井上尚弥のPFPランキング一位の世界最強ボクサーの所以 結城永人 - 2022年6月14日 (火) プロボクサーの井上尚弥が六月七日のノニト・ドネアとバンタム級で自身のWBAスーパーとIBFと相手のWBCのタイトルを賭けた試合に2ラウンド1分24秒のレフリーストップTKOで勝利して日本人で初めて三団体統一の世界チャンピオンになるという快挙を成し遂げた。 井上尚弥|井上尚弥 Naoya Inoue 凄いと驚くけど、しかしもっと凄いことに三日後の六月十日にボクシング雑誌のThe Ringが決定する全階級での強さを評定するPFP(Pound For Poured/パウンドフォーパウンド)ランキングでやはり日本人で初めて一位に選ばれて世界最強ボクサーの称号を得ることになった。 大変な快挙で素晴らしいという言葉しかないと感じる。今後、バンタム級で残りのWBOを取って四団体統一やもう既に軽いライトフライ級とスーパーフライ級から上げて三階級を制覇しているので、さらに重いスーパーバンタム級などへ階級制覇を増やして行くかも知れない。現在、二十九歳で衰えるどころか生涯最高の成績、しかも23戦23勝0敗20KOという圧巻の内容だからまだまだ成長する可能性こそ大きい。日本ボクシング史上でも最高に傑出した選手と目されてもはや生きる伝説とも過言ではない存在感を示している。どんな試合を行うかへ期待は高まるばかりだ。 井上尚弥のパンチの重量級並みの破壊力 The Ring|RingTV 今回のノニト・ドネアの通算二回目となる試合の三団体統一戦で井上尚弥のボクシングを初めて観たけれども本当に驚くべき内容で衝撃を受けた。 ボクシングというと個人的にヘビー級で人類史上最強かも知れないマイク・タイソンの全盛期の試合を観ていて最も忘れ難い印象を衝撃的に受けた。今でも偶にYouTubeで観るけれども信じられない強さを誇っている。相手の近くに素早く飛び込んで両腕を振り回している間に堪らない相手が勝手に倒れてしまうみたいな感じで、簡単に勝つのが凄いし、本当に面白いんだ。それ以来、ダウンが少なくて、中々、倒れないような軽量級のボクシングは魅力が薄れたかも知れないし、日本人の選手は多いけれども余り観なくなった。世の中も一撃必殺のK-1や総合格闘技がブームになって大きく盛り上がる中で僕もそれらは良く観ていた。しかし選手の怪我が酷かったり、試合のバターンが分かったりして昨今はボクシングでも何でも格闘技自体に以前ほどは注目しなくなっている。 モンスターの異名は決して伊達ではないから面白い The Monster: Naoya Inoue | FULL EPISODE|Top Rank Boxing 井上尚弥のボクシングは軽量級だけれどもマイク・タイソンを思い起こさせるくらい凄いと衝撃を受ける。 何よりもパンチの破壊力が飛び抜けている。マイク・タイソンは「アイアン」(鉄)と呼ばれていたけれども井上尚弥も異名があって「モンスター」(怪物)と呼ばれている。所属する大橋ジムの会長が出身の横浜高校の後輩の松坂大輔が高校野球で「平成の怪物」と呼ばれていたのを真似した。 「自分は横浜高校出身で、甲子園で活躍した横浜高校の後輩、松坂大輔選手の“怪物”というニックネームがすごく好きだったんです。自分のところの選手にもいつかつけられたらいいなと思っていました。そこに尚弥が現れたんです。デビュー戦のときに怪物で、いずれ米国に行くときにモンスターに変わる、というのが当初の考えでした」 大橋秀行/井上尚弥、適正階級はスーパーバンタム!? 大橋会長が描く将来像「37歳まで現役なら」|THE ANSWERS|Creative2 実際、KO率が非常に高いことでも並外れたパンチ力は示されている。現在の戦績の23勝20KOからすると八割五分以上て、大半の試合で相手は倒されている。軽量級だと動きが速過ぎてパンチが巧く当たっているかどうかがはっきり見分けられないことも多いけど、しかし連打ではなく、一発で大きくぐら付かせたり、相手を倒してしまうところが凄まじいパンチ力を実感させて重量級のマイク・タイソンと似ている。そしてモンスターと呼ばれるのも本当に誇張ではなく、当然だと唸らされる。 井上尚弥|井上尚弥 Naoya Inoue ノニト・ドネアも1ラウンドの終了間際に右ストレートの一発でダウンをぐらぐらに取られている。 ダメージが残ったまま、次のラウンドでは持ち堪えられず、最後も井上尚弥の手数は多かったものの左フックの一発で止めを刺されるようにマットに沈められた。 井上尚弥、この試合で圧倒的なスピードとパワーを見せたんですけれどもその上に素晴らしいテクニックを見せました。もちろん井上尚弥の特徴はスピードとパワー、でも考えてみるとスピードとパワーを持っているボクサーは、沢山、います。ただそのスピードとパワー、そしてテクニック、そして作戦を使える、ファイトIQを持っている、パンチをコンビネーションで打つ、上下、打ち分ける、それを、全部、持っているボクサーは、まあ、一人しかいないかも知れません。それは井上尚弥、モンスター。 衝撃KO!技術がヤバすぎる|井上尚弥VS.ノニト・ドネア2を分析|FamilytimeFT / 格闘技エンタメCH FamilytimeFTの解説によると井上尚弥が最も良いのは相手のガードの隙間を狙うことができるほどのパンチの正確性が挙げられていてなるほどと感じた。 一発で勝つのはパンチの破壊力が凄まじいだけではなく、しっかり当てられることも欠かせない要素になっている。またはしっかり当ててダメージを相手に蓄積できればパンチ力がなくても勝てるかも知れないとするとパンチの正確性が何よりも大事ともいえなくはない。 井上尚弥は防具を付けても倒すから嫌がられて練習相手を探すのも大変といわれるくらいなので、パンチの破壊力が凄まじいのは間違いないだろう。それに加えて正確性もずば抜けているとすると試合では手が付けられないに等しいという点で、やはりモンスターの異名がぴったりだと思う。 むろん防御や作戦も含めて総合的に良いからこそPFPランキングで一位という世界最強ボクサーの称号を得られるにせよ、試合で相手を劇的に打ち負かす、観て最も面白いボクシングができる数少ない選手であることも間違いない。 ボクシング経験者の井上尚弥への評価 【試合解説】井上尚弥VSドネア②を見て、井上尚弥はまだまだ伸びる、伸び代しかない|具志堅用高のネクストチャレンジ 日本ボクシング史上、最高に傑出した選手、もはや生きる伝説と感じるモンスター、井上尚弥をボクシング経験者がどう捉えるかも興味深いし、さらにボクサーとして理解する手がかりになるから今回のノニト・ドネアとの三団体統一戦へのコメントを取り上げたい。 具志堅用高のコメント 一言でいえば強いということなんですよね。はい。全てに強いんですよ。んん。リングを降りても戦う前のコンディション作り、自分を戦う身体に持って行くまでの調整、練習、それも100%以上に私はやっているんじゃないかと思いますね。 【試合解説】井上尚弥VSドネア②を見て、井上尚弥はまだまだ伸びる、伸び代しかない|具志堅用高のネクストチャレンジ 渡嘉敷勝男のコメント 気合いの入り方がもう凄いもん。今までの試合の気合いの入り方とやっぱり、全然、違いますからね。否、集中力のあるときの井上チャンピオンはこんなに強いのかという。もう100%の力でしたね。まあ、本人も今回は100%の出来だっていってたけど、確かにそうですよね、100%、私たちも、私もこれほどの戦いを見たこと、ないですね、過去に。色んな世界チャンピオンでも見てるけど、こんなに鮮やかにスピーディーに当て勘の良さで倒してる。まあ、100%、百点ですよね。素晴らしい。 【実演!】完全解説!井上尚弥 VS.ノニト・ドネア 2 「芸術的KO!100点満点だ!」|「渡嘉敷勝男公式」トカちゃんねる 竹原慎二のコメント 距離の取り方が良いね。俺はいつもね、色んな人にいうんだけど、磁石のS極とN極なの。あの守るときはね、向こうが来たら同じように下がって、ね、来るわけよ、向こうが来た場合よ。自分が攻撃するときはSとNになってパッと攻撃して打ち終わったら、又、S極とS極で、距離を取り合って行く。それができるんだよね。 【大勝利】ぶっちゃけ生配信では語りきれない井上尚弥対ドネア戦について|竹原テレビ 内山高志のコメント 尚弥がね、又凄いのが、ちゃんとこの相手が効いてるって分かった状態でも、パーパーパン、打って身体を絶対に動かすんですよ。だから相手のも打ち合うよりも貰わないんですよ。普通だったらもう効いてると思ったら、皆、グワーンと行っちゃうじゃないですか、そのまんま。そう行かないで、ちゃんと打った後にしっかり身体を動かすんですよね。そこがやっぱり凄いなあ。 【スゴ過ぎ!】井上尚弥 vs ノニト・ドネア👊「○○級まで行ける!!」内山がリングサイドで観戦!視聴者の皆様、真夜中にすみません…。 |内山高志KOチャンネル 浜田剛史のコメント 合計すると2ラウンドの1分24秒ですか。そうすると、1ラウンド、終わるのとインターバルを入れても6分弱。この6分弱は恐らく秒単位で井上君は頭に入っていると思いますよね。それぐらい冷静で、そして有言実行したと。 「海外のファンも井上を見たがっている!」2022/6/7 井上尚弥 VS ノニト・ドネア 2 試合解説|浜田剛史チャンネル 井上尚弥の最も驚くべき部分は1ラウンドの終了間際にノニト・ドネアからダウンを奪ったパンチで、自分の左ジャブへの相手の右ストレートのカウンターの出鼻を右ストレートで挫いた。フェイントで誘ったような形になっていてそれこそ漫画/アニメのあしたのジョーの名場面で知られるクロスカウンターのようなタイミングから正しく電光石火の早業で仕留めた。 井上は「スローで見ると、こういうことやってるんだってわかるんですけど、ドネアのカウンターに対して、フェイントかけて打ったっていう感覚はないんですよ。ただ、ドネアの得意なカウンターは常に意識して練習してきていたので。考えるというより体が反応していた」と明かした。 井上尚弥 ドネア戦で見せた「マンガ超え」の瞬間「体が反応していた」 松本人志、河合ゆずるも仰天|日刊スポーツ|日刊スポーツNEWS 2019年の一回目の対戦で12ラウンドの判定勝ちを収めたものの痛打されて眼窩底や鼻の骨折まで強いられたノニト・ドネアの強烈なカウンター攻撃を良く研究した成果が出された。 圧倒的な優勢で最後まで気を抜かないところもボクシング経験者が口を揃えて称えていたけど、やはりノニト・ドネアとの一回目の対戦よりも成長した要素として挙げられるんだ。 ボクシングの個々の能力に加えて試合運びも格段に向上して盤石の体制で戦えるようになって来た。 コメント 新しい投稿 前の投稿
コメント