Wolf
捨て去られ
恨みもしない
呪いもしないで
狼が遠く吠えるよ
頭を高く上げながら
月へ向けながら……
踏み躙られ
返しもしない
争いもしないで
狼が遠く吠えるよ
背を柔く伸ばしながら
都へ向けながら……
掴み嬲られ
受けもしない
逃げもしないで
狼が遠く吠えるよ
尾を低く下げながら
林へ向けながら……
Anniversary
溢れる愛情に
掌に
蝶が生まれる
充ちる情熱に
腕に
蝶が舞ってる
尽きぬ熱気に
脚に
蝶が踊ってる
湧ける気性に
踵に
蝶が浮いてる
衝ける性根に
背に
蝶が飾ってる
嵩んだ根性に
腹に
蝶が揺れてる
傾ける性向に
肩に
蝶が巡ってる
育める向上に
頭に
蝶が飛んでる
追想
身近で
後ろ手に
優しさを
湛える
人だった
鳥のように
まるで美しく
攫われる
恋だった
空なのかも
きっと美しく
繋がれば
追想
君が好き
誰よりも
僕は好き
疎遠で
俯き顔に
親しさを
滲ます
人だった
雲みたいに
まるで麗しく
活かせる
愛だった
空なのかも
きっと麗しく
交われば
追想
僕は好き
誰よりも
君が好き
Hyacinth
気にしないよ
良くも悪くも
真実は一つだ
信じてるのさ
微風に揺られ
幾重の花々へ
言葉を贈ろう
信じてるのさ
微風に揺られ
一つの自然に
輝ける喜びの
心魂を込める
気にしないよ
好きも嫌いも
現実は一つだ
愛してるのさ
旋風に巻かれ
幾重の花々へ
言葉を贈ろう
愛してるのさ
旋風に巻かれ
一つの自然に
香れる喜びの
心魂を込める
気にしないよ
甘いも苦いも
世界は一つだ
生きてるのさ
突風に煽られ
幾重の花々へ
言葉を贈ろう
生きてるのさ
突風に煽られ
一つの自然に
味わう喜びの
心魂を込める
気にしないよ
暑いも寒いも
生活は一つだ
歌ってるのさ
順風に促され
幾重の花々へ
言葉を贈ろう
歌ってるのさ
順風に促され
一つの自然に
奏する喜びの
心魂を込める
鈴蘭
平和の響きに
心を奪われてしまう
世界の外れで
聞き耳を立てながら
緑の葉に包まれ
並んでる花の幾つかに
鈴蘭の音色を感じる
穏やかな白さで
三日月の寝顔に
枕と観想される
夜更けの静けさで
浮き上がる詩だよ
平和の彩りに
魂を奪われてしまう
宇宙の極みで
見る目を据えながら
柔の葉に振られ
揃ってる花の幾つかに
鈴蘭の色調を感じる
円やかな弱さで
銀河系の首筋に
紐と想起される
朝焼けの華やぎで
落ち下がる詩だよ
ブリリアント
四月の風は温かい
桜の木を染めつつ
春霞の空へ抜ける
鮮やかに高らかと
嘘かも知れない
二人の接吻など
仮に綻んだなら
誕生石こそ願える
余りに新し過ぎて
夢としか呼べない
吹き込む風と共に
A diamond is forever
四月の水は温かい
山の燕を飾りつつ
春霞の川へ抜ける
清らかに緩やかと
嘘かも知れない
二人の握手など
仮に乱れるなら
誕生石こそ祈れる
余りに新し過ぎて
幻としか呼べない
流れ込む水と共に
A diamond is infinite
四月の石は温かい
陽の光を装いつつ
春霞の街へ抜ける
艶やかに滑らかと
嘘かも知れない
二人の抱擁など
仮に裂けるなら
誕生石こそ懸ける
余りに新し過ぎて
現としか呼べない
転げ込む石と共に
A diamond is substantial
四月の土は温かい
道の段を纏いつつ
春霞の島へ抜ける
朗らかに撓やかと
嘘かも知れない
二人の足取など
仮に揺らぐなら
誕生石こそ捧げる
余りに新し過ぎて
世としか呼べない
盛り込む土と共に
A diamond is natural
友情
毎日が神経質になると友達が欲しくなる
生き方そのものが共通の人間が必要なのさ
友達は気質的に勇敢でなくてはならない
悲しみの原因が除去されないと変わらない毎日だ
人生で本当に維持したい関係こそ友情と呼ぼう
初めて気楽になれる時空を確保されると思う
友達の生活が危険に曝されるのは許さない
正しく主張を行なう覚悟を持つんだ
Darkness
君を恋する
胸が苦しい
どうしても
僕は苦しい
胸を抱えた
なぜかしら
君は優しい
顔を表した
どうしても
僕を強める
顔が優しい
なぜかしら
君を愛する
腰が重たい
どうしても
僕は重たい
腰を放した
なぜかしら
君は親しい
手を表した
どうしても
僕を生かす
手が親しい
なぜかしら
君を求める
頭が疾しい
どうしても
僕は疾しい
頭を支えた
なぜかしら
君は温かい
血を表した
どうしても
僕を救える
血が温かい
なぜかしら
君を欲する
肌が哀しい
どうしても
僕は哀しい
肌を解いた
なぜかしら
君は小さい
霊を表した
どうしても
僕を満たす
霊が小さい
ざくろフレイバー
硝子が張り廻る部屋で
灯る蝋燭の台座が捻る
幾つもの支柱の暗部に
開閉しない扉が付いた
誰も分かってくれない
分かってくれない誰も
理想郷へ駿馬を跨ろう
拍車を掛けるのが良い
流れて行くのは詩人だ
Sing a song in peace
蔓草が絡み出す都市で
鳴く食卓の陶器が遮る
僅かもの回廊の静域に
束縛しない穴が掘れた
皆も認めてはくれない
認めてはくれない皆も
桃源郷へ気球を乗ろう
木片を焚けるのが良い
溶けて行くのは詩人だ
Draw a paint in calm
潮騒が揺れ動く海原で
響く漆喰の絨毯が隠す
幾つもの砂浜の闇夜に
継起しない時が刻んだ
僕も知ってはくれない
知ってはくれない僕も
理想郷へ野鳥を放とう
無事を送れるのが良い
見えてないのは詩人だ
Be alive with pieces
日輪が射し込む原野で
彩る瑠璃の手毬が募る
僅かもの草花の真昼に
間断しない場が遇った
君も考えてはくれない
考えてはくれない君も
桃源郷へ石碑を置こう
沙汰を受けるのが良い
聞けてないのは詩人だ
Be existent with key
風任せ
やがて
朝日は昇り
山裾へ潜めるのさ
憐れみを
黄玉は滑って
小池に嵌まる
ゆるやかな
下降線を辿りつつ
乞われた
音符が浮いて
藻屑と消える
取り留めない
愁いを抱き
水面は呻吟する……
さらに
朝日は昇り
裾野へ充てるのさ
憐れみを
緑玉は転んで
岸壁に斯かる
ゆるやかな
平行線を辿りつつ
乞われた
楽譜が滞って
鉄屑と過ぎる
取り次がない
愁いを具え
岩肌は呻吟する……
ついに
朝日は昇り
野分へ到らすのさ
憐れみを
紅玉は震えて
窪地に籠もる
ゆるやかな
境界線を辿りつつ
乞われた
譜面が張って
木屑と崩れる
取り付かない
愁いを寄せ
空気は呻吟する……
Vacance
どこでも行ける
気持ちを込めて
流星群が拡がる
芝生の丘の上で
ときめきなのさ
天使が宙返って
仄かな輝きへと
導かれてしまう
蛍が昂じてるよ
流れる滝の方で
行ってみるんだ
未知に誘われて
列車は通過する
忙しく惜しまず
月光が照らして
見て出せそうだ
明るい満月だよ
とてもやとても
花畑が続いてる
休暇が咲いてる
いつでも行ける
気持ちを込めて
積乱雲が延びる
太陽の空の下で
はためきなのさ
天使が腹這って
俄かな響きへと
促されてしまう
烏が騒いでるよ
貯まる池の方で
行ってみるんだ
未知に招かれて
建物は静止する
弛まずに忙しく
降雨が弾かせて
聞き出せそうだ
細かい霧雨だよ
まさかやまさか
弁当が保ってる
休暇が作れてる
北斗七星
途方に暮れる
沈黙を破って
生気が湧いた
頑張るんだと
北斗七星が煙らない
考え込んだよ
何から何まで
恰も夢の如く
行なわれてた
北斗七星が酔わない
路頭に迷える
透明を掻いて
気力が漲った
達するんだと
北斗七星が翳まない
思い込んだよ
何から何まで
恰も幻の如く
行なわれてた
北斗七星が陰らない
唐突に差せる
騒音を挽いて
力業が冴えた
命懸けんだと
北斗七星が去かない
感じ込んだよ
何から何まで
恰も嘘の如く
行なわれてた
北斗七星が吊らない
混沌に着ける
極色を捌いて
業苦が翻った
撤するんだと
北斗七星が下らない
覚え込んだよ
何から何まで
恰も偽の如く
行なわれてた
北斗七星が穢れない
万華鏡
覗いてごらん
生まれ変わる
戻って来れる
無駄じゃない
余計じゃない
不粋じゃない
選び抜かれ
抜き取られ
取り返され
返し渡され
決断
覚悟
期待
保持
躍進
剥き出しの林檎に
織り成しの炭酸に
打ち込みの街路に
絡み付きの金網に
締め切りの故郷に
白樺が揺れ動いた
水晶が張り詰めた
電灯が包み留めた
幽霊が繰り広げた
意義っていう
原典っていう
真髄っていう
変わり生める
来られ戻れる
廻してごらん
Aura violet
部屋は掃除され
椅子だけだった
妖精に花束を渡す
日常が何気ない
起立してるまま
便箋は開封され
窓枠だけだった
妖精に香水を渡す
普段が何分ない
定着してるまま
玄関は整頓され
把手だけだった
妖精に宝箱を渡す
普通が何事ない
傾倒してるまま
布団は乾燥され
模様だけだった
妖精に愛情を渡す
尋常が何回ない
解放してるまま
Minor planets
ある夜
無能力が現れて
充実できなくなり
弱りながら
考えた
僕は蛻の殻だと……
四方や
生きようとする
充実できないので
悲しみつつ
探した
僕が蛻の殻とは……
ある朝
無能力が現れて
溌剌できなくなり
弱りながら
感じた
僕は蛻の殻だと……
四方や
生きようとする
溌剌できないので
悲しみつつ
訪ねた
僕が蛻の殻とは……
ある昼
無能力が現れて
快活できなくなり
弱りながら
思った
僕は蛻の殻だと……
四方や
生きようとする
快活できないので
悲しみつつ
行った
僕が蛻の殻とは……
ある日
無能力が現れて
元気できなくなり
弱りながら
念じた
僕は蛻の殻だと……
四方や
生きようとする
元気できないので
悲しみつつ
旅した
僕が蛻の殻とは……
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