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些細な日常

夕凪への第一部|詩集

霊妙

繰り返して
心に浮かんで来る
自分でも取り組まず
日々を過ごして
俄かに苦しみつつも
放っておいて構わないと
いい続けたのだ

悩めば切実な
もしもだろうけれども
生き易さではないかしら
瞬く間に祈るべき
局面がある

初めて知ったのは
次いで認めたのも
努めて考えたのが

青林檎のようでまさか

ぼかしながら
突き止めたいからには
必要そのものではないか
追い払えやしない
僕にとって

手放されず

寒くても良く晴れた
低い日差しの冬の朝に
世界は凛とした佇まいを

僕だけしか歩いてないなんて
静か過ぎる公園の道では
雨風に耐えた落ち葉が

一際と感じられる
流れ去る時間だった
空気を擦り抜けるようにか
澄んだ気持ちで

大層と信じられる
掴み取る愛情だった
貴方を引き入れるようにか
生きた気持ちで

見せ始めていた
暮れ終えていた

土台と親しまれる
出て来る調子だった
平和を繰り広げるようにか
閃いた気持ちで

見せ始めていた
暮れ終えていた

新たな空へ向きながら
立ち並ぶ木々も健やかだ
驚くほどに惹かれるくらい

透き通る仲

見詰められていた
見詰めながら
君を僕は
と思う

馬鈴薯に芽が出て
花が咲くまでのように
薄い薄い光の
明け方だろうが
人生にとって
見詰めているよりも
長かった

失われても良い……

僕だから
君ならば
情かしら

湧きに湧いて
流れに流れて
移りに移って
通いに通って

情だから
目ならば
川かしら

穏やかに泳いでいる
山女と同じくらい
見詰め合いもしないで
君が僕を
と思う

川だから
道ならば
雪かしら

貴方に思われて

好かれ捲ると逆らえない
歯向かえないように弁えられるためか
世界が優しくなるのは本当だった
紛れもない喜びなので
胸に留めておきながら
夢ばかり見ていた

将来
真実を掴むよ
神に誓って宣言する

恋は散った
恋は散るだろう
恋は生まれるのか
恋は生まれる

貴方に思われて
思っていたと思う
僕の思おうとするところに

花は素晴らしく咲いた
悩みの種から苦しみの芽を出して
花は素晴らしく咲いた
迷いの枝から揺れの葉を伸ばして

生きて行けないくらい
追い駆けながら求めていた
惹かれるしかない途方もなさに
手に入れなくてはならなかったとは
飛び立ちながら探していた

最早
永遠を望むよ
神に向けて約束する

命も尽きた
命も尽きるだろう
命も伸びるのか
命も伸びる

はぐらかす

充分に幸せだろう
本当に好きな人と知り合えた
大事にして貰えるのだから
優しい空気に包まれて
肯われるのみだ

有り難くと
伝えないでいよう
嬉しくとも
振り向かないでいたい

はぐらかす
笑いが広がるまでか
はぐらかす
普段と変わらないのか
はぐらかす
二人のためなのか

天使の囁きに
透き通る涙が
人生こそ甘く
掴み取らせて
光栄な匂いだ

はぐらかす
心に留めておくためか
はぐらかす
胸に刻み付けるようにか
はぐらかす
貴方のゆえなのか

楽しんで
頑張って辛くても
乗り切りながら
捉えられたのならば

分かってしまう
想いを寄せるほどに
だからもはや
逃げ隠れはしないで
顔にも出さずに

はぐらかす
恥ずかしいゆえか
はぐらかす
恐れているのか

はぐらかす
経験ではないのか

助けてもくれたら

貴方が恋しくなった
心に染みて行くほどに
想いも溢れずにはいなくて
静かに迎えられる夜の
噛み締めてしまう出会いに
否応なく受け取る

泣き出しそうな顔で
一人にしてはおけないと
悟るような望みかしら

助けてもくれたら
貴方が恋しくなった
一人にしてはおけないと

明るい海辺で
犬や猫が転げ回っている
日が落ちると
流れ星へ消えるしかなかった
悔しがれども
僕には離れられやしない

助けてもくれたら
僕には離れられやしない

助けてもくれたら
貴方が恋しくなった
一人にしてはおけないと

食っ付いて水も甘く
寄り添って胸も熱く
触れ合って絆も深く
引き連れて道も軽く

僕には離れられやしない

安らぎを求めて

靴下が流れていた
黒くて小さい
想いの生活の川に
強くて優しい
愛が生まれたので

僕は嗅いだ
地下道の冷えたコンクリートを
僕は歩いた
絶え間ない疲れに襲われながら
僕は達した
アネモネへ心を掴まれたように

夕方頃
レーズンとアーモンドで
腹拵えをすると
ピアノで幾つかの和音を奏でたくなり
部屋の扉を締めて
三十分くらい経ってから
眠りに就いた

堪えたい
可笑しさを
感じる

感じる
堪えたい
可笑しさを

可笑しさを
感じる
堪えたい

善意が働かず
伝わらなかった全てを
止めてみると
歴史的な輝きが却って
広まって行く

熊鼠に察した
鳴き声か硝子瓶は
擦り胡麻のように弾けて消えるも
陽射しを啜るには到らず
高くて手が届かない
理解力を残すのみだろうか

速やかに
滑り込んだ
存在が親しみを
胸に訴えるのだった
時間や場所も選ばないまま

風が揺らす
栗の葉を美しいと
覚え出すほどに

夢も燃えた

恋のメリット

僕に貴方で
気持ちに張りが出た

世界は変わり
生活も優れてしまう

好きで好きで堪らない
堪らないくらい愛し合い
愛し合いながら溶けて行く

何はなくとも感じた

草を食むホルスタインを
宇宙へ煌めく星々を
祭りの屋体は忙しなく
涸れ果てた大地の裂け目も
ファスナーが閉じられそうで
必要なだけの力を

貴方こそ僕に
与えたに違いない
今日という今日ばかりは
引き返せようか

社会の移ろう
人生の認めざるを得ない
華やかな取り上げだと
信じて疑わないんだ
入れ込むなら美しくにせよ
端的にいって

好きで好きで堪らない
堪らないくらい愛し合い
愛し合いながら溶けて行く

何はなくとも感じた

励み念

知らない世界へ
アンテナを伸ばすと青梅が酸っぱい
宇宙へと出てから
見返された地球の彼方には
自分は存在しないんだ

関心が低くて増えて来た
興味が薄くて湧いて来た
視野が狭くて
膨れて来た
判断力を

素晴らしく示そう
心から開放されるような仕方で
物事を説明したい
上手く行かなくて格好悪くても
意志は変えないと
冗談めかしたりしてしまっても
尽くされた誠意だ

親しげに
頭が良いと
誉められ得る
ある人へ

切なげに
胸が熱いと
匂わされ得る
ある人へ

申し訳なかった
少しだけ離れても
近寄られながら
ショックを与えて
考えていたのに

羽根が
天使の
ペンか

または
飛行機雲のくるりんぱか
たぶん
きっと

普通の何気ない話で
十分に楽しめる
幸せというか
地道な生活の中に
潜んでいる笑いも箪笥なんて
感じ出すほどにか
癒されるみたいだった
皆にとっては
違うとしても苛められずに済むかぎり
生き易くて
有り難いと守り抜き切るべく
姿を眩ませるよりも
空気に染まるかのような足掻きを
止めずにいたくならされる
僕だったのならば

是非とも輝きに煌めいて

乏しげに
手が深いと
嘆じられ得る
ある人へ

思い立ち

確かにもせよ
皆と仲良くできるかどうかなんて
海のものとも山のものとも付かない
向き直してみれば
恐ろしいくらい
頑張るのも一人では難しく
内面を覗き込んでは
打ち倒されるしかないような状態を
免れ得ないまま
悩み果て切りとは

僕に任せて
透き通った心で
触れ合いたいから

落ち込まずに
気持ちが暗くても
解き解してあげよう
貴方こそ

生きるとは素晴らしい
愛されながら噛み締められた幸せの
味わいは籠一杯の果物だった
知っておいて欲しくてか
全てを再び曇らせないためにも
取り組まなくてはならない

労苦は厭わない
大変でも構わないらしく

星に願って
光り輝いた心で
飛び出したいから

沈み込まずに
気持ちが抉くても
抱き抱えてくれよう
風色こそ

惜しんだりはしない

忽ち萎れ枯れ去ってしまいそうに

花の命は短くとも

入れ放しの力で

燃え尽きさせはしないんだ

僕に任せて
透き通った心で
触れ合いたいから

星に願って
光り輝いた心で
飛び出したいから

煌めき

貴方と二人で
過ごしている僕は
恋に夢中の気持ちみたい
浮かれ切って
失うまいと震えるくらい

そばにいるだけで
嬉しくなる想いがした
そばにいたのみで
羨しくなる感じがする

いつまで続くのだろう
箱の中の針鼠が這い出して行くように
見詰め合いながら
長くない幸せの儚さを味わうや

どこへと保つのだろう
町の上の雲雀も飛び降りて行くように
見詰め合いながら
広くない栄えの趣きを味わうや

貴方と一緒に
暮らしている僕は
愛に熱中の気持ちみたい
活かし捲って
背くまいと痺れるくらい

そばにいただけで
嬉しくなる感じがする
そばにいるのみで
羨しくなる想いがした

いつへと続くのだろう
森の中の紫蘭も揺れ動いて行くように
頬寄せ合いながら
広くない幸せの趣きを味わうや

どこまで保つのだろう
家の上の晴天が崩れ出して行くように
頬寄せ合いながら
長くない栄えの儚さを味わうや

笑われて
楽しくて
泣かれて
寂しくて

仕様がないか

宜しくて
結ばれて

素直な水

できるかぎりのことをしよう
心から応援してくれていた人のために
頑張っても意味がないなんて思われるから
生きる意欲が低下するんだ
曖昧なままにしたがっているのか
十分といえば十分かも知れないので
耳に入らない沈み込みなんだし
期待し過ぎても悪いだろう

それよりも何よりも
息を繰り返すのが気持ち良い
襲いかかられる不安感や恐怖心もなく
一日を無事に過ごせている
なんて平和なのだろう
苦しむよりも殆ど目線を下げて
皆と手を差し伸べ合うようにしたい

貴方は遠くから僕を窺っていた
何事かと考えへ心を砕いたに違いない
顔に出してしまったわけで
見方によっては余りに優し過ぎるものの
冴えない表情とも自分では感じて
嫌われても当然だと悔やんだ

普通にいうのは止めておく
世の中の動きは極めて複雑で
知性を越えた力も数多く働いているようだ
完璧に制御されることはあり得ない

気にするべきではないらしい
燃え尽きたって将来性が見失われる
人生を残してしまうならば
白か黒かではないとも察せられるんだし
癒されながら物事を捉えるのも好みで
信頼も少しずつ回復するべきだったみたい
関わり合いにはなれなかったので

魔法が解けない

何度目かは忘れたけれども
心配そうに顔を覗き込む仕草に惚れた
小首を傾げて歯に噛んだような
僅かながらの上目遣いが余りに可愛過ぎて
微笑みを返さずにはいられなくなり

どう思われたのかな
気になって仕方がないよ
嫌われてなければ良いと考えるだけ
仕様もなくて目で追うばかりで
分かるはずなどないのにね
どう思われるのかな

ワルツが広がる
天使の涙が降り止まないとしたら
リアルには背かないで
美しい人生の幕開けなのだから

できなかったことがある
はっきりいって
ギンガムチェックのシャツを着られない
釦を留めるにはどうすれば
手が動かないし
指も固くなってしまうんだ
プラスチックの丸みへ向かおうとしては
爪が滑り出すなんて
木綿の糸で縫われたギザギザにも
痛みを感じるなんて
他のシャツを選ぶしかなさそうなので
力は貸して欲しくない

優しさを得られた
蔑みもしないで聞いてくれて
空は見違えるほどの青さに喜んで
全てを出迎えてくれるよう

ちゃんとした人だな
不思議なくらい読めている
呼んでみたくもなるわけだった

独りでに振り返られる
絶対に離したくなかったみたい
待ち望まれた自由だろうか
遠ざけるにも忍びなく
付いて行くしかなかったと

男は満足して倒れた
女は納得して堪えた

なぜか知っている
二人とも誰かに似ていて
日頃は易しく
壁際は難しく
どうか消さないで
両方ともピザがあるゆえ
彼氏は楽しみ
彼女は幸せで

意地悪になっておしまい

願っていたはずの
レオタードとレッグウォーマーを探して
箪笥の中を掻き回していたら
ゴキブリも出て来ないし
本当に驚かされるにせよか
まるで三千年の夢から目覚めたかのようで
若々しい楓の並木道をトコトコ過ぎると
タイムカプセルを堀り当てて
何時以来とやおら震えながらも
財宝の山はブラックホールへ吸い込まれ
風に抱かれて落ちて来る地図も
ぐちゃぐちゃで判然とせず
人は簡単に変わるもの

なんだ
仲間たちが拍子木を打つ
なんだ
仲間たちが密談を交わす
なんだ
仲間たちが散ってしまう

感じたのかい
楽譜には記されない
クレッシェンドを

嗚呼
小さな煌めきや
駆け抜ける青春だった
胸を透かせる

狙われているようで

親しみを与えたい
遠ざけるなんて冷た過ぎるよ
双子座へ誓わなくても
自分らしくない

人生は面白いね
誠実なほどに深く愛されるとは
信頼度の為せるわざか

何もしてない

正月のせいならば
幸せな生活を手に入れさせよう
貴方のために力を尽くすのさ
有り難みへの恩返しとして
気分だけでは済まされない

見上げた空に
笑みを浮かべる天使こそ
僕も嬉しいからな

何かしておけ

素晴らしい出会いがある
待ちに待った瞬間ともいわれる
世にも稀な称賛だろう
付き合い方に裏打ちされて
襤褸も出ないかぎり
忘れられないどころか
覚えたくなくなりさえもする
世界は充溢して行く

皆への犠牲になって
さぞかしと労られながら
心の繋がりを保てるかどうかで
他には考えも及ばなかった

美しくは好きだから
豊かには寂しいゆえ
優しくは必要として

僕には不得手だな
性格の良さに曲がったことをするなんて
思い遣りを呑み込んで
先んじて感謝を表して来る貴方へは
鬼の首を取ったように
溜め息を吐かれてしまうことも

特別な印象ならば
普段通りに重なるまではか

白鷺は飛ばなかった
艶やかに羽搏いて
眼中へ収めずに

理解者

男性として君を
守ってやりたい
生まれてから出会うまでの分も
骨には埋められない

僕が知られなくて
どれだけ悲しませてしまったのだろう
神に負わされたんだ

可笑しいくらい自信を持って
君は距離を縮めるにしろ

奥床しい女性だった
邪魔臭くないように
怒らせてはならないのか
嫌がる気持ちにはなれない

だからもはや
大切にしようと決める

頭が上がらないくらい魅力的な存在だ

君がいないと目が回ってしまう
くらくら崩れ落ちて寝込みそうなので
苦にしないで欲しいものだ

場面に嵌まり過ぎても
想いを失ったわけではなかった
夢が叶えられたかのように
僕も根性を付けて

いっそのこと
追ってみても貰いたい
消えてしまわないうちに

焚き火でも良いが
通り口でも良いが

  • ブログの投稿者: 結城永人
  • タイトル: 夕凪への第一部|詩集
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