LGBTQIA+で考える性の多様性 結城永人 -2022年6月8日 (水) LGBTQIA+は主にシスジェンダー(Cisgender/生まれ付きの性状、または性器の性別を受け入れる人)を除く性的少数者を性的指向や性自認で分類して英語の頭文字で表したもので、元々はLGBだけで始まったらしいけど、1990年代から世界的に良く使われるようになり、その後、別の四つのタイプのTQIAとその他の+が新しく追加されてLGBTQIA+になった。 性的指向(Sexual orientation) どのような相手を性的に好むか。 性自認(Gender identity) どのような自分を性的に肯うか。 人間の性の多様性を捉える二つの基本的な概念として性的指向と性自認がある。性的指向は相手に対して決まり、性自認は自分に対して決まる。大抵は異性愛者(ヘテロセクシャル)として相反している――男という男と女という女の恋愛関係になる――けど、しかし同性愛者(ホモセクシャル)は合致していたり、性的指向と性自認の組み合わせによって様々なタイプが考えられる。纏めた一例がLGBTQIA+だ。性の在り方は誰でも同じではないことを知り、かりに性的少数者ならば拒否せずに容認することが世の中から差別を減らすことに繋がる。 LGBTQIA+のそれぞれの意味 L:レズビアン/Lesbian 女性の同性愛者 性的指向_女性自認_女 自分は女性という女性が同性となる女性に惹かれる。 G:ゲイ/Gay 男性の同性愛者 性的指向_男性自認_男 自分は男性という男性が同性となる男性に惹かれる。 B:バイセクシャル/Bisexual 男女の両性愛者 性的指向_男と女性自認_それぞれ 二つの性に同じくらい惹かれるとはかぎらず、男か女のどちらかに強く惹かれることもある。 T:トランスジェンダー/Transgender 心身の性別の不一致 性的指向_それぞれ性自認_外見と反対の男か女 女性の男装や男性の化粧など、自分以外の性に気持ちとして憧れたりすることは含まれない。 Q:クィア/Queerかクエスチョニング/Questioning LGBTで捉えられない性状 性的指向_何か性自認_何か クィアは専ら変態などの社会的に釈然としないような性状を指す。 クィアは政治性を唱えるとか違法性に関わるなんて場合もあり、本人がそう呼ばれることを望むとはかぎらない。 クィアに含まれる典型的なものノンバイナリー/Non-binary:男女以外の性別を要求する。ジェンダーフルイド/Gender fluid:男女の性別を行き来する。ジェンダークィア/Genderqueer:既存の性差の認識を拒絶する。ジェンダーノンコンフォーミング/Gender non-conforming:性別の常識的な規範に従わない。 どれも同じような意味で使われ得るし、それぞれに似通った部分があり、日本ではXジェンダーとも呼ばれる。 クエスチョニングは専ら少年などの個人的に判然としないような性状を指す。 I:インターセックス/Intersex 男女が判別されない身体 性的指向_それぞれ性自認_何か 性分化疾患などで男女とも呼べたり、呼べなかったりするような人を指す。 多くの場合、病気や不本意な施術に関わるし、本人がそう呼ばれることを望むとはかぎらない。 A:アセクシャル/Asexual 全ての無性愛者 性的指向_なし性自認_それぞれ 定まった性愛の対象を持たないという点ではLGBTQ以外だけれども性行為以外の愛着(誰かに精神的な魅力を感じる/恋愛感情を持つこと)が重なり得る。 性欲については禁欲主義などの自分の意思で性欲を断つべく性行為を拒むことは含まれず、加えて個人差があり、大体は少なくて性行為を望まないけれども多くてそうなる場合もあるので、性欲がない人がアセクシャルともかぎらない。 +:プラス/Plus 前述のタイプに属さないタイプ 性的指向_種々性自認_種々 表記に含まれない性的少数者の存在を示唆する。 性の多様性についてLGBTなどの頭文字をどこまで入れて示すかは何かで定められているわけではない。場合によってもっと短かったり、長かったりしても性の多様性のタイプの頭文字の意味が変わることは基本的にない。変わるとしたら同じものが重なって取捨選択されるようなことがあり得るのを注意したい。 性の多様性のその他のタイプ LGBTQIA+の+から頭文字を追加してもっと長いとLGBTTQQIAAPPO2Sが特に使われる。どんな意味なのかも一つずつ覚えておきたい。 Tの片方はトランスジェンダー、QQはクィアとクエスチョニング、Aの片方はアセクシャルなので、残りのTとAと四種類のPとPとOと2Sを取り上げる。 T:トランスセクシャル/Transsexual 性転換を望むトランスジェンダー 性的指向_それぞれ性自認_外見通りの男か女 手術などで心身の性別の不一致を解消したいかした人。 A:アライ/Ally 同性愛者を支援する異性愛者 性的指向_男か女性自認_男か女 正式名称はストレートアライ/Straight allyという。 元々は同性愛者を嫌悪する――キリスト教やイスラム教の国などでは犯罪と見做すこともある――異性愛者:ホモフォビアに意義を唱える異性愛者を指した。 現在は性的少数者を支援する性的多数者の意味合いまで拡張されることも珍しくない。 P:パンセクシャル/Pansexual あらゆる全性愛者 性的指向_全て性自認_それぞれ 性状からどんな性別でも好み得る場合は性欲がある人もない人もいるし、思想から好みの性別を制限しない人も含む。 P:ポリアモラス/Polyamorous 複数の求愛対象を持つ人 性的指向_それぞれ性自認_それぞれ 性愛、または愛着心のどちらでも一人以上との交際を求める。 O:オムニセクシャル/Omnisexual 相手の性状を意識する全性愛者 性的指向_全て性自認_それぞれ 特定の性別の相手に惹かれるもののそうした気持ちが必ずしも恋愛関係に影響せず、誰とでも付き合い得る。 2S:トゥースピリット/Two sprit アメリカ先住民の第三の性 性的指向_なし性自認_なし 儀式や呪術などの社会的な役割として男性と女性の両方の立場を引き受けるもので、個人的な性状とは関係ない。 言葉としてヨーロッパ人の北アメリカ大陸への進出で排除された先住民族の中でも特に同性愛者のような見かけから差別された人の復権を目指してそれまでの侮蔑的な「ベルダーシュ」(berdache)の呼び名に換えて作り出された。 国の人口に性的少数者の占める割合は日本だと一割前後、欧米では同じかもう少し多くて二割近いという調査結果が出ているようだ。 意外と多いというか、自分で気付かない人や差別されるから明かさない人もいるとすると実生活の感覚は必ずしも当てにならない。だからいつどこで性的少数者に会ってたとえ知らないままでも攻撃しないように注意したいし。もしも良い人ならば喜んで仲良くする気持ちを大切にするべきだと感じる。現代において自由で平等な社会と平和に満ちた幸せな暮らしを得るためには欠かせないのは間違いない。 関連:英語のジェンダー代名詞の使い方について 参考:LGBT LGBTQIA Resource Center Glossary What Does the Full LGBTQIA+ Acronym Stand For? ノンバイナリー、ジェンダークィア、ジェンダーノンコンフォーミングの違いとは 「ジェンダーフルイド」の意味とは? セクシャルフルイディティやノンバイナリーとの違い ネイティブアメリカンのトゥースピリット:男性と女性の両方として生きる LGBTの割合がバラつく理由【13人に1人? 100人に1人?】 コメント 新しい投稿 前の投稿
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