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オスカー・ワイルドの星の子の日本語訳|アイルランドの小説

十九世紀のアイルランドの作家、詩人で小説家で劇作家のオスカー・ワイルドの小説の星の子(1891)の日本語訳を行った。一つの文学作品として人間の洞察力に富んだ優れた内容を持つだけではなく、表現も意義深いから外国語の英語の聞き取りと読み取りの教材としても最適だと感じる。

作品の出典

オスカー・ワイルドが椅子に座って正面を向いて右手で細長い杖を持って左手で頬杖を付いている
The Star-Child by Oscar Wilde/オスカー・ワイルドの星の子
原文:Wikisouce作品集
朗読:LibriVoxグレッグ・マーガリート

両方ともパブリックドメイン(著作権なし)だから無料で自由に使って構わない。

日本語の訳文

夜空に斜めに進んだ流星

昔、二人の貧しい樵が広い松の森を通って家に進んでいた。冬の厳しい寒さの夜だった。雪が地面と木々の枝にも厚く積もっていた:霜がその両側の小さな細枝をぱちんと鳴らしていた、彼らが通ったとき:そして谷川に来たらそれは空中に動きを止めてかかっていた、というのも氷の王が口付けをしたためだった。

余りにも寒くて獣や鳥でさえも理解できないほどだった。

「うわっ!」と呻いた狼、脚の間に尻尾を挟んで下生えを通ってのろのろ進みながら、「これは完全に怪物のような天候だ。政府は目に留めないものか?」。

「知ってる! 知ってる! 知ってる!」と囀ずった緑の胸赤鶸、「古い地球は死んで彼らは白い包みで埋葬準備を行った」。

「地球は結婚する予定で、これは自分の花嫁衣装さ」と互いに囁いた小雉鳩たち。桃色の脚は可成の霜焼けだったけれども事態を空想的に見渡すのが務めだと感じた。

「無意味だ!」と怒鳴った狼。「俺は総じて政府の過ちだというんだ、信じない奴は食っちまうぞ」。狼は全くの実際的な心の持ち主で、十分な理由に困ることは決してなかった。

「さて、私としては」といった啄木鳥、生まれつきの哲学者だった、「説明に原子論を求めない。物事がそうならばそれはそうで、現在は恐ろしく寒い」。

恐ろしく寒いは確かだった。小さな栗鼠たちが高い樅の木の内側に住んでいて互いに鼻を擦りながら暖を取っていたし、兎たちは巣穴に丸まって寝て危険を冒して扉の外を覗きさえもしなかった。楽しんでいると思われる唯一の者はアメリカ鷲木菟だった。彼らの羽毛は白霜で可成と固まっていたけれども意に介さず、大きな黄色い目を回すと「ホーホー! ホーホー! 何て快適な天気なのか、私たちが得ているのは!」と森の向こうへ互いに呼び出した。

行っては行った二人の樵、指に威勢良く息を吹きかけながら、こってりと固まった雪の上を大型の鉄履きブーツで踏み付けながら。あるときは深い吹き溜まりへと沈んで臼石が挽かれているときの粉屋のように白くなって出て来た;そしてあるときは沼水が凍った硬いすべすべの氷の上を滑り、鉄の棒が束から落ちると拾い上げて再び一緒に括り付けなくてはならなかった;そしてあるときは道に迷ったと思い、甚だしい怖さに掴まれた、というのも彼らは雪が自らの腕の中に眠る者には酷薄だと知っていたためだった。しかし全旅人を守護する善良な聖マルティヌスに信頼を置きながら引き返しては慎重に行くとついに森の外れに到達して自分たちの居住する村の明かりが、低い谷間の遥か下、見えた。

余りにも大喜びして大笑いするほどの救い上げで、地球は銀色の花みたいに思われたし、月は金色の花みたいだった。

だが、彼らは笑ってしまった後、悲しくなった。というのも自分たちの貧困を思い出したためで、一人は「なぜ浮かれ騒いだのか、私たちのようなんかではない裕福な生活を見ながら? 森の中で寒さに死んでしまうか野獣に見付かって殺されてしまう方が良い」ともう一人にいった。

「本当に」と答えた同伴者、「ある者に与えられるのは多く、他の者に与えられるのは少ない。現世は不公正に分けられてしまって不幸を何かしら助ける対等な分け前もない」。

しかし彼らが己の悲惨を互いに泣き叫んでいるとこんな不思議なことが起こった。とても輝かしくて綺麗な星が天から落ちて来た。空の端を滑り降りて進路上の他の星々を過ぎ去りながら、彼らが何だろうと目を凝らしていると石を投げるよりも遠くない小さな羊舎の直ぐ近くに位置する柳の木の群生の後ろに沈むと思われるのだった。

「おや! 誰が見付けても金の曲がりだ」、彼らは叫び、目指して走った、金に向かって余りにも熱心な彼らだった。

もはや一人が仲間よりも速く走り、追い越し、柳を貫いてずんずん進み、反対側に出て来ると見よ! 本物の金が白い雪の上に置かれていた。そこで彼は急行すると屈み込んで手を乗せた、するとそれは金の織物のクロークで、奇妙に星々で細工されて多くの襞に包まれていた。彼は空から落ちて来た宝物を見付けたのだと同胞へ叫び出し、同胞が追い付いたとき、彼らは雪の中に座り込んで金片を分配するかも知れないクロークの折り重ねを解いた。しかし、嗚呼! 金はそこになく、銀も、それこそどんな類の宝物もなく、小さな子供が眠るだけだった。

もはや一人がもう一人にいった:「これは私たちの望みへの苦い結末だ、幸運も得られない、子供が大人に何の利益を生むのか? ここは去って私たちの道を行こう、貧しい人間だし、子持ちで他にパンを与えられないと知るわけで」。

ところが同伴者は彼に答えた:「いや、子供を置いて雪の最中に死なせるなんて邪なことだったし、私は其方と同じくらい貧しくて食べさせる多くの口があるのに鍋の中は足りない、それでも家に連れて行けば妻は面倒を見るだろう」。

そうして大変に優しく彼は子供を取り上げると刺々しい寒さから防ぐべく、その周りをクロークで包みながら村へ進んで丘を下りたが、同胞は彼の心の愚かさと穏やかさに驚嘆していた。

そして村へ来ると同胞は「其方は子供を取る、よって私にはクロークをおくれ、分け合うのが相応しいのだから」と彼にいった。

しかし彼は彼に答えた:「いや、クロークは私のものでも其方のものでもなく、ただ子供のものでしかないのだから」、彼は彼にゴッドスピードを告げると自宅へ行って扉を叩いた。

そして妻が扉を開けて夫が無事に帰って来たと分かると彼の首に自らの腕を回して口付けをし、彼の背中から鉄の棒の束を取ってブーツの雪を払い落とすと中に入るように勧めた。

しかし彼は「森で何かを見付けて其方に面倒を見て貰うために連れて来た」と彼女にいった、そして戸口から動かなかった。

「それは何かしら?」、彼女は叫んだ。「私に見せて。何もないような家なのだから。多くのものが要る」、すると彼はクロークを開いて眠る子供を見せた。

「残念、貴方!」、彼女は不満を呟いた、「私たちには子供がいないのかしら、どうしても取り替え子を連れて来て暖炉のそばに座らせなくてはならないって? そして悪運が付いて来ないかどうかが誰に分かるのかしら? しかもどうやって私たちが世話するのかしら?」、もはや彼女は彼に激昂した。

「いや、星の子なのだ」、彼は答えた;発見の不思議な仕方を彼女に話した。

しかし彼女は宥められず、ただ彼を嘲り、怒って喋るとついに叫んだ:「私たちの子供にはパンが足りない。他の子供に食べさせるべきかしら? 誰が私たちの面倒を見るのかしら? 誰が私たちに食べ物をくれるのかしら?」。

「いや、神は雀でさえも面倒を見て食べさせなさる」、彼は答えた。

「雀は冬に飢え死にしないかしら?」、彼女は訊いた、「今は冬じゃないかしら?」。

すると男は何も答えず、ただ戸口からで動かなかった。

すると辛い風が開いた扉を抜けて森から入って来、戦かされて彼女はぶるっと震えると彼にいった:「扉を閉めないの? 家の中に辛い風が入って来て寒い」。

「心の堅固な家の中へは辛い風なんていつも入って来ない 」、彼は答えた。すると女は何も答えず、ただ火へ近寄って行った。

少し経って彼女は振り返ると彼を見た、その目は涙で一杯だった。彼は素早く入って来て彼女の腕に子供を預けて彼女に口付けし、さらに自分たちの最も小さな子供が寝ている可愛いベッドに寝かせた。明日に樵は金の奇妙なクロークを取って大きな箪笥に入れ、妻が取ったその子供の首に巻かれていた琥珀の首飾りもその箪笥に仕舞った。

そうして星の子は樵の子供たちと共に育てられ、彼らと同じ食卓に着き、遊び仲間になった。毎年と彼は見た目にさらに美しくなり、そのゆえに村に居住する全ての者が驚きで一杯で、というのも、彼らは浅黒くて黒髪だった一方、彼は白くて切った象牙のように仄かで、巻き髪は喇叭水仙の縁のようだった。唇も、又、赤い花の花弁のようで、目は清らかな水の川辺の菫のようで、体付きは芝刈り機の来ない野原の水仙のようだった。

だが、働いた彼の美しさは邪だった。というのも彼は高慢に酷薄に我儘に成長したためだった。樵の子供たちや村の他の子供たちを侮蔑し、劣った生まれだといいながら自分は星から来ていて高貴だった一方、彼らを服従させ切り、召し使いと呼んだ。憐れみを彼は貧乏人、または盲目や不具や何かの災難に見舞われた人へ持たず、ただ石を放って幹線道路へ追い立てて行くと他のどこかへパンを乞い願うように命じるのだ、そのゆえに誰も施しを求めてその村へ、二回、来た除け者を助けない。全く、彼は美しさに引き付けられた人間で、弱い者や醜い者を嘲っては笑い者にするのだ;つまり気に入りの自分自身で、夏に風が落ち着いたときには聖職者の果樹園の井戸のそばに寝そべりながら己の顔の驚きへ見下ろして自らがその魅力に備える喜びに笑った。

屡々と彼を嗜める樵と妻で、いうには:「私たちは其方が侘しくも援助者を得ない者たちを扱うように扱わなかった。なぜ其方は憐れみが欠かせない誰彼にそんなに酷薄なのか?」だった。

屡々と彼に送られては衆生への愛を授けようと求める古い聖職者で、「蝿は其方の兄弟です。傷付けなさるな。森を放浪する野鳥は自由を持ちます。喜びのために捕まえなさるな。神は足無姫蜥蜴や土竜を造り賜った、それぞれは居場所を持ちます。神の世界へ痛みを持ち込む其方は何者ですか? 野原の牛でさえも神を賛美します」と彼にいうのだった。

しかし星の子は彼らの言葉を気に留めず、ただ眉を顰めて馬鹿にして自分の仲間へ戻り、そして先導するのだ。彼の仲間は彼に付いて行った、というのも彼が綺麗で、足が速く、踊りができ、笛を吹き、音楽を作るためだった。星の子が先導するどこへでも彼らは付いて行き、星の子がやれと命じた何でもやるのが彼らだった。そして彼が土竜のぼんやりした目を鋭い葦で突き通したときに彼らは笑い、彼が癩者へ石を放ったときにも彼らは笑った。つまり彼が仕切った全ての事柄において彼らは彼と同じような非情な心となった。

今や貧しい乞食女が村を、一日、通り抜けるところだった。その衣服はズタボロで、足は旅して来た凸凹道に血を流しており、大変に不吉な窮状にあった。もはや弱りながら休もうと栗の木の下に腰を下ろした。

しかし星の子が彼女を見たとき、「どうだ! あの立派な緑繁る木の下に汚れた乞食女が座っている。さぁさ、これから追い立てよう、不快で醜いのだから」と仲間にいった。

そうして彼は近付くと彼女に石を放って嘲った、すると彼女は彼を怯えた目で見て視線を外しもしなかった。樵は直ぐ近くの農家の貯蔵庫の庭で薪を割っていたが、星の子のやっていることに気付いたとき、駆け上がって非難するといった:「確かに其方は非情な心で、慈悲を知らない。こんな貧しい女をどんな悪意からこんな仕方で扱わずにいないのか?」。

すると星の子は怒りで赤くなり、すると地団駄を踏み、すると「私のすることを問い質す其方は何者なのか? 私は其方の命じるような息子ではない」といった。

「本当にいうな」と答えた樵、「だが、示したのは私は憐れみだ、其方を森で見付けたときに」。

そして女はこれらの言葉を聞いたとき、大きな叫び声を上げると失神へと倒れ込んだ。樵は彼女を自宅へ運び、妻が世話をした、そして彼女は倒れ込んでいた失神から起き上がったとき、目の前に食べ物や飲み物を出されて彼らから寛ぐように勧められた。

しかし彼女は食べも飲みもせず、ただ「森の中で子供は見付かったといいませんでしたか? この日から十年前でしたか?」と樵にいった。

すると樵は答えた、「ええ、私が彼を見付けたのは森の中でしたし、この日から十年前です」。

「何かの目印を彼に見付けませんでしたか?」、彼女は叫んだ。「彼は首に琥珀の首飾りがないまま? 星々で刺繍された金の織物のクロークに彼は巻かれてませんでしたか?」。

「本当に」と答えた樵、「正しく仰る通りでした」。すると彼はクロークと琥珀の首飾りを置いていた箪笥から取って彼女に見せた。

そして彼女はそれらを見たとき、嬉しくて泣きながらいった、「彼は森の中で見失った私の可愛い息子です。急いで呼び寄せるようにお願いします、彼を探し出すのには満天下を歩き回ってしまいましたから」。

そこで樵と妻は出て行き、星の子を呼んで「家にお出で、其方の母が見付かったぞ、其方を待っているぞ」と彼にいった。

そこで彼は走り込み、驚きと凄い喜しさで一杯になった。しかし自分を待っていた母親を見たとき、彼は軽蔑して笑うと「おや、母はどこだ? ここに見えるのはこの下劣な乞食女だけなのだから」といった。

すると女が彼に答えた、「私が其方の母親だよ」。

「狂ってそういう」と怒って叫んだ星の子。「私は其方の息子ではない、其方は乞食で、不快で、襤褸服だから。よって今後は分かるな、汚れた顔をもはや見せないで」。

「いや、其方は正しく私の森で産んでいた可愛い息子だ」、彼女は叫ぶと跪いて彼を自らの腕に抱いた。「盗賊が其方を私から奪って殺そうと置き去りにした」、彼女は不満を呟いた、「しかし私は其方を見たときに覚えていたし、目印も金の織物のクロークと琥珀の首飾りを覚えていたのだった。よって私と共に来ることを願う、満天下を私は其方を探し出すのに歩き回ってしまったのだから。私と共に来なさい、息子よ、其方の愛が私には欠かせないのだから」。

しかし星の子は自らの立場を崩さず、ただ彼女に対して心の扉を閉ざすと痛みに泣いている彼女の音を助けるどんな音もなかった。

そして終いに彼は彼女にいった、その声は固くて苦かった。「もしも実際に其方が私の母親ならば」、彼はいった、「離れていて私を恥ずかしめに来なければ良かろう、私は星の子供であって其方がいうような乞食の子供ではないと考えると知るわけで。よって今後は分かるな、私ともはや会わないで」。

「嗚呼! 息子よ」、彼女は叫んだ、「行く前に私に口付けをして頂戴? 其方を見付けようと大変に苦んだのだから」。

「いや」といった星の子、「其方は汚過ぎて見られない、むしろ其方よりもヨーロッパ鎖蛇か蟇に私は口付けをしよう」。

そうして女は立ち上がると酷く泣きながら森へと離れて行ってついに消えるのを見たとき、星の子は喜んで自分と遊んでくれる遊び仲間へ駆け戻った。

しかし彼らは彼が来るのを目にしたとき、嘲って「おや、其方は蟇のように汚くてヨーロッパ鎖蛇のように忌まわしい。今後は分かって。私たちは其方と一緒に遊ぶわけには行かない」といった、すると彼らは彼を庭から追い立てた。

もはや星の子は眉を顰めながら「彼らが私にいったこれは何なのか? 水の井戸へ行って覗き込もう、すると私の美しさを教えるに違いない」と自分にいった。

そうして彼は水の井戸へ行って覗き込んだ、すると見よ! 彼の顔は蟇の顔のようで、体付きはヨーロッパ鎖蛇みたいに封じ込められていた。彼は芝生に身を投げ下ろすと泣きながら「確かにこれは罪によって降りかかったのだ。母を拒絶して追い出して高慢で酷薄だったのだから。そのゆえは行って満天下を通して探そう、見付けるまで安らげもしないだろう」と自分にいった。

すると樵の小さな娘がやって来て彼の肩に手を置くと「見た目が悪かったらそれが何だっていうのかしら? 私たちと過ごして。私は其方を嘲らない」といった。

すると彼は「いや、私は母に酷薄だったし、罰を仕向けるこの邪のようだ。そのゆえに私は今後は行って彼女を見付け、許しを得るまで天下を歩き回り通さなくてはならない」と彼女にいった。

そうして彼は森の中へ走り去ると母が現れるように呼び出したものの返事はなかった。一日中、呼んだ、ついに太陽が没するとき、木の葉のベッドに眠ろうと横たわった、鳥や獣は彼から逃げた、というのも酷薄さを思い出したためだった、見守る蟇と這い出す鈍いヨーロッパ鎖蛇を省いて彼は一人ぼっちだった。

そして朝に起き上がると木々から苦い漿果を幾つかもぎ取って食べて甚く泣きながら広い木叢を進んで行った。そして会った全てにひょっとして母親を見たかどうかを尋ねた。

彼は「其方は地下に行ける。教えておくれ、私の母はいるか?」と土竜にいった。

すると土竜は「其方は私の目を見えなくした。どうやって知るべきか?」と答えた。

彼は「其方は高い木の天辺を飛び越えられるし、満天下を見ることができる。教えておくれ、私の母を見ることができるか?」と胸赤鶸にいった。

すると胸赤鶸は「其方は喜びのために私の翼を切り取ってしまった。どうやって飛ぶべきか?」と答えた。

さらに樅の木に住んで孤独だった小さな栗鼠に彼は「私の母はどこか?」といった。

すると栗鼠は「其方は私の母を殺してしまった。其方の母も殺すために探すのか?」と答えた。

もはや星の子は泣きながら頭を下げると神の万物の許しを祈り、乞食女を探し求めつつは森を行き続けた。三日目に森の反対側へ来るとさらに平地へと下りて行った。

そして村を通り抜けたとき、子供たちが彼を嘲って石を投げ、農民たちは備えた玉蜀黍に黴が生えると行けないと彼が牛舎で眠ることさえも我慢ならず、余りにも汚く見えたせいだった、その使用人たちが追い出したし、彼に憐れみを持つ者はいなかった。母の乞食女がどこなのかを聞くこともできず、三年の間、天下を歩き回ったが、屡々と前の道を行くのが見えたようで、呼びながら追いかけては鋭い燧石によって足に血を流した。しかし彼女に追い付くことは彼にはできず、道端の住民は彼女か似た人を見たことを悉く否定し、彼の不幸を揶揄った。

三年の間、天下を歩き回り、そこは愛も思い遣りも慈善もない世界だったけれども最たる高慢な日々に自分自身へ作り上げた世界のようでさえもあった。

そしてある夜に川辺に立つ強固な城壁の町の門へ来た、弱々しく足を痛めた彼だったが、入って行こうとした。ところが守衛に立つ兵士たちが矛槍を入り口に下げ交わして「この町に何の用か?」と無造作にいった。

「私は母を探しています」、彼は答えた、「どうか通すようにお願い致します、町の中に彼女がいるかも知れませんから」。

しかし彼らは彼を嘲った。一人が髭を揺らすと縦を下に置いて「本当で。其方の母が其方を見たら浮かないだろう、其方は沼の蟇か沢に這うヨーロッパ鎖蛇よりも醜いのだから。失せよ。失せよ。其方の母はこの町には居住しない」と叫んだ。

するともう一人の手に黄色い旗を掲げる方が「其方の母とは誰なのか、なぜ其方は探しているのか?」と彼にいった。

すると彼は「私の母は私とそっくりの乞食で、私は彼女を邪に扱ってしまいました、なのでもしも彼女がこの町に滞在するとすれば許しを得るために通すことをお願い致します」と答えた、ところが彼らは通さず、彼を槍でちくりと刺した。

もはや泣きながら彼が向きを変えると金箔の花柄を象眼した鎧で翼の生えた獅子の屈んだ兜の者が立ち現れて兵士たちに入場を求めたのは何者かを問い合わせた。彼らは「乞食です、乞食の子供です、我々は追い出しました」と彼にいった。

「いや」、彼は叫んだ、笑いながら、「我々は奴隷としてその汚い者を売ろう。彼の値段は一椀の甘口ワインの値段になるぞ」。

すると通りかかった一人の古くて悪どい顔の男が呼び出して「その値段で彼を買おう」といってその値段を払ったら彼は星の子の手を取って町の中へ引き連れた。

そして多くの通りを抜けて行った後、彼らは石榴の木で覆われた壁に設置された小さな扉へ来た。すると老男は碧玉の彫り込まれた指輪で扉へ触れてそれは開き、彼らは五段の真鍮を下りて黒い雛罌粟と緑の土製の壷で一杯の庭へ出た。すると老男はそこでターバンから柄付きの絹のスカーフを取り出して星の子の目をそれで縛り、己の前に動かした。スカーフが解かれたとき、星の子は角灯に照られる地下牢にいると気付いた。

すると老男は彼の前に木皿の黴の生えたパンを置いて「食べな」といい、コップの塩辛い水には「飲みな」といって彼が食べて飲んだらその後ろの扉に鍵をかけて鉄の鎖でしっかり留めながら出て行った。

そして明日に老男、本当に最も巧みなリビアの奇術師で、ナイル川の墓の居住者から術を学んでいた者が彼へ入って来て眉を顰めながら「邪宗徒のこの町の門の近くの木叢の中に三片の金がある。一つは白い金、もう一つは黄の金、三つ目の金は赤だ。今日、其方は白い金片を持って来なくてはならない、そしてもしも持ち帰れなかった場合は私は其方を百回の鞭打ちで叩きのめそう。早く出て行け。日没に庭の扉で待っていよう。白い金を持って来るようにしろよ、さもないと其方には都合の悪いこととなる、私の奴隷なのだから、一椀の甘口ワインの値段で買ったのだ」といった、そして星の子の目を柄付きの絹のスカーフで縛ると家を、雛罌粟の庭を、引き連れて行って五段の真鍮を上った。そして指輪で小さな扉を開けながら彼は彼を通りに置いた。

すると星の子は町の門を出て行って奇術師が話していた木叢へ来た。

今やこの木叢は外側からとても綺麗に見え、歌う鳥と香る花で一杯のようで、星の子は喜んで入った。だが、その美しさは利益を殆ど与えなかった、というのもどこへ行っても過酷な茨と棘が地面から出ていて取り巻かれたし、凶悪な刺草に刺されたし、薊の短刀に突き通された、そのために彼は痛い苦難に陥った。奇術師が話していた白い金もどこにも見付けることができなかった、暁から正午まで、そして正午から日没まで探したのだが。ついに日没に彼は家へと顔を向けて甚く泣いていた、というのもどんな運命が待ち構えるかが分かるためだった。

しかし森の外れに達したとき、薮の中から痛ましい何者かの叫び声が聞こえた。そして己の不幸も忘れてその場所へ駆け戻ると一匹の可愛い野兎が猟師の仕掛けた罠に引っかかっているのを見た。

すると星の子は憐れみを抱き、解き放って「私は奴隷の身でしかない、だが、其方を自由にすることはできる」と野兎にいった。

すると野兎は彼に答えていった:「確かに其方は私を自由にしてくれた、お返しに何をするべきか?」。

すると星の子は「私は白い金片を探していてどこにも見付けることができない、もしも主人にそれを持って行かなければ叩きのめされるだろう」と野兎にいった。

「私と共に来て」といった野兎、「案内しよう、隠し場所も何の目的かも分かるのだから」。

そうして星の子は野兎と共に行った、すると見よ! 大きな樫の木の裂け目に探していた白い金片が見付かった。彼は喜びで一杯になり、掴み取ると「私の行った奉仕に其方は何度でも再び与え返し、私の示した親切に其方は百倍と報いた」と野兎にいった。

「いや」と答えた野兎、「其方が扱ったようにそのままに私は扱った」、そして素早く走り去った、そして星の子は町へ向かって行った。

今や町の門に癩者の一人が座っているのだった。すっぽり顔に灰色の亜麻のカウルがかかり、覗き穴を通して目が燃える石炭みたいにぎら付いていた。そして彼は星の子が来るのが見えたとき、木製の器に打ち当たって鈴をカチャカチャ鳴らして彼を呼び出して「お金を恵んで下さい、さもないと飢え死にしなくてはなりません。世間の人々は私をこの町から突き放してしまいますから、憐れみを抱く者は皆無なのです」といった。

「嗚呼!」と叫んだ星の子、「財布にあるお金は一片だけです、もしも主人に持って行かなければ叩きのめされるでしょう、私は奴隷ですから」。

しかし癩者は彼に懇願し、憐れみを抱くまで頼み込んだ、もはや彼は白い金片をあげた。

そして彼が奇術師の家に来たとき、奇術師は開けると彼を中に入れて「白い金片はあるか?」といった。星の子は「ありません」と答えた。なので奇術師は彼に突っかかると叩きのめし、彼の前に空の木皿を置くと「食べな」といい、空のコップには「飲みな」といって地下牢へと再び投じた。

そして朝に奇術師はやって来ると「もしも、今日、其方が黄色い金片を持って来なければ私は間違いなく其方を奴隷のままに留めて三百回の鞭打ちをしよう」と彼にいった。

なので星の子は木叢へ行って、一日中、黄色い金片を探したが、どこにも見付からなかった。日没に座り込んで泣き始め、ついに泣いているときに罠から救い出していた可愛い野兎がやって来た。

すると野兎は「なぜ其方は泣いているのか? 何を木叢で求めるのか?」と彼にいった。

すると星の子は「ここに隠される黄色い金片を求めている。もしも見付からなければ主人に叩きのめされて奴隷のままだろう」と答えた。

「私に付いて来て」と叫んだ野兎、木叢を走り抜けては水溜まりへ来た。その溜まりの底に黄色い金片が置かれていた。

「どう感謝するべきか?」といった星の子、「見よ! これで其方に救われたのは二回目なのだから」。

「いや、其方が私に最初に憐れみを抱いた」といった野兎、素早く走り去った。

すると星の子は黄色い金片を取ると財布に入れて町へ急いだ。しかし癩者が彼が来るのを見ると会いに走って跪くと「お金を恵んで下さい、さもないと飢え死にすることになります」と叫んだ。

すると星の子は「財布には黄色い金片が一つだけです、もしも主人に持って行かなければ叩きのめされて奴隷のままでしょう」。

しかし癩者は彼に凄まじく懇願し、そのために彼は憐れみを抱いて黄色い金片をあげた。

そして彼が奇術師の家に来たときに奇術師は開けると彼を中に入れて「黄色い金片はあるか?」といった。星の子は「ありません」といった。なので奇術師は彼に突っかかると叩きのめし、鎖を負わせると地下牢へと再び放った。

そして朝に奇術師はやって来ると「もしも、今日、其方が赤い金片を持って来れば自由にしよう、しかし持って来なければ私は間違いなく其方を殺そう」と彼にいった。

なので星の子は木叢へ行って、一日中、赤い金片を探したが、どこにも見付からなかった。夕べに座り込んで泣き、もはや泣いているときに可愛い野兎がやって来た。

すると野兎は「其方の求める赤い金片は木の後ろの洞窟にある。よってもはや泣かずに喜んで」と彼にいった。

「どう褒賞するべきか?」と叫んだ星の子、「見よ! これで其方に救われたのは三回目なのだから」。

「いや、其方が私に最初に憐れみを抱いた」といった野兎、素早く走り去った。

そして星の子は洞窟に入ると最も奥の曲がり角に赤い金片を見付けた。なので財布に収めて町へ急いだ。すると彼が来るのを見ながら癩者が道の真ん中に立っていたが、叫び出して「お金を恵んで下さい、さもないと死ななくてはなりません」と彼にいった。星の子は憐れみを再び抱いて黄色い金片をあげた、「其方は私よりももっと必要なのです」といいながら。だが、心は重かった、というのも自分に待っているのは不吉な運命だと分かるためだった。

しかし見よ! 彼が町の門を通り抜けたとき、守衛が頭を下げて敬意を表した、「どんなに美しい我々の君主だろう!」といいながら。民の群衆が彼を追って「確かに満天下にそんな美しい人はいない!」と叫び出した。そのために星の子は泣きながら「人々は私を嘲って私の悲惨を軽く見ている」と自分にいった。余りにも人の集合が大きいゆえに行く道筋が分からなくなり、大きな広場だと終いに気付いたが、そこには王の宮殿があった。

そして宮殿の門が開くと聖職者や町の高官が彼に会いに走り出て彼の前に謙ると「其方は我々の待っていた君主、我々の王の息子である」といった。

すると星の子は人々に答えて「私は王の息子なんかではなく、貧しい乞食女の子供です。どうして汝らは私が美しいというのですか、私は自分が不吉に見えると知っているのですから?」といった。

そのとき、彼、金箔の花柄の鎧と翼のある獅子の屈んだ兜が盾を掲げて「どうして我の君主は己が美しくないと仰るのか?」と叫んだ。

すると星の子は覗いた、すると見よ! 彼の顔は嘗ての通りで、見目好さが戻って来、ついに以前は見えなかった自分の目で見た。

そして聖職者や高官が跪きながら「我々を統べる方が現れるに違いないこの日のことは古くから予言されておりました。よって王冠と王笏をお取り下さい、そして公平と我々を治める我々の王に慈悲であり給え」と彼にいった。

しかし彼は「私には値しません、自分を産んだ母を拒絶したのですから、彼女を見付けて許しを得るまでは安らげもしないでしょう。よって行かせて下さい、天下を再び歩き回らなくてはならず、王冠と王笏をお持ちになられるにせよ、ここには滞在できないでしょうから」と彼らにいった。話しながら彼らから顔を回して町の門へ導く通りへ向けると見よ! 兵士たちに押し寄せた群衆の只中に彼は母の乞食女とそのそばに間道に座っていた癩者が立っているのを気付いた。

すると喜びの叫びが唇から脱け出して駆け寄り、跪きながら母の脚の傷に口付けをし、涙で濡らした。埃に塗れて頭を垂れると啜り泣きながら傷心した者のように母にいった:「母上、高慢なときに私は其方を拒絶しました。謙虚なときに私を受け入れて下さい。母上、私は其方に憎しみを与えました。其方は私に愛を与えますか。母上、私は其方を排除しました。其方の子を今受け留めて下さい」。ところが乞食女は彼に一言も答えなかった。

すると彼は手を伸ばして癩者の蒼白い足を握り締めると彼にいった:「三度、私は其方に慈悲を与えました。母が私に話すように、一度、勧めて下さい」。ところが癩者は彼に一言も答えなかった。

すると彼は再び啜り泣きながらいった:「母上、私の苦しみは耐えられる以上に大きいのです。許しを与えて森へ返らせて下さい」。乞食女は彼の頭に手を置くと「立って」と彼にいい、さらに癩者も彼の頭に手を置くと「立って」と彼にいった。

そして彼はすっくと立ち上がると彼らを眺めた、すると見よ! 彼らは王と女王だった。

もはや女王は「こちらが其方を援助した其方の父です」と彼にいった。

もはや王は「こちらが其方の涙で足を洗われた其方の母です」といった。彼らは飛び付いて彼に口付けをして宮殿へと連れて行くと綺麗な衣服を着せて彼の頭には王冠を、手には王笏を置くとついに川辺に立つ町を彼は治めて君主となった。多くの公平と慈悲を彼は全員に示して邪な奇術師を追い払い、樵と妻へ沢山の豪華な贈り物を届けて彼らの子供たちへ大きな名誉を与えた。彼は誰にも鳥や獣へ酷薄にさせようともせず、ただ愛と思い遣りと慈善を教えた、そして貧乏人へはパンを与え、裸の者へは衣服を与え、もはや国には平和と豊かさがあった。

だが、治めた彼は長くなく、余りにも大きく苦しんだのだったし、余りにも酷く課せられた情熱だった、というのも三年の間の後に彼は死んだためだった。彼を次いだ者は邪悪に治めた。

参考:『The Star Child』(Oscar Wilde, Illustration by Charles Mozley, Bodley Head)

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