醤油で素晴らしく味わわれたハムエッグ
ハムエッグを食べた、好みの醤油で。いわなくて良いことをいうためには心の刺を抜かなくてはならない。醤油でハムエッグを食べながら考えてしまうのは痛がる君に痛がる僕が心の刺をどうやって抜き去るかばかりだった。切り返せば容易い、君のいって良いことこそいわなくて良かったろうと。しかしそれでは裏返しの「余りにも惨過ぎる」で、ハムエッグが不味くなる、醤油も僕は好きなのに。切子細工の青いコップからは痛がらない君が思われないかぎり、僕が痛がらずにいられるすべはいわなくて良いことだけをいうことだった。いって良いことにすることでハムエッグは醤油で素晴らしく味わわれた。君も痛くない。