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些細な日常

風のシエスタの第二部|詩集

狸も棲む里の訪れへ

小屋がある
一軒の小屋が
材木で造られた
一階建ての堅固な
山小屋だ

ぽつねんと
山の木立ちに囲まれて
存在感を示していた
辺りでは流れる小川の音も
騒めきながら

風流だった
水を汲んでみると
冷たくて気持ち良い

陽射しは高く
仄霞む稜線も向こうの空に
気持ち良く浮かび上がり
揺れているのだ

戸口が開くや
出て来たのはエゴなんだと
かくも揺らめくみたいに
物珍しい様子で
通りすがりに話し込み
別荘で暮らすなんて
聞かされた
他にも
欲望の代名詞とか

エゴは下り坂を伺い
湿地帯で行き倒れると
もぞもぞ
俯せの状態のまま
匂いを嗅いでいたのだった
趣味として

傍観せざるを得ず
試しに行わないならば
あるいは趣味でなくとも
内心で渋らないのだろうか
訝しがられてしまう

生えた蕨は
数本の蕨だった
渋みを兼ね備えて伸びる
堅苦しくなく

とこととこのん

暗闇がある
一筋の光も消えて
生活は良くならないと
気持ちを断った

数多な音も轟かず
喜べなさへ仕向けられ
想像を絶するや

天に召された
人たちを偲んでいたんだ
仲間がいなくて
本物の味方もいない
同類もいなくなり
永訣せざるを得ないかぎり

精霊ならば降臨しよう

土煙を上げながら
欠片の完全性もない辺境で

意向はない
失われた世の全貌を
如何に引き戻せるのか
乾き切ってしまい
草木も生えず

忍丸武勇伝

逃げ隠れを行うべく
背中に刀を差し
頬被りをして
ドロンと煙で巻きながら
撒き菱も放てば
誰が追って来られようか
水上も走る
潜るのも術中だ
何かに迫られるや
鉤爪のロープを投げ遣った
登り捲り
長らくバテないで
野道を駆けた
行き止まりの断崖も
まるでムササビのように
降りてしまう

公表できない
極秘の責務を帯びて
流れ去る

元々は機密を任された
将軍も倒され
一味が没落した今日では
忠信の役目もなく
ただ人情だけが残る
懐の手裏剣を
血塗れにした経歴こそ
戦乱の世の中の勲章なのか
吹き矢も毒も
用事がなくなった

改めて重責が
担われているのだ
殺し合うな
慢心するよりも

忌々しさへ
落とし穴を掘ったり
網を貼ったりもしていた
謀略の数々は無益だったと
内省せざるを得ない
思いの丈が伝わるのか
届くのかどうか
断腸に代えて
書を認めた
傲っては生き延びない
遺憾でなければ
露骨だろう
僻んでは明かせないにしろ
サッサと踏み切るのも
動じたくない

風のシエスタ

考え通りではなかった
気不味さを吹き飛ばし
接触できる瞬間がある

たとえ予感だとしても
生まれ立てではないか

なんて快適なのだろう

焼いた卵を掻き混ぜて
パンに挟んだランチで
かくも心一杯みたいな

容認したくない事柄は
かつて染み付きながら
思い返せば凝り固まり
息も絶え絶えだったが

なんて充足なのだろう

ラベンダーが咲き捲る
土地へ広がった場面に
静かな感動を覚えるや

生きて来て良かったと
捉えられずにはいない

社会学

種々とあるにせよ
祈りが通じなくては
不可能ではなかったか

僕一人では考え得ず
良くも持ち直していた
生き延びるに越さないで

きっと心当たりの
本源は神明なんだろう
無作為でもなければ

強いて否定したくない
懐疑するべきではないんだ
非難してはならなかった

金銭や物資や体裁が
反対になってしまって
滅却せざるを得なくなり

歴史的に仕方もなくて
仕様もない状態とはいえ
なぜか健在していた

弾ければ弾けるほどに
恵みそのものだろう
想定外だったんだ

Mr.ジョイ

もしも母国語が
役立たなくなったならば
身代わりになるだろう

非常識な世の中で

Mr.ジョイは絶叫する

既製概念を聞かせない声だ
固定観念を見させない姿だ

なんて気張りなのか

たとえ人間性を
廃棄せざるを得なくとも
歯止めをかけるように

Mr.ジョイが苦吟した

声にはならない応援なんだ
姿にはならない援助なんだ

なんて世の中なのか

もはや全地球は
棲んでいられないにしろ
頭打ちではなくさせて

行うべき卑屈そのものへと
行うべき屈辱そのものへと

Mr.ジョイは卓越した

気張りも非常識な

なんて動き方なのか

世の中で気張りだ

日頃の力量に詠嘆

海原へ出て
ハマチを釣り上げた

趣味がないという
趣味があるとして
趣味はなくもない

道場に行く
ボクシングを行った

衝動もあるとして
衝動はしていない
衝動がないという

おおおおお
あああ

うう
いいいい

興じていた
エクストリームな趣味を
掴んでもみないか
笑い転がるな

衝動も
なんてトリメンダスなのか
即かないながら
憂うのだった
呑むや否や

へぇぇぇ
ひぃ
ほぉぉ
ふぅぅぅぅぅ
はぁぁぁぁ

臨む更地で
思い立ったルールだ

言葉もなくはない
言葉があるという
言葉のなさとして

うう
あああ
いいいいい

おおおお

リアルガッツ

僕を愛して
仕えている人がいた
異性だ
身内でもなく
恋心を抱いているまま

知らないで
出向いてもいない君だ

現れたいと感じれど
行わず
抑制していた

君にとって
認め合うべき
人こそ

気付かせやしなかった
要因は分からないで

考えてみれば
主張している僕かも
未来形だと

正直に
動かされてはならない
勘違いするな
示さなかったにせよ
好意を持つ

Jするにせよ

甘酸っぱい
思い出がある
まるで恋のような
気がしていたと

胸キュン
腹ボーン
尻ヤンヤ

落ちる星へ
仲良さを掲げては
遊び回り
好きだったけど
愛しんだのに

いつか交えた瞳よりも
どこか据えた腰よりも

遊び回り
まるで恋のような
仲良さを掲げては
甘酸っぱい
好きだったけど

遠く重く熱く

気がしていたと
思い出がある
愛しんだのに
落ちる星へ

脳ビビビ

可愛さは
容貌も内面も
人間として

魅力的だった

此処で会い
今も認める

紅葉が映えた古都の
オウムをペットにした
羨望ではないと
いって良い

魅力的なんだ

百年は案じ
末ぞ計ない
恋情かしら

魅力的なので

天降るスピカよりも
執念ではあれど

よもやだろう
振り返りそうな
童心ならば
過らずに

そのうち基づくさ

僕は教えてない
気持ちを曲げろとか
人生を狂わせろなんて

正しさを命じていた
世間に振り回されるな
考えて行動しろ
強制されてはならないんだ
魂を偽るな

喜ばれた君が
道を開けなかったとは
苦痛そのもので
耐えられなくなる

表面的に真似するな
模倣するのも頭を使えよ

僕は決裂しないまま
擁護するにしろ
反逆性を笑わないかぎり
苛めなどもしたりしないで
愛されない君がいると

懺悔すれば吝嗇だったかも
是認させられなかった
与えてなかったんだ
条理がありながら

ならばオーロラを訪ねよう

勤勉しても
満足できる状態ではない
確立された精神の
主体が成果を否認している

飲めるのは
キウイのジュースで
食べられるのが
ラムのステーキだ

ただ感じただけにしろ

言表が及び付かず
心は痺れ切って
嬉しさもありながら

ところでただし
浪費せざるを得なかった
身も入らない生活と
日課を消化すれど
盛り上がらないようだ
まるで少しも
気分が高揚しなくなっては
現実かしら

観てみたいと思う
リュックサックを背負い
通低するので

または実際に
知解されてなかったかぎり
怪しむべき内面性も
先取的だったと
直観されなくはなくなる

カメリアの咲き方だ
一辺倒に暗かった

穴場

たぶんだろうならば
マーマレードだった
硝子の小瓶へ詰まる

一枚の便箋を繙いた
ならばきっとだろう

ポットに湯が沸いて
だろうならばたぶん
吉報ではなかったか
待ち遠しい気持ちで
アールグレイなんだ

きっとだろうならば

降り注いだ陽射しも
部屋を明るく彩った
ならばたぶんだろう
ハイキングが合うと
まるで誘引のような
受け取り方をするや

グライダーは飛んだ
ビスケットも焼けて
だろうならばきっと
素晴らしい世の中だ

祈り捲れば

僕は信心を保つ

つまり正論を変えてまで
捧げたくはなかった

だから神様へ通じないと
行うべきでもなくて

そして唱うつもりだった
一切が悲劇ではない

考えないのか
親睦こそ
有しながら

君に賭した想いが最良だ
断じて放逐させるな

つまりだからそして

強いて敢えて決して

仲違いにもならなかった
曲げてみるとしても
生活と真実を繋ぎ合う
直観力は妥当だ

ディンディンディン

根刮ぎにされた
内面を匂わすならば
パプアニューギニアへ
行って来た帰りにしようか
詰め襟の衣装を着て
烏龍茶をじっくり沸かす
まるで仙洞のような
余裕があるかぎり

旅客機を降りて
カヌーで渡った
亜熱帯の花の香があるんだ
如何に遺恨を背負うか
物心が付いた幼稚園以来
命を大切に
呑み込めなかったこそ
重大で――

モンゴルへは立ち寄らず
神経に任せて捉えた
気持ち良い草原の空間性を
居眠りと匹敵しない
日本語で伝え届けるには
体力が求められる
相撲だと相撲も
塩で清める国柄ではなくて
綿密なアイデアは
及び付かない情感なので
黙らざるを得ない

つまりだから
吟味していたのは真だった
水墨画と似た風景がある
中国の山林で
観光がてら入り込みながら
発祥された起源を
随分と手にしたのだった
風景がなければ中国に
水墨画はあり得ないのやも
烟る山林も写されないで

だから
好きにしたくないんだ
好きにするべきではない
好きにしてはならなかった
つまり
依拠する命で終結される
長期間の遺恨も
思索でなくはないと

訪れている事前の
ジャングルも憧憬は深い
根強く引き付けられた
かくも恋人みたいに
ニューカレドニアだった
恐らく招待されて
たぶんワープできない
咲き乱れる状態へ解るのが
所在地ではなかった

  • ブログの投稿者: 結城永人
  • タイトル: 風のシエスタの第二部|詩集
  • 最終更新: 

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