは貴様のか?」といったジョージ;「俺は七人だけ連れていた」

「全速力を出している。勇敢な諸君」と喜んでいったウールリック。

「貴様の仲間か?」と訊いたジョージ。「貴様の仲間か?」、せっかち繰り返したのもウールリックが答えないためだった。

「否」と笑っていったウールリック、嫌な恐れで狼狽えた男の馬鹿げたキャッキャ笑いだった。

「誰なのか?」と急いで訊いたジョージ、他方が喜んで見なかったものを見ようと目を引き絞りながら。

「〈狼〉」

参考:第三者(妹尾アキ夫)

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