ラドヤード・キップリングの独りで歩いた猫の日本語訳 結城永人 - 2022年8月31日 (水) イギリスの作家、小説家で詩人のラドヤード・キップリングの童話集その通り物語(1902)の収録作品の独りで歩いた猫の日本語訳を行った。 ラドヤード・キップリングの独りで歩いた猫の英語の出典 The Cat that Walked by Himself by Rudyard Kipling/ラドヤード・キップリングの独りで歩いた猫原文:Wikisource(作品集)朗読:LibriVox(ティム・バルクレイ)) ※一部に誤字があってRuffles→fluffleが正しいようだ。 両方ともパブリックドメイン(著作権なし)だから無料で自由に使って構わない。 関連ページラドヤード・キップリングの独りで歩いた猫の原文と注解 ラドヤード・キップリングの独りで歩いた猫の日本語の訳文 Illustration to The Cat that Walked by Himself from Garden City, N.Y. : Doubleday & Co., Inc / Public domain Illustration to The Cat that Walked by Himself by Kipling, Rudyard, Gleeson, Joseph M. (Joseph Michael), or Bransom, Paul, 1885- (ill.) / Public domain 良く注意して聞きな;というのもこれが振りかかって起こるようになったのは、諸賢、人に慣れた動物が野生にいるときだったためだ。犬は野生だったし、馬は野生だったし、牛は野生だったし、羊は野生だったし、豚は野生だった――野生があり得るままに――そして彼らは湿った原生林を単独に野生的に歩いた。しかし全ての野生動物の中で最も野生的なのは猫だった。彼は独りで歩いて全ての場所で同じだった。 もちろん男性も野生だった。物凄く野生だった。彼は女性と出会うまで人に慣れ始めることさえもなく、もはや彼女は彼の野生的な生き方が好きではないと伝えた。快適な乾いた洞窟を湿った葉っぱの山の代わりに選んで入って横たわった;そして綺麗な砂を床にばら撒いた;さらに快適な焚き火を洞窟の奥で起こした;または干した野生の馬の皮を尻尾を下げて洞窟の入り口に引っかけた;すると「足を拭いて頂戴、ねぇ、入るとき、これから暮らしを立てましょう」といった。 Illustration to The Cat that Walked by Himself by Kipling, Rudyard, Gleeson, Joseph M. (Joseph Michael), or Bransom, Paul, 1885- (ill.) / Public domain これは男性と女性が全ての初めに暮らした洞窟の絵だ。本当に非常に快適な洞窟で、見かけよりもずっと暖かかった。男性はカヌーを持っていた。川の端にあり、水に浸かって膨れ上がらされている。 川にかかってズタボロに見えるものは男性の鮭取り用の鮭網だ。快適な綺麗な石が川から洞窟の口へ続いているが、それによって男性と女性は爪先に砂を入れずに水汲みに行くことができた。 遠くの川辺の黒い甲虫みたいなものは実際は川を向こう岸の湿った原生林から流れて来た枯れ木の幹だ。男性と女性は良くそれを引き摺って乾かして薪に切り刻んだものだった。 私は洞窟の口の馬の生皮のカーテンを描かなかった、なぜなら女性が、丁度、洗濯するために外したからだ。洞窟と川の間の砂の上のあの小さな汚れは全て女性と男性の足跡だ。 男性と女性は両方とも夕食を取りながら洞窟の中にいる。赤ちゃんが生まれたときに又別のもっと居心地良い洞窟へ行った、なぜなら赤ちゃんは良く川へ這い下りて落ちたものだったし、犬が引き上げなければならなかったからだ。 その夜、諸賢よ、彼らは熱い石で炙り焼きにして大蒜と胡椒で味付けした野生の羊を食べた;さらに米やフェヌグリークやコリアンダーを詰めた鴨を;さらに牛の髄入りの骨を;さらに野生の桜桃と野生のパッションフルーツを。それから男性は非常に幸せに火の前で眠りに就いた;しかし女性は起きて梳っていた。羊の肩の骨――大きくて分厚い肩甲骨――を持っていて素晴らしい印をそこに見た、そして薪を火にさらに焚べると魔法を使った。彼女は世界で最初の歌う魔法を使った。 湿った原生林の外で、全ての野生動物たちが火の明かりが遠く離れて見えるところに寄り集まりながら何を意味するのかと訝った。 それから野生の馬が野生の足で踏み付けると「おぉ、友と敵、なぜ男性と女性はあんな大きな火をあんな大きな洞窟で起こしたか、もはやどんな害が私たちに及ぼされようか?」といった。 野生の犬が野生の鼻を持ち上げて炙り焼きの羊の匂いを嗅ぐと「私が行って確かめてみよう、否全く;というのも良いことだと思うんだ。猫よ、一緒に来い」といった。 「んにゃ!」といった猫。「私は独りで歩く猫だし、全ての場所で同じなんだ。行かないよ」。 「ならば私たちは二度と友達になることはない」といった野生の犬、すると洞窟へ走り出した。しかし少し行ったとき、猫は「全ての場所で同じだ。なぜ私も行って確かめてみて自分の好みで立ち去ってはならないのか?」と自分にいった。なので野生の犬を追って静かに忍び出た、非常に静かに、そして何もかも聞き取れるところに身を隠した。 野生の犬が洞窟の口に着いたとき、干した馬の皮を己の鼻で持ち上げて炙り焼きの羊の美味しそうな匂いをふんふん嗅いだ、すると女性が例の肩甲骨を見ながら聞いて笑うと「最初の者が来たね。原生林から来た野生生物よ、何が欲しいかな?」といった。 野生の犬は「おぉ、敵と敵の妻、原生林にこんな良い匂いがするとは何事か?」といった。 それから女性は炙り焼きの羊の骨を摘み上げると野生の犬へ投げて「原生林から来た野生生物よ、味わってご覧」といった。野生の犬は骨をガリガリ齧った、するとそれは今まで味わったどんなものよりも美味しかった、そして「おぉ、敵と敵の妻、もう一つくれ」といった。 女性は「原生林から来た野生生物よ、男性が、日中、狩りをするのを手伝ってこの洞窟を夜には守りな、すれば必要なだけの炙り焼き骨をあげよう」といった。 「あぅ!」といった猫、聞き付けながら。「これは非常に賢い女性だが、私ほどに賢くはないな」。 野生の犬は洞窟の中に這って頭を女性の膝に置くと「おぉ、友と友の妻、男性が、日中、狩りをするのを手伝って夜には洞窟を守るぞ」といった。 「あぅ!」といった猫、聞き付けながら。「それは非常に間抜けな犬だ」。すると野生的な尻尾を振って単独で野生的に歩きながら湿った原生林を抜けて戻って行った。しかし誰にも話すことはなかった。 男性が起きたとき、「野生の犬がここで何をしているのか?」といった。すると女性は「彼の名前はもはや野生の犬ではなく、最初の友でしかないよ、私たちの友で永久に永く久しくいてくれるんだから。狩りに行くときに彼を連れて行きなよ」といった。 翌晩、女性は大きな緑の腕一杯の新鮮な草を湿地牧野から刈り取って火の前で乾かした、それによって刈り立ての馬草みたいな匂いがするのだった、さらに女性は洞窟の口に座って端綱を馬の革で編むと羊の肩の骨――大きくて幅広い肩甲骨――を見ながら魔法を使った。世界で二番目の歌う魔法を使った。 湿った原生林の外で全ての野生動物が野生の犬に何が起こったかと訝るとついに野生の馬は己の足で踏み付けて「私がいって確かめて野生の犬が戻らなかったわけを伝えよう。猫よ、一緒に来い」といった。 「んにゃ!」といった猫。「私は独りで歩く猫だし、全ての場所で同じだ。行かないよ」。しかしやはり彼は野生の馬を静かに追った、非常に静かに、そして何もかも聞き取れるところに身を隠した。 女性は野生の馬が躓いて長い鬣で蹌踉めくのを聞いたとき、笑って「二番目の者が来たね。原始林から来た野生生物よ、何が欲しいかな?」といった。 野生の馬は「おぉ、おぉ、敵と敵の妻、野生の犬はどこにいるのか?」といった。 女性は笑うと肩甲骨を摘み上げて見ながら「原生林からの野生生物よ、お前は野生の犬のためにここに来たのではなく、ただ美味しい草のためでしかなかった」といった。 すると野生の馬は躓いて長い鬣で蹌踉めきながら「それは真実だ;食べさせてくれよ」といった。 女性は「原生林からの野生生物よ、野生の頭を下げて私が与えるものを着ければ素晴らしい草を、一日三回、食べられるよ」といった。 「あぅ」といった猫、聞き付けながら「これは利口な女性だが、私ほどに利口ではないな」。 野生の馬が己の野生の頭を下げると女性は編んだ皮の端綱をするりとかけた、すると野生の馬は女性の足の上で呼吸しながら「おぉ、女主人で主人の妻、素晴らしい草のために貴方の召し使いになろう」といった。 「あぅ」といった猫、聞き付けながら「それは非常に間抜けな馬だ」。すると湿った原生林を抜けて戻って行った、野生的な尻尾を振って単独で野生的に歩きながら。しかし誰にも話すことはなかった。 男性と犬が狩りから帰って来たとき、男性は「野生の馬がここで何をしているのか?」といった。すると女性は「彼の名前はもはや野生の馬ではなく、最初の召し使いでしかないよ、私たちを永久に永く久しく場所から場所へ運んでくれるんだから。狩りに行くときに彼の背中に乗りなよ」といった。 翌日、野生の角が野生の木に引っかからないように野生の頭を高く上げながら野生の牛が洞窟までやって来ると猫は追って前と全く同じように身を隠した;すると何もかも前と全く同じように起こった;さらに猫は前と同じことをいったし、野生の牛が己の乳を素晴らしい草と引き換えに、毎日、女性に与えることを約束したときには野生的な尻尾を振って単独で野生的に歩きながら湿った原生林を抜けて戻って行った、前と全く同じように;しかし彼は誰にも話すことはなかった。そして男性と馬と犬が狩りから帰宅して前と同じ質問を行ったとき、女性は「彼女の名前はもはや野生の牛ではなく、良い食事を与える者でしかないよ。彼女は私たちに温かい白い牛乳を永久に永く久しく与えるし、貴方と最初の友と最初の召し使いが狩りに行っている間、私は彼女を世話するんだよ」といった。 翌日、猫は他のどんな野生生物が洞窟へ向かって行くかを確かめようと待ち構えたが、何者も湿った原生林の中で動かなかったので、猫はそこへ独りで歩いた;すると女性が牛の乳を搾るのを見て洞窟の火の明かりを見て温かい白い牛乳の匂いを嗅いだ。 猫は「おぉ、敵と敵の妻、野生の牛はどこへ行ったのか?」といった。 女性は笑って「原生林から来た野生生物よ、森へ又戻って行きな、というのも私は髪を纏め上げて魔法の肩甲骨を捨て去ったし、もはや私たちの洞窟に友か召し使いのどちらも必要ではないんだよ」といった。 猫は「私は友ではないし、召し使いではないよ。私は独りで歩く猫で、貴方の洞窟に加わりたい」といった。 女性は「ならばどうして最初の夜に最初の友と共に来なかったのか?」といった。 猫は非常に怒り出すと「野生の犬は私の話をしたのか?」といった。 そのとき、女性は笑って「お前は独りで歩く猫で、全ての場所で同じだ。友でも召し使いでもないね。お前は独りでそういった。立ち去って全ての場所で同じように独りで歩きな」といった。 そのとき、猫は残念な振りをして「洞窟に加わっては行けないのか? 暖かい火のそばに座っては行けないのか? 温かい白い牛乳を飲んでは行けないのか? 貴方は非常に賢くて非常に美しい。猫にさえも酷くするべきではないぞ」といった。 女性は「自分は賢いと分かるけれども美しいとは分からなかったな。なのでお前と取り引きしよう。もしも私がお前に誉め言葉を一つでもかければ洞窟に加わって良いよ」といった。 「するともしも二つの誉め言葉をかけられたら?」といった猫。 「決してないだろうけど」といった女性、「もしも私がお前に誉め言葉を二つかければ洞窟の火のそばに座って良いよ」。 「するともしも三つの誉め言葉をかけられたら?」といった猫。 「決してないだろうけど」といった女性、「もしも私がお前に誉め言葉を三つかければ温かい白い牛乳を永久に永く久しく、一日三回、飲んで良いよ」。 そのとき、猫は背中を弓形にして「さぁ、洞窟の口のカーテンと洞窟の奥の火と火の隣に置いた牛乳入れは敵と敵の妻がいったことを覚えておくんだぞ」といった。そして野生的な尻尾を振って単独で野生的に歩きながら湿った原生林を抜けて立ち去った。 その夜、男性と馬と犬が狩りから帰宅したとき、女性は彼らに猫と取り引きしたことについて話さなかった、なぜなら好まれないかも知れないと心配したからだ。 猫はどんどん遠く去って行くと、長い間、単独で野生的に湿った原生林に身を隠しては女性が彼のことを忘れ果てるまでだった。蝙蝠――小さな逆さまの――洞窟の内側にぶら下がる蝙蝠だけが猫の隠れ場所を知っていた;そして、毎晩、蝙蝠は飛んで何が起こっているかの知らせを猫へ届けた。 ある晩、蝙蝠は「洞窟に赤ちゃんがいる。生まれ立てでピンクて太って小さい、そして女性は彼を非常に愛好している」といった。 「あぅ」といった猫。聞き付けながら「しかし赤ちゃんは何を愛好するのか?」。 「彼は柔らかくて擽ったいものを愛好している」といった蝙蝠。「眠るときに腕に抱えて温かいものを愛好するんだ。彼は一緒に遊べることを愛好している。そうしたものを愛好するんた」。 「あぅ」といった猫、聞き付けながら「ならば時は来た」。 翌晩、猫は湿った原生林を抜けて歩くと午前中まで洞窟の非常に近くに隠れていると男性と犬と馬は狩りに行った。女性は、その朝、料理に忙しくて赤ちゃんが泣いて阻んでいた。なので彼女は彼を洞窟の外に運ぶと一掴みの小石を与えて遊ばせようとした。しかし、依然、赤ちゃんは泣いた。 そのとき、猫は肉球の足を出して赤ちゃんの頬を撫でた、するとくくと喜ばれた;さらに猫は相手の太った膝に擦り付くと尻尾で相手の太った顎の下を擽った。すると赤ちゃんは笑って女性は聞き付けながら微笑んだ。 そのとき、洞窟の口にぶら下がった蝙蝠――小さな逆さまの蝙蝠――は「おぉ、女将で亭主の妻で亭主の息子の母親、原生林からの野生生物が最も素晴らしくお主の赤ちゃんと遊んでいるぞ」といった。 「どんな野生生物であるとしてもお恵みを」といった女性、背筋を伸ばしながら「今朝は家事が忙しかったし、助けてくれたのだから」。 正しくその瞬間、諸賢、洞窟の口に尻尾を下げて伸ばされた干した馬の皮のカーテンが落ちた――〈シューッ!〉――なぜならそれは彼女がした猫との取り引きを思い出したからで、女性が摘み上げたとき――いやはや仰天!――猫は洞窟の内側に全く気持ち良く座っていた。 「おぉ、敵で敵の妻で敵の母親」といった猫、「それは私だ:お主は私に誉め言葉を一つかけたのだから、すると今や私は永久に永く久しく洞窟の中に座って良い。しかし、依然、私は独りで歩く猫だし、全ての場所で同じなんだ」。 女性は非常に怒った、そして己の唇を固く閉じて糸車を取り上げると回し始めた。 しかし猫が立ち去ってしまったために赤ちゃんは泣いた、もはや女性は静かにさせられなかった、というのも相手は足掻いては蹴って血相を変えたためだった。 「おぉ、敵で敵の妻で敵の母親」といった猫、「お主が回している撚り糸をぐるぐる巻きに結いて床で引っ張れば私は赤ちゃんを今泣いているのと同じくらい大きく笑わせる魔法を見せよう」。 「そうするよ」といった女性、「困り果てたから;しかしお前にそれで感謝しないよ」。 彼女は小さな土の紡錘車に糸を結いて床に交わして引いた、すると猫はその後を走って前足で撫でると真っ逆さまに転がって肩越しに後ろへぽいと投げると後ろ脚の間に追いながら見失った振りをして急に再び襲いかかっては赤ちゃんが泣いていたのと同じくらい大きく笑うまでだった、ついに猫の後を這い進んで遊び戯れては疲れて落ち着いて猫の腕の中で眠るまでだった。 「さぁ」といった猫、「赤ちゃんに、一時間、眠っておかせる歌を歌おう」。すると喉を鳴らし始めた、大きく低く、または低く大きく、赤ちゃんがぐっすりと眠りに落ちるまで。女性はその両方を見遣ると微笑んで「素晴らしくやったな。お前が非常に利口なことは否めない。おぉ、猫よ」。 正しくその瞬間、諸賢、洞窟の奥の火の煙が天井から大群で下りて来た――〈フワッ!〉――なぜならそれは彼女がした猫との取り引きを思い出したからで、それが晴れたとき――いやはや仰天!――猫は火のそばに全く気持ち良く座っていた。 「おぉ、敵で敵の妻で敵の母親」といった猫、「それは私だ:お主は私に誉め言葉を二つかけたのだから、すると今や私は永久に永く久しく洞窟の奥の暖かい火のそばに座って良い。しかし、依然、私は独りで歩く猫だし、全ての場所で同じなんだ」。 そのとき、女性は非常に非常に怒った、そして髪を下ろすと薪をもっと火に乗せて羊の肩の幅広い肩甲骨を持ち出すと猫に誉め言葉を三つかけなくするための魔法を使い始めた。それは歌う魔法ではなく、諸賢、静かな魔法だった;やがて静かになる余り、小さな小さな鼠が隅から這い出して床を走り渡った。 「おぉ、敵で敵の妻で敵の母親」といった猫、「あの小さい鼠はお主の魔法の一部かな?」。 「おぁぅ! チュー! 全く違う!」といった女性、すると肩甲骨を落として火の前の足載せ台に跳ぶと髪を非常に素早く纏め上げたが、鼠が走り上がらないようにするためだった。 「あぅ」といった猫、見守りながら「ならば鼠を食べても私に害はない?」。 「ない」といった女性、髪を纏め上げながら「素早く食べればずっとお前に感謝するよ」。 猫は一跳びで小さな鼠を捕まえた、すると女性は「百回、ありがとう。最初の友でさえも小さな鼠をお前がやったように捕まえるほどに素早くはなかった。お前は非常に賢いに違いない」といった。 正しくその瞬間、おぉ、諸賢、火のそばにあった牛乳入れは二つに割れた――〈フフフッ〉――なぜならそれは彼女がした猫との取り引きを思い出したからで、女性が足載せ台から跳び降りたとき――いやはや仰天!――猫は破片の一つにあった温かい白い牛乳を舌で掬って飲んでいた。 「おぉ、敵で敵の妻で敵の母親」といった猫、「それは私だ:お主は私に誉め言葉を三つかけたのだから、すると今や私は温かい白い牛乳を永久に永く久しく、一日三回、飲んで良い。しかし、依然、私は独りで歩く猫だし、全ての場所で同じなんだ」。 そのとき、女性は笑って猫に温かい白い牛乳の器を置くと「おぉ、猫、お前は人間と同じくらい利口だが、男性や犬と取り引きしなかったと覚えておきな、もはや彼らが帰宅したらどうするかは分からないよ」といった。 「それが私にとって何なのか?」といった猫。「火のそばの洞窟の居場所と一日三回の温かい白い牛乳を持つならば男性や犬が何をしようと構わない」。 その晩、男性と犬が洞窟に入って来たとき、猫が火のそばに座って微笑んだ一方で、女性は彼らに取り引きについて全て話した。それから男性は「分かったが、彼は私や私以降の全ての真っ当な男性と取り引きしなかった」といった。それから二つの皮のブーツを脱ぐと(三つになる)小さな石斧を取り上げて木片と(全部で五つになる)手斧を持って来た、そしてそれらを一列に並べて「さぁ、取り引きしよう。もしもお前が永久に永く久しく洞窟の中にいるときに鼠を捕まえなければ私はお前を見たときにいつでもそれら五つのものをお前に投げ付けるし、私以降の全ての真っ当な男性もそうすることになる」といった。 「あぅ」といった女性、聞き付けながら「これは非常に利口な猫だけど、男性に及ぶことはないな」。 猫は五つのもの(よもやそれらは非常に節榑立って見えた)を数えると「永久に永く久しく洞窟の中にいるときに鼠を捕まえよう;しかし、〈依然〉、私は独りで歩く猫だし、全ての場所で同じなんだ」といった。 「私が近くにいるときは違う」といった男性。「お前がそれを最後にいわなかったら私はそれらのものを、全部、永久に永く久しく片付けただろう;しかしお前と会うときはいつでももはや二つのブーツと(三つになる)小さな石斧をお前に投げ付けるつもりだ。そして私以降の全ての真っ当な男性もそうすることになる!」。 そのとき、犬は「待ってくれ。彼は〈私〉や私以降の全ての真っ当な犬と取り引きしなかった」といった。そして歯を見せると「もしも永久に永く久しく私が洞窟の中にいる間にお主が赤ちゃんに優しくしなければ私はお主を狩って捕まえるまでだし、捕まえれば噛むんだ。そして私以降の全ての真っ当な犬もそうすることになる!」といった。 「あぅ」といった女性、聞き付けながら「これは非常に利口な猫だけど、犬に及ぶことはないな」。 猫は犬の歯(よもやそれらは非常に尖って見えた)を数えると「永久に永く久しく、尻尾が強く引っ張られ過ぎないかぎり、洞窟の中にいる間に赤ちゃんに優しくしよう。しかし、〈依然〉、私は独りで歩く猫だし、全ての場所で同じなんだ」といった。 「私が近くにいるときは違う」といった犬。「もしもお主がそれを最後にいわなかったら私は口を永久に永く久しく閉ざしただろう;しかしもはやお前と会うときはいつでもお前を木に狩り上げるつもりだ。そして私以降の全ての真っ当な犬もそうすることになる!」。 そのとき、男性は己の二つのブーツと(三つになる)小さな石斧を猫へ投げ付けた、すると猫は洞窟から走り出て犬が木に追い上げた;そしてその日からこれまで、諸賢、五人中三人の真っ当な男性は猫と会うといつもものを投げ付けるし、全ての真っ当な犬は猫を木に追い上げるのだ。しかし猫は取り引きの方も守っている。鼠を殺して、丁度、その尻尾が強く引っ張られ過ぎないかぎり、家の中にいるときに赤ちゃんに優しくするのだ。しかしそうしてしまったら、つまり合間で、もはや月が上がって夜が訪れれば独りで歩く猫になるし、全ての場所で同じなのだ。そのとき、野生的な尻尾を振って単独で野生的に歩きながら湿った原生林へ出て行くか湿った野生の木や湿った野生の山を上って行く。 Illustration to The Cat that Walked by Himself by Kipling, Rudyard, Gleeson, Joseph M. (Joseph Michael), or Bransom, Paul, 1885- (ill.) / Public domain これは独りで歩いた猫の絵で、湿った原生林を単独で野生的に歩いては野生的な尻尾を振っている。絵には幾つかの茸を除いて何もない。森が余りに湿ったからそこに生えることになった。低い枝のゴツコツしたものは鳥ではない。原生林が余りに湿ったからそこに生えた苔だ。 本当に絵の下は赤ちゃんが現れた後に男性と女性が移った気持ち良い洞窟の絵だ。彼らの夏の洞窟で、小麦を前のところに植えていた。男性は牛を見付けて乳搾りへ持ち帰ろうと馬に乗っている。犬、川の対岸へ泳いで渡ったが、兎を見ていたものを呼ぼうと手を上げている。 猫は火のそばに座って歌える、 猫が木を登れたり、 古ぼけたコルクと糸で遊んで 面白がる、私ではない。 しかし犬のビンキーは好きだよ、なぜなら 行儀良くするすべを知っているから; だから最初の友も同然だったビンキー つまり私は洞窟の男性なのだ。 猫はフライデー君を演じるのだ 己の前足が濡れる時間まで そして窓敷居に歩いて行くのだ (クルーソーが見た足跡のため); そのとき、己の尻尾をふわ付かせてニャー、 さらに引っ掻いて仕えないのだ。 しかしビンキーは私の望むことを何でも遊ぶ つまり私の真実の最初の友なのだ。 猫は私の膝に己の頭を擦り付けて 私を強く愛する振りをするのだ; しかし私が眠りに就く正にその時 猫は庭に走り出して、 そこに朝焼けまで留まる; だから只の振りだと分かるのさ; しかしビンキーは、一晩中、私の足で鼾をかく、 つまり私の一番最初の友なのだ! 参考サイトThe Cat that Walked by Himself 英語の小説の日本語訳 コメント 新しい投稿 前の投稿
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