英語の小説、O・ヘンリーの最後の葉っぱの日本語訳で気になった英文法にsupposeの命令形や現在分詞の仮定的な用法があった。
条件節を導くsupposeの命令文
Suppose a collector with a bill for paints, paper and canvas should, in traversing this route, suddenly meet himself coming back, without a cent having been paid on account!
絵の具や紙やキャンヴァスを請求する集金人は、この経路を横切って1セントの内金も支払われることなく、突然、戻って来る自分自身と出会さなければならないのだと思ってみてごらん!
接続詞のifで条件節を置き換え得る
If a collector with a bill for paints, paper and canvas should, in traversing this route, suddenly meet himself coming back, without a cent having been paid on account!
supposeの命令形は続く文章でif接続詞を使った場合と全く同じに想定/仮定される条件文を示すことができる。
通常の用法(思う、たぶん~だろうなどの意味)だと続くthat以下で目的節が導かれるけれども一般的に省略してもしなくても構わない「that」が仮定的な用法では省略されるのが普通らしい。
およそ直に示される条件が事例に見合って十分にあり得る事柄ならば直説法(節内の動詞は現在/現在完了形か過去/過去完了形か未来形になる)、さもなければ仮定法(節内の動詞は過去/過去完了形になる)を使うことになってif接続詞と遜色がない。
文章内容はどちらも変わらないけれどもニュアンスとしてsupposeだとifの「もしも~ならば」という条件節そのものよりも「~ならばどうだろう」という推量や「~すればどうだろう」という提案も含まれ得る。なので前後の文章で仮定される条件の帰結を示さずに単独で使われることも珍しくないようだ。
仮定的な用法のsupposeの命令形は文頭に置かれることが比較的に多いようで、ifだと条件節が帰結節の後に置かれる表現が普通に取られるのと幾らか異なるかも知れない。
慣例的に「Let's suppose that ~」の形でも多く使われて「~と仮定してみよう」とか「~と想定してみよう」なんて意味合いになる。
現在分詞のsupposingによる条件節
supposeの仮定的な用法は命令形だけではなく、接続詞としても可能で、現在分詞のsupposingに活用して行われる。
Supposing that it rains tomorrow, I will stay home.
If it rains tomorrow, I will stay home.
明日、雨が降れば私は家にいよう。
接続詞のsupposingはsupposeの命令形の場合と大差ない文章内容を持ち、只単に「もしも〜ならば」ではなくて「~ならばどうだろう」という推量や「~すればどうだろう」という提案の意味も兼ね併せた表現になる。
幾らか違うのは前者の条件節を導く「that」は後者のように省略されるのが必ずしも普通ではないのと帰結節の前に置かれることが比較的に多くはないところだ。特に帰結節の後にも少なからず、置かれ得るという点では接続詞のifの使い方にもっと良く似ている。
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