英語の小説、ナサニエル・ホーソーンの若いグッドマン・ブラウンの日本語訳で気になった英文法に疑問符(?)のない疑問文という感嘆疑問文があった。
疑問文でも文末に疑問符が付かない
And, maddened with despair, so that he laughed loud and long, did Goodman Brown grasp his staff and set forth again, at such a rate that he seemed to fly along the forest path rather than to walk or run.
もはや絶望に狂わされたので、大きく長く笑ったほど、グッドマン・ブラウンは杖を握りながら再び出発したのか、その速さは歩くか走るよりも森の小径を飛び去るようだった。
感嘆疑問文と呼ばれる文型で、疑問符のない疑問文が感嘆を表す。きっと日本語ならば俳句や短歌で良く使われる詠嘆の終動詞の「かな」に相当するんだろう。問いかけているわけではなく、驚き/衝撃や覚り/感動を強調して伝える。
感嘆疑問文の典型的な使い方
否定のYes / No疑問文(はいかいいえのどちらかで答えられるもの)の文末に感嘆符(!)を付けて発音は通常の疑問文とは反対に下降音で行うのが感嘆疑問文の典型的な使い方とされる。
適宜、Yes / No疑問文にかぎらず、否定や肯定の様々な疑問文で表現されたり、感嘆符が消去されることもある。
否定形の感嘆疑問文
Isn't this flower beautiful!
この花は綺麗ではないか!
文意は否定形でも肯定になって対象を感嘆する気持ちで捉えている。
そして否定形の場合は誰かの同意を求めるような意味合いを持つ。
例文には「この花は綺麗だね」というニュアンスが込められている。
肯定形の感嘆疑問文
Are that mountains high and far!
あの山々は高くて遠いか!
文理は疑問文だけれども感嘆だから対象を断定的に捉えている。
そして肯定形の場合は話者の自覚を明かすような意味合いを持つ。
例文には「あの山々は高くて遠いな」というニュアンスが込められている。
感嘆疑問文の否定形と肯定形は只単に反対の内容を示すものではないのが面白いというか、どちらも意味としては感嘆の肯定的な内容だけで同じになってしまうのが普通の文型には当たらない。
それぞれは発話に関して扱いが微妙に異なり、否定形は誰かの同意を求めるような仕方だけれども肯定形は話者の自覚を明かすような仕方なので、文意の趣きや味わいに個別の価値を備えてもいる。
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