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Moon fish(長篇詩)

魚は泳ぐ
月の夜に

彷徨いながら流離うように

泳ぐ魚の
夜の月も

流離うほどに彷徨うならば

Section 1

どうして力尽きてしまったのかしら
二人の間には阻むものなど何もなかったように
受け留められるはずの出会いも別れでしかなくなる
絆を解いた君と僕との最後へ触れれば
未だ後悔ばかり残されているらしい
恋は破局を迎え入れた末に飛び去って行った
燃える炎も時の流れを写し出す鏡に取って替わり
速やかとも動かし難い事実こそ突き付ける
いいたい言葉もなかったわけなので
掘り起こすのは止めにしておくと良い

Section 2

柔らかな光が照らす思いは羊飼いが放牧で掲げる笛だ
小指を立てた呼び慣わしに一頭の牛も混ざって来た
子供ながら突進する様子は迫力も満点だった
囲いの扉を開いて逃がすと太陽が笑う
覆い隠したのは雲の役目だったのかも知れない
山麓の大地は著しく翳りながら草花を包み込んだ
踏み付けられて固まった道のところで
水溜まりができているのは涙のせいではない
生物という生物の全ては本能に従わざるを得ないのだから
数週間前に山里を襲った豪雨によって
残り香として風も涼やかに感じさせるのだった

Section 3

かつて落武者が握り飯を食べた後に置き忘れた鉄兜の朽ちかける洞穴があった
戦乱の世を憂いつつも再び出撃したのだと消えて見えなくなった足跡を指差したり
頭に浮かべては口々に噂したりする近隣住民が取り壊しにしたのだが
危ないとされる地滑りを起こした切欠は羆が餌を取り損ねて崖を落ちたためだった
洞穴は一部に入り口を保ったままの状態で塞がれていて少しずつ崩れ始めていた
皆が目にするや否や完全に埋めた方が誰かしら出られずに死ぬこともないだろうと
考えるようになって一斉に取り壊しが行われて以来は幽霊も住処を追われたみたいだった
現在では木の芽が並ぶ入り口の辺りを飛ぶともなく揺れ回り
物好きが持ち帰った鉄兜の展示室ではなくて土に重力が刻み付けた空間を目掛けてか
跳ね返りながらやんわり向きを変えては又おどろおどろしく転がるのだった

Section 4

桑の林を
通ったのは暫く振りで
懐かしさを覚える
実を毟り
食べてみると
思い出の味が胸に蘇った
幸せはどこへか
なぜ失せて
一人ぼっちを紛らせる
淋しさをも
垣間見せる度に
抱き合って口付けていた
他には何も要らない
本当ではない
とするも
本当だと求めるべく
押せ押せムードで
パチンと弾けた石鹸玉に
尻尾の切れた蜥蜴が
霞めども
跳ねていた気持ちを
好きだから
乗り越えて行ける
大大大好きならば
恐がらないで欲しいんだ
飛び上がっていた
じゃないか

Section 5

腰を据え
居を構え
躍り出た
身も凍る
雪の降る
街を抜け
風の強い
骨に来る
地へ漕ぐ
船は停め
光も薄く
策を練る
死の近い
歩を休め
野に散る
咲き誇り
飾り立て
摘み取る
花を捧げ
仲に誓う
日も流れ
拭い去る
涙も免れ
落ち切る
性と連れ
虹を渡り
駆け寄る
手を携え
満ち増す
影を引く
声が現れ
包み込む
幻を訪ね
恩に着る
感じ至り

Section 6

何でかんで
想像力の限界を越えて
母語の魅力に取り憑かれていると
オムライスが食べたくなるらしかった
話によってはレタスだ
添えて貰いたい
聞くだに青虫と捉え
知るだに尺取り虫と考える
小枝を歩いている
空は晴れ上がり
煉瓦造りの建物の窓枠が震えるように
受け取られるのだった
目に見えて
自然から
示されるのは
といって景色も零れ落ちる
アルバムに収めながら
過ごしている状態くらい謎な事柄があるだろうか
外壁の肌触りと表紙面の質感は似てそうにせよ
頭の中で
今日の手掛かりこそ
飲んだカップの耳なので
皆も輪になって踊れば
くるり回り切り
軒下の巣で燕の親子へ気が向いた
持って行かれるな
メトロノームを
ちくちくだ
蓮華か

Section 7

思われないと助かる
生活を無駄にさせられたとは
唇が切れたのも
乾燥で潤いをなくしたせい
パサパサで
ブチッの
感じ
曲がり形にも
噛んで
噛んで
血が出た来たとの流れは
×××
誰のせいにもできない
するな
なさ
さてや
確かに狐の襟巻きは一頃でも着けていたし
特撮物が受けて身を乗り出した少年だったので
勢いとばかりに
反時計回りの
I love you
伝えられずにはいなくて
とかなんて
なる
若しくは
なったなりになれば
襤褸糞を投げ出し
背凭れに星を預けたまま
見返してやる
何れにしても傷め付けられるのは酷だ
告げないでいた
暴かないでいたのだった
チョコレートをタオルと上の空で
被り付きのステージに
囚われの日々が苦味走ったとしても
どこかで尊んでいる
露骨には仕舞えない動き方で
命のみ祈りながら

Section 8

女神様
十五歳の情熱も今再び考えに入れて下さい
顔から火が出るほどの相手に心を寄せています
なかったことにしないで頂きたいのです
ある晩
虎を従えて探検した先がインドの寺院だったどうかは定めも付きませんが
地元で幅を利かせた調子のままに友達も二三人は同行してました
渾名で絡みながら世界観よりも相違点はなかったようです
仲良しというには遠慮がちな空気に包まれた教室内でドッキリしてしまいました
中学生になっても長く長く保たれる好印象に打ち伸めされた胸のうちでして
触れたりするような術も適わない片想いだったのは如何にもでしょうか
然らば
恋なんかもう二度としたくないよりや味わわれない筋書きと同じですし
大事なところで椅子に脚を組んで月見うどんしか食べなかったわけも納得させられますが
何もかも終わりとは決して踏んではならなかった人生ではないでしょうか
幸運よ
息吹きも失われた闇の中で碌でもない力試しに燃え尽きるのは散々でした
世にも稀な清らかさで匂い立つ森の泉で緩やかに休ませて下さい

Section 9

掻き分ける
春夏秋冬の
季節を掻き分ける
四季だ
来た
四季が来た
駆け抜けろ
青春
良いことがあるからきっと
なくても
肥やしにはなるはず
耕していた
農地を
人間性の農地をだ
汗水を垂らしながら
問い続けていると暫くして
都市が実った
宇宙に
遠くにまで
脳味噌にまでもか
実った都市は
疎かとも
誰もいないので
草木も生えず
静かだった
農地だった面影を残すのか
原型は留めているので
震えたのも骨だ
飛んでもないくらい
大波が押し寄せる
今だから
いわないわけではなく
繰り返した
返し出すと止まったのが
未練だった
よもやついに
花は咲き
鳥は歌い
風は吹き
月は踊る
右太股で
赴く
花鳥風月へ
及ばない最後が全く
夢なんだ
抱くのだった
皆って

Section 10

磨きをかけた魂は素敵さを待ち続けていた
喫茶店に入ると紅茶で喉を潤している
真実が顔を出したのは0.08秒後だった
扉を開けて右へ曲がれば隣の服飾店の試着室で店員が客の肩幅を計っているのかも
壁に掛かっていた牧歌的な風景画の額縁に他意はなかった
美しい社会で彼氏は彼女に内面を明け渡すつもりだったにせよ
現実なのかどうかも判然としないもので
大した言葉もないままに地球だけがただ軌道上を運行している
裸になって手を繋ぐ自然ともいうべき理想が流れて来たとき
詩人は天使を探しに行くための用意を整えていた
電波塔を食い荒らす鬼どもがコミュニケイションを妨げると退治したかったのではない
まるで兎を追いかけるように逸る考えを抑えながら指輪を眺めるのだった
出かけた途中で神憑りな大爆発と共に非道を締め括る鑢が飛んで来ても二の次で
眼差しは曇るどころか輝きを増してさえもいるという
決死の行く手を遮るのはなぜかマンションだった
屋上へ孔雀が時間をかけて上がって行く
どこに砂糖ではなくて人参よりも求めていた空しさが眠っているのか
癒さざるを得ないところの営みだったにも拘わらず
際どい壁の傍らへは絶えて毬藻も転がっていなかった

Section 11

天国か地獄か
矢印は薬へ向いていた
幾つもの風車が回り
釣り師は毛鉤を川と投げ放つ
蚕の幼虫は自前の繭で蛹に変わった
暗室で現像された写真を挟んだピンセットが冷たい
日本猿も温泉に浸かっているのか
頭に花冠を載せた人形が瞬きを行う
ゴミ箱で政治が啜るのは殆ども欲望ではない
屋台のラーメン店もメディアへの公開を減らした
控えの背番号41が球場のベンチ横で緊張感を解す
人工衛星は予期しない傷跡を修理中だ
雀蜂の巣が日を重ねる毎に膨らんで行く
キャラクターに当惑する
黒板消しで粉落とすのは鎌倉幕府だった
鴬を念じさせて貰いたい
極点の氷が北と南で違い過ぎてなかった
直ぐに発見をいいたがる
若布は干した方が旨いようだ
洗濯板しかピン留めにできない
団子虫が以前よりも丸まる
僻地のサボテンは不思議な踊りを思わせる
卵の殻で両親を表現してみた
喜びが降って湧かない
代わりに水底で鰌が泥に紛れ込んだ
死ぬときも一緒ではなかったか
積乱雲が伸びる
コッペパンは千切られた
金のロケットも揺れている
歩み重く横切る丸耳象だった
羽根を認めざるを得ず

Section 12

風船は炙り出す
瞬く間に掴まれた切欠を
付き合いに落とし穴はなかった
不可能な嘆きも
空の斜面へ流れる結び目だ
裏話も今や想い出に過ぎない
行き止まりの椎茸が
砂金を篩にかける腰付きならば
幸せは夢のようだ
桜咲く四月始めの切なさか
又進み行くほどに
立ちはだかる山を仰ぐ
血も凍る情動で
笑いへ胸を漂わしているや
向き返されるしかないのだった
幾つかの赤詰め草に
慰められはするものの
人恋しさを引いた

Section 13

鉛筆の芯が折れると
手紙の言葉も太くなった
威勢良く捲し立てられたら
火星は極めて遠いにせよ
子猫とも可愛がるはずだった
窓際の机に置いてごらん
砂粒を掬うような婀娜めきで
火星は極めて遠いにせよ
黒潮を渡る真鯛も正しくは
岩礁に踏み止まっていて
鋏を掲げる毛蟹へ尾を振った
火星は極めて遠いにせよ
交通渋滞も面白いか
都心の影に浴びれがてら
窒素でさえが耳新しかったり
火星は極めて遠いにせよ
拳銃射撃の二三発だ
轟かせては否酷かった
生き得る世界は素敏捷いし
火星は極めて遠いにせよ
伝説を訪ねる暇もなく
魔法の杖が頼りと感じたまま
頭も幻で包まれた
火星は極めて遠いにせよ
地元の明るさを増す
早起きでもしておいで
杏仁豆腐が粘付く口なんだ
火星は極めて遠いにせよ

Section 14

大仰ではなく
運命の足音がする
歴史的な瞬間が迫っているのか
人生とは何だろう
考えるともなく
受け入れざるを得ないわけで
意志でも計り知れない
総てに感謝したくなる
込み上げて来た喜びの
所以に他ならないまで
打ち伸めされるのだった
両手には降りかかる
雪の結晶が
極小さな飴玉のようだ
熱せられては溶け出してしまう
甘さを味わいながら
口に含んで転がしていた
宝石が光を放つ
素晴らしいかぎりの
言葉と置き換えられた思いを
取り逃がしてはならない
求めても無理だと
嘆かされていたものを
見下ろしたまま
出来なくもなければついに
悲しみが変わるとき
優しかったに違いない
身も心も捧げて
魂のみかしら
気をも引かれる有り様だった
広がる世界へ飛び立て
脈打ちは空の彼方で
宇宙と遊んでいるとしても
初めて嬉しいと
認められるにも拘わらず
分からないのは
恐らく学ぶしかなくて
誰も孤独だと活かさないためだ
内緒の湖が綺麗で
顔を洗うと爽やかな風に及ぶ
恋人ではなくとも
負けないでいて
伝わるくらい
自由ではなかったか
近付くのに過ぎ去った
取りも直さず
秋の夕暮れが
乗り遅れるつもりでもない
地下鉄の消えた駅舎で
染み渡るというのも
虚脱ではあり
平和な残響もした
浮いて来る天使たちだ
驚きに沿って
現れる道へ触れかけるのだった
美しく溢れ落ち切る涙も
憐れみこそ

Section 15

かくも小豆色のドレスを身に付けているね
果てもなく流れ続ける銀河のように度肝を抜かれたにしろ
結論は要らないと断じるのも吝かではない事情‐バランス‐ではなかったか
個人的には話を纏めるよりもテンデンバラバラなままにしときたいんだ
木切れが滑り出して行く表面上の手荒びと嗅ぎ付かれても厄介ながら
気持ちは実に見事に重なり合っているよ
女性としての私語りが貴方を男性としてどんなふうに見定めるだろう
面倒臭いなんて三億年も散り積もった綿埃に懸けずとも胸裏ではないけどもさ
自宅をノックすれば慰められそうな淋しさを蓄えていた
上も下もありはしないくらい見詰め合われた仲だとしても
トランペットが鳴り出した頃には免れない夜半過ぎなんだもん
白玉粉を捏ねて角々の寒天をばら蒔いた餡蜜の小豆が美味しく名残り惜しまれるや
終わったのはきっと追いかけるしかない日々の足手纏いじゃない
何一ついわれなくなる状態こそ只苦しいせいだわ
誰とでも仲良くなれる“人間様”でもないし
感心頻りか突き回したくなるbeingだな
貴方は私に五月蝿いってなんでいってくれないの
ちょっと脱線してしまうと怒るのは苦手なだけかも知れないが
得意顔も豹柄のフェイントでは入り組んだ瞳に申し訳が立たなくて
忘れたくない気持ちを無闇矢鱈に割り切られたくないんだ
逆順も弾き返して750cc(バイク)を飛ばす年頃の金魚掬いらしく
お願いだから珈琲はモカで頼んでおいたぞ
翻ってみれば細やかな福引きの当たり印にも震撼されられる手控えなので
普段着も事欠かない洒落っぽさかどうか
なな何と石鹸に座り込みの選んだイメージだったとはどうやら
問わないうちに絶えて足掻きを振れもしてなくてだ

Section 16

今はもう記憶に及ばないが
絶妙な距離感というのがある
詰まるところが面白かったんだ
埋められずで疎かな間柄も
不思議と慰安を示していたし
カサブランカは旗めいたか
練り上げては頷く性質と掴まれ
境目の壁こそ越えて行くこと
まるでバナナを食べながら
素っ気ないくらい通り過ぎるや
息添えられたはずもなければ
どんな世界も望まれるまま
充分過ぎるばかりの縁だった
差し出すと勿体ないだけの

Moon fish(長篇詩):全一篇

Forevermore

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