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些細な日常

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柄谷行人のバーグルエン哲学・文化賞の受賞から振り返る思想

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日本の批評家の 柄谷行人 が2022年のバーグルエン哲学・文化賞を受賞していたと知って感慨深い思いに駆られた。 柄谷行人の本を無性に読み捲っていた思い出 Kojin Karatani| Berggruen Institute 僕が十代後半から二十代前半まで最も多く読んだ本というと柄谷行人の文芸批評やエッセイだった。好きとか面白いなんて全く感じないくらい無性に引き付けられていた思い出がある。振り返って初めてこんなに、沢山、買って読んで人生の時間を費やしているのだから柄谷行人が好きだし、面白いに違いないと捉える他にないというふうな不思議な魅力に取り憑かれていた。後にも先にもたぶん他の作家にはなかったと思うし、余りにも特別な存在だったんだ。 二十歳頃に愛読した柄谷行人の著書 畏怖する人間(1972) 意味という病(1975) マルクス その可能性の中心(1978) 反文学論(1979) 隠喩としての建築(1983) 批…

浅田彰がやられた坂本龍一の美し過ぎる物語

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どうも 坂本龍一 (音楽家)が亡くなってから妙な虚しさに心が包まれている感じがする。 僕は彼のファンではなかったし、彼の音楽に嵌まって何時間も何日も聴き続けるようなことも一回もなかった。 生まれて初めて気付いた美しい音楽が彼の ラストエンペラー だったこと は唯一無二の経験として、生涯、忘れ得ないにせよ、亡くなられて普通に喪失感を受けるほどの関わり合いは持たなかったはずなんだ。 考えると自分よりも日本が大事な人と別れて悲しんでいるみたいだ。落ち込んでどうしようもない日本に暮らさなくてはならないから自分も虚しくならずにいられない。 本当かどうかは良く分からなかったけれども坂本龍一と友達だった 浅田彰 (社会学者)の追悼のインタビューの動画: 浅田彰が語る、完璧な演奏マシンから最後にヒトになった坂本龍一 を観たらやはりと感じた。 浅田彰の坂本龍一への追悼のインタビューの動画 浅田彰が語る、完璧な演奏マシンから最後にヒトに…

クリスティアーノ・ロナウドの泣けて来るほどに夢のある人間的な素敵さ

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今最も優れたサッカー選手の一人、 クリスティアーノ・ロナウド はまるで古代ギリシャの彫刻のような凛々しいばかりのルックス――メディアでは筋骨隆々とした肉体美も良く取り上げられる――とずば抜けたテクニックに燃え盛るガッツの溢れ捲るメンタルのプレイスタイルで世界中の人気者だけど、しかし人々を惹き付けて止まない真の理由というか、奥深い魅力の一端に一本の動画から新しく触れることができた。 Cristiano Ronaldo Fools Everyone Performing Soccer Tricks in Disguise|Inside Edditlon CRISTIANO RONALDO IN DISGUISE - Manchester United (全編) BONUS CRISTIANO RONALDO IN DISGUISE - Manchester United (おまけ) CRISTIANO R…

相互に共通点を有しない物は、その一が他の原因たることができない|スピノザのエチカの第一部定理三

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スピノザ の エチカ の第一部:神についての定理三を心からの敬愛を込めて理解する。 定理三 相互に共通点を有しない物は、その一が他の原因たることができない。 証明 もしそれらの物が相互に共通点を有しないなら、それはまた(公理五により)相互に他から認識されることができない、したがって(公理四により)その一が他の原因たることができない。Q・E・D・ バルーフ・スピノザの エチカ (畠中尚志訳) 第一部定理三は第一部公理五と公理四から証明されるけど、すなわち複数の対象について認識論的な関係性と存在論的な因果性が相互の共通点によって一つの現実の中に同時に把握されるようになる思考のためで、スピノザの世界観を反証的に(それ以外は無理だと)はっきり示しているようだ。 五 たがいに共通点を持たないものはまたたがいに他から認識されることができない。すなわち一方の概念は他方の概念を含まない。 バルーフ・スピノザの エチカ (畠中尚…

異なった属性を有する二つの実体は相互に共通点を有しない|スピノザのエチカの第一部定理二

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スピノザ の エチカ の第一部:神についての定理二を心からの敬愛を込めて理解する。 定理二 異なった属性を有する二つの実体は相互に共通点を有しない。 証明 これもまた定義三から明白である。なぜなら、おのおのの実体はそれ自身のうちに存しなければならずかつそれ自身によって考えられなければならぬから、すなわち、一の実体の概念は他の実体の概念を含まないから、である。 バルーフ・スピノザの エチカ (畠中尚志訳) 実体の定義からするとそれ自身で存在し、認識される対象だからかりに複数の実体の属性が同じ場合でも「相互に共通点を有しない」という第一部定理二の内容は明白だろう。 しかしスピノザは「異なった属性」という状況に敢えて固執している。なぜか。複数の実体の属性が同じだとそのこと自体が実体同士の共通点として捉えられる可能性があるためだと推察される。認識を裏返すと属性の同一性は複数の実体の共通点を保証する概念として受け取…

実体は本性上その変状に先立つ|スピノザのエチカの第一部定理一

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スピノザ の エチカ の第一部:神についての定理一を心からの敬愛を込めて理解する。 定理一 実体は本性上その変状に先立つ。 証明 定義三および五から明白である。 バルーフ・スピノザの エチカ (畠中尚志訳) 第一部定義三と定義五はそれぞれに実体と様態/実体の変状の概念を示している。 三 実体とは、それ自身のうちに在りかつそれ自身によって考えられるもの、言いかえればその概念を形成するのに他のものの概念を必要としないもの、と解する。 バルーフ・スピノザの エチカ (畠中尚志訳) 端的にいうと単独性を持つ対象が実体で、存在と認識において独立性を持つ可能性によってスピノザは定義している。独立性がないと単独性は個別性と区別できない。従って実体は複数かも知れない場合が出て来る。スピノザは可能性でも実体に独立性を与えることによって個別性と複数という特徴を切り捨てている。実体はもしも数えるならば唯一でしかないような単独性を持つ対象…

デカルトの「我思う、ゆえに我在り」は現実そのものを掴んだ哲学の第一原理だ

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哲学の命題で最も分かり難いというか、どうとでも受け取れるように人々が自由気儘に捉え易いのは「我思う、ゆえに我在り」( デカルト )の他には滅多にないだろう。只単に言葉としてもとても有名で、口に出した本人、デカルトの代名詞にも等しい。 Portrait of René Descartes by Frans Hals / Public domain 数学や物理学などもやっていたようだけれども「我思う、ゆえに我在り」の一言で哲学者のイメージが物凄く強いんだ。思考と存在を単刀直入に結び付けた表現は如何にも簡単らしい。ところが謎めきも凄まじくて何なのかと真剣に向き合うと全ての理解を弾き返すほどの印象を与えて止まない。 デカルトの「我思う、ゆえに我在り」という言葉は何を意味するか この土地での最初の省察を諸君に語らねばならぬかどうか私には分らない。それはあまりに抽象的なもの、かつあまりに一般的ならぬもので、それ…

悪魔の頭脳を持つ男と呼ばれるジョン・フォン・ノイマンはコンピューターと核兵器を基本的に作り出していた

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人類史上最高のIQ(知能指数)は300で、かつて数学者の ジョン・フォン・ノイマン が得ていたといわれる。IQの平均値は100だから常人と比べると三倍の能力だった。本人が実際にテストを受けたわけではないので、伝説の域を完全には免れない数値だけれども頭の回転が飛び抜けて早いのは固有の経歴から間違いないようだ。 何といっても衝撃的なのはコンピューターの生みの親と呼ばれる人類にとって余りにも画期的な業績だ EDVAC by U.S. Army Photo / Public domain 一人で完成してないので、本人のインパクトは些か薄いもののアメリカで EDVAC の開発チームに設計のコンサルタントとして参加して プログラム内蔵方式 という基本の動作原理を作り出した。コンピューターが例えば只の計算機とは違って色んなことができるように進化したのはそれこそプログラムを内蔵した方式を取っているためで、現行のコンピュー…

アインシュタインはスピノザ主義者だから反核の物理学者として誠実そのものだ

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人類が核兵器を作り出すのに成功したのは物理学の 特殊相対性理論 に基づくらしい。すなわち「E=mc 2 」(エネルギー=質量×光速×光速)の公式に沿ってしか誰も考え付かなかった可能性が高い。 Albert Einstein by Oren Jack Turner, Princeton, N.J. / Public domain 物理学の特殊相対性理論は 一般相対性理論 と共に アインシュタイン の偉大な業績の一つに数えられる。現代人の生活を支える様々な機械の多くはアインシュタインの発見した自然界の認識に由来するようにも聞かれるし、高度な数式などは僕にはちんぷんかんぷんにせよ、とても凄い人だと賛嘆せざるを得ない。 しかしアインシュタインは核兵器について心を痛めていた。自分が物理学が好きで一生懸命に勉強してついに掴み取って皆に教えた特殊相対性理論が夥しい人殺しに使われるとは寝耳に水の悲しみというか、当初から全く望…

森蘭丸の青が似合う美男子らしい忠誠の織田信長へ命を捧げた潔さ

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本能寺の変 を調べていたら、一際、目を引く武将がいて 森蘭丸 という名前から戦国時代に華々しく引き付けられる感じが凄かった。 Ranmaru Mori by Yoshitoshi Tsukioka / Public domain 織田信長 の家臣で、多勢に無勢と 明智光秀 の大きく攻め込んで来た武士たちの勢いに押され捲りつつも正しく死をも恐れずに先頭を切って奮戦した武将の一人が森蘭丸だった。 明智軍の 安田国継 に槍で刺されて殺されたらしい。安田国継は非常に有力な武将で、古川九兵衛と箕浦大蔵丞と共に明智三羽烏と呼ばれるくらい明智軍の主力だった。 本能寺の変で最大の狙い目だった織田信長も槍で突かれてもう駄目だと傷付きながら部屋の奥へ引き下がったのは安田国継の一撃だったといわれる。 森蘭丸の死と織田信長の痛手は何れも安田国継が自分でやったと自分でいっていたらしくてもしも見栄を張っているだけならば史実が歪められて困って…

セブンイレブンはワッフルコーンのチーズinチーズの爽やかな味わいに哲学を持っているに違いない

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どんなものなのかと食べる前に思った。チーズ入りのソフトクリームなんて生まれて初めての味わいではないか、 セブンイレブン の ワッフルコーンのチーズinチーズ を手にしながら。ハラハラドキドキ。ソフトクリームとチーズが似た者同士の乳製品で口説過ぎるのでは堪らなかったはずだけれども本当に美味しかった。 チーズの酸味が凄く爽やかに感じる ソフトクリームの甘さに飛び出すように引き立てられて風味では流石に終わらない。パッケージに「とろ~りチーズソース入り」とあるのは伊達ではなくて、普段、殆ど感じないでいるチーズならではの世界を改めて教えてくれるようなところもさらに嬉しかった。薄いオレンジの縦縞模様のデザインもチーズの爽やかな個性をソフトクリームで冷たく示すのにはぴったりではなかったか、振り返ってみれば。やるな、セブンイレブン、心なしか恐れ入りながらゆっくり味わってしまうわけなんだ。 およそ料理の味付けは今此処の…

ヴァン・ゴッホの灰色のフェルト帽を被った自画像の心の目に見えて来る神様

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一枚だけだけれども 画家一筋のヴァン・ゴッホの記事 で引用した ヴァン・ゴッホ が描いた 灰色のフェルト帽を被った自画像 に神様が見えて来たからブログに改めて取り上げておきたいと感じた。 僕の 言葉遣いが霊感そのもの なのと同じで、気付いた訪問者がいれば一人怪しく訝らせるのは忍びない。 神様が見えて来たとしても君だけではなくて僕もそうだから間違いなく安心して欲しい きっと僕の言葉遣いが霊感そのものだと気付くよりも人々にとって意外にも 灰色のフェルト帽を被った自画像 に神様が見えて来るという可能性は高いだろう。 理由は簡単だ。サイト全体のイメージに合ってないというか、些細な日常のブロガーがゴッホではないから僕ばかりの自己表現が多いところで、取り上げられた他の誰かの作品の個性的な特徴が比較的に目立ってしまうせいだ。 本当に驚くし、僕は絵から神様と出会うのは初めてだったので、ヴァン・ゴッホへも興味や関心が変わってしまう、一…

日本人の知性と思考の方法論的な哲学

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お笑いの 有吉弘行 が哲学について本を出していると知った。 毒舌訳 哲学者の言葉 という題名で、数多の哲学者たちの言葉を題材にして自説を述べている。インターネットで偶々だったけれども紹介しているサイトを見かけたから気になって訪れてみたんだ。 哲学とは…変わり者の人が適当に言ったことをなんとか普通の人たちが解釈してあげて無理やり「わかるわかる」と納得してあげているもの。 有吉弘行の 毒舌訳 哲学者の言葉 ( 双葉社 ) 心外というか、哲学は本質的に思考だから、表現上、間違っていると項垂れるしかない。しかし目を背けてはならないはずだ。お笑いとして許される気持ちを棚上げとすれば真面目に日本を過ごし易く変えるためには現時点で 知性改善論のような思考 が人々に求め叫ばれているのではないか。まさか興味深い世相が露呈し捲っている。有吉弘行で示し出されたというのは本当に物凄く面白いし、僕は思考が超大好きなんだ、お化けなんて呼ばせ…

スピノザの生活規則を良い知性から僅かでも理解するための思考

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久し振りに 知性改善論 ( スピノザ )を読み返してみた。といっても時間がないし、速読もできないので、一時間で数十頁しか進まなかった。 しかし相変わらず、文章が手強くて通常よりも読解を迫られると驚かされる。作家の気質としては学者そのものだろう。細かいところまで日常生活に支障がなくても取り上げて認識に纏めないと不誠実だと思ってしまうのではないか。 学校嫌いの口癖ならば「勉強しても生きるのに役立たない知識」が多くて辛い。 ただし大事なのは世界を理解するために必要なんだ。背を向けるほどに認識そのものが曖昧になって社会へ出ても分からないままなので、経験に対しての判断力は学歴通りで止まってしまうわけだ。後から独学しなければ生活力としても上がって来ないかぎり、もはや学校で済ませるのと中身は同じだろう。人生設計を効率的に組み上げるならば最初から勉強好きの気持ちが期待される。 僕の言葉遣いも概念は難しいかも知れないし、…

カントの物自体が教える確実性

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カント の物自体は認識論的に不可能な対象だから思考の内実は事象でしかない。 すなわち現象学における超越論的な主観性の効果として理論上で要請される直観の確実性と同一視される。 物自体は不可知だとしても Immanuel Kant by Gottlieb Doebler / Public domain カントは現象学者では全くなかったけれどもそうした方法に気付いていたからこそ物自体を敢えて証明するような必要を持ち併せなかったわけではないか、哲学に。 理性が成り立つのは不可知のゆえではないのは当たり前にせよ、人間に確実性が物自体として備わっているためだといい直せばグッと分かり易くなるんだ。 歴史的意味においてでないかぎり哲学を学ぶということはできない。かえって理性に関しては、哲学的思索をすることを学び得るばかりである。 イマヌエル・カント|ウィキペディア カントは理性を本当に哲学的に純粋に捉えていたし、認識力を…

読む気スラスラの君たちへ守るべき沈黙の作家には抜け出せない涙

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もしかしたら僕だけど、君たちも読む気スラスラだから困る、昨日の午後から自作へ気が狂いそうで。 可笑しいし、本当に正気を失ってしまうならば素晴らしい思考が見付かった。経験そのものから精神とは何かを知るべき手がかりになる。というか、君たちへ送り届けるのが詩以外では非常に難しい言葉遣いを迫られずにいない世界へ生き出しているんだ。 詩と思考の命題は厳しかった なぜなら哲学を批判しなければ永遠には辿り着けないからだ。 スピノザ の教えで終わらせるわけには行かないという実情はもう既に 些細な日常の一つ で示したはずだし、作家としても繰り返す必要はないだろう。 明かしておくべきなのは気持ちだけだ。それが分かったから脳味噌が飛び散りかけているとは漫画でもなければ涙としか呼べない。人は悲しくて泣くわけではないし、漫画ならば本当に喜んでいる可能性もあるわけで、またはゲームでも同じではないか、重要なのは泣くという涙を伴った経…

エピクロスの余りにも清貧な思想/アタラクシアの感覚と原子論

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古代ギリシャの哲学者で、紀元前四世紀頃のヘレニズム期の初めに生きていた エピクロス が日毎の質素倹約を絵に描いたような余りにも清貧な思想を持っていて驚きながら共感を覚えてしまった。 アタラクシア(平穏な心)という身近な幸せを大事にする気持ちから世界を捉えていた。 自然で必要な欲求が正しい Epicurus / Die Bildniskunst der Griechen & Römer / 311 Tafeln mit 518 Abbildungen und 19 Textillustrationen herausgegeben von Anton Hekler from Wellcome Collection / CC BY エピクロスの哲学では感覚が重視されていてそれに見合った生活がアタラクシアとして考えられている。感覚は欲求によって疎外され得るし、哲学的に真実も分からなくなると三つに区別…

ソクラテスの死は如何にも哲学者らしい威厳を放っていた

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古代ギリシャで ブラトン と アリストテレス と並んで三大哲学者の一人と考えられる ソクラテス は西洋哲学の源流とも過言ではないほどの存在だった。彼の弟子がプラトンで、その又弟子がアリストテレスだったからソクラテスがもしもいなかったら、全員、消えてしまって西洋で哲学が歴史的にどう流れたかが相当に変わっただろうと震撼させられる。 西洋哲学の源流の思考の面白さ Heaes of Plato, Aristoteles and Socrates by mararie / CC BY-SA 人々の考え方に大きな影響を哲学は与えている。何等かの主義を持つかどうかは別としても社会に共通する枠組みは一般的にあるのではないか。古代ギリシャの三大哲学者は現代でも通用するような原形を示している。 ソクラテスの知識(エピステーメー) プラトンの理想(イデア) アリストテレスの論理(オルガノン) 当時は宗教と結び付いていて何が良いのかを探…