さなまるの心底と共感できる歌の世界 結城永人 -2022年12月26日 (月) さなまるという歌手をYouTubeで見付けて最初に尾崎豊のシェリーのカヴァー(シェリー / 尾崎豊 弾き語り 狸小路路上ライブ)を聴いて声が良く出ていて上手いと感心した。尾崎豊の歌は本気の言葉が最大の魅力だと思うし、どんな人にも分かるように伝えるためか唸るような叫び声で人間離れして驚かせるほどに表現するのを好んでいたかも知れない。だから声をしっかり出せるかどうかが尾崎豊のカヴァーで聴きどころだと僕は考えるけれどもさなまるは今まで聞いた中で一番だと感じたんだ。 さなまる|さなまる 声が本当に良く出ていて尾崎豊の魅力は上手過ぎるくらい良く捉えているので、重々、考えて歌っているのかと思って確かめようとYouTubeの公式チャンネルのシンガーソングライター さなまるを見てみたら尾崎豊のカヴァーが他にも、沢山、あって中心的に歌われていたから相当に嵌まっていると分かった。 80年代~90年代の音楽に 影響を受けており、 最も尊敬しているアーティストは尾崎豊である。 Profile|sanamaru ホームページのブロフィールで断言されているからさなまるにとって尾崎豊は歌手として誰よりも欠かせない存在なのは間違いない。 日本の状況は何十年も悪化し続けているし、近年のコロナ禍の人々の異常な生活の中でかつてないほどに不幸が前景化しているので、1980年代の好景気でチャランポランに生きて行くことを心から嘆いたに等しい尾崎豊のような社会派の本格的な歌手が出て来ても面白いと考えなくはなかった。 さなまるはオリジナルもやっていたシンガーソングライターだったから尾崎豊の影響を大きく受けてどんなものかと聴いてみたら今の時代の問題点をやはり捉えているからカヴァーよりも遥かに良いと胸打たれた。 生きる場所は不幸しかないという今 【MV】明け方の空 さなまる|シンガーソングライター さなまる 最初に雑踏を聴いてキーワードの「心の雑踏」という感覚が僕にはなくて今の若者に特有のものかと思って面白かった。汚かったり、煩かったりして即物的に必ずしも喜べないはずの雑踏を内面に据えるというのは今の若者が取り巻かれている悲惨(人が死ぬのが当たり前の学校に喜んで通わなくてはならないなど)から来ているように想像できる。言葉遣いとしては一級品だと思うし、詩としても取り分け衰退することを止めない日本において極上の味わいの真実を受け取る。 もうちょっと何かがあるかと探してみたら明け方の空が心底と共感せずにいられない歌の世界を実感させられて凄いと驚いた。 僕みたいに死ぬしかなさそうな人間と初めて出会った 最近は黙っているけれども以前はブログで生活費が稼げないから死ぬしかないみたいなことを何度も何度もいい捲っていた。いってももうどうしようもないから最近は黙って死ぬつもりでブログをやっているだけだ。 これほども馬鹿げた人生も世界もないと思うけれども僕は永遠の詩人だから実質的には神と天使と遊んでいるようなものだ。ところがさなまるの明け方の空には似た境地が表現されていると気付いてびっくりした。僕以外の人でも不可能ではないにせよ、社会の在り方が歪になっているために人間そのものが成り立たない事態に触れる人が実際に出て来ることは全く期待してなかった。 ある意味、生き地獄だし、気付かずに死んだ方が幸せかも知れないので、声を飛ばして気持ち良く歌うにせよ、さなまるは逆に可哀相ともいえなくはない。 自分に足りないものが 何なのか ただ1人考えた 夢を見るため 自分の背中が どう見えるか ただ1人考えた 明日を見るため 本当の自分を探す為に 命燃やして歌い続けてる チャンスはいつかわからないから 這いつくばって歌にする 捨てる物多かったけれど 拾ったものは何? 明け方の空 叫ぶ先に答えがあるだろう さなまるの明け方の空 今の常識というか、いじめでも何でも見て見ぬ振りをするのが多数派になっている社会からすると「命燃やして」とか「這いつくばって」なんて無駄な力を出して余計な疲れを増やしているようにしかに受け取られないだろう。 または芸術家だから普通の人よりも頑張って売れなくて生活が困るような危険を敢えて冒さなくてはならないと理解されるのがせいぜではないか。 さなまるの明け方の空はもう少し先へ踏み出しているのが凄い 日本で戦争かそれ以上に惨たらしい死に方をしている人が、沢山、いる。見て見ぬ振りをする人がいるかぎり、そうした状況は決して変わることがない。多数派だから良いと思って皆が真似してどんどん広がって行く不幸を止めるにはどうするのか。一人一人が現実と向き合って他の人たちからたとえ異端扱いされても正気を保つだけの自分自身の精神が重要だと考える。 さなまるは「本当の自分」への「チャンス」が余計な疲れを増やす無駄な力と思われてしまう状況を踏まえてなければ「命燃やして」も「這いつくばって」もないはずだとすると世間一般に酷くても従うのが正解という良い加減な生き方こそ尊ぶ社会を批判しているんだ。 さなまるの明け方の空の空の良さ さなまるの明け方の空|さなまる 僕は自殺だけが友達という生活が二十代からずっと続いているけれども同じ気持ちの人が増えたときにやっと抜け出せるのかという希望を貰えるのがそれこそ人生の夜明けみたいな未来を想像できるのが明け方の空を聴いて個人的に最も嬉しいところだ。 さなまるは本当に社会派の本格的な歌い手なのかと考えるとキミへが一つの証拠になり得る。 ストリートライヴの動画の副題で「自殺した友人へ向けて歌う曲」といわれて不意打ちを食らったようにちょっと戦いたけど、しかしキミへを聴いてみると確かに「きっと今日も誰かがこの場所で泣いている/きっと今日も誰かがこの場所で死んでいる」と世の中に溢れ返る不幸の数々を何事もなく通り過ぎて行くことの人間的なおかしさが明らかに退けられていた。 頼もしいかぎりで、さなまるの社会派の本格的な歌い手としての問題意識は往年の尾崎豊に負けないくらいあるといって良い、もはや。 明け方の空から来る素晴らしさは信用に足りる 昨今、何もかもどうでも良いみたいな風潮が日本に蔓延していて特に選挙の投票率の異様なまでの低さから染まらざるを得ないけど、しかし本音をスバリとナイフの一突きのように表現できるさなまるのような人が出て来たことは有り難い。自分が生きるために必要不可欠な人も世の中も省みず、目の前の衣食住に囚われた貧乏人と快楽に溺れた金持ちしかいないのでは本当にどうしようもないし、死にたいどころかさっさと殺してくれと死神か悪魔に頼みさえもする状態に他ならない。 しかし一人ではないと思えるのは大きい。心底と共感できる歌があるのは凄まじい助けになる。人が人でなくなるのが正しい社会で、立ち止まって考える人がもっと増えて欲しい。 さなまるの歌には本人の生活と同じくらい日本の社会が含まれているし、たとえ不幸な世界でも今此処を生きること、命の輝きが幸せなのも間違いないので、自分一人で変えるのは無理だから諦めるよりも新しい可能性へ向かって行くことが誰にとっても肝心だ。 コメント 新しい投稿 前の投稿
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