オリーヴ・シュライナーの夢の生活と現実の生活;小さなアフリカの物語の日本語訳

自分の写真結城永人 -

十九世紀から二十世紀の南アフリカの作家、小説家のオリーヴ・シュライナーの小説の夢の生活と現実の生活;小さなアフリカの物語(1893)の日本語訳を行った。一つの文学作品として人間の洞察力に富んだ優れた内容を持つだけではなく、表現も意義深いから外国語の英語の聞き取りと読み取りの教材としても最適だと感じる。

オリーヴ・シュライナーの夢の生活と現実の生活;小さなアフリカの物語の原文と朗読

台に両肘を付いて左手で左頬を触ったオリーヴ・シュライナー
Dream Life and Real Life; a Little African Story by Olive Schreiner/オリーヴ・シュライナーの夢の生活と現実の生活;小さなアフリカの物語
原文:Project Gutenberg作品集
朗読:LibriVoxノエルバドリアン

両方ともパブリックドメイン(著作権なし)だから無料で自由に使って構わない。

オリーヴ・シュライナーの夢の生活と現実の生活;小さなアフリカの物語の日本語の訳文

一本の日傘の木が生えた山の斜面

小さなヤニータが緑珊瑚の横に一人で座っていた。前後には平原が広がり、赤い砂と刺の多いカルーの茂みに覆っていた;そしてここそこに緑珊瑚が結び合わされた淡い緑の枝の束のように見えるのだった。川岸を除いて木はどこにも見られずにそれは遠く離れていた、そして太陽が彼女の頭を照らし付けた。その周りには彼女が番をしているアンゴラ山羊が草を食べていた;可愛い物たち、取り分け小さな奴ら、地面に触れる白い絹のような縮れ毛があった。しかしヤニータは泣きながら座っていた。もしも天使が器に流された涙を全て集め切るに違いなければ私は最も苦いのは子供のものだろうと思う。

間もなく、彼女は疲れの余り、しかも太陽が熱い余り、緑珊瑚に頭を預けながら眠りに落ちるのだった。

美しい夢を見た。夕べに母屋へ戻って行ったとき、壁は蔓と薔薇で覆われ、そして羊囲いは赤い石ではなく、花一杯の紫丁香花の木で作られていると思った。さらに太った老ボーア人が彼女に笑いかける;そして彼が扉に交わしておく竿は山羊が飛び越えるためだが、先端に七つの花のある百合の棒だった。彼女が家に行ったとき、女主人は彼女の夕食に焼きパンを丸ごと与えた、そして女主人の娘がそのパンに薔薇を刺した;さらに女主人の義理の息子がいった、「ありがとう!」、彼女が彼のブーツを引き抜いたとき、もはや蹴られはしなかった。

それは美しい夢だった。

彼女が夢見ながらこうして横たわる間に一匹の小さな子山羊が来て彼女の頬を舐めた、というのは乾き上がった涙の塩のためだった。ついに夢の中で彼女は貧しい年季奉公の子供ではもうなかった、ボーア人たちと暮らしたけど。彼女に口付けするのは自分の父親だった。彼は眠っていたに過ぎなかったといった――刺の多い茂みの下に横たわったあの日;現実には死んでなかったのだった。彼は彼女の髪の毛を感じた、するとそれが長く絹のように伸びているといった、さらに自分たちは今やデンマークに帰って行くのだといった。彼はなぜ彼女が裸足なのか、そして背中の傷痕は何なのかを彼女に訊いた。そのとき、彼は彼女の頭を自分の肩に乗せて拾い上げて運び去った、去った! 彼女は笑った――彼女は自分の顔に彼の茶色の髭を感じることができた。彼の腕はとても力強かった。

夢見ながらそこに横たわっていたとき、蟻が裸足を走り越えたり、茶色の巻き毛が砂に置かれたまま、一人のホッテントット族が近付いて来た。彼はボロボロの黄色いズボンと汚れたシャツと破けたジャケットの装いだった。頭に赤いハンカチを巻きてその上にフェルト帽を被っていた。鼻は平らで、細長い穴みたいな目、頭の縮れ毛は小さな丸い玉へと纏められるのだった。彼は緑珊瑚に来ると熱い日差しの中に横たわる幼い少女を見た。それから歩き去ると最も太ったアンゴラ山羊を、一匹、捕まえると腕の下に差し込みながらその口を固く掴んだ。振り返って彼女がまだ眠っていると確認すると水路の一つへと飛び降りた。水路の床を少しだけ歩いて行くと張り出した土手に来たが、その元に赤い砂の上に座って二人がいた。一人はとても小柄で襤褸を着た老ブッシュマン、身長4フィートだった;もう一人はイギリスの人夫で、紺青の仕事着だった。彼らは子山羊の喉を人夫の長いナイフで切ると血を砂で覆い尽くしながら内臓と皮を埋めた。それから会話して少し口論した;するとそして再び静かに会話した。

ホッテントット人がコートの内に子山羊の脚を入れると残りの肉を水路の二人に置いて歩き去った。

小さなヤニータが起きたとき、もう少しで日没だった。非常に怯えて上体を起こしたが、彼女の山羊は全て彼女の周りにいた。追い戻し始めるのだった。「一匹もいなくなったとは思えないな」、彼女はいった。

ダーク、ホッテントット族が自分の群れを早くも連れ帰っていてボロボロの黄色いズボンで羊囲いの扉に立っていた。太った老ボーア人が竿を扉に交わしやると一匹ずつヤニータの山羊を飛び越えさせた。それらを数えるのだった。最後が飛び越えたとき:「今日、眠ってしまったのか?」、彼はいった;「一匹、いなくなっている」

それからヤニータは何が起きることになるかが分かって低い声で「いいえ」といった。するとそして嘘を吐いたときに人が感じる酷い病を心に感じた;もはや彼女は「はい」といい直した。

「今夜の夕食が少しでもあると思うか?」といったボーア人。

「いいえ」といったヤニータ。

「何があると思うか?」

「分かりません」といったヤニータ。

「鞭を渡せ」とダーク、ホッテントット族にいったボーア人。


月がその夜は満ちるばかりだった。おぅ、その明かりは美しいばかりだった!

幼い少女は自分が眠る離れから這い出してそれを眺めた。飢えてとてもとても痛ましいとき、人は泣かないのだ。彼女は己の顎を片手に寄せかけた、そして大きな鳩の瞳で眺めた――もう片手は切り裂かれていたので、自分のピナフォアで包んだ。月明かりと共に彼女は砂の平原と低いカルー茂みを見渡した。

やがて遠くから野生のスプリングボックがゆっくりと来た。家に近寄ると驚いて眺めながら立ち止まった一方、月明かりがその角と大きな目に煌めいた。赤煉瓦の壁を不思議がりながら立って少女はそれを見詰めた。それから、突然、まるで全てを拒絶するように美しい背中を湾曲させながら向きを変えられた;すると去ってそれは茂みと砂を越えて逃げた、一筋の艶やかな白い光みたいに。彼女は立ち上がってそれを見詰めた。とても自由だ、とても自由だ! 去って、去って! 広い平原にもはや見えなくなるまで見詰めるのだった。

彼女の心は膨らんだ、大きく、大きく、大きく:低い叫び声を発した;もはや待たず、留まらず、考えないまま、彼女はその跡を追った。去って、去って、去って! 「私――私も!」、彼女はいった、「私――私も!」。

到頭、脚の方から震え始めながら休息しようと止まったとき、家は背後の小さな点だった。彼女は地面にばったり倒れながら息切れする脇腹を抱えた。

今や考え始めた。

かりに平原にいれば足取りを、朝、追跡されるし、自分は捕まえられるだろう;しかしかりに川床の水を歩けば足跡を見付けられないだろう;さらに身を隠せるだろう、そこには岩と小丘があった。

なので彼女は立ち上がると川の方へ歩いた。川の水は浅かった;丁度、広い砂床の銀色の線、ここそこで広がって溜まりになっている。彼女はそちらへ踏み込んで足を気持ち良く冷たい水に浸した。上へ上へ流れを歩いた、小石がジャラジャラ鳴るところや過去に母屋があったところだった;そして岩が大きなところは一つからその他へ跳ぶのだった。顔の夜風に強くさせられた――彼女は笑った。そんな夜風を前に感じたことはなかったのだった。そのように夜は野生のボックに嗅ぎ付けられる、なぜなら自由であるからだ! 自由な者は束縛された者にはできないように感じる。

到頭、彼女は柳が川の両岸に生えたところに来た、そして砂の多い床の上にそれらの長い枝を引き摺って行った。なぜかは判らなかった、理由は判らなかったが、恐怖感に襲われていた。

左岸に小丘の連なりと岩の断崖が聳えていた。断崖と川岸の間には落ちた岩の破片で覆われた狭い小道があった。そして断崖の頂上には壷天狗が生えており、その掌みたいな葉っぱが夜空に対してくっきりと切り抜かれていた。岩は深い影を投げかけた、そして川の両岸には柳の木。彼女は留まり、見上げると見回した、するとそして駆け出した、恐ろしくて。

「何を怖がっているのか? どんなに愚かだったことだろう!」、木がさほど繁り合わないところに来たときに彼女はいった。そしてじっと立ちながら振り返って戦いた。

到頭、歩みは弱り果てた。もうとても眠かった、足を上げるのもやっとだった。川床から踏み出した。自分の周りの岩が荒涼としたを見、まるで多くの小さな丘が粉砕されて地面に蒔き散らされたようだ、アロエの元に横たわり、眠りに落ちるだけだった。


しかし、朝、彼女は何と見事な場所かと見た。岩が積み重ねられては方々へ転がっていた。団扇仙人掌がそれらの間に生えていて六本は下らない壷天狗が潰れた小丘の間のここそこに散らばっていた。岩に数百のケープハイラックスの巣があって割れ目から野生のアスパラガスが垂れ下がっていた。彼女は川へ走り、澄んだ冷たい水に浸かり、それを頭へひょいと投げた。大声で歌った。彼女が知る歌は全て悲しかったので、もう歌わず、嬉しく、とても自由だった;しかし言葉なしに音符を歌った、黄喉緑藪鵙がするように。ずっと歌って跳びながら彼女は戻って行った、そして鋭い石を取ると壷天狗の根を切って己の腕の長さほどの大きな部分を取り出すと座ってそれを噛んだ。二匹のケープハイラックスが頭上の岩に出て来て覗いた。彼女は一部を差し出したが、欲しがられずに走り去られた。

彼女にはとても美味しかった。とても青いときに壷天狗は生のマルメロみたいだ;しかし彼女は好きだった。良い食べ物を他人から与えられるとき、奇妙な話、それはとても苦い;ところが自分自身で見付けるものは何でも甘い!

食べ終えてからもう一部分を掘り起こして入れておく食品庫を探しに行った。攀じ登った岩山の天辺に幾つかの大きな石が離れて立つものの天辺が合わさって部屋を作っているのを見付けた。

「おぅ、これは私の小さな家だ!」、彼女はいった。

上部と周り全てが閉じられて前方だけが開いていた。壷天狗のための壁の美しい棚があった、すると彼女は又急いで降りた。非常に多くの団扇仙人掌を持って来て扉の前の割れ目に刺してまるでそこに生えたように見えるまで野生のアスパラガスを引っかけた。誰にもそこに部屋があるとは見えない、というのも彼女はとても小さな口しか残さず、しかもふわりとしたアスパラガスの一茎を引っかけたためだ。それから彼女はどう見えるかを確かめに這い入った。見事な柔らかい緑の光があった。それから彼女は出て行ってあれら紫の小さな地面の花の幾つかを摘んだ――そうだよ――顔を地面に伏せるものたち、しかし持ち上げて見たとき、人が見入られる濃い青い目なのだった! 彼女は少しの土と共に取って来ると岩の割れ目に入れた;それによって部屋は中々と備え付けられた。その後、彼女は川へ降りて行って柳を腕一杯と持って来ると愛らしいベッドを作った;もはや天候がとても暑かったから横たわってその上に休んだ。

直ぐに眠りに就いて長く眠った、というのもとても弱っていたためだ。午後遅く、顔に落ちる冷たい滴で目を覚ました。上体を起こした。凄まじい雷雨が猛威を振るっており、冷たい滴が岩の割れ目を通して幾つか落ちたのだった。彼女はアスパラガスの茎を押し退けると小さな手で膝を抱えながら外を見た。雷が鳴るのが聞こえ、赤い奔流が川へ向かって石の間を突き進むのが見えた。川の轟音が聞こえたが、今やうねりながら猛って赤く、切り株や木を泥水に浮かべて押し流していた。彼女は聞くと笑って自分を保護する岩の近くへと迫った。手のひらをそれに押し当てた。誰からも愛されないとき、人は無言の物を大変に愛する。日が沈んだとき、晴れ上がった。それから幼い少女は壷天狗を少し食べると再び横たわって眠った。眠るほどに素敵なことは何もないと考えるのだった。二日間、壷天狗の汁しか食べ物がないとき、人は強いと感じない。

「ここはとても素敵だ」、眠りに就きながら彼女は考えた、「いつもここにいよう」。

その後、月が上った。空は今や非常に晴れて雲はどこにもなかった;そして月は扉の茂みを通して輝くと光の格子を彼女の顔に作った。彼女は美しい夢を見ていた。何よりも愛らしい夢が見られるのは飢えているときだ。彼女は父親の手を握りながら自分は美しい場所を歩いており、そして自分たち両方とも冠、野生のアスパラガスの冠を頭に被っていると思った。擦れ違う人々が笑って自分に口付けした;ある人は花をくれたし、ある人は食べ物をくれたし、日射しがあらゆるところにあった。彼女は何度も何度も同じ夢を見た、するとそれはどんどん美しくなった;突然、まるで自分がすっかり孤絶しているように思われるまで。見上げるのだった:自分の一方には高い断崖があり、他方には川があり、柳の木が水の中に枝を垂れていた;もはや月明かりは全てに渡っていた。上、夜空に対して壷天狗の木の尖った葉っぱがくっきりと印付けられており、岩と柳の木が濃い影を投げかけた。

眠りに彼女は戦いて半ば目覚めた。

「あぅ、そこではない。ここだ」、彼女はいった;すると岩へ這い寄った、そして口付けすると再び眠りに就いた。

三時頃だったに違いない、というのも月が西の空の方へ沈み始めていたためだが、酷くぎょっとして彼女が目を覚ましたときだった。上体を起こすと手を心臓に向かって押し当てた。

「何があったのか? ケープハイラックスが確かに足を走り越えて怖えされされたに違いない!」、彼女はいった、そして再び横たわろうとした;ところが直ぐに上体を起こした。外側、火にパチンと割れる刺付いた明瞭な音がした。

彼女は扉へ這うと口を指で茎に開いた。

大きな火が影の中で岩の元に燃えていた。小柄なブッシュマンがそこから掻き出された幾つかの燃える石炭の向こうに座り、肉を焼いていた。地面に手足を伸ばしたのがイギリス人で、仕事着を装って面白くなく黙り込んだ顔付きだった。彼の横の石の上にダーク、ホッテントット族がボウイナイフを研いでいた。

彼女は息を詰めた。岩のケープハイラックスは一匹たりもそんなにじっとしてなかった。

「ここは決して見付からない」、彼女はいった;そして跪くと彼らがいうあらゆる言葉を聞こうとした。悉く聞こえた。

「お前は金を、全部、取って良いぞ」といったブッシュマン;「しかし俺はブランデーの大樽を貰う。屋根の六ヵ所に点火しよう、オランダ人が俺の母親を三人の子供と一緒に小屋でかつて焼き殺したからな」

「農場は他に誰もいないと確かだな?」といった人夫。

「いない、くたくたになるまで話した」といったダーク;「二人の黒人が町へ息子と共に出かけた;そして女中たちは踊りへ出かけた;もはや残されるのは老男と二人の女だけだ」

「しかしどうだろう」といった人夫、「彼がベッド脇に銃を置くとすれば、しかも装填して!」。

「置くことはない」といったダーク;「通路にかけられている、弾薬筒も。奴は買ったとき、何のためのものかを考えもしなかった! 幼い白人の少女がまだそこにいると願うばかりだ」といったダーク;「しかし奴は溺れ死んだ。足跡を底なしの大きな溜まりへ追跡した」

彼女はあらゆる言葉を聞こうとした、さらに彼らは話し続けた。

その後、小柄なブッシュマン、火の向こうに屈んでいた者が、突然、上体を起こした、聞こうとしながら。

「は! あれは何か?」、彼はいった。

ブッシュマンは犬みたいだ:その耳はジャッカルの足音を野犬のものと区別するほどに優れる。

「何も聞こえなかったぞ」といった人夫。

「聞こえた」といったホッテントット族;「しかし岩のケープハイラックスだけだ」

「ケープハイラックスではない、ケープハイラックスではない」といったブッシュマン;「ほら、あそこのところの周りの物陰に動いているあれは何か?」

「何もない。馬鹿者め!」といった人夫。「肉を済ませろ;もう始めなくてはならない」。

農家への二つの道があった。一つは開けた平原に進んで行き、断然、最短だった;ただし半マイルから気付かれるかも知れない。もう一つは川岸に走って行き、中に隠れられる岩や穴や柳の木があるところだった。すると川岸にずっと沿って小さな人影が走った。

川はその岸辺まで一杯に嵐で飲み込まれて柳の木はその溺れかけの枝を水の中へ突っ込んでいた。それらの隙間があるところはどこでも赤く濁り、切り株を浮かべて流れるのが見られた。しかし小さな人影は走りに走った;見ることはなく、考えることはなく;息を切らして息を切らして! あそこ、岩が最も厚かったところ;あそこ、空地に月明かりが輝いたところ;あそこ、団扇仙人掌が絡み合って岩が影を投げかけたところ、続けて走るのだった;小さな手は固く閉じられ、小さな心臓は激しく打ち、前方をずっと見据えながら。

もう走るには及ばなかった。高い岩と川の間の狭い小道しかない。

到頭、彼女はその端に来た、そして、一瞬、立ち止まった。目の前には平原、そして赤い母屋がもしも人がそこを歩けば月明かりで気付かれそうなくらい近くに横たわっていた。彼女は手を握り締めた。「良し、皆に伝えよう。皆に伝えよう!」、彼女はいった;「もう直ぐそこだ!」。再び走り出した、それから躊躇した。目を月明かりから翳させながら見詰めた。自分と母屋の間に三つの人影が低い茂みの向こうを移動していた。

艶やかな月明かりで彼らがどんなにゆっくりと密かに移動し続けるかを確かめることができた;背の低い者と明るい服の者と暗い服の者を。

「もうどうすこともできない!」、彼女は叫んだ、そして地面に崩折れた、小さな手を目の前に握り締めたまま。


「起きて、起きて!」といった農夫の妻;「妙な物音が聞こえる;呼んでいる、呼んでいる、何か呼んでいる!」

夫が立ち上がって窓へ向かった。

「聞こえるな」、彼はいった;「確かに羊のところでジャッカルか何か。銃を装填して見に行こう」

「ジャッカルではない鳴き声みたいな音がした」といった妻;そして彼が行ったとき、自分の娘を起こした。

「さぁさ、行って火を起こそう、もはや眠ってはいられない」、彼女はいった;「今夜、妙なものが聞こえたの。父さんはジャッカルの鳴き声といった、しかしあんなふうに鳴くジャッカルはいない。子供の声だった、そして『ご主人、ご主人、起きて下さい!』と叫んだ」。

女たちは見合わせた;それから台所へ行って大きな火を起こした;そして聖歌をその間ずっと歌った。

到頭、夫が帰って来た;彼女たちは彼に訊いた、「何が分かったか?」、「何もない」、彼はいった、「羊囲いに眠る羊と壁の月明かりのみ。といえどもありそうに思われたのは」、彼は付け加えた、「遠方の川のそばの岩壁の近くに三つの人影が移動しているのが見えた。するとその後――思い過ごしだったかも知れない――例の鳴き声が又聞こえると思った;しかしそれ以降、完全に静かになってしまったな」。


次の日、人夫は鉄道作業に戻ったのだった。

「あんな長くどこにいっていたのか?」、彼の同僚が訊いた。

「彼は肩越しに見てばかりいる」といった一人、「まるで自分はそこで何か見たんだと考えるように」。

「今日、彼はグロッグを飲んだとき」といったもう一人、「うっかり喋って見回したぞ」。

次の日、小さな老ブッシュマンとホッテントット族がボロボロの黄色いズボンで路傍の食堂にいた。ブッシュマンはブランデーを飲んだとき、大した人がどんなに手を上げながら慈悲を求めて叫んだか(それが男か女か子供かはいわなかった)を話し始めた;白人の手に口付けしたり、彼に助けを求めて叫んだり。それからホッテントット族はブッシュマンの首を取って引き摺り出した。

次の夜、月が現れ出て静かな空に上った。今や満ちると小さな家をちょっと訪れた;部屋に刺して回った紫の花や棚の壷天狗を。その光は柳の木に、高い岩に、小さな新しく作られた土と丸い石の山に当たった。三人はその下に何があるかを知っていた;ついに他の誰も知ることはないだろう。

南アフリカのリリークルーフ。

関連:オリーヴ・シュライナーの夢の生活と現実の生活;小さなアフリカの物語の原文と注解

参考:Dream Life and Real Life by Olive Schreiner

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