松尾芭蕉の二十四歳頃の貞門派の俳句の作風

松尾芭蕉 の約三十年に亘る俳句人生で作風の変遷が幾つかあってどんなものかを探るために本稿は二十四歳頃の貞門派の俳句について考える。 俳号は宗房で季語は山桜の春の句 奈良長谷寺の桜が満開 by みいみいE うかれける人や初瀬の山桜 仮名と訳文 うかれけるひとやはつせのやまざくら 浮かれる人が凄い、初瀬の山桜に。 松尾宗房/ 続山井 (仮名と訳文は筆者) 句中の「初瀬」は奈良県桜井市の長谷寺の桜の名所を指す。 古典に傾倒する 貞門派 として次のような短歌に準えて詠まれたようだ。 憂かりける人を初瀬の山おろしよはげしかれとは祈らぬものを 仮名と訳文 うかりけるひとをはつせのやまおろしよはげしかれとはいのらぬものを 連れない人を、初瀬の山颪よ、そんな酷くあって欲しいと祈らないのに。 源俊頼 / 千載集 (仮名と訳文は筆者) これは 百人一首 にも選ばれているから日本で最も秀でた和歌の一つといえる。平安時代…