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些細な日常

スパイスリーの第二部|詩集

キーンの幼友達(トッポ)

誰にもいえない悩みを
まるでポタージュのように
呑み込ませて貰って
感謝に堪えない

誰にもいわない憤りを
まるでベニア板かのように
叩き割って貰って
返礼へ憚られる

トッポよ
トッポ
トッポくん

かつて背を向けた呼称も
潮時を迎えるかぎり
よもや気に召さず
根性が逆撫でされたらしい
物心以来への旧知こそ

強かな結び付きだ
たとえ口が割れない主題も
連帯の恭しさには
下がる頭で事欠くまい

エレキを掻き鳴らし
リーゼントを振り乱すや
脚光を浴びた思春期だって
さも格好のみではなく
男前だったんだ
まざまざと

トッポめ
トッポめ

咎めがいいたくなれば
取り分はレプリカだろうと
貰い受けさせずぞ
遣り込めていた

涙脆さ

蜻蛉が飛んで行く
尻切れの思い遣りを綴じて
カタルーニャへ
富源郷なのだろうか
優しさが触れたならば
他の地方は眼中に入らず
一直線なんだ

なぜかヨーロッパの国の
さてはスペインの街で
どうもローカルな所へと

安住するだろう
燃え上がる夕焼けを舞った
見えなくなりそうで
少しずつ下りているや
全くも蜻蛉だけが

流れ着いた草葉ならば
快適な寝心地のかぎり
たぶんよもやならではか
宵口の契機も難なく

ヨーロッパの国の憧憬は
スペインの街で悠揚に
ローカルな所へと没入だ

あからさま

砂漠の膝当ては
カスタネットだ
打ち鳴らしたら
失態を超えよう

掴み兼ねていた
メガホンだって
台本もないまま
抑え切れやせず
内情を解き放つ

昔は憐れだった

叩き売りされる
バナナが良いか

毒気を受け流し
たとえ弱くても
上塗りはしない
嘘か真か傷跡に
効かないかぎり
親しげな来歴が

変わらないまま
奮い起こされる

コンパスぞなく
先は不毛なのに
地平線こそ臨む
紛れもなかった
考え方が久しい

あからさま

砂漠の膝当ては
カスタネットだ
打ち鳴らしたら
失態を超えよう

掴み兼ねていた
メガホンだって
台本もないまま
抑え切れやせず
内情を解き放つ

昔は憐れだった

叩き売りされる
バナナが良いか

毒気を受け流し
たとえ弱くても
上塗りはしない
嘘か真か傷跡に
効かないかぎり
親しげな来歴が

変わらないまま
奮い起こされる

コンパスぞなく
先は不毛なのに
地平線こそ臨む
紛れもなかった
考え方が久しい

所信

生活に疲れたら
詩を止めておこう
恋愛に痺れたら
詩を止めていよう
たらがなければ
止めておこうはず
たらがあったら
止めていようはず
なければならば
おこうはずなんだ
あったらならば
いようはずなんだ
ならばならばと
なんだのはずやも
ならばならばと
なんだのはずやも
ならばとすれば
はずやも詩だろう
ならばとすれば
はずやも詩だろう
すれば止めれば
生活なんだろうか
すれば止めれば
恋愛なんだろうか
止めればならば
詩というのだろう
止めればならば
詩とするのだろう
ならばといえば
だろうだった詩の
ならばとすれば
だろうだった詩の
いえばとすれば
詩のはずだろうに
すればとすれば
詩のはずだろうぞ
すればといえば
だろうに生活やも
すればといえば
だろうぞ恋愛やも
いえば詩ならば
生活やものはずで
いえば詩ならば
恋愛やものはずで
詩ならばならば
はずであるだろう
詩ならばならば
はずではなかろう
ならば止めれば
だろう詩のはずだ
ならば止めれば
かろう詩のはずだ
止めればったら
詩のはずだろうぞ
止めればったら
詩のはずだろうも
ったらとしたら
だろうぞ生活かも
ったらとしたら
だろうも恋愛かも
したら止めれば
生活かも疲れよう
したら止めれば
恋愛かも痺れよう
止めれば詩なら
疲れようとだろう
止めれば詩なら
痺れようとだろう

ひょん

バスケットの飴は数多くも
木星のガスへ差し向けた
状態の変わり様を驚きつつ

接触が尊くあり得て
どんな逆境も撥ね返しか
感じてしまうのも
奇跡は起こると

チャウチャウや
エンゼルフィッシュを
愛玩させる雰囲気で
何とも予想しない
歴史の詰まりをするものだ

まだまだ行ける
絵葉書の風景の方へは
ひょんな弾みでか

すっかり置ける
殺風景な時季の頃にも
ひょんな考えこそ

取り合わない泡沫の

恋の運びが儚くて

ホチキスでも綴じなかった

我知らずと雲の行方も

奇跡は起こると
木星のガスへ差し向けた
何とも予想しない

ひょんな企てやら
牧場的な規模の元では
はてさて温かい

今日日~出会いは水物よ~

イクラ丼を掻き込んだ
正午過ぎのロッジで
貴方の友達がいたけれども

来て欲しかったな
恥ずかしがらないでね
迷惑とは思わないさ
心馳せなのか
不得意とするや
参加するべきではないと

貴方の友達は上手で
雰囲気も良かったのに
紹介されていたんだった
トピックは変われど
先頃の仕合わせわ

照れ隠しもなく
熱中だったらしたのは
顔馴染みの面目を
丸潰れにしたくない
気持ちがあり得たとしても
全く全く全く
生じなかろう違和感だ

砕けて貰わないと
非常識なのか
下手でも構わないさ
スマイルしてないのでな
心覚えとするや
楽しんでいなかったね

相応しいにも拘わらず
貴方の友達のイメージが
一つも傷付かせずに
思慮深いのだった

極稀な柄

あけすけに優しさを
誉められて悪い気はしない
何となくただ
抜け駆けできない
想いがしただけなので

行ったかのように
コート・ダジュールへ
まるで持ち分は

午前零時を回っても

鳴り止まない
魔的な陣容の饗宴だった
聞くつもりではなく
耳に入り込めば

さてや世が流れても
丁度のペースだと
可愛がって
いられた

さてや運が巡ってか
適度なタッチだと
面白がって
いられた

行かなくあるまい
コート・ダジュールへ
およそ分け前も

小春日和を過ぎてか

さてや情が交えての
程度はグッドだと
素朴がって
いられた

週末土日を挟んでぞ

内輪地元を放れてな

国際空港を発ってだ

ディアレスト

満月の頃合い
まるで桜色のような
印象を持ったのは
縁結びだろうか
もしや考え違いならば
妄想狂へと

生き残りの蝗が
待ち構える田んぼを
知っていたのに
細かな気持ちよりも
惚れてしまった

分かってやしながら
振り切ったのも
奥床しい気持ちこそ
鷺は生き長らえ
惚れ惚れとしたので

笑い死にするくらい
惹いた沖の鰤や
泣き崩れさすほどに
森も貂ぞ魅せた

ところがさてむろん

渡してみたいのは
一つの気持ちだった
色艶やかな容貌として
記憶に残るべき
喜びのかぎり

頓珍漢では
余りに懐かし過ぎる
人情そのものだ

しんみり

倖せを噛み締めている
赤ちゃんは何も手にしない
透明感で魂一杯になって

報いないと天罰が下るか
世の中にも良さはあり
弱り果て捲りというよりは

イッツユー
真実ならば否定され得ない
マイオンリーラブ
なんて素晴らしさだろう

エブリウェア
僕たちは求め合いながら
エブリウェア
かりに出会さないとしても
エブリウェア
思い残しやしなかった

生活の味わいがあるや
何も口にしない赤ちゃんだ
まるで聖母が抱くような

マイオンリーラブ
歴史は繰り返されるまま

小手鞠

真横での二人の
温度はベストだった
若気の至りにも拘わらず
未来永劫を介する
雲模様ではないかしら

固唾を呑んで
見守った弓張りは
リアルを映し返した
情そのものだよ

いわなかった
涙は乾いてからが
止めどなく涌き続けて
退かすのと
問われるまでは

静かな静かな
風勢に包まれるみたく
埋まらない感覚の狭間へ
かくも手に汗を
握り締めていたとは

筒抜けのドラマさ
黄緑色が閃かすまま
宵入りの高台ぞ
深呼吸して

行き先はあるんだ
透き通れば約束しよう
よりも二人にや

尾長

畳んだ翼で
松の木の枝に
留まっているのを
目撃した

呼びかけへ応えて
要望したんだった
まさからしい
登場こそ
喜ばしいかぎりでは
ないか

見惚れる
時が経つのも
忘れ去るくらい感銘だよね

巻き戻しへ
動じない渓流の水が
順繰りな山地で
取り持てど
空々しくなってしまった

大らかな実態と
心するにしろ

羽振る

燭光室

信じる道を歩んで来て
有り付いたのが
ミルフィーユだった

いつからだろう
菓子のために疑わないで
生きてしまったとは
とんと覚えがない

 意識の流れは
 主体の通過点を示しても
 根幹へは関わらない
 としておくか
 現今の場を借りて
 気色も好く

久方に双六を行うや
出鱈目とはいえ
六と六が出た
盤上の賽子を誉めるごとに
進んだマスは休みだ
なんか萎びれる

思い通りにはならない
かりに鬱屈ならば
切り分けるのも
面白そうだ
内心的な小難しさを

次いでタルトか
よもや残り香のせいで

スパイスリー

夕べは吐く息が白かった
暖かくなって来たと思ったのに振り返した寒さか
だから悲しい
とするとロールキャベツが食べたい気分だ
十年以上は覚えもない
味わいが蘇るのは素材を通じて考えたともいえる
キャベツならば千切りに馴染みを得よう
作り方で認識する
ただし心に残った場面は言葉にできない
アテズッポウだとホテルのロールキャベツが最終的だった
好物ではないので
中々
口に入れる機会も少ないんだ
そして記憶へも留まらなかったというか
春先こそ過ぎ越されど
まるで凍えるような身持ちがする
冷え出した

ざっくばらん

日中で走って来た
退屈を凌ぎに車を運転しがてら街並みへと流れる
雨降りだった
某とも考える気がせず
思うまま
公道を進んで行くのだった
または息抜きなのか
鑑みるや久方といって良い
僕自身へだ
腰を据えなくてはならない感じはする
生まれて初めてのはずでなければ発心にも怯まなかった
絶妙な映り映えを取り交わす実景が薄忙しかった
まるで散歩みたいか
当たり障りもないコースが却って習慣ぞ浮き彫りにさせるんだ
ただ速いだけで
馬力を差し引くと近く認められ得る
普段も同じだった
匂いが擽られないのには勘逸る

想いも計なく

僕は名乗りを上げた
一肌を脱いで光を星へ差し返した
恋が波の間に間を浮流する
担い切れない気持ちも物珍しかった
たしかマストで消え果てられると運勢が尽きてしまっていた
沿海では人々の群像が色艶やかに動きおおせる
シルエットで塗り込めた君よりも目立たないのか
月は蒼天へ嵌まった
まるで靄のように溢さない口をしている
堪えるな
タオルを
軽いほどに涙が溶け去るくらい掠めたのは心意だったんだ
波の間に間を浮流する恋や殊に砂浜へ打ち上げられた
なんて感触だろう
フラットに閃いている
暑くなく
暗くない
急がなくては散逸せざるを得なかった
太陽が浅かった

神速系

思ったのは誰か
僕は生きている
雨音を被って見渡すと雪が降りながら四月でも春と称し兼ねる情景だった
誰かを思った
僕は生きている
雪が降りながら春と称し兼ねるにせよ
心は温かく湧き出す仕様だった
思ったら誰だろうか
僕は生きている
春と称し兼ねる雪が降りながら募り行く印象は驚愕でも新奇でもなかった
誰かならば思うはずだ
僕は生きている
温かさが心へ湧き出すかぎり
やはり降りながら春と称し兼ねる雪を受け取る
思っても誰なのか
僕は生きている
雪が降りながら春と称し兼ねる雰囲気に包まれた程度で叶わしい

かの雨曇りで

小路の沈丁花も煤けている
燃える想念は落ち窪んだ
蜜蜂の巣を遠巻きにし
転がり続けて脈々と
受け継がれる
恋着が面映ゆい

貴方は忘れなければ
喜んでいるはずだった
幸せではない楽しさはなく
慈しみを兼ね備えていた
思い遣りもあれど

かの雨曇りで
霊感が反転するや
都市は憮然と威圧していた
身勝手な僕をか

かの雨曇りで
捻ね曲がる情調は
根気も萎えて戦慄いていた
不恰好な僕のか

かの雨曇りで
辛酸を舐めながら
病んだほどに悲惨だったと
一生涯の僕かだ

禿鷹が飛んで来るかどうか
地球外の人工衛星よりは
下がって低かった
仲立ちぞ只漸く
編み出されずにいない
魂の嗚咽だったので
没頭している蛤の流線型も
後難を辞さないんだと

悠長な夜

人は誰も皆と
いうのは良くある

話に聞かない貴方が
色々な薔薇で
きっと囲まれるだろう
ならでは
僕が考えた

右手の人差指で
掻き回すような
挙動もすれどか
まるで謎らしい

良くない人
聞いた話としてだ
皆が誰でも
なくなっていると
いっていた

僕ぞ七節を
竹林に忍び込ませても
やはり貴方だけは
笑い返す
しかないかしら

此処まで
来たからには
たった今よりも

へとの
だった
すらり

ぼた雪

寒波が訪れて
幾日も曇り空だった
底冷えの外気は
身も心も凝り固まらせる
当たり前なのだと
慣れるべく

だが
どうだろう
舞い降りて来る
ぼた雪ならば

今しがた

小さく落ちながら
気を揺るがすのだった

次第に大きく
降り出すや心映えがある
愛らしい

子供も口を開けて
味わいながら驚き去った
ぼた雪は積もらずに
溶けてしまう
しかし

止みがちな
天候ではないので
一向に降り続けると
積もりもするか

和睦

野兎が行った
雲の形の
変わり続けている
晴れ渡った空に
冬の陽射しも暖かく
眺め遣って

工事の作業員は
道路を修繕している
ヘルメットを被り
運転するショベルカーで
土を掘り返し起こしては
積み込んだ路傍が嵩む

現在時刻の
午前十時十五分だ
雲の形が
判らなくなった
山勘とすると
ゲジゲジと似るのだった

城跡でベンチに
腰を下ろしながら
暫く振りの日光浴だ
タクシーが通り過ぎて行く
見ず知らずの中高年は
すんなり犬の散歩なのか

日照量が弱まるや
薄寒くなる
梅の蕾は膨らんでも
冷たい風へ触れていた
垣間見る田螺だ
雲の形を

  • ブログの投稿者: 結城永人
  • タイトル: スパイスリーの第二部|詩集
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