芦田愛菜の詩に満ちた毎日の素敵な心がけ 結城永人 - 2023年5月25日 (木) 俳優の芦田愛菜と棋士の藤井聡太との対談を見付けた。それぞれ、十八歳と二十歳で、今、日本で最も注目される男女の若者の代表だと思うし、非常に興味深い対談だ。 芦田愛菜、藤井聡太と虫苦手で意気投合!? サントリー緑茶「伊右衛門」のWEB動画『伊右衛門 新成人茶会』 藤井聡太についてはブログで強さを実感したことやなぜ強いのかを取り上げたけれども芦田愛菜も子役で注目された後に成長してもっと注目されるのが珍しいとびっくりしていた。 大抵、子役のイメージで見られるのを越えられないと思うんだけれども芦田愛菜は数年前の中学生くらいから久し振りに出て来て例外的に大ブレイクしている。 今年の子どもに目指してほしい理想の大人・就いてほしい職業ランキング2023では僕も賛嘆する野球の世界的なスターの大谷翔平やイチローを抑えて一位になるという大変な人気振りを一人の人間として示していることも分かった。 芦田愛菜|しゃべくり007 新春4時間半スペシャル!|日本テレビ 個人的に中学の部活でマンドリンを弾くという話が、一番、面白いと思って記憶に残った。そんな人気のない楽器を良く選んだ(人々から見放された存在に目を向けられる抜群に優れた性格の持ち主みたいだ)と驚いたし、咄嗟にヨハネス・フェルメールの光り輝く絵のリュートを調弦する女か美人ギタリストの村治佳織の若い頃のイメージが浮かぶという不思議な錯覚を受けた。むろん別嬪と弦楽器ならば全て同じではなく、芦田愛菜とマンドリンの組み合わせには素晴らしく心を引き付けるものが意外にもあった。 芦田愛菜の魅力とは何かと考えさせられるけれども今回の藤井聡太との対談で、その端緒を詩に満ちた毎日の素敵な心がけから明らかに知ることができたんだ。 芦田愛菜の詩の言葉に基づいた十八歳の日課 藤井聡太――毎日、欠かさずにやっていることは何かありますか。 芦田愛菜――これは、何か、毎日、空を見上げようと思っていて。 藤井聡太――はい。 芦田愛菜――できる日はなるべく。何か、こう、『最初の質問』っていう詩の中に「今日あなたは空を見上げたしたか」っていう一文があって。 藤井聡太――はい。 芦田愛菜――それを学校の授業で、習ったときに凄く印象的で、心に残って。 藤井聡太――はい。 芦田愛菜――あぁ、何か、空、見上げてないな、最近って思ったので。 藤井聡太――はい。 芦田愛菜――何か、それ以来、ちょっと心がけるようにしてます。 藤井聡太――あぁ、じゃ、それはもう、可成、ずっと続けられているんですか。 芦田愛菜――そうですね。結構、もう何年もやってやるように心がけてます。 藤井聡太――なるほど。自分も空を見るようにします。 芦田愛菜――はい。 藤井聡太と芦田愛菜/芦田愛菜、藤井聡太と虫苦手で意気投合!? サントリー緑茶「伊右衛門」のWEB動画『伊右衛門 新成人茶会』|oricon 芦田愛菜は勉強家というか、色んなことに知的な好奇心を向ける人という印象だったけど、しかし詩を読むという話は初めて聞いた。僕が詩人なので、それだけでも嬉しい気持ちがする。もちろん良い読み方をしていると思うし、自分をしっかり持つことに活かしているわけだけど、しかし何よりもユニークなのは詩の言葉を実行しているというところだ。読むだけで終わらない。あるいは良く分からないからやって確かめてもっと理解したいという気持ちもなくはないのかも知れない。 長田弘の最初の質問の一行目は何を意味するのか 芦田愛菜が気に入った詩は長田弘の最初の質問だった。初めて知って調べたら中学三年の教科書に採用されることがあって画家のいせひでこの絵が付いた絵本として出版されている。いわれた「今日あなたは空を見上げましたか」は一行目に当たる。 今日あなたは空を見上げましたか。 空は遠かったですか、近かったですか。 雲はどんな形をしていましたか。 風はどんなにおいがしましたか。 あなたにとって、いい一日とはどんな一日ですか。 「ありがとう」という言葉を今日口にしましたか。 長田弘の最初の質問 詩の言葉を考えると一行目は辛いことがなければ空を見上げなくて済むよねという意味になりそうだ。つまり長田弘は空を見上げることを心の祈りとして捉えているのではないか。断定するのは、結構、難しいし、僕も芦田愛菜の話から彼の名前も詩も知ったばかりで、言葉遣いがどのような思考から来ているかを踏まえないと詩の解釈は外さないともかぎらない。しかし冒頭部分だけ見ても矛盾はないと思う。纏めの「『ありがとう』という言葉を今日口にしましたか」は感謝するべき幸せの在り処を巡っての問いかけと捉えられる。なので一行目の見上げる空への思いはもはや心の祈りとして受け留める以外にないというか、きっともっと良い読み方は他にないに違いないだろう。 面白いのは言葉が普通とは逆の意味になっている 空を見上げるというと芦田愛菜もそう思っているように良いことがあるためなんだ。 昔話で雨が降らなくて作物が育たなくて皆が死なざるを得ないから天の神様に何とかして欲しいと祈りを捧げるために空を見上げる場面がある。または雨乞いの儀式が日本を含む幾つかの古代文明で良く行われていたと聞く。たぶんそうした気持ちは今でも変わらない。色んな人が色んなところで、空を見上げながら天の神様に祈りを捧げていると思う。空を見上げることが良いことでなければやらないだろうし、お恵みとも呼べる幸せを齎すからこそ求めずいないと考えられる。 ところが長田弘の「今日あなたは空を見上げましたか」は空を見上げないことが幸せだと感じさせる。 空を見上げるのはむしろ天の神様に向かって泣き叫ばなくては行けないから可哀想だという見方を示している。いい換えると人々は悲しみの中にあって空を見上げるほどにどうにもならない生活があることは不幸だと歌っているに等しいわけだ。 芦田愛菜の素敵な心がけは未来を明るませる 芦田愛菜/芦田愛菜、藤井聡太と虫苦手で意気投合!? サントリー緑茶「伊右衛門」のWEB動画『伊右衛門 新成人茶会』|oricon 芦田愛菜がどんな思いで、長田弘の最初の質問を読んで、空を見上げる気持ちになったのかは質問の短い返答では分からないけど、ただし心の祈りを表現した本当に良い詩なので、たとえ理解できなくても死にそうな悲しみと救われる喜びから世界への慈しみ――果てしなく愛しさに及ぶ――は伝わるだろうから覚えたのは幸せだろう。 中学の教科書に載っている作品で、確かに子供の人間形成に役立つにせよ、芦田愛菜が自分で同じようにするくらい気に入ることは感性が優れている証拠で、殆どの生徒にはどうでも良い話というか、良くも悪くも心に残るほどの魅力は感じないと感じる。 藤井聡太との対談の印象では空を見上げる思いは普段の悩みや苦しみから自分を持ち直すみたいな意味合いが強いかも知れない。 子供時代からチヤホヤされて天狗にならないだけでも相当な精神力が必要だと推測される。それを上手く潜り抜けたような昨今でも、又、世間の注目を大きく浴びることになっている。色んな人から色んな目で見られるわけで、しかもSNSであーでもないこーでもないといわれて耐え切れず、自殺する芸能人なんか新しく増えて来た時代の中での大変さは一般人には想像し難い。 心の祈りに触れる生活があるのは正に感涙の極みだ 僕は泣けて来たけど、とにかく芦田愛菜の毎日の空を見上げるという心がけは一つの詩の言葉を通じて心の祈りに触れる生活だから本当に素敵だと感じる。 長田弘の「今日あなたは空を見上げましたか」は慈しみから捉えると普通の意味に戻って来るし、作中の「『ありがとう』という言葉を今日口にしましたか」もどんなに可哀想でも命には恵まれているでしょという意味で、そこまで行けると極上の今時分かも知れない。 自分を含めて世界に溢れ返る悲しみと共に生きるだけの強い精神力を持つと気持ちが相当に楽になる。 心の祈りは子供ならば自分を持ち直すだけで十分だし、世界の悲しみへも想像するだけで流石だと認めるとはいえ、もしも可能ならばしっかり掴んで不幸に立ち向かう勇気や地獄を押し退ける力量やや凶悪を振り払う知恵を持つように成長すると良いと思う。 芦田愛菜は長田弘の最初の質問の「今日あなたは空を見上げましたか」に触発されたことで未来が明るむのは確実だし、今後の活躍への期待感が世界中の誰よりも大きく膨らむのを感じずにいられない。 参考サイト芦田愛菜の言葉に、藤井聡太も感心「さすがです」 対談動画が公開 サントリー緑茶「伊右衛門」 コメント 新しい投稿 前の投稿
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