L・フランク・ボームの素晴らしいポンプの日本語訳 結城永人 - 2020年11月18日 (水) アメリカの作家、小説家で戯曲家のL・フランク・ボームの童話集アメリカのお伽噺(1901)の収録作品の素晴らしいポンプの日本語訳を行った。 L・フランク・ボームの素晴らしいポンプの英語の出典 The Wonderful Pump by L. Frank Baum/L・フランク・ボームの素晴らしいポンプ原文:Project Gutenberg(作品集)朗読:LibriVox(マシュー・リース) 両方ともパブリックドメイン(著作権なし)だから無料で自由に使って構わない。 L・フランク・ボームの素晴らしいポンプの日本語の訳文 Male eastern unicorn beetle (Dynastes tityus) by David Hill / CC BY 何年も遠くない昔、石のように不毛なニューイングランドの農場である人が妻と暮らしていた。彼らは酒を飲まない正直者で、その劣等地から乏しい生活費を確保しようと朝早くから暗くなるまで一生懸命に働いていた。 彼らの家は小さな平屋で、急な丘に立っており、石がその辺りに厚く置かれていてどんな草木も地面からとても生えないくらいだった。丘の麓、曲がりくねる小道で家から四分の一マイルに細流があって女房は水を汲みに行くと家まで急な丘の上へ運ばざるを得なかった。これは退屈な労務で、もはや自分の分担となる他の重労働と共にげっそり痩せた腰曲がりの骨と皮にさせられるのだった。 だが、彼女は不平をいうことはなく、家事を行い、水を運び、その夫が彼らの土地の最良の部分に育つ乏しい作物を鍬で掘り起こすのを手伝いつつ、ただ柔順に忠実に自らの日課を果たした。 ある日、小道を下りて細流へ歩いていたとき、自分の大きな靴で砂利を左右へ撒き散らしながら彼女は一匹の大きな甲虫が引っ繰り返って起き直そうと小さな脚で激しく藻掻いているのを気付いた、その足が地面に再び触れるかも知れないと。ところがこれは達成されることができなかった;そこで女房は優しい心の持ち主だったが、手を伸ばすと徐ろに甲虫を指で戻した。直ぐに小道から慌てて逃げられると彼女は細流へ行き続けた。 次の日、水を汲みに来たとき、彼女は例の甲虫が又引っ繰り返って戻そうと敢えなく藻掻いているのを見て驚いた。もう一度、女房は止まって足で立たせてやった;そうすると彼女は小さな生き物の上に屈んでいたときに僅かな声がいうのが聞こえた: 「おぅ、ありがとう! 救ってくれて本当にありがとう!」 甲虫が自身の言語で喋るのを聞いて半ば脅かされながら彼女は後退りすると声を上げた。 「そんなわけが! 確かに君は人間みたいに喋れない!」、それから恐慌から回復しながら彼女は再び甲虫に屈み込み、答えられるのだった: 「話すべきだろう、いうことが何かあれば? 「虫なんだから」と返した女房。 「それは真実だ;つまり貴方は僕の命を救った――僕の敵、雀から救った。しかもこれは貴方が僕を援助することになった二回目なので、恩に着るんだ。虫は人間と同じくらい自らの命を尊ぶし、僕は貴方が知らずに思うかも知れない以上に重要な生き物なんだよ。しかしいわせて貰うとなぜ貴方は細流に日毎に来るのか?」 「水のため」、話す甲虫を愚かしく見詰めながら彼女は答えた。 「重労働ではないか?」、生き物は尋ねた。 「そう;しかし丘の上には水がない」といった彼女。 「ならば井戸を掘ってポンプを入れなよ」と返した甲虫。 彼女は頭を振った。 「旦那が、昔、やってみた;しかし水はなかったんだ」、悲しげに彼女はいった。 「再度、やってみなよ」と命じた甲虫;「優しくして貰ったお返しにこんな約束をしよう;井戸から水を得られなかった場合、もっと貴重なものを得られるだろう:僕はもう行かなくてはならない。忘れるな。井戸を掘れよ」 そうすると止まってさよならもいわず、急に走り去りながら石の中に見えなくなった。 女房は家に戻っても甲虫がいったことに甚だ当惑していた、そして旦那が仕事から帰宅したとき、彼女は物語の全てを彼に話した。 哀れな旦那は、少しの間、深く考えた、そうすると宣した: 「お前、虫が話したことは真実かも知れない。この世の奇術にさえも違いないぞ、甲虫が喋れるならば;するとそんな奇術があるならば俺たちは井戸から水を得られるかも知れない。井戸に使おうと持って来たポンプは水が出ないことを証明したが、今は納屋に置いてあるし、虫の助言に従うのにかかる費用は穴を掘る労働だけだ。俺には慣れた労働さ;だから井戸を掘ろう」 次の日、彼はやり始めた、そして再び登り出るべき上に殆ど手が届かないくらい低く地面を掘り下げた;ところが一滴の水も見当たらなかった。 「きっと十分に深く掘らなかった」、彼が失敗を伝えたときに妻はいった。 なので、翌日、彼は長い梯子を作り、穴の中に置いた;そうすると掘って掘って梯子の上が辛うじて穴の上に届くまで掘った。ところが、依然、水はなかった。 女房が次に手桶を持って細流へ向かったとき、甲虫が小道の横の石の上に座っているのが見えた。なので彼女は立ち止まっていった: 「旦那が井戸を掘ったんだ;しかし水はないよ」 「井戸にポンプを置いたのか?」と訊いた甲虫。 「いいや」、彼女は答えた。 「ならば命じた通りにしなよ;ポンプを置きな。すると水を得られなければ僕はさらにもっと貴重なものを貴方に約束する」 そういいつつ、甲虫はさっさと石から滑ると消え去った。女房は家に戻って行くと甲虫がいったことを旦那に伝えた。 「そうか」と返した単純な輩、「やってみるのも悪くない」。 そこで彼はポンプを納屋から取り出すと井戸の中に据えた、そうするとそのハンドルを掴んで汲み取り始めた、一方で妻はそばに立って何が起きるのかを見守った。 水は来なかったが、暫くの後、金貨がポンプの噴出口から落ちるとそれから他にも他にも何掴みかの金が地面に小さな山となるまでだった。 彼はそれから汲み取るのを止めると走って妻が金貨をそのエプロンへと取り纏めるのを手伝った;ただし彼らの手は興奮と喜びにぶるぶる激しく震える余り、殆ど煌めく硬貨を摘まみ上げられないのだった。 ついに彼女がそれらを胸の近くまで取り纏めると一緒に彼らは家に走った、そこで貴重な金を机に移すと枚数を数えた。 全てにアメリカ合衆国造幣局の刻印があって何れも5ドルに値した。数枚は使用によって古びながら幾分か色褪せていた、一方で他のものは目映くて新しいと思われた、まるで扱われたことが大してなかったように。枚数の価値を合計したとき、それらは300ドルに値すると分かった。 突然、女房が喋った。 「あんた、甲虫は私たちが水よりも貴重なものを井戸から得られるはすだと宣したときに真実にいった。さてや直ぐに走ってポンプからハンドルを取り外しな、誰かがこの道を通って私たちの秘密を発見しては行けないからね」 そこで旦那はポンプへ走るとハンドルを除去し、家に運ぶとベッドの下に隠した。 彼らは、その夜、殆ど一睡もできなかった、自分らの幸運と黄金の蓄えをどうするかを考えるべく目を覚ましながら。全く以前の生活では決して一度に数ドル以上を持ち合わせることはなかったのだった、それが今や割れた茶瓶が金の硬貨で一杯に近かった。 翌日は日曜日で、彼らは早く起きると自分らの宝物が無事かどうかを確かめに走った。それはそこにあり、茶瓶の中にぴったりと積み上げられ、彼らはそれに進んで目を楽しませたゆえに離れて旦那が火を熾したり、女房が朝食を作ったりするまでには長くかかった。 簡単な食事を取っている間、女房はいった: 「今日、教会へ行って私たちに余りにも突然とやって来た豊かさのお礼をいおうよ。そして私は牧師に一枚の金貨を贈ろう」 「教会へ行くのは御尤もだ」と返した夫、「さらにお礼をいうのもな。ただし夜に俺は俺たちの金を全てどう使うのかを決めた;もはや牧師に残されるものはないぞ」 「もっと汲み取れる」といった女房。 「きっと;またはきっとない」、注意して彼は答えた、「持つものは当てにできるが、あるかどうか、井戸の中にもっととはいえないな」。 「ならば行って明らかにして」、彼女は返した、「私は牧師に貧乏人で援助に値する者に少しでも贈らないと心配だから」。 なので旦那はベッドの下からポンプのハンドルを取るとポンプへ行ってからそれを適所に嵌めた。それから大きな木製の手桶を噴出口の下に備えると汲み取り始めた。嬉しいことに金貨が忽ち手桶へと流れ始めた、すると縁から溢れ出しそうに見えたので、女房は他の手桶を持って来た。しかし今や流れは突然と止まって旦那がいった、元気良く: 「それで今日は十分だ、お前さん! 宝物に大きく追加したぞ、もはや聖職者は金貨を貰うが良い。本当、硬貨を献金箱に入れて良いと思うよ」 それから茶瓶に金がもはや入らなくなったために農夫は手桶を木箱へと空けた、お金に乾いた葉っぱや小枝を被せたので、誰も下に何があるかを怪しまないかも知れなかった。 その後、彼らは自分らの最良の服で着飾ると教会へと出向いた、各々が目映い金貨を牧師への贈り物として茶瓶から取りながら。 丘を越えて遥かな谷を下って彼らは歩いた、距離は気にならないくらい陽気に気楽に感じながら。ついに小さな田舎の教会に来て入ったのは、丁度、礼拝が始まるときだった。 己の富と聖職者のために持って来た贈り物が誇らしかったので、彼らは執事が献金箱を渡す瞬間が待ち切れなかった。しかしその時が来るとついに農夫は手をその箱の上に高く掲げながら会衆者の全員に何を贈ったかが見えるように金貨を落とした。女房も同様に行った、善良な聖職者に多く贈れることを大切に幸せに感じながら。 聖職者は説教台から見守ったときに金が箱の中に落ちるのが分かると己の目に欺かれてないとは殆ど信じられなかった。しかしながら箱が彼の机に置かれたとき、二枚の金貨があり、もはや驚きの余り、自らの説教を忘れそうだった。 人々が教会から礼拝を終えて去っているとき、善人が農夫と妻を呼び止めて訊いた: 「貴方方はあんなに多くの金をどこで得たのですか?」 女房は自分が如何に甲虫を救い出して自分たちが如何にお返しに素晴らしいポンプを受け取ったかを嬉しげに彼に話した。牧師は全く重々しく聞いていた、そして話が済んでからいった: 「口伝によれば不可解なことが何代も前にこの世界に起きました、そして今や私は不可解なことが今日でも起きるかも知れないのを見付けます。というのも貴方の喋って莫大な富を与える力も持つ甲虫を見付けたお話によるためです」。それから彼は金貨を注意深く眺めると続けた:「このお金はどちらも妖精の金か、アメリカ合衆国の造幣局の刻印があるので、本物の金属です。もしも妖精の金ならば二十四時間以内に消え去って従って誰にも益はないでしょう。もしも本物の金属ならば、そのとき、貴方の甲虫は誰かの金を奪い取って貴方の井戸に移したのでしょう。というのも全てのお金は誰かのものですし、貴方がそれを正直に稼がず、仰られる謎めいた仕方で手に入れただけの場合、同意なしに確かに所有者から取られたためです。現実のお金は他のどこから来ますか?」 農夫と妻はこの言明に混乱しながら疚しい様子で眺め合った、というのも彼らは正直者で、誰にも過ちを犯したくないためだった。 「ならば甲虫がお金を盗んだとお思いですか?」と訊いた女房。 「不思議な力によって恐らく正当な所有者から取りました。喋れる虫であっても良心がなく、つまり正しさと過ちの区別が付かないのですよ。貴方の優しさに報いようとする願望のために甲虫は法律上の持ち主から貴方の井戸から汲み取るお金を取りました」 「恐らく現実は妖精の金ですな」と提案した旦那、「そうすれば町へ行って消え去る前にお金を使いましょう」 「それは誤りです」と答えた牧師;「というのもそれでは商人はお金も製品もなくなるためです。妖精の金を渡すことは強奪することになります」 「私たちはそれではどうしましょうか?」と訊いた哀れな女房、悲嘆と落胆に両手を揉み合わせながら。 「帰って明日までお待ちなさい。金が、そのとき、貴方方の所有物ならば現実のお金ですし、でなければ妖精の金です。しかしかりに現実のお金だとしてもそれは正当な所有者に返還するように努めなくてはなりません。私に贈られたこれらのものもお持ちなさい、というのも正直に手に入れないお金は受け取れないためです」 悲しげに哀れな者たちは自宅へ戻った、聞いたことに甚だ乱心しながら。又別の眠れない夜が過ごされた、そして月曜日の朝に日光で起きると金が未だ見えるかどうかを確かめに走った。 「現実のお金だ、結局!」と叫んだ旦那;「一枚たりとも消え去らなかった」 女房が、その日、細流へ向かったとき、甲虫を探した、すると、案の定、平らな石の上に座っていた。 「今は幸せかい?」と訊いた甲虫、女房がその前に止まったとき。 「とても不幸だよ」、彼女は答えた;「だって多くの金を貰ったのに私たちの善良な聖職者はそれが確かに他の誰かのもので、君が私たちに報いるために盗んだというんだ」 「貴方の聖職者は善人かも知れない」と返した甲虫、相当に憤慨して、「ただし確かに賢過ぎるんだ。とはいえ、もしも金を望まなければ贈ったのと同じくらい容易く取り去れるよ」。 「ただし私たちは望むんだ!」と叫んだ女房、恐々と。「それは」、彼女は付け加えた、「正直に手に入れる場合にね」。 「盗まれてないよ」と返した甲虫、不機嫌に、「つまり今や貴方以外の誰のものでもないんだ。貴方に命を救われたとき、僕はどのように報いるかと考えた;すると貴方が貧しいと知ったので、金が他の何にも況して貴方を幸せにするだろうと決めた。 「知るべきなのは」、彼は続けた、「僕はとても小さくて取るに足らないように見えるけど、全ての昆虫の現実の王で、つまり僕の臣民は僕の最も僅かな望みにも従うということだ。地面の近くに自分たちがするように暮らしているので、昆虫はしょっちゅう金やその他のお金と出会す、それらは人になくされたり、割れ目や裂け目に落ちるか土で覆われるか草や雑草で隠されたりしたものなんだ。僕の臣民はお金をこんな仕方で見付けるといつでもその事実を僕に報せる;ところが僕はいつも放っておいてしまう、なぜなら使い途が昆虫にはないのだからね。 「しかしながら貴方に金を贈ろうと決めてからそれを貴方の仲間の生き物から全く強奪せずにどこで入手するべきかは正しく知っていた。何千の昆虫たちを一斉に僕はあらゆる方向へ送ってなくされた金貨を彼の丘に持って行かせた。それは僕の臣民には何日間かかかる重労働だ、察せられるかも知れないように;しかし貴方の夫が井戸を済ませてしまうときまでに金は国の全域から到着し始めたし、夜の間に僕の国民はその全てを井戸の中にドサリと落とした。だから貴方は澄んだ良心で使って良いんだよ、誰にも過ちを犯さないと知れば」 この説明に女房は喜んだ、そして家に戻ると甲虫がいったことを己の夫に報せた、彼も大喜びした。 なので彼らは直ぐに何枚も金貨を取ると町へ行って食料と衣服や長らく必要とされていた多くのものを購入した;しかし余りにも誇らしいその新たに獲得された富のゆえにわざわざ隠そうともしなかった。自分たちは金持ちだと皆に知って欲しいのだった、そんなだから村の悪どい連中の数人は金に気付けばそれを自身で所有することに憧れるのも不思議ではなかった。 「この金をあんな気儘に使うならば」と囁いた口々、「金の大量の蓄えが自宅にあるに違いない」。 「それは真実だ」が答えだった。「戻られる前に急いで家を漁り回ろう」。 なので彼らは村を出ると丘の上の農家へ急ぎ去った、そこで扉を壊し倒すとあらゆるものを滅茶苦茶にしては木箱と茶瓶の中の金を発見するまでだった。これを束にするのは長くかからず、背負って運び出したが、恐らく彼らが大急ぎだったために家が再び整理されるには及ばなかった。 間もなく、善良な女房とその夫が丘を腕一杯の束を抱えて村から上がって来、さらに購入品の運び手に雇われた小さな少年が何人も続いた。それから他の者たちが続いた、子供たちや田舎者たち、夫婦の富と浪費に魅せられたが、単純な好奇心から箒星の尾みたいにだらだら付いて行って人集まりを勝利の行列へと膨れさせた。殿に来たのはガギンズ、小売店主で、大層と親切に彼らが家に着いたら支払うことになる新しい絹のドレスを運んでいた、村へ持って行かれた全てのお金は惜しげなく拡大されたので。 農夫は以前は質素な人だったが、今や誇らしさに得意がって左耳の上に帽子の縁を上げながらやおら気分が悪くなる大きな葉巻を吸うくらいだった。彼の妻は孔雀みたいに彼の横に気取って歩いた、以前は自分を気にも留めなかった人たちに勝る富の敬意と尊敬を存分と楽しんだり、または後ろの感心頻りの行列を、時折、一瞥しながら。 しかし、嗚呼、その生まれ立ての誇りのために! 農家に着いたとき、彼らは壊して入られた扉、散り散りにされた家具、本当に最後の金貨まで盗まれた己の宝物を見付けた。 諸皆がにや付いては個人的な性質を軽蔑する発言を行った、そしてガギンズ、小売商人が自分の持って来た絹のドレスのお金を大声で要求した。 それから女房が自分が諸皆を黙らせておく間に走って金をもう少し汲み取るように夫に囁くと彼は即座に従った。しかし、瞬くの後、蒼白い顔で戻るとポンプが涸れて金貨がもう上手く噴出口から取り出せないと彼女に伝えた。 行列は農夫と妻、余りにも豊か振ってしまった者たちを笑って冷やかしながら村へ逆進した;少年の何人かは悪戯にも丘の上から彼らの家へ石を投げた。ガギンズ氏は自分が欺かれた女房を厳しく叱った後にそのドレスを運び去った、そして二人がついに自分たちだけだと気付いたとき、その誇りは屈辱へ、その喜びは苦い悲嘆へ変わってしまっていた。 丁度、日が沈む前、女房は目を拭くと普段着を又始めてから水汲みに細流へ向かった。平らな石に来たとき、甲虫王がその上に座っているのが見えた。 「井戸が涸れている!」、怒って彼女は叫び出した。 「そうだ」と答えた甲虫、穏和に、「貴方は僕の臣民が見付けた全ての金を汲み取ったんだ」。 「しかし私たちは今や破産した」といった女房、泣き出しながら小道に座り込んだとき;「強盗が私たちの全財産を盗んでしまったから」 「残念だ」と返した甲虫;「しかしそれは貴方たち自身の責任だ。自分たちの富をあんなに盛大に見せびらかさなかったら誰も貴方たちが宝物を所有するかと怪んだり、貴方たちを強奪しようと思わなかったんだ。にせよ、貴方たちは他人が自分たちよりも前になくした金をなくしたに過ぎない。それは恐らく世界に終わりが訪れるまでもっと何度でもなくされるだろう」 「しかし私たちは今やどうするべきか?」、彼女は訊いた。 「僕が金を贈る前に貴方たちはどうしたのか?」 「私たちは朝から晩まで働いた」といった彼女。 「ならば仕事が未だ貴方たちに残されている」と述べた甲虫、落ち着いて;「誰も決してそれを貴方たちから強奪しようとはしない、確信できるよ!」。そして石から滑ると最後に消え去った。 この物語は幸運を謙虚な心で受け入れて節度を持って使うことを私たちに教えるに違いない。というのも彼らが自分らの富を派手に誇示する誘惑を堪えていたらそれを正しくこの日まで保持していたのかも知れないためだ。 参考サイトアメリカお伽話12 『魔法のポンプ』 L・フランク・ボーム 英語の小説の日本語訳 コメント 新しい投稿 前の投稿
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