日本の同調圧力の社会学的な考察 結城永人 - 2023年4月8日 (土) 大分前から日本人は他人の目を気にして生きていて皆同じでなければ行けない考えを持っているといわれていた。 村社会と村八分の現代の日本人への大きな影響 富良野にある山の麓の田舎町 by クマキチ 現代の日本人が皆同じでなければ行けない考えを持つのは江戸時代から始まったらしい村社会という古い因習の名残かも知れない。 人々が居住地域の有力者を中心に団結して余所者を排除しながら生活圏を確保していたけど、とにかく決められた村の仕来りに背くと村八分という仲間外れにされて生き難くさせられるために自分一人が違ったことをするのを恐れるようになった。 明治時代以降の法治国家では私刑に匹敵する違法性の高いものだし、表立って誰かに村八分のような制裁を加えたりすることは減ったにせよ、そうした風潮は人々から完全に消え去っていないように日本のあちこちで見受けられる状況なんだ。 仲間外れという悲劇は世界のどこにでもあると思うけど、しかし日本はいじめでも虐待でもハラスメントでも自殺者を多く出すなどの世界に類例がない陰惨な事態を招いているのはなぜか。村社会と村八分の気に入らない者を黙って死へ導いて行く風潮がたとえ明らかな時代錯誤だとしても人々に大きな影響を未だに与えているせいだと感じるんだ。 同調圧力に支配された日本社会の恐ろしい実像 隅っこで自粛する女性 by つるたま 昨今では皆同じでなければ行けない考えは同調圧力といわれていて社会全体が「空気」と呼ばれるほどの見えない有力者の意向(強制力)に沿って動くような形にもなっている。 いつまで江戸時代止まりの人間性を保っているのか。現代の法治国家の現実と矛盾しながら村社会と村八分の風潮が存在するのは愚かしいかぎりだけど、ただしやっている本人は自分が古い人間と気付いてなくて良いと思ったことをやりながら満足しているだけだといえる。およそ当たり前のことをやって何が悪いのかとか正義に生きる英雄の邪魔をするななんて気分だろう。頭の中で善に自己完結してしまって今の民主的に得られた生活圏での独り決めの過ちに気付く余地はない。 数年前のコロナウイルスの対策について非常に前景化していて社会問題としても浮上した。 過激な『自粛警察』店への張り紙や落書き...なぜそこまでやるのか?専門家に聞く【マスク着用】“揺れる思い” つけたくないけど… 持ち歩くワケ「打たないと働けない」相次ぐ“ワクチンハラスメント”訴える相談 自粛やマスクやワクチンをやっているかどうかで、好き嫌いが分かれてしまう。かつて村八分で仕来りにそぐわない村人が締め出されたように自粛しなかったり、マスクを着けなかったり、ワクチンを打たなかったことで、居住地域から排除されることまではないにせよ、学校や会社や家庭などの個々の状況で災難が降りかかるように仕向けられて行く。 疫病という異常事態だから海外でも同じような結果にはなっているけれども日本では長過ぎる。それこそ異常事態と呼べるくらい自粛やマスクやワクチンの有効性を延々と神のように崇める姿勢は日本だけかも知れない。 僕は自粛もマスクもワクチンもしない。コロナウイルスはエアロゾル感染の疫病だから注意を要するし、偶々、一人でいることが多いという生活状況だからどちらも敢えてしなくて済んだ。 もしも大勢の人と会うことが多かったら自粛やマスクやワクチンをやらずに皆から責められることをコロナウイルスに感染するかそれ以上の不幸として恐ろしくも悩まされたかも知れない。 いつから同調圧力が日本社会を支配し始めたか 皇居の外濠に映り込むビル群の夜景 by カズキヒロ 僕が同調圧力という言葉を聞くようになったのはテレビで数年前からだったと思うけど、しかし社会全体を皆同じへ巻き込むそうした現象自体はもっと前の昭和天皇の崩御のときが記憶に新しい。やはりテレビで国民総自粛と良くいわれていた、コロナウイルスで人々が自粛すると良く聞いてその度に思い出されるくらい昭和天皇の崩御のときの印象が強烈だったんだ。 少年期で何とも思わないというか、直接、酷い目に遭わされもしなかったので、皆が同じことをやっているだけだと見ていたけど、しかし後から必ずしも良いことではなかったと気付かされたのが浅田彰(社会学者)の、所謂、土人発言だった。 連日ニュースで皇居前で土下座する連中を見せられて、自分はなんという「土人」の国にいるんだろうと思ってゾッとするばかりです。 浅田彰/昭和の終焉に|文學界 浅田彰は柄谷行人(批評家)との対談で、北一輝(北輝次郎:思想家)が右翼の天皇観を批判して『國体論』の天皇は土人部落の土偶にして日本現代の天皇にあらず(国体論及び純正社会主義)の言葉を借りたらしい。 後年、振り返って浅田彰は雑誌の編集で他人の言葉を借りたことが分かり難くなったけれども私自身の言葉ととられてもまったくかまわないことは改めて確認しておこう(昭和の終わり、平成の終わり)といっているので、当時の日本人を「土人」という未開の民族みたいな文明化されない存在と考えていたのは間違いないし、知性的にか人間的にか見下していたわけだった。 昭和天皇の場合は第二次世界大戦の日本の敗戦で初めて神格化が解かれた天皇だからそれ以前の現人神としての現実を良く知る、いい換えれば時空を分け合った日本人にとっては亡くなって「皇居前で土下座する」のも已むを得ない部分もあるということを考えると相当に厳しい見方ではある。 しかし国民総自粛と皆同じなのはおかしいわけで、少なくとも戦後生まれで天皇が人として誰とでも同じ立場だと十分に分かる日本人は日常生活で特別視するのも大概にするべきだと思う。 浅田彰は昭和天皇の崩御の後でもそういうムードを生み出す土壌はそのまま残るだろう(各界著名人285人が体験した20世紀衝撃の一日)といっていて数年前のコロナ対策の自粛や今でも多少は残ってそうなマスクとワクチンの推奨に触れて皆同じでなくては行けない考えの同調圧力がさらに悪化していることを認める。 日本の不景気が同調圧力を危険なものへ変える 月末お金がなくて困った by 副業ガイド 天皇を現人神として崇めないわけには行かない戦前生まれの人たちは年々と亡くなって減っているけれども同調圧力は衰える気配を見せない。 浅田彰がいう「土壌」は専ら天皇の問題として特権階級みたいな人がいるのは民主主義の世の中でおかしいという矛盾に帰着すると考えられる。 天皇がいるかぎり、その前で皆同じでなければ行けない考えが出て来るのは全ての日本人において自然だろうし、同調圧力が日本ならではのものとして社会全体を包み込むような仕方で、支配するのは天皇の存在が一つの前提条件になっている可能性が高い。 そして実際に人々を殺気立たせるのは村社会と村八分の現代でも変わらない「空気」という気持ちが作用している結果ではないか。 元来、生活圏を確保するために求められるものなので、一番、大きいのはやはり不景気が何十年も続いて回復する見込みすらもない現実が挙げられる。 景気が悪いと生存競争が激化して同調圧力も増して来ると思う。ちょっとしたことで、他人を追い出したくなる。すると生存競争がそれだけ楽になるわけだ。至る所で追い出され易くなるということは逆にいうと生活圏を確保するための攻撃力が増している。 どうすれば同調圧力の被害を防げるだろうか 美ヶ原の夜明けの雲海 by 前田3号 日本の同調圧力は天皇制に基づいて日本人の村社会の風潮から起こって取り分け景気によって危険性が増減すると考えられる。 他人からやられる場合、皆と違うから完全に間違っていると盲信的に責められるので、精神的にも身体的にも被害を防ぐにはなるべく近寄らないように注意したい。近寄って狙われたら相手は独善の塊だから直ちに止められるものではないと判断して争うにしても被害を最小限に食い止める工夫が必要だろう。 場合によって嫌でも受け入れてその場を凌ぐべきかも知れないけど、ただしコロナワクチンなんかいわれる通りに打って死んだり、酷い障害を残すこともあるから本当に用心するには越さない。 できるかぎり、争いを避けるように努めるにせよ、どんなときもそうするのが最善策ともいえないし、不幸を招くとすれば断乎として打ち倒さなくてはならない。 日本の同調圧力を社会的に改善して行くには天皇制を廃止するのが根本的な解決に繋がるだろうけど、しかし国家的な問題として人々がそれぞれに良く考えて判断するべきだ。 僕は天皇制は民主制と相反するから廃止した方が良いと思うけれども今の状況では日本人のお手本みたいな感じ――天皇自身は最も良く知られた善人の鑑ではないか――だからかりに廃止すると日本人の精神的な荒廃が進んで社会全体が一層と悪化してしまうことも憂慮しないわけには行かない。 天皇がいても景気が良ければ人々は必死に生活圏を確保しなくて良くなって個人を尊重する気運も高まり易くて攻撃性を下げることができると思う。 もう一つ重要なのは知ることだ。同調圧力とは何かが分からないと皆同じでなければ行けないという風潮を古いと感じることもできないまま、やってしまうかも知れない。分かっておかしいと気付くと警戒することもできるし、今現にやらない人がいるように同調圧力を知って他人を無闇に傷付けるから良くないと止める人が増えると天皇制も不景気も関係なしに終らせられるだろう。 知性は人それぞれに異なるし、知ることが社会を変える可能性は必ずしも高くないにせよ、自分一人でも悪いことをせずに生きられれば社会が少しだけ良くなるのは確実で、個人的な喜びにもなる。 コメント 新しい投稿 前の投稿
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