小股の切れ上がった良い女とは何を意味するのか

結城永人 -2023年1月7日 (土)

最近は全くといって良いくらい聞かなくなった言葉だけれども数十年くらい前までは男性が好きな女性のタイプを表すときなどに「小股の切れ上がった良い女」と聞くことがあって何を意味するのかと戸惑わされた。普通に考えて小股は女性の可愛らしい股、または短い歩幅だとしてそれが切れ上がったら股裂きみたいに酷いし、あり得ないので、本当に意味の分からない言葉だと感じて甚く驚かされて直ぐに忘れられなくなった。いつも身近で聞いた言葉ではなくてテレビで「小股の切れ上がった良い女」と誰かがいったのを聞いただけだから問い質すこともできず、結局、脚の付け根の辺りがハイレグの水着みたいにシュッと持ち上がった印象を与えるのが好きなのかと想像するだけだった。数十年振りに、今、思い返しているのはなぜかというとYouTubeの動画を観ながら初めて分かりかけた感じがしたためなんだ。イ・ダヘの最高過ぎるショートパンツ姿

横長で観る

[4K] 승요의 라인업송 이다혜 치어리더 직캠 Lee DaHye Cheerleader fancam 기아타이거즈 221004｜CheerS & Sports

韓国のチアリーダーのイ・ダヘ（이다해）を見付けて昨今の流行りなのか他にも見かけるけれども小さくてぴったりしたショートパンツ姿が物凄く似合っていて最高過ぎるくらい可愛いと引き付けられた。見た目だけではなくて仕草も可愛くて良いと思う。ぶりっ子に近いけれどもセクシーなのが韓国流かも知れない。日本人で気に入りのぶりっ子の小林麻耶などはセクシーさは余り伝わらない。むしろ奥床しさがどこか伝わらないと本当に可愛いとは感じないので、イ・ダヘのセクシーさは対照的で、初めて知った。逆にいうとセクシーでも可愛いと認めるのは明るくて健康的な魅力があるせいだ。チアリーダーだから余計に目立つけれども性的な向きが打ち消されてしまう。見事なバランスで可愛さとセクシーさを同時に受け取ることができる。

イ・ダヘのショートパンツ姿のチアリーディングの動画（CheerS & Sports）

イ・ダヘに惹かれると同時に思ったのが最高過ぎるほどにセクシーで可愛いショートパンツ姿で「小股の切れ上がった良い女」とはこのことではないか。小さくてぴったりのスタイルだけに見易いという小股にはっきりと魅力を感じた。左右の太腿との小さな逆三角形のシルエットが如何にも女性らしい嫋やかさを示している。まるで非ユークリッド幾何学（ある直線に対する一点からの平行線が、二本以上、あるか一本もない場合）のようなこの世のものとは思われない衝撃が心に走った。その天辺にある小股こそ魅力の宝庫として下から切れ上がって来た印象を与えていた。

参考サイト

KIAタイガース（韓国チア）のイ・ダヘの wiki風プロフ（SNS・動画・画像まとめ）

小股の切れ上がった良い女の表現の由来イ・ダヘのショートパンツ姿に「小股の切れ上がった良い女」を感じて、実際、どんな意味なのかを調べてみると江戸時代から。

すらりとして、いきな女性の体つきの形容。多く、和服を着た女性についていう。「彼のお姉さんは、小股の切れ上がった美人との評判です」

小股の切れ上がった｜イミダス｜集英社

意味としては必ずしも小股が関わるわけではない。全身が靱やかで魅力的な女性の総称としてある。元々は「こまた」が指の間や項などの色んな部分を指していたけれども江戸時代に「小股」と漢字を当てるようになり、立ち姿から女性の靱やかな外見を美しいと捉える表現として広まったと考えられる。由来としては井原西鶴の本朝二十不孝（1686）に「徒俣切れあがりて大男」という背の高いすらりとした男性の表現があってその「徒俣」（素股／すまた）が女性に小股と入れ替わった可能性が高い。Web日本語では小股の切れ上がった良い女について「その容姿は首が抜け出たように伸び、胴が短く足が長く腰細くて股が切れ上がり、前かがみで腰下は反るようなスタイル」が当初の捉え方として洒落本の後編風俗通（1775）から挙げられていた（第58回　こまたの切れ上がった）。だから小股からさらに切れ上がる意味ではなくて地面から切れ上がったような小股の美しい様子の意味で使われた。言葉上、小股自体が切れ上がると捉えることもできるので、僕がそうだったようにあら得ないからハイレグ水着か何かで、脚の付けの斜め線などを表現すると捉える人も出て来てたんだろう。

参考サイト

小股が切れ上がる

日本では見返り美人図が象徴的だ菱川師宣の『見返り美人図』

Beauty Looking Back by Moronobu Hishikawa / Public domain

小股の切れ上がった良い女が地面から切れ上がった小股を小持つ靱やかな姿態の魅力的な女性とすると真っ先に思い浮かぶのが菱川師宣の見返り美人図なんだ。。僕が初めて知ったのは児童期に漫画のドラえもんで切手収集の話があって同じようにやってみたら高額の切手としてドラえもんに出て来た月に雁と見返り美人の図柄があると知った。独特の美しさを描いて何一つ劣らない絵としての見栄えの良さが本当に印象深くて一見して記憶に刻まれた。全身の様子が如何にも靱やかな美しさを持つから本来の意味での小股の切れ上がった良い女を象徴的に示していると思う。作品の発表年は曖昧で、十七世紀という江戸時代の前半としか分からないけど、小股の切れ上がった良い女の由来かも知れない井原西鶴の本朝二十不孝と同じか少し前みたいだ。江戸時代から使われた小股の用法にバッチリ当て嵌まる魅力的な女性なのは間違いない。膝が曲がっているからすらりとした印象は薄いけれどもそれでも帯の位置が少し高くて脚はとても長いと分かる。何よりも小股の女らしさが振り返った全身の見事に靱やかな様子からはっきり伝わる。絵としての高さと相俟って直ぐに忘れられなくなるくらい引き付けられる。

参考サイト

菱川師宣の浮世絵「見返り美人図」を解説！見どころはどこ？

小股の切れ上がった良い女と呼ばれる条件基本的にすらりとした体型が小股の切れ上がった良い女と呼ばれる条件なんだけれどもそれだけでは当て嵌まる女性は少なくない。その上で何が魅力的なのか、決め手となる部分は何かを調べると色んな人が色んなことをいっている中で、セクシーさがやはり大きい。

小股のきり上った女また小褄のきりりとした女なぞいふ言葉もあり。これ顔の男好きするといふ事を姿のよしあしに移して言へるものなり。着物の着こなし上手にして立居の様子甚軽快なれども決して色気を失わず、しなやかにして而も厭味なきもの即小褄のきりりとしたものと言ふべし。でぶでぶ肥りたるもの、痩細りたるもの、素足の醜きもの腰太くして尻の大きなるもの皆共に小股の切り上ったとは言はれず。

永井荷風の麻布襍記

小説家の永井荷風が小股の切れ上がった良い女という言葉がまだ廃れていなかった明治時代に自分の周りで聞いて「様子」と「色気」の二つの要素から考えていた。見た目が美しいだけではなく、色気もなくてはならない。ただし色気があるだけでも又違った意味になってしまう。永井荷風の「顔の男好きするといふ事を姿のよしあしに移して言へるもの」からすると小股の切れ上がった良い女という表現には男性の下心が込められていたり、それを抜け出すほどの風流な趣きが含まれたりするかも知れない。昔は着物を着る人が多かったから女性の見た目に上から下まで流麗な気分を味わうことが多かったはずで、小股の切れ上がった良い女という表現が世間一般に広まってあちこちで聞かれたのも当然だと思う。今は着物を着る人を日常生活で殆ど見かけないから言葉としても廃れざるを得ないのではないか。僕はイ・ダヘのショートパンツ姿に初めて小股の切れ上がった良い女を感じたけれども必ずしも着物だけが重要ではないせいだったといえる。可愛さとセクシーさを併せ持つ女性の小股に注目するかぎり、いつの時代のどんなファッションでも変わらないんだ。

参考サイト

小股談義
続・小股談義、品切れ続出のちくま・ちくま学芸

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