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些細な日常

切れ込みの第二部|詩集

良いふうになるように

人生は何が起こるか判らない

悪くても諦めなくて良いね
酷くても穢れなくて良いね
恐くても挫けなくて良いね

重要なのは知っているかどうか
知らないと
良くなくて構わないのではないかと考えたがる
知るために
わざわざ悲しみを生きようとする
黙りかけて初めて知るんだ
良くないと不味いって
面目も丸潰れだ
悲しみにも笑いがあるわけではなかったら
笑い得る悲しみこそ仮題だったに違いにない
知らないから黙りかけるまでおよそ
恥ずかしくもなる
何を行っていたんだ
誰も止めなかったのか
悲しみは良くないと
不味いと考えなくては知らないせいさ

諦めてしまっても
穢れてしまっても
挫けてしまっても

成り行きだがただし良いね

人間は変わらないのかどうか
どうなるのかも判りはしない

匙を投げられた死

僕も怒っては疲れるだけだ
ぐったりしながら考える
意思で全てを負うべきなんだ
好きにさせて貰うしかなかった

拒絶と否認の嵐の中で
救われようもなく
藻掻いている
僕が動かせないかぎり
どうしたって
どうしたって
救われようはない
前提されない世の中だ
どうもするな

死へ匙を投げてしまった
何もかも終わりではないか
消えてなくなる先を待ちながら

好きにさせて貰うしかないんだ
猿を笑わせるためではない

猿を笑わせるためだろうか
僕で受けを狙っていれば

何かも終わってやしなかった
好きにさせて貰うよりもあるか

問いかけたのは
身を挺しながら
止めずに来たのは
今までずっと
従いたかったんだ
僕といって良い

定義の朝

田圃の隣接地に飛べない鳥が歩いていた
烏で跳ねているのは片脚を怪我したためか
蝶結びで留めた包帯を巻いている脚がはっきり見える
目を閉じてみても頭に浮かんで来る蝶結びだった
開けた目には烏の飛べない姿しかない

神秘的な見解なので
不用意に受け取らないで欲しい
生き延びるかどうかによって
確認され得る事柄について
予め保証しておくには
難がある場合だが
気休めとして
取り入れて貰いたいんだ

すなわち
愛が肝心という
運命を引き寄せるために
人が寄って来易くなり
己も取り逃がさなくならないか

推してみれば注文した品目を配達する過程が時計を動かしてしまうような

閻魔は否定する
地獄の親玉は手先の
死神や悪魔を嗾けるのだった
僕だけでも身を以て存命を
誇示するにも拘わらず
只単に偶発的な所産だと
尤も思考しなければ
現在もなかったはずなので
論拠の可能性は物の見事に持つ
駁するや連中は世界の涙で
消し去られて行った

自転車に乗って近所を徐ろに走っていた
咲き並んだ喇叭水仙には恰も懐かれる如く
心臓は今までよりも鼓動を強めていた
滑って転んだりもしないで気分も実に優れた

曼陀羅華

残暑の烈しい陽射しを受けて
汗だくになりながら道を歩いた
用事があって避けようもない
少なくとも生きるためだからか
急がなくて構わないとしても
帰りは流石に一休みしたかった

自宅へ着くや
レッサーパンダがいた
床に這い蹲って
頭を撫でてみると子供らしい
動きも鈍くて逃げ出さず
静かに息をするまま
リラックスできる
空想だった

焼きそばが欲しい
腹拵えにといって
何をするわけでもない
暫く経ってスナック菓子を
食べながら小腹が
空いていたんだと思った
気にもかけずに

専ら涼やかだった
夏も終わりに近付くと
日陰が実に過ごし易いもので
外へ足を向けても探してしまう
温度差が大きくなるのかしら
喉の乾きも潤さなくてはならず
コップ一杯の水の
美味しいこと

実在でさえも最早

血が黒ずんで行く
繋ぎ留める副え木も朽ちた
屍と化した社会の謂いだ
部品の老いさらばえた
計測装置も剥落し
羽搏いている時間帯と共に
見るだにぞっと
意識は深い眠りへ入ったまま
揺り動かされども
声を上げない

風に守られる
苔蒸した秘密裡の手紙は
封筒ごと破り捨てられたか
海外産の置物は
鋼鉄の卵形で自ずから
立つべき土台を掠め取られたか
開かないでいる
抱きもしてやしない
心情で刻まれた
祈りを考えるのみか

連れ去った雅の元で
地響きを貯蔵する闇の側だ
華は夢の繰り返す中を
気も漫ろな緩い柵の方へ
学び取った神の間で
厄払いを分泌する国の横だ
詩は幻の突き出す奥を
善も虚ろな鈍い理の頃へ

氷は熟し捲り
仄かな知覚も指折りだったと
皆に訴えるのか

良い顔も玉に傷

いうと皆に嫌われるのを恐れる余り
首も回らなくなっては致命的だ
我を張って敵を増やすよりも仲良く幸せになれたのではと考えていた
ところが何やら見当も付かなければ拒まれ易いのが世の中なので……
恋愛でも人生でも同じかも知れない
一つとして攻められない気持ちは好かれたがらないと駄目さ
積極的に前に出ろ
前に出て丁度良いくらい世の中に対して引いてないかしら
いつまでも絶望のど真ん中で蕎麦を啜るような暇があるとはかぎらない
死んでしまう者だっているんだ
または自殺しようとしたり
僕には‘おさらば’こそ目に見えて鬱陶しいよ
助けて貰うためには主張する手しかない
いっそ叩かれなくても搾られてや自分らしさじゃない
悲しみで一杯だ
人々に求められるかどうかの力試しとも認めるけど
できるかぎりのことはしておかなくてはならない
結果は神のみぞ知る
そして世の中も忙しさが華だから
夢を形にして行くことが重要だね
済まないなんて迷惑もかけっ放しで実は伝わってないとかなるのもはっきりさせた
希う

スピリチュアルへようこそ

人生の指針は憩えるかどうかなんだ
見習うべき点が多々と転がっているそこはまるで放っておかれるせいではなかったという
ある日 弱さを晒け出していたことが思い浮かべられる
要するに‘らしくない’ためだ
どうなったか
分かってくれる/大きかった/貴方は人として
現実に見習うのはなぜかというと憩える
教訓ならば‘死角を突くな’だろう
もしも已むを得ない場合は正直さを投げ出してはならない
世の中に全てを認めさせるほどの覚悟がないと厳しいのではないか
僕だってやってしまいながら取り替えしも付かなくなるんだもの
心から良いと思って近付かれるなんて夢にも思われない
縦しんば自分を蔑ろにしたままで咎められてしまうのが落ち

小さなことかも知れないけれども訊かれたらちゃんと応えたいし
返し方に詰まっては口を閉じても泣きたかった感じになる
悔しい
言葉のマジシャンですらも
否 本当は大丈夫なんだ
見習うとさ 誰に背かれて打ち萎えてしまうか/知るのは接触した貴方しかいないので
正直さは受け入れて貰えるよね
数奇か機会が設けられて新たに解き解せたらほっとする気分も如何程だろう
味わわれない有り難みはなかった
祈るや遍に

君へ光を束ねて

気付かれたのは運命を望んでも人生の可能性が余りに低過ぎるということ
叶えられるか叶えられないか何れにしても夢見られていたのは奇跡ではなかったか
直隠しに難しがって成果を得られないと自分で自分の首でも絞めるように命こそ危ぶみながら
本当のところは皆目と見当も付かないままでは致し方がない

風が頬を優しく撫でるにせよ

股間に響く強かさにせよ

朗らかな伸び上がる背中にせよ

結果的にはたとえ人それぞれだとしても受け入れられずにはどうにもならない現状だった
考えると少ない運命よりも多い奇跡を想定する言動が自らにとって好都合というか
望みだけでは食い扶持に欠けるとか叶わずにも張り切らないつもりではないけれども

夢を味わうための永遠性が目標ならば諸出しにしないようなわざもないはずなんだ
的確に捉えたいかぎりは実力と見合った方位へ速やかに切り返すべきと信じる

可愛らしく覗いた臍にしろ
閃いた髪の毛の柔らかさにしろ
腰も撓やかな佇まいにしろ

脇目を振らない情熱を

美しいと思う
アフリカで頭に荷物を載せて運んでいる人たちの
しんないとしてスマートな立ち姿だ
背筋へ風情が艶かしく訴えられる

貴方も同じように
美しいと思う
さもなければ可愛かったらしい
奇天烈な柄の服装をしているのは当て付けか
髪型も風変わりなのはなぜだろう
気にならないと話を引っ張りもしないで
独りを楽しんでいるみたく

美しいと思う
魂はまるで夕日の手前で旋回する優しさだった
流石ではなく案外よりも自然なので
美しいと思う

いいそびれてしまった
綺麗だとも吝かではない
僕は無色のオーラを身に付けたばかりだ
美しいと思う
空気のつもりで満ちてなければ減りもしない
相応しいに違いないと選んだ

美しいと思う
乾き切った水星が太陽の周りで懇願を司るとしたら
心の栞は歴史の押し花にならなくはなさそうだ

二三日で人は変わる

その話、嫌い。

という悩みにお困りの貴方に画期的な新薬の登場をご案内させて頂きます。
静粛に。
ご安心下さい、詩ですので。副作用等、心配する必要もご座いません。聞こえますか。

聞こえません、
良くは。否、余り良く声が届かないのはなぜ。

見違えるまでには二十四時間では足りませんでしたか。

詩って。

はい。

もしかして詩のことなんですね。

承っております。

チリンチリン。

作者様、
真実の棒をお持ち致しました。

ありがたい。しかし、一体、誰なんだ。

え、誰ですって。

綺麗ですね。
お気に召されないのではないかと
初っ端から内心ではヒヤヒヤしておりましたが。

そんな。

大丈夫です。いらっしゃって四十八時間が経過した際には天使たちのスペースも ご利用頂けるように取り計らってあります。

ところで
随分と甘い匂いのする
お部屋なんですね。

恐縮します。壁は大理石で、暖炉も置き、絨毯は芝生並み。納得して頂くと此方も幸いです。何かお持ちしますか。

要りません、何も。

七二十時間を直にも越えてしまいました。

良いんです。

良いんですか。

それに優しさでした。

永遠の
ですよ。

たぶん、かも知れない。

聞こえます。ふんと仰られるならばお待ちしておりますので、
また是非ともお越し下さいませ。
では。

消えた。本当に来ても。分からないわ。
少しも揶揄われたなんて

黄色い星の勲章

知っているだろうか
ちゃっかりしてもしなくても
君こそ僕の全てならば
明日に見る夢は誇りを持って
ということを

世界に顔が立つ
顔の立った世界で
世界へ顔は立ち
顔も立てる世界だ

四つの角に一つの角が
新しく付け加えられるとき
黄色い星の勲章は
やおらダイアモンドだった
求めて止まないとの
理想の現し身だったゆえに
打ち輝いて感じるに違いないし

上も下もなく
心を許し合われる仲だもの
レストランへ別れを告げた
夜風で絡まりながら
摘まれなかった恋の芽も
震えるような懐かしみと重なる

悟らせないままの
明日に見る夢は誇りを持って
忘れられなどせず
引き受けた無二が愛しい

叫び声の届くかぎりよ

人生を決めた出会いがある
貴方の気持ちも親しまずに
時期こそ過ぎてしまえども
振り返れば感謝の極みかも
言葉にならなかった総てを
今改めて実直と噛み締める

轡を解かれた馬たちは
勝手気儘に蹄を駆る
柵へ打つかるのを避けながら
馬たちは思い思いで過ごす
富良野の広大な牧場だ
遠足の児童たちか
生えていた牧草を毟り取り
小さな手で差し出すのだった
寄って来た面長が驚異的で
児童たちも喚き出したり
面白がって戯れたりしていた
昼食の時間になると
白地に花柄のシートを敷いて
海老の天麩羅等を

黙っていても良かったんだ
喜ばしく受け留めて貰った
確かに変化も著しい原点だ

浮浪者へは雨が降った
小路を走り行くのは熊鼠で
捨てられたキャベツも仄白く
湯気を立てる朝霧に
植え込みの毛虫も光っていた

地球の裏側では
ランウェイを行く
ファッションモデルだ
肘を曲げて腰辺りに手を着けて
歩を探るように伸ばした
寸刻の脚が況んや
羚羊の姿を思わせるので
険しい断崖絶壁も物ともしない
息を呑んで目を凝らすや
空想も歯止めが利かなくなり
金鉱で汗臭く掘り出した
極僅かな価値の重みを
胸ポケットに入れておいて
生きた心地を味わう

飛行機雲が流れていた
聞こえて来るメロディに
偲ばれるばかりの空も
数知れない思い出だった

無難印

テレビの横の小さな水槽の中に目高が何匹か泳いでいる
群れを成すようにピキピキ同じような方向を向いて
または疎らにはぐれて泳ぐ目高も少しだけいるのだった
殆どは褐色だったものの乳白色も二三匹紛れたりしながら
淡水の底に敷かれた土塊も巻き上げられて舞い続ける

静かな気持ちがしたので
幸せというものかと
考えるともなく言葉を呑んだ
儘ならない実態への憂いが
憤りを通り越したのは
経験には他ならなかったにしろ
凝りが残るのだった
苦しい胸のうちは時空を抱かず
保たれた黙想へ消化したまま
行く宛もないはずならば
悪いとするせいではなくて
可笑しいくらい
詰まらなくて楽しかったが
腹ペコに牛丼を掻き込み
座布団で一人寂しく
趣きへ興じる暇はない
外は雨降りなのかどうかも
腰を起こしてみるよりや
忍び寄る夜の闇で
癒しが感じられ得るようだった
居間の明かりを消さないか
寝に立つのもまだ早いし
暫く振りに生じた記憶もなく
漠として如何許りだ

親和力

徐ろに琥珀色のサングラスを外してみせて
儲けたつもりな財布の蓋は固く閉め込んでいて
ティアドロップならばペンダントにして
風に残る痛みも暫く振りに増して来て

どうにもこうにも
太刀打ちできないと
夙に感じられるどころか
切に願うしかなかった

透け透けの気分で
名付けようもないまんま
未だに抱え続けながら

探偵紛いのコートなんざ勝手に包まって
見境もなく追い回そうとも強いて認められなくて
花束一つが誰のためでも構わなくなって

どうにかこうにか
切り盛りされてさえも
偏に従うしかないとは

散り散りの身分だ
神懸けようもないぐらい
幻げに取り止めども

透け透けの気分で
名付けようもないまんま
未だに抱え続けながら

  • ブログの投稿者: 結城永人
  • タイトル: 切れ込みの第二部|詩集
  • 最終更新: 

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