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些細な日常

あらましの第二部|詩集

Wolf

捨て去られ
恨みもしない
呪いもしないで

狼が遠く吠えるよ
 頭を高く上げながら
  月へ向けながら……

踏み躙られ
返しもしない
争いもしないで

狼が遠く吠えるよ
 背を柔く伸ばしながら
  都へ向けながら……

掴み嬲られ
受けもしない
逃げもしないで

狼が遠く吠えるよ
 尾を低く下げながら
  林へ向けながら……

Anniversary

溢れる愛情に
掌に

蝶が生まれる

充ちる情熱に
腕に

蝶が舞ってる

尽きぬ熱気に
脚に

蝶が踊ってる

湧ける気性に
踵に

蝶が浮いてる

衝ける性根に
背に

蝶が飾ってる

嵩んだ根性に
腹に

蝶が揺れてる

傾ける性向に
肩に

蝶が巡ってる

育める向上に
頭に

蝶が飛んでる

追想

身近で

後ろ手に
優しさを
湛える

人だった

鳥のように
まるで美しく
攫われる

恋だった

空なのかも
きっと美しく
繋がれば

追想

君が好き
誰よりも
僕は好き

疎遠で

俯き顔に
親しさを
滲ます

人だった

雲みたいに
まるで麗しく
活かせる

愛だった

空なのかも
きっと麗しく
交われば

追想

僕は好き
誰よりも
君が好き

Hyacinth

気にしないよ
良くも悪くも
真実は一つだ
信じてるのさ

微風に揺られ
幾重の花々へ
言葉を贈ろう
信じてるのさ

微風に揺られ
一つの自然に
輝ける喜びの
心魂を込める

気にしないよ
好きも嫌いも
現実は一つだ
愛してるのさ

旋風に巻かれ
幾重の花々へ
言葉を贈ろう
愛してるのさ

旋風に巻かれ
一つの自然に
香れる喜びの
心魂を込める

気にしないよ
甘いも苦いも
世界は一つだ
生きてるのさ

突風に煽られ
幾重の花々へ
言葉を贈ろう
生きてるのさ

突風に煽られ
一つの自然に
味わう喜びの
心魂を込める

気にしないよ
暑いも寒いも
生活は一つだ
歌ってるのさ

順風に促され
幾重の花々へ
言葉を贈ろう
歌ってるのさ

順風に促され
一つの自然に
奏する喜びの
心魂を込める

鈴蘭

平和の響きに
心を奪われてしまう
世界の外れで
聞き耳を立てながら

緑の葉に包まれ
並んでる花の幾つかに
鈴蘭の音色を感じる
穏やかな白さで

三日月の寝顔に
枕と観想される
夜更けの静けさで
浮き上がる詩だよ

平和の彩りに
魂を奪われてしまう
宇宙の極みで
見る目を据えながら

柔の葉に振られ
揃ってる花の幾つかに
鈴蘭の色調を感じる
円やかな弱さで

銀河系の首筋に
紐と想起される
朝焼けの華やぎで
落ち下がる詩だよ

ブリリアント

四月の風は温かい
桜の木を染めつつ
春霞の空へ抜ける
鮮やかに高らかと

 嘘かも知れない
 二人の接吻など
 仮に綻んだなら

誕生石こそ願える
余りに新し過ぎて
夢としか呼べない
吹き込む風と共に

 A diamond is forever

四月の水は温かい
山の燕を飾りつつ
春霞の川へ抜ける
清らかに緩やかと

 嘘かも知れない
 二人の握手など
 仮に乱れるなら

誕生石こそ祈れる
余りに新し過ぎて
幻としか呼べない
流れ込む水と共に

 A diamond is infinite

四月の石は温かい
陽の光を装いつつ
春霞の街へ抜ける
艶やかに滑らかと

 嘘かも知れない
 二人の抱擁など
 仮に裂けるなら

誕生石こそ懸ける
余りに新し過ぎて
現としか呼べない
転げ込む石と共に

 A diamond is substantial

四月の土は温かい
道の段を纏いつつ
春霞の島へ抜ける
朗らかに撓やかと

 嘘かも知れない
 二人の足取など
 仮に揺らぐなら

誕生石こそ捧げる
余りに新し過ぎて
世としか呼べない
盛り込む土と共に

 A diamond is natural

友情

毎日が神経質になると友達が欲しくなる
生き方そのものが共通の人間が必要なのさ

友達は気質的に勇敢でなくてはならない
悲しみの原因が除去されないと変わらない毎日だ

人生で本当に維持したい関係こそ友情と呼ぼう
初めて気楽になれる時空を確保されると思う

友達の生活が危険に曝されるのは許さない
正しく主張を行なう覚悟を持つんだ

Darkness

君を恋する
胸が苦しい

どうしても

僕は苦しい
胸を抱えた

なぜかしら

君は優しい
顔を表した

どうしても

僕を強める
顔が優しい

なぜかしら

君を愛する
腰が重たい

どうしても

僕は重たい
腰を放した

なぜかしら

君は親しい
手を表した

どうしても

僕を生かす
手が親しい

なぜかしら

君を求める
頭が疾しい

どうしても

僕は疾しい
頭を支えた

なぜかしら

君は温かい
血を表した

どうしても

僕を救える
血が温かい

なぜかしら

君を欲する
肌が哀しい

どうしても

僕は哀しい
肌を解いた

なぜかしら

君は小さい
霊を表した

どうしても

僕を満たす
霊が小さい

ざくろフレイバー

硝子が張り廻る部屋で
灯る蝋燭の台座が捻る
幾つもの支柱の暗部に
開閉しない扉が付いた

誰も分かってくれない
分かってくれない誰も

理想郷へ駿馬を跨ろう
拍車を掛けるのが良い
流れて行くのは詩人だ

Sing a song in peace

蔓草が絡み出す都市で
鳴く食卓の陶器が遮る
僅かもの回廊の静域に
束縛しない穴が掘れた

皆も認めてはくれない
認めてはくれない皆も

桃源郷へ気球を乗ろう
木片を焚けるのが良い
溶けて行くのは詩人だ

Draw a paint in calm

潮騒が揺れ動く海原で
響く漆喰の絨毯が隠す
幾つもの砂浜の闇夜に
継起しない時が刻んだ

僕も知ってはくれない
知ってはくれない僕も

理想郷へ野鳥を放とう
無事を送れるのが良い
見えてないのは詩人だ

Be alive with pieces

日輪が射し込む原野で
彩る瑠璃の手毬が募る
僅かもの草花の真昼に
間断しない場が遇った

君も考えてはくれない
考えてはくれない君も

桃源郷へ石碑を置こう
沙汰を受けるのが良い
聞けてないのは詩人だ

Be existent with key

風任せ

やがて
朝日は昇り
山裾へ潜めるのさ
憐れみを

黄玉は滑って
小池に嵌まる

ゆるやかな
下降線を辿りつつ
乞われた

音符が浮いて
藻屑と消える

取り留めない
愁いを抱き

水面は呻吟する……

さらに
朝日は昇り
裾野へ充てるのさ
憐れみを

緑玉は転んで
岸壁に斯かる

ゆるやかな
平行線を辿りつつ
乞われた

楽譜が滞って
鉄屑と過ぎる

取り次がない
愁いを具え

岩肌は呻吟する……

ついに
朝日は昇り
野分へ到らすのさ
憐れみを

紅玉は震えて
窪地に籠もる

ゆるやかな
境界線を辿りつつ
乞われた

譜面が張って
木屑と崩れる

取り付かない
愁いを寄せ

空気は呻吟する……

Vacance

どこでも行ける
気持ちを込めて

流星群が拡がる
芝生の丘の上で

ときめきなのさ
天使が宙返って

仄かな輝きへと
導かれてしまう

蛍が昂じてるよ
流れる滝の方で

行ってみるんだ
未知に誘われて

列車は通過する
忙しく惜しまず

月光が照らして
見て出せそうだ

明るい満月だよ
とてもやとても

花畑が続いてる
休暇が咲いてる

いつでも行ける
気持ちを込めて

積乱雲が延びる
太陽の空の下で

はためきなのさ
天使が腹這って

俄かな響きへと
促されてしまう

烏が騒いでるよ
貯まる池の方で

行ってみるんだ
未知に招かれて

建物は静止する
弛まずに忙しく

降雨が弾かせて
聞き出せそうだ

細かい霧雨だよ
まさかやまさか

弁当が保ってる
休暇が作れてる

北斗七星

途方に暮れる
沈黙を破って
生気が湧いた
頑張るんだと

北斗七星が煙らない

考え込んだよ
何から何まで
恰も夢の如く
行なわれてた

北斗七星が酔わない

路頭に迷える
透明を掻いて
気力が漲った
達するんだと

北斗七星が翳まない

思い込んだよ
何から何まで
恰も幻の如く
行なわれてた

北斗七星が陰らない

唐突に差せる
騒音を挽いて
力業が冴えた
命懸けんだと

北斗七星が去かない

感じ込んだよ
何から何まで
恰も嘘の如く
行なわれてた

北斗七星が吊らない

混沌に着ける
極色を捌いて
業苦が翻った
撤するんだと

北斗七星が下らない

覚え込んだよ
何から何まで
恰も偽の如く
行なわれてた

北斗七星が穢れない

万華鏡

覗いてごらん

生まれ変わる
戻って来れる

無駄じゃない
余計じゃない
不粋じゃない

選び抜かれ
抜き取られ
取り返され
返し渡され

決断
覚悟
期待
保持
躍進

剥き出しの林檎に
織り成しの炭酸に
打ち込みの街路に
絡み付きの金網に
締め切りの故郷に

白樺が揺れ動いた
水晶が張り詰めた
電灯が包み留めた
幽霊が繰り広げた

意義っていう
原典っていう
真髄っていう

変わり生める
来られ戻れる

廻してごらん

Aura violet

部屋は掃除され
椅子だけだった

妖精に花束を渡す

日常が何気ない
起立してるまま

便箋は開封され
窓枠だけだった

妖精に香水を渡す

普段が何分ない
定着してるまま

玄関は整頓され
把手だけだった

妖精に宝箱を渡す

普通が何事ない
傾倒してるまま

布団は乾燥され
模様だけだった

妖精に愛情を渡す

尋常が何回ない
解放してるまま

Minor planets

ある夜
無能力が現れて
充実できなくなり
弱りながら
考えた

僕は蛻の殻だと……

四方や
生きようとする
充実できないので
悲しみつつ
探した

僕が蛻の殻とは……

ある朝
無能力が現れて
溌剌できなくなり
弱りながら
感じた

僕は蛻の殻だと……

四方や
生きようとする
溌剌できないので
悲しみつつ
訪ねた

僕が蛻の殻とは……

ある昼
無能力が現れて
快活できなくなり
弱りながら
思った

僕は蛻の殻だと……

四方や
生きようとする
快活できないので
悲しみつつ
行った

僕が蛻の殻とは……

ある日
無能力が現れて
元気できなくなり
弱りながら
念じた

僕は蛻の殻だと……

四方や
生きようとする
元気できないので
悲しみつつ
旅した

僕が蛻の殻とは……

  • ブログの投稿者: 結城永人
  • タイトル: あらましの第二部|詩集
  • 最終更新: 

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