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L・フランク・ボームの官吏と蝶の日本語訳

アメリカの作家、小説家で戯曲家のL・フランク・ボームの童話集アメリカのお伽噺(1901)の収録作品の官吏と蝶の日本語訳を行った。

作品の出典

The Mandarin and The Butterfly by L. Frank Baum/L・フランク・ボームの官吏と蝶
原文:Project Gutenberg作品集
朗読:LibriVoxマシュー・リース

※一部に誤字があってbarefooted newboy→barefooted newsboy、every newboy→every newsboyが正しいようだ。

両方ともパブリックドメイン(著作権なし)だから無料で自由に使って構わない。

日本語の訳文

色鮮やかな翅の蝶
Colorful butterfly by GDJ / CC0

官吏がかつてクァンホーに皆から嫌われるくらい過度に腹を立て易く、不愉快に暮らしていた。会う人全てに怒鳴り散らし捲ったし、笑ったり、どんな状況下でも浮かれたりするとは知られることがなかった。取り分け彼は少年少女を嫌った;というのも少年は彼を冷やかしたが、憤怒を起こさせたし、少女は茶化したが、自尊心を傷付けたためだった。

彼が誰にも話しかけられないくらい不人気になったとき、皇帝はそれを聞き付けると彼にアメリカへ移住することを命じた。これは官吏に非常に良く適していた;しかし中国を離れる前に彼は賢い奇術師、ハオット・サイの持ち物の『奇術全書』を盗んだ。そうして少しの貯金を纏めてからアメリカへ船出した。

彼は中西部の町に住み着くともちろん洗濯屋を始めた、苦力か官吏にせよ、それはあらゆる中国人の性に合った職業のようだったから。

彼は町の他の中国人と知り合いにはならなかったが、彼らは彼と会って相手の帽子の赤い釦を見れば本物の官吏だと分かってその前で頭を低く下げた。彼が赤と白の看板を掲げると人々が自分の洗濯物を彼に持って来た、すると交換で中国語の文字が記された合札の紙を貰ったが、これが官吏が残していた只一つの特徴の類だった。

ある日、その醜い者がメインストリート263番地1/2の地下室でアイロンがけをしてきたときに見上げると子供たちの顔が幾つも窓に圧し当てられるのを気付いた。大半の中国人は子供たちと友達になる;この者は彼らを嫌って追い払おうと努めた。しかし彼が作業に戻って来るや否や彼らは窓に又戻った、悪戯好きの微笑みを浮かべながら。

不躾な官吏は恐ろしい言葉を満州語で発しながら凄まじい身振りをした;しかしこれは全く良くなかった。子供たちは喜ぶかぎり、留まったし、学校が終わるや否や次の日もきっちり又来てその次の日やその次も同様だった。というのも自分たちが窓にいることが中国人を煩がらせたし、そうすると楽しいためだった。

翌日は日曜日だったので、子供たちは現れなかったが、官吏が異教徒だったので、自分の小さな店で働いていたときに大きな蝶が開いた扉に飛んで入ると部屋を羽搏き回った。

官吏は扉を閉めると蝶を追いかけては捕まえるまでだった、それから二本の針をその美しい翅に刺し通して壁に留めた。翅には感覚がなかったからこれで蝶は傷付かなかった;しかしそれで確実な虜囚となった。

この蝶は大きなもので、その翅は大聖堂のステンドグラスみたいな規則的な柄が展開された華麗な色彩で極めて素晴らしく特徴付けられていた。

官吏は今や自分の木箱を開けるとハオット・サイから盗んでいた『奇術全書』を引き出した。頁をゆっくりと捲りながら「蝶の言語を理解する方法」と記述される一節に達した。これを彼は慎重に読んだ、そうして不思議な処方をブリキ缶に作り出すとそれを歪んだ顔付きで飲み下した。その後、直ちに蝶にそれ自身の言語で喋りかけた、いいながら:

「この部屋になぜ入ったのか?」

「蜜蝋の匂いがした」と答えた蝶;「ゆえに蜂蜜がここで見付かるかも知れないと思った」

「さてや君は私の虜囚だ」といった官吏。「気が向けば私は君を殺すか飢え死にするまで壁に置いておける」。

「予期するよ」と返した蝶、溜め息を吐いて。「しかし私の仲間は短命だ、何れにせよ;死が訪れるのが早いか遅いかは問題ではない」。

「だが、生きるのは好きだよな?」と訊いた官吏。

「だが;命は喜ばしくて世界は美しい。私は死を求めない」

「ならば」といった官吏、「君に命を与えよう――長くて喜ばしい命を――もしも私に、暫くの間、従うと約束して私の指示を実行してくれるならば」。

「蝶が人にどうやって仕えるのか?」と訊いた生き物、驚いて。

「いつもはできない」が返事だった。「しかし私は変わったことを教える奇術の本を持っている。約束するのか?」。

「おぅ、はい;約束するよ」と答えた蝶;「奴隷だとしても命から何かの楽しみを得よう、一方、殺されるに違いなければ――それで何もかも終わりだ!」

「真実に」といった官吏、「蝶は魂を持たないし、よって生き返れない」。

「しかし私は三つの命を既に生きて来た」と返した蝶、幾らか誇らしく。「蝶になる前は芋虫や蛹だったんだ。君は決して中国人以外の何者でもなかった、君の命が私のよりも長いことは認めるけど」。

「もしも君が僕に従うならば僕は君の命を多くの日に延ばそう」と宣した中国人。「それは奇術によって容易くできるんだ」。

「もちろん従うよ」といった蝶、慎重に。

「ならば聞いて! 子供たちが分かるよな?――少年少女が?」。

「うん、分かるよ。彼らには追いかけられるし、君がやったように私を捕まえようとするんだ」と返した蝶。

「すると私は嘲られるし、窓を通して冷やかされるんだ」と続けた官吏、酷く。「従って彼らは君と私の敵だ! さてや君の支援と奇術本の助けがあれば私たちは彼らの無礼に見事に復讐できるぞ」。

「復讐はさほど好まない」といった蝶。「只の子供なんだし、彼らが私ほども美しい生き物を捕まえたがるのは自然だ」。

「とはいえ、私は好む! そして君は私に従わなくてはならない」といい返した官吏、荒々しく。「私は少なくとも復讐するぞ」。

それから一滴の糖蜜を蝶の頭の横の壁に差すといった:

「それを食べろ、その間に私は本を読んで不思議な処方を準備する」

なので蝶は糖蜜を大いに食べて官吏は本を調べた、その後に彼は不思議な調合をブリキ缶に作り出し始めた。

混合物が用意できたとき、蝶を壁から解放するといい聞かせた:

「この不思議な調合物に君の二本の前の足を浸してさらに子供と会うまで飛び去ることを命じる。近くに飛んで、少年か少女のどちらにせよ、子供の額に自分の足で触れろ。こうして触れられた者は誰でも、本は宣する、直ぐに豚になるだろう、しかも後は永遠にそのままだろう。それから私に戻って君の足を缶の中身に新たに浸せ。余りにも惨めな豚に私の全ての敵、子供たちはなるんだ、一方、誰も魔法使いの私を非難しようとは思わないだろう」

「結構;そんなでも君の命令なので、私は従う」といった蝶。それから前脚、六本の中で最も短いものをブリキ缶の中身へと浸した、そして扉から飛び出すと町外れの家々の上へ去った。やれ、花畑に降り立つと忽ち子供たちを豚に変える己の任務について全て忘れるのだった。

花から花へ行っている際に蝶は忽ち不思議な調合物を自分の脚から払い落とした、ゆえに太陽が出始めて最終的に己の主人、官吏が思い出されたときには害そうとした子供たちにそうすることはできなかった。

しかしやろうとするつもりはなかった。

「あの恐ろしい老中国人は」、蝶は考えた、「子供たちを嫌って滅ぼしたがった。しかし私はむしろ子供たちが自分自身で好きだし、害したくはないんだ。もちろん己の主人へ戻らなくてはならない、彼は奇術師だし、私を探し出して殺すだろうから;ただし彼をこの件についていとも容易く欺くことはできる」。

蝶が官吏の洗濯屋の扉から飛び入ったとき、熱心に彼は訊いた:

「さて、子供と会ったか?」

「会った」と返した蝶、温和に。「可愛らしい金髪の少女だった――しかし今やブーブーと豚になった!」。

「良し! 良し! 良し!」と叫んだ官吏、部屋を楽しげに踊り回りながら。「糖蜜を夕食に取るんだ、そして明日は二人の子供を豚に変えなくてはならないぞ」。

蝶は返さなかったが、糖蜜を黙って食べた。魂がないから良心がなく、そして良心がないから嘘を大いに進んである程度は楽しんで官吏に吐くことができた。

次の朝、官吏の命令により、蝶はその脚を混合物に浸すと子供たちを探しに飛び去った。

町外れに来たとき、豚小屋の一頭に気付くと豚小屋の横木に降り立ちながらその生き物を見下ろして考えた。

「子供は不思議な調合物の付いた脚で触れて豚にできるとすれば豚は何にできるのか、よもや?」

魔法使いのこの委細を決めるべき好奇心から蝶は羽搏き下りると自分の前の足で豚の鼻に触れた。瞬時に動物が消えるとその場所にはもじゃもじゃ頭で、汚らしい少年がいたが、豚小屋から跳び出るとうぉーっと大声を発しながら道路を走って行った。

「面白いな」と自分にいった蝶。「このことを知ったら官吏は私に凄く怒るだろう、自分を煩がらせる生き物が一人多く解き放たれたのだから」。

蝶は少年の後を羽搏いて行ったが、彼は石を猫に投げようと止まったのだった。しかし子猫は木に駆け上がって逃れたが、そこの太い枝で石を防ぐのだった。それから少年は新しく植えられた菜園を発見すると種がそこら中に散らばるまで苗床を踏み付けて菜園は台なしになった。次に撓やかな小枝を掴み上げるとそれで野原の草を食べながら静かに立っていた小さな子牛を打った。憐れな生き物は哀しい鳴き声を上げて走り去った、すると少年は笑いながらその後を追い、怖がる動物を度々と打つのだった。

「現実に」と考えた蝶、「少年が全てこの者のようにとても惨くて悪どければ官吏が彼らを嫌うのは疑い得ないな」。

子牛が逃れてから少年は道路へ戻って来たが、そこで通学中の二人の幼い少女と会った。そのうちの一人が赤い林檎を手に持っていた、すると少年は引っ手繰り去ってそれを食べ始めた。幼い少女は泣き始めたが、その連れが勇ましく強かにも叫び出した:

「恥知らずでは行けないんだ、性悪児め!」

これに少年は手を伸ばすと彼女の可愛らしい顔をピシャッと打った、そうすると彼女も泣きじゃくり始めた。

魂も良心も有さないけれども蝶は非常に優しい心の持ち主で、今やこの少年にはもはや耐えられないと決めた。

「もしも私が彼の存在を許せば」、蝶は案じた、「決して自分自分を許せなくなるに違いない、怪物が朝から晩まで悪事しか働かないのだから」。

なので彼の顔へと真っ直ぐに飛ぶと彼の額に自分のねばねばの前の足で触れた。

次の一瞬、少年は消えたが、ブーブーの豚がその豚小屋へ向かう道路をさっさと駆け上がった。

蝶は安堵の溜め息を洩らした。

「今回は実際に官吏の奇術を子供に使ってしまった」、そよ吹く風にのらくらと浮かびながら囁いた;「しかしその子供は元々は豚だったから私に自分自身を非難するべき理由は全くないと思われる。幼い少女たちは親切で、温和だったし、世にも害すまいが、全ての少年がこんな変身した豚みたいならば官吏の指図を実行するのを躊躇うべきではない」

それから蝶は薔薇の茂みへと飛んだが、そこに夕べまで心地良く留まった。日の入りに己の主人へ戻った。

「奴らの二人を豚に変えて来たか?」、直ぐに彼は訊いた。

「来たよ」と返した蝶。「一人は可愛らしい黒い目の赤ん坊で、もう一人はそばかす顔の赤い髪の裸足の新聞売り子だった」。

「良し! 良し! 良し!」と絶叫した官吏、大きな喜びに我を忘れて。「そいつらには誰よりも酷く苦しめられた! 会った新聞売り子を、皆、豚に変えろ!」。

「結構」と答えた蝶、静かに、そして自分の糖蜜の夕飯を食べた。

数日が同じようにした蝶で過ぎ去った。太陽が輝く間は花畑を宛もなく飛び回ったし、夜には己の主人へ子供たちを豚に変えたという作り話を携えて戻った。時に変身したのは一人の子供、時に二人、偶に三人なのだった;ところが官吏はいつも蝶の報告を激しく大喜びして迎えながら夕食の糖蜜を蝶に与えた。

ある夕べ、しかしながら、官吏が疑いを抱かないように蝶は報告を変えるのが良いと考えた;そして己の主人が、その日、豚に変えられたのはどんな子供だったのかと訊いたとき、嘘吐きの生き物は答えた:

「中国人の少年で、私に触れられたとき、黒豚になった」

これに官吏は怒ったが、取り分け腹を立てた気分になった。蝶を指でパチンと意地悪く弾くとその美しい翅を破りかけた;というのもかつて中国人の少年から嘲られたとは忘れながらアメリカ人の少年への憎しみを覚えるばかりのためだった。

蝶は官吏からのこの虐待に大変に憤慨した。自分の糖蜜を食べることを拒んで、一晩、剥れた、というのも官吏が官吏が子供たちを嫌うのと殆ど同じくらい嫌いになってしまったためだった。

朝が来ても蝶は憤慨して未だ震えていた;しかし官吏は叫び出した:

「急げ、惨めな奴隷よ;今日は四人の子供を豚に変えなくてはなならない、昨日の埋め合わせに」

蝶は返さなかった。その小さな黒い目は悪どく煌めいていた、するとその足を不思議な調合物に浸すが早いか官吏の顔に正面に飛んでその醜い平らな額に触れた。

直ぐ後、紳士が自分の洗濯物のために部屋に入って来た。官吏はそこにいなかったが、その場を走り回っていたのがむか付かせる痩せ痩けた豚で、甚だ惨めにキュイキュイ鳴くのだった。

蝶は細流へ飛び去ると自分の足から不思議な調合物の少量も全て洗い流した。夜が来たとき、薔薇の茂みで眠った。

参考:アメリカお伽話04 『中国の役人と蝶』 L・フランク・ボーム

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