動詞のwishの名詞と不定詞と仮定法を目的語とする三つの基本的な用法
きかんしゃトーマスのThomas' Magical Birthday Wishes(トーマスの不思議な誕生日の願い)という動画のシリーズがあって主人公のトーマスがそれぞれに「I wish」(私は願う)という。動詞のwishの面白い実例で、名詞と不定詞と仮定法を目的語とする三つの基本的な用法を覚えるのに役立つ。
動詞のwishの三つの基本的な用法の実例
用法①目的語に名詞を取るwish
Something's wrong. Let's try again.
I wish for a birthday party.
Oh no, I'm out of birthday wishes. I must have them all up.
訳文
何か違うぞ。 やり直してみよう。
誕生日会がしたい。
おぅ、駄目だ、誕生日の願いが切れている。 全て使い果たしたな。
I wishで名詞の「birthday party」を目的語として「誕生日会がしたい」、つまり「私は誕生日会を望む」という意味になる。
そのままではなくて前置詞の「for」が使われている。名詞を取る動詞のwishは動詞のwant(欲しい)の上品な表現とされて前置詞の「for」と共に遣うのが一般的らしい。
ただし人物などを目的語としてさらに名詞や不定詞などを補語として「誰某に~して欲しい」というときは目的語に前置詞の「for」を使わないのが普通になる。余り聞かれない用法で、wantの上品な表現としてはwishよりもwould like(欲しいです)の方が好まれるようだ。
同じ語順で「誰某に~を祈る」や「誰某に~を告げる」という別の意味で使われることもあってその場合にはwantやwould likeに置き換えられない。文法上、重点が逆になっていて目的語と補語ではなく間接目的語と直接目的語という仕方になる。
- 欲するや望むのwish
- wish+目的語+補語。
- 目的語と補語には主語と述語の関係がある。
- 例:I wish you success/貴方の成功を望みます。
- 祈るや告げるのwish
- wish+間接目的語+直接目的語。
- 間接目的語は直接目的語の受け手となる。
- 例:I wish you a happy new year/良い年をお迎え下さい。
どちらも動詞のwishの後に人物などの名詞や代名詞が来てさらに名詞や不定詞などが来るという語順が同じだから意味合いで見分けるしかない。
文法上、wishから目的語と補語か間接目的語と直接目的語が続くという違いがある。
前者をSVOC(Subject+Verb+Object+Complement/主語と動詞と目的語と補語)の第五文型、後者をSVOO(Subject+Verb+(Indirect) Object+(Direct) Object/主語と動詞と(間接)目的語と(直接)目的語)の第四文型と捉えられる。
両者の目的語と補語には主語と述語の関係があって直接目的語は直接目的語の受け手となるという違いからも見分け得る。
用法②目的語に不定詞を取るwish
If only there was a rescue engine nearby, that could travel off the tracks.
Hmm, maybe there can be.
I wish to be a rescue engine.
Wow, Thomas the rescue engine.
Firefighter Thomas, ready and steady and raring to rescue!
訳文
救援車が近くにいさえすれば線路を離れて行けるのに。
ふむ、たぶんいるかも知れない。
救援車になりたい。
うわ、救援車トーマス。
トーマス消防士、準備万端と乗り出す救援!
I wishで不定詞の「to be a rescue engine」を目的語として「救援車になりたい」、つまり「私は救援車になることを望む」という意味になる。
目的語に不定詞を取る場合は主語が動作の主体になるから分かり易いし、例文のトーマスのように「I」(私)が主語ならば自分の願望をそのままに表現するだけだ。
動詞のwishには不定詞が補語として使われる場合もあるので、混同してはならない。
目的語に名詞や代名詞を取る場合に補語としてその状態を示すために不定詞が使われ得る。すると必ずwishと不定詞の間に名詞や代名詞が一つ挟まるから不定詞が主語の目的語として取られる場合と明らかに異なる。
只、不定詞が目的語になる動詞のwishが全て「wish to ~」の語順になるともかぎらない。副詞が挟まって例えば「wish just to ~」(丁度~したい)のような語順もあり得るので、何も挟まらないのではなく、名詞や代名詞が挟まっているときに意味合いが変わる可能性が高い(挿入句の名詞や代名詞でなければ同じ文章内容ではない)と見分けたい。
用法②目的語に仮定法を取るwish
What do you mean?
Just watch.
I wish I was invisible.
Thomas, Thomas, where did you go?
Right here.
訳文
どういうつもり?
ご覧よ。
見えなくなりたい。
トーマス、トーマス、どこに行ったの?
ここだよ。
I wishで仮定法の「I was invisible」を目的語として「見えなくなりたい」、つまり「私は自分が見えないことを望む」という意味になる。
実際は仮定法がthatで導かれて「I wish that I was invisible」だけれどもthatは動詞のwishの目的語に対しては省略されることが一般的らしい。
主節の動詞が「wish」と現在形でもthat節の動詞が「was」と過去形になるのが仮定法(事実に反する事柄を示す:~ならば良かった)のためなんだ。
- 仮定法現在
- 現在の事実に反するために動詞や助動詞を過去形で使う。
- 単数の主語のbe動詞は「were」が例外的に使われる。
- 仮定法過去
- 過去の事実に反するために動詞や助動詞を過去完了形で使う。
- 主節の動詞が過去でも時制の一致には概ね使われない。
例文は「If I was invisible, I would be lucky」(見えなくなれたら幸運だったな)のように書き換えられる。
仮定法の場合、「I」などの単数の主語のbe動詞は特別に複数形過去の「were」を使うことが多いけれども口語体などの一部の場合は通常の単数形過去の「was」も使うことがある。
仮定法は時制の一致を受けないとされるので、主節の動詞が「wished」と過去時制のときにthat節が必ず過去完了時制になるわけではない。
He wished he played golf.
彼はゴルフをしたかった。
ただし話し手によって現在の仮定法の真意がはっきりしなければ(過去から状況が変わってもはや事実に反しない場合など)は時制の一致が行われることも全くないわけではないらしい。
He wished he had played golf.
彼はゴルフをしたがっていた。
いい換えると過去の時点でのみ当て嵌まるならば仮定法であっても(文章自体に今でも何かを思い描くような効果は失われているにせよ)時制の一致が行われ得る。
目的語に仮定法を取るwishの気持ちはそれ自体が事実に反する事柄という通りに実現される見込みは殆どない。
動詞のhopeも同じように願望を表すけれどもwishよりも実現される見込みが多くてthat節で過去形を使うことは逆に少なくて現在形か未来形が良く使われる。
I hope you enjoy skiing.
スキーを楽しんでおくれ。
願望をthat以下の文章で表すとき、果たして起こりそうな事柄には直接法を導くhope、起こりそうにない事柄には仮定法を導くwishというふうに主節の動詞を使い分けられる。
参考:英語でI wishの意味と7つの使い方が分かる例文50選 I wishの意味と使い方!wishの後が過去形でbe動詞がwereになる理由とは? 英語、混乱してわかりません 英語で修飾語と補語の違いを教えてください。 2.4.2 直接目的と間接目的の語順 仮定法は時制の一致を受けないって本当? 「Hope」と「Wish」の使い分けルール
コメント