脱落について|英語の流暢な発音 結城永人 -2020年6月16日 (火) 複数の連続する単語か一つの単語でも音韻が消されて流暢に発音される状態を脱落/Reductionという。 英語の発音のそうした脱落には単語の末尾と先頭と内側の三種類がある。 英語の流暢な発音の三種類の脱落の仕方 単語の末尾の脱落単語の先頭の脱落単語の内側の脱落 単語の末尾の脱落 cut kʌ(カ) wrap ræ(ラ) bird bɜː(バー) song sɒn(ソン) core kɔː(コー) 単語の末尾の子音の破裂音(p、b、t、d、k、g)が単体で、そして「ŋ」(一部の単語と現在分詞の末尾の「ing」にある)が「n」に移行しながら最後の方だけ脱落することがある。 連続する単語の場合、文章の最後で一つの単語の場合と同じような仕方で脱落する。 文章の最後でなければ後の単語の先頭が「j」以外の子音のとき、脱落が起きて例えばright nowがraɪnaʊ(ライナウ)に変わるように前の単語の残りと連結し易くなる。フランス語のエリジヨンと共通する現象で、複数の単語で脱落と連結が同時に行われるんだ。 特に「t」は前後に子音があって真ん中に挟まれると発音する口の動きが大変で、とても脱落し易いとされる。例えばdon't goなどの否定の省略のn'tに子音から始まる動詞が続くような形で、頻出するかも知れないから良く覚えておきたい。 もう一つ単語の末尾の子音の「r」も脱落することがある。 イギリス英語に顕著で、大抵、発音されない。ただしそれでも後続する単語の先頭が母音の場合には連結して逆にはっきりと発音されるから注意を要する。例えばmore appleだとmɔːrˈæp.l(モーラップル)のようになる。これはフランス語のリエゾンと共通する現象で、状況によって語尾の発音の有無が変化してしまう。 他の国の英語でも似たような傾向があって単語の末尾の子音の「r」の発音はおよそ弱いとしても後続する単語の先頭が母音の場合には引っ張られるれるように連結してもっと強く発音されるために脱落し難くなる。 単語の先頭の脱落 him ɪm(イム) them em(エム) about ˈbaʊt(バウト) and nd(ンド) it's ts(ツ) ※aboutとandは末尾のtとdも脱落してˈbaʊ(バウ)とn(ン)と発音されもする。 単語の先頭の「h」が脱落する。 単語の先頭の「ð」が主に人称代名詞の三人称複数形(they、them、theirなど)で文意に影響しなければ脱落することがある。 単語の先頭の「ə」が脱落する。 単語の先頭の「ɪ」が主に人称代名詞の中性の三人称単数形(it、itsなど)で文意に影響しなければ脱落することがある。 連続する単語の場合、後の単語の先頭の子音の「h」や「ð」が脱落すると次の音韻が前の単語の末尾の音韻と連結し易い。 後の単語の先頭の母音の「ə」や「ɪ」に関しては例えばtalk aboutがtɔːkəˈbaʊt(トーカバウト)になるように前の単語の末尾の音韻と連結し易くてむしろ脱落しないことが増える。 単語の内側の脱落 national ˈnæʃ.n.l(ナシュンル) fragrance ˈfreɪ.ɡrns(フレイグルンス) confidential ˌkɒn.fɪˈden.ʃl(コンフィデンシュル) important ɪmˈpɔː.ənt(インポーアント) totally ˈtəʊ.əl.i(タウアリ) ※importantは末尾のtも脱落してɪmˈpɔː.ən(インポーアン)と発音されもする。 母音の「ə」と子音の「t」がアクセントに関与せず、弱く発音されるものにかぎって脱落することがある。前者はアメリカ英語で、後者はイギリス英語で起こり易い。 単語の内側に子音の「t」と母音の「ə」が並んだ場合、両方とも一緒に脱落するのではなく、どちらか片方のみ残ることが多い。 なので例のimportantはɪmˈpɔː.tnt(インポートント)、totallyはˈtəʊ.tl.i(タウトリ)と発音されることもあり得る。 関連:英語の流暢な発音の連結と脱落と同化と弾き音 参考:【消える音!Reduction編!!】音で学ぶことの重要性第3弾! 英語は聞かなければ聞き取れる!音の脱落ルール6つ English Pronunciation – Reduction: the Word FOR Tim's Pronunciation Workshop: Elision of /t/ コメント 新しい投稿 前の投稿
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