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ロバート・ルイス・スティーヴンソンの死体泥棒の日本語訳|イギリスの小説

十九世紀のイギリスの作家、小説家で詩人で随筆家のロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説の死体泥棒(1884)の日本語訳を行った。一つの文学作品として人間の洞察力に富んだ優れた内容を持つだけではなく、表現も意義深いから外国語の英語の聞き取りと読み取りの教材としても最適だと感じる。

作品の出典

椅子に座って組んだ脚の左膝を両手で掴んでいるロバート・ルイス・スティーヴンソン
The Body-Snatcher by Robert Louis Svevenson/ロバート・ルイス・スティーヴンソンの死体泥棒
原文:Project Gutenberg作品集
朗読:LibriVoxグレン・ハレストレム

両方ともパブリックドメイン(著作権なし)だから無料で自由に使って構わない。

日本語の訳文

夕暮れの墓地

その年の毎晩、私たちの四人はデベナムのジョージの小さな談話室に座っていた――葬儀屋と家主とフェテスと私自身。時折、もっといるのだった;しかし何が起ころうとも、雨か雪か霜が来ようとも私たち四人はそれぞれが自身に特定の肘掛け椅子に座するのだった。フェテスは老いた飲んだくれのスコットランド人、明らかに教養のある人、働かずに暮らしていたから一廉の資産家だった。何年も前にデベナムにやって来て、まだ若いうち、単に生活の継続によって認定される町民になったのだった。彼の青いキャムレットクロークは地方の古物で、教会の尖塔みたいだった。ジョージの談話室の彼の場所、彼の礼拝の欠席、彼の古い飲み過ぎの質の悪い非行はデベナムでの当たり前の一切だった。曖昧で過激な意見を幾らかと一時的な不信心を幾らか持っており、偶さか明示しては机をよろめき打って強調するのだった。彼はラム酒を飲んだ――毎晩、決まって五杯;つまりというのもジョージを、夜毎、訪れるその大部分は右手にグラスを持って憂鬱なアルコール浸りの状態で座ったためだった。私たちは彼を医師と呼んだ、というのも彼は医学の特別な知識か何かを持っていると思われたし、いざとなれば骨折を継いだり、脱臼を戻したりすることが知られていたためだった;しかしこれらの僅かな特色を越えて私たちは彼の性格や素性の情報を持たなかった。

ある暗い冬の夜――家主が私たちに加わる前にいつか九時を打ったのだった――ジョージに病人が出た、高名な隣の所有者が、突然、議会へ行く途上に卒中で倒れた;すると高名な人の尚も高名なロンドンの医師が枕元に電報を打たれたのだった。そんなことがデベナムで起きたのは初めてだった、というのも鉄道は新たに開通したばかりだったし、私たちは皆その出来事に感動したためだった。

「彼が来た」といった家主、パイプを詰めて火を着けた後。

「彼?」といった私。「誰?――医師ではない?」。

「彼自身」と返した私たちの主人。

「名前は何か?」

「マクファーレン医師」といった家主。

フェテスは三杯目のタンブラーを空けていた、愚かに酔っ払い捲ってはもう顎を揺らしてもう自分の周りを込み入って見据えながら;しかし最後の言葉で目が覚めたようで、「マクファーレン」の名前を、二回、繰り返した、最初は十分に静かだったが、二回目は突然と感極まって。

「そうだ」といった家主、「それが彼の名前、ウルフ・マクファーレン医師だ」。

フェテスは瞬時に酔いが覚めた;目が覚め、声は明瞭に大きく安定し、言葉遣いは有力で熱心だった。私たちは皆その変容に驚愕し た、まるで人が蘇生されたようで。

「済まないな」、彼はいった、「君の話に良く注意してなかったんだ。ウルフ・マクファーレンとは誰か?」。するとそして家主の話を最後まで聞いてから「あり得ない、あり得ない」、彼は付け加えた;「といえども彼に是非ともお目にかかりたいね」

「彼、医師を知っているのか?」と訊いた葬儀屋、ハッと息を呑んで。

「飛んでもない」が返事だった。「といえどもその名前は奇妙なものだ。二つと思い描かれなかった。教えてくれ、家主、彼は老けているか?」

「まぁね」といった主人、「若者ではない、如何にも、つまり白髪なんだ;ただし君よりも若く見えるよ」。

「彼は老けている、けども;何年も老けている。しかし」、机を打って「俺の顔に君たちが分かるのはラム酒――ラム酒と罪だ。この人はきっと良心に咎はなく、胃は丈夫かも知れない。良心! 俺が喋るのを聞いてくれ。君たちは俺が多少とも善良な古い正面なキリスト教徒だと思うよな? ところが否、俺ではない;俺は決して偽善的ないい方をしない。もしも俺の立場で考えたらヴォルーテルは偽善的ないい方をしたかも知れない;しかし脳は」――自分の禿げ頭を指で活発に弾いて――「脳は明晰に活動中だし、俺は分かって推論しなかった」。

「もしも君にこの医師が分かるならば」、私は思い切っていった、何だか恐ろしい停止の後「私は君が家主の好評を共にしないと推測するぞ」。

フェテスは私に顧慮しなかった。

「そうだ」、突然に決然と彼はいった、「俺は彼と面と向かって会うべきだ」。

又の停止があり、するとそして扉が二階で可成の鋭さで閉じられた、すると足音が階段に聞こえた。

「あれは医師だ」と叫んだ家主。「うかうかするな、もはや捕まえられる」。

小さな談話室から古いジョージの宿泊所の扉へは二歩しかなかった;幅広の楢の階段が通りに殆ど着いていた;トルコ絨毯の空間があり、戸口と降下の最終回との間にはもう何もなかった;しかしこの小さな隙間は、毎晩、階段の明かりと看板の下の表示灯だけではなく、酒場の窓の暖かな輝きによってもきらきらと照らされていた。ジョージはこうして明るく、冷たい通りを行き交う人たちへ宣伝された。フェテスはその場へしっかり歩き、そして私たちは後ろに立ち止まったが、二人が会うのを目にした、彼らの一人がそう表したように面と向かって。マクファーレン医師は機敏で頑健だった。彼の白髪はその青白くて大人しい、精力的だけど、顔付きを引き立たせていた。豊かに最も上質なブロードと最も白いリネンを身に纏い、見事な金の懐中時計の鎖や同様の貴重な素材の飾り釦と眼鏡を持っていた。白地に薄紫の斑点の太折りのネクタイを着けて腕に気持ち良い毛皮のドライヴコートを抱えるのだった。彼が富と配慮の年齢に口外すればそのようになったことだけが疑問だった;もはや階下で彼と向かい合う私たちの談話室の飲んだくれ――禿げて汚れて吹き出物があって古いキャムレットのクロークを着た――を見るのとは驚くべき対照だった。

「マクファーレン!」、何やら大声で彼はいった、余程、友人よりも伝令官みたいに。

高名な医師は四段目で急に立ち止まった、まるで無遠慮な呼びかけに驚かされて人品を揺るがされたようだった。

「トディ・マクファーレン」と繰り返したフェテス。

ロンドンの人は今にもふら付きそうだった。己の目前の人を逸早く凝視し、怯えたようにその背後を一瞥した、そしてもはや驚愕した囁き声で「フェテス!」、彼はいった、「君!」。

「然り」といったもう一人、「俺! 君は俺も死んだと思ったか? 俺たちは自分たちの知り合いとそんなに簡単に縁を切らないさ」。

「シーっ、シーっ!」と声を上げた医師。「シーっ、シーっ! こんな面会はとても予期されない――君は酷く気落ちして見える。私は殆ど知らなかった、告白するよ、先ずは;しかし大いに喜んでいる――こんな機会を持てたのは大いに喜んでいる。差し当たり、一回のご機嫌ようとさよならにするべきだ。私の軽装貸し馬車が待っているし、列車に乗り遅れるわけにも行かないから;しかし君は――ええと――そうだ――君は住所を教えなさい、すると私からの報せを宛てにして良いんだ。私たちは君のために何かしなくてはならない、フェテス。君は肘も破れたと思うよ;しかし私たちは過ぎ去りし懐かしき昔のために何とかしなくてはならない、かつて夕食で歌ったように」。

「金だ!」と叫んだフェテス;「君からの金だ! 君から貰った金が俺が雨の中で放ったところに置かれている」。

マクファーレン医師は優位性と信頼を幾分か自分にいい聞かせたのだったが、この拒絶の異様な精力には己の最初の混乱へ立ち返らされた。

恐ろしく醜い様子が彼の殆ど畏れ多い顔付きに渡って行き来していた。「親愛な仲間よ」、彼はいった、「どうぞ好きにしてくれ;私の最後の考えが君を怒らせてしまった。私は誰にも無理強いはしないんだ。君に私の住所を残そう――しかしながら」。

「そんなのは望まない――君を匿う屋根を知るなんて望まない」と遮ったもう一人。「君の名前が聞こえた;あいつかも知れないと思った;神様がいるかどうかを、結局、知ることを望んだ;何もいないと今知った。立ち去れ!」。

彼は依然として絨毯の真ん中、階段と戸口の間に立っていた;すると高名なロンドンの医師は逃亡するために片端へ進むように迫られるのだった。彼がこの屈辱の思いの前に躊躇っているのは明白だった。青白くなったけど、眼鏡には危ない煌めきがあった;しかし依然としてはっきりせずに停止した一方で、彼は軽装貸し馬車の運転手がこの尋常ではない場面を通りから覗き込んでいると気付くようになり、酒場の隅に縮こめられたけど、すると談話室から私たちの小者を同時にチラッと見た。非常に多くの目撃者が彼を直ぐに逃げると決めて臨んだ。彼は屈み通した、腰羽目を掠めながら、そして蛇みたいに突進した、扉を向こうにしながら。しかしその苦難はまだすっかり終わらなかった、というのも、丁度、通り過ぎるときにフェテスが彼の腕を掴んでこんな言葉を囁いて来た、つまり痛ましく明確な「又やっているのか?」のためだった。

高名で豊かなロンドンの医師は鋭く、大声で叫び出した、喉を搾りながら;質問者へ空き場を越えて打ち当たると頭に手を被せて見付かった盗人のように扉から逃げ出すのだった。私たちの一人が動き出そうと思い立つ前、軽装貸し馬車は既に駅の方へガタガタ走っていた。その場面は夢みたいに済んだ、しかし夢はその経過の証拠と痕跡を残した。次の日、使用人は上質な金の眼鏡が壊れているのを戸口に見付けた、さらに正しくその夜、私たちは皆酒場の窓のそばに息を詰めて立っていた、そしてフェテスは私たちの傍らで、酔いが覚め、青白く、断固とした様子だった。

「神は私たちをお守りになる、フェテス氏!」といった家主、最初にいつも通りの感覚を手に入れたとき。「一体全員、これは全く何か? 君がいっていた奇妙なことだ」。

フェテスは私たちの方へ向いた;私たちそれぞれの顔を続けて見るのだった。「黙れるかどうかを確かめろ」といった彼。「あの奴、マクファーレンに逆らうのは安全ではない;そうしてしまった者たちは既に遅過ぎて悔やんでいる」。

そしてもはや三杯目を空けるのでなければ後二杯を待つでもなく、彼は私たちにさよならを告げると出て行った、ホテルのランプの下、夜闇へと。

私たちは大きな明るい火と四つの透明な蝋燭がある談話室の自分たちの場所へ向かった;そして経過したことを総括してから私たちの驚きの最初のぞっとする気持ちは直ぐに好奇心の高まりへと変化した。私たちは夜遅くに座った;それは古いジョージに知られた最も夜遅い集いだった。各人は別れる前に必ずや証明すると考えていた;または私たちの誰もその非難された連れの過去を探り出す、そして彼が高名なロンドンの医師と共にした秘密を聞き出す以外のどんな用事も持たなかった。大した自慢ではないが、私は自分が一つの物語を巧みに引き出すにはジョージのどの仲間よりも熟練していると思う;するときっと下記の卑劣で異常な出来事を生きて語り得る人間は他にいないのだ。

若い頃にフェテスはエディンバラの学校で医学を学んだ。ある種の才能を持ち、聞いたものを直ちに取り上げて自身のために気安くいい振らす才能だった。家では滅多に勉強しなかった;しかし彼は丁寧で、気遣いがあり、その先生たちの面前では利口だった。彼らは直ぐに彼を近くで聞いて良く覚える若男として取り上げた;いや、奇妙なようだったけど、私が最初に聞いたとき、彼は当時は良く気に入られて外見上は喜ばれていた。解剖学のしっかりした学外の教師が、私はここにKの文字で呼ぶことにするが、あの時期にいた。彼の名前は、その後、余りにも良く知られた。それを広めた人はエディンバラの通りを変装してこそこそ動いていた、バークの死刑執行を称賛する大衆がその雇い主の血を大声で呼び求めた一方で。しかしK――氏は、その時、己の世間体の頂点だった;人気は一部は自身の才能と手際、一部は己の好敵手、大学教授の無能さによって恵まれた。生徒たちは少なくとも彼の名前によって信頼されたので、またはフェテスは独りで思ったが、この彗星のような有名人の好意を得たときは成功の基礎を築くのだと、他の人たちによって思われていた。K――氏は熟達した教師と同時に〈美食家〉だった;入念な調理に劣らず、茶目な幻想を好んだ。両方の能力にフェテスは恵まれて彼の注目を受けるに値したし、自らが出席した二年目には彼の授業の第二実験補佐か補欠助手に就いた。

この能力で階段講堂と講義室への責任が彼の肩に殊に伸しかかった。彼は構内の清潔と他の生徒たちの管理を請け負い、さらに種々な実験対象を補充し、受領し、配分することがその務めの一部となった。この最後の――その頃はとても慎重な扱いを要する――事情を見据えて同じ路地のK――氏に終いには解剖室のある同じ建物に寄宿させられた。ここで、抑え切れない喜びの夜の後、手は尚もよろめいて視界は尚も霞んで混乱するけど、彼は机を補充する不潔で自暴自棄な侵入者たちによって冬の夜明け前の真っ暗な時間にベッドから呼ばれるのだった。扉をこれらの人たちに開けるのだった、土地全体に悪名高いので。彼は彼らの悲惨な荷物運びを手伝い、彼らの浅ましい価格を払い、余所余所しい人間の遺体と共に彼らが出てから一人で残されるのだった。そんな場面からもう一二時間の眠りを急いで取ろうと夜の弊害を償おうと戻ってはその日の労働のために回復するのだった。

幾人かの若男は死ぬべき運命の軍旗の中でこうして過ごされる生活の影響に無感覚になることができた。彼の気持ちは全ての一般的な配慮に対して閉ざされていた。彼はその他の幸不幸、自身の願望への隷従、低い野心に興味を持つことはなかった。最後の頼みに冷淡で軽薄で我儘なそんな幾らかの慎重さを、人を不都合な酩酊や罰せられるべき盗みから遠ざける道徳と誤った名辞で呼ばれるけど、持つのだった。彼はしかも一定の配慮を先生と同門の生徒から乞い願って生活の外側の部面に群を抜いて落伍することは望まないのだった。こうして彼はそれを自分の喜びとして中々の立派な成績を自分の学究で上げようとしながら、日毎、非の打ち所のない面従後語を己の雇い主、K――氏へ示した。自分の勉強の日を彼は怒濤の夜、道義を欠いた楽しみで自分自身に免罪していた;そしてそんなバランスが取られたとき、彼が良心と呼んだ器官はそれ自体に満足を表した。

実験対象の補充は彼と同様に先生の継続的な悩み事だった。そんな大きくて忙しい授業で、解剖学者の原材料は年がら年中と使い果たされていた;こうして必要とされた業務はそれ自体が不快なだけではなく、全ての関係する人たちへ危ない結果を招きそうでもあった。K――氏の方針というとその商売に何も問わないことだった。「彼らが死体を持って来れば私たちは価格を払う」、頭韻法でくどくど述べながら彼はいったものだった――「〈何かのための何か〉」。すると、再度、しかも何やら冒涜的に「何も問うな」、彼は助手たちに話すのだった、「良心のために」。実験対象が殺人行為によって提供されているとは理解されてなかった。そうした考えが言葉で切り出されるとしたら彼は恐怖で後退りしただろう;しかし彼の発言の軽薄さの余りにも厳粛な態度のそれ自体が善行に対する違背と彼が取り引きする人々への誘惑だった。フェテスは例えば死体の格別な新鮮さを自身で屡々と気に留めたのだった。夜明け前にやって来る悪党どもの卑劣で、忌まわしい様子に、再三再四、悩まされたのだった;または個人的な考えで物事をはっきりと一つに纏めながら彼はきっとある意味が不道徳過ぎて無条件過ぎるのを己の先生の明け広げな忠告に起因すると捉えていた。自分の務めを簡潔にいえば三つの枝分かれを持つと理解するのだった;持ち込まれるものを受け取ること、その価格を払うこと、犯罪のどんな証拠からも目を逸らすこと。

ある十一月の朝、この沈黙の方針は試練に厳しく晒された。彼は歯が痛くて、一晩、起きていた――部屋を籠で飼われる獣みたいにゆっくり歩いたり、ベッドに怒って倒れ込んだりしながら――そしてあの度々と苦痛の夜に引き続く全く落ち着かない微睡みについに落ちたのが三四回目の申し合わせた合図の怒りの反復で起こされたときだった。細く、明るい月光があった;酷く寒く、風があり、凍えるようだった;町はまだ起きないでいたのだったが、いいようのない動きが既にその日の雑音と業務の前触れとなった。墓荒らしがいつもよりも遅くやって来てはいつになく頻りに去りたがるようだった。フェテスは眠くて悄気るまま、彼らを階上へ照らした。彼らのぶつぶつ不平をいうアイルランド語の声が夢越しに聞こえた;すると彼らがその悲しい売り物から大袋を剥がしたときに彼はうとうと傾いた、その肩を壁に寄りかからせて;人々への金を見付けるには身を振り解かなくてはならなかった。彼がそうしたときにその目は死者の顔と遭った。ぎょっとした;蝋燭を掲げて、二歩、近付いて行くのだった。

「何ということだ!」、彼は叫んだ。「ジェーン・ガルブレイスだぞ!」。

人々は何も答えなかったが、足を引き摺って扉へ近付いて歩いた。

「僕は彼女を知っている。君たちに教えるよ」、彼は続けた、「彼女は、昨日、生き生きと活発だった。死ぬなんて不可能だ;君たちがこの死体を見事に得られたなんて不可能だ」。

「確かに、貴殿。貴方はすっかり取り違えてます」といった人々の一人。

しかしもう一人はフェテスの目を陰気に見ながら金をその場で要求するのだった。

脅威を思い誤ったり、危難を過大視することは不可能だった。若男の心は自失した。彼は弁解を少しどもりながらいって総額を数え上げるとその憎々しい訪問者たちが発つのを見た。彼らが去るのが早いか彼は急いで自らの疑問を確認した。1ダースの疑い得ない傷痕によってその少女を自分が前日に茶化したと識別するのだった。彼は恐怖と共に彼女の死体の傷痕はおよそ暴力に委ねられたのだと分かった。恐慌に掴まれながら自室へ避難するのだった、そこで彼は自らによる発見をやっと思案した;K――氏の指示の趣旨と甚だ重大な業務に差し支える自身への危難を冷静に熟考して終いには苦しく当惑しつつも自分の直属の上司、授業の助手の助言を待つことに決めた。

この人は若い医師、ウルフ・マクファーレン、全ての向こう見ずな学生の間の大の人気者で、利口、放蕩、極度に不謹慎だった。彼は旅回って留学していた。その品行は人当たりが良くて僅かに進歩的だった。演壇の権威者で、氷かゴルフ場ではスケートかゴルフクラブに長けていた;素敵に豪胆に装い、さらに己の満悦を最終的に纏め上げるべく、ギグ馬車と強壮な早駆けの馬を持つのだった。フェテスと彼は親密な仲だった;実際、彼らの関係する立場はある生活の共同を呼び求めていた;そして実験対象が不足したとき、二人組はマクファーレンのギグ馬車で田舎へと遠く駆って訪ねながらある誰もいない墓地を汚辱すると解剖室の扉へその略奪品を持って夜明け前に戻った。

分けてもその朝にマクファーレンは習慣よりも何やら早く着いた。フェテスは聞いて階段で彼と会い、自分の話を伝えて不安の原因を示した。マクファーレンは彼女の死体の傷痕を調べた。

「そうだ」、頷かずに彼はいった、「怪しく見えるな」。

「さて、どうするべきか?」と訊いたフェテス。

「する?」と繰り返したもう一人。「君はしたいことがあるのか? 口は災いの元だろう」。

「他の誰かは認識するかも知れない」と反対したフェテス。「彼女はキャッスルロックと同じくらい良く知られていた」。

「しないことを望もう」といったマクファーレン、「つまり誰かがしても――君はしなかった、気付かないのか、つまり終わりだよ。事実は、これは長らく続き過ぎているんだ。泥を掻き回せば君はK――を最も罪深い悩み事へ追いやるぞ;君自身は堪らない箱の中だろう。私もそうだろう、かりに君がそういうことになれば。私はどのように私たちのうちの誰かが調べるのか、またはキリスト教の証言台のどれでもどんな悪魔を私たちがいい訳しなくてはならないのかを知りたいものだ。私のために君は一つのことを確かに――実際的にいえば私たちの実験対象は全て殺害されたことを知るんだ」。

「マクファーレン!」と叫んだフェテス。

「こうさ!」と嘲笑ったもう一人、「まるで君自身はそれを疑わなかったように」。

「疑うのは一つのこと――」

「さらに別の証拠だ。そうだ、私は知っている;つまり君と同じようにこれがここに来てしまったのを残念に思う」、死体を杖で小突きながら「私にとって次に最良なことはそれを認識しないことだ。もはや」、彼は冷ややかに付け加えた、「しないな。君はするかも知れない、もしもしたいのならば。私は命じない、ただし世の中の人は私と同じようにすると思うよ;さらに付け加えさせて貰う、K――が私たちの手中に何を探しているかを思い描くんだ。疑問は、なぜ彼が私たち二人を自分の助手に選んだか? すると答えるんだ、なぜなら彼は老妻を欲しなかったからだ」。

これはフェテスみたいな若男の精神に影響を及ぼすべき特段の声色だった。彼はマクファーレンを真似することに同意した。不幸な少女の死体は順当に解剖されて誰も気に留めたり、彼女を認識するらしくはなかった。

ある午後、一日の勉強が済んでからフェテスは人気の飲み屋へ立ち寄るとマクファーレンが知らない人と座っているのを見付けた。この人は小男で、非常に薄い色黒で、黒炭の目をしていた。特徴を切り取るとその品行から微かに認められるのみの知性と洗練の兆しがあった、というのも彼は近く知ってみると粗野で、低俗で、愚劣だと判明しためだった。彼はマクファーレンに非常に顕著な支配力をしかしながら振るっていた;大重要人物みたいに命令を発した;話し合いか遅れに少なからず、真っ赤になりながら自分が服従される奴隷根性を荒々しく論説するのだった。この最も非礼な人物はその場でフェテスをとても気に入り、飲み物を彼に積み上げ、誉めて彼の過去の経歴に尋常ではない信頼を与えた。たとえ打ち明けられた十分の一が真実でも彼は大変に憎たらしい破落戸だった;そして若男の虚栄心は大層な老練家の注目によって擽られた。

「俺自身は相当な悪者だ」、知らない人は述べた、「しかしマクファーレンは下男だ――トディ・マクファーレンと俺は呼ぶ。トディ、俺の友人にもう一杯を注文しろ」、さもなければそうだったかも知れない、「トディ、跳び上がって扉を閉めるんだ」、「トディは俺を憎む」、彼は又いった。「おぅ、そうだ、トディ、お前はな!」。

「私をあの忌々しい名前で呼ばないのか」とがみがみいったマクファーレン。

「彼を聞け! お前は今まで奴が短刀を使うのを見たか? 俺の全身にそうしたいんだぞ」と述べた知らない人。

「僕たち医学生にはそれよりも益しな仕方があります」といったフェテス。「死んだ僕たちの友達が嫌ならば解剖するんです」。

マクファーレンは鋭く見上げた、まるでこの冗談がとても心外だったように。

午後は過ぎた。グレイは、つまりはそれが知らない人の名前なのだった、フェテスを彼らの夕食に加わるように招き、飲み屋が大騒ぎへと投げ込まれるほどの豪勢な宴会を頼んだ、そして全てが終わったとき、マクファーレンに勘定するように命じるのだった。彼らが別れたのは夜遅くだった;彼奴、グレイはどうしようもなく酔っていた。マクファーレンは怒りで酔いが覚めていたけど、無駄遣いを強いられてしまった金の反芻に、そして忍ばざるを得ないでいた蔑視をじっくり考えた。フェテスは頭の中で歌う種々な酒と共に遠回りの足取りとすっかり中断した精神で帰宅した。次の日、マクファーレンは授業を欠席した、するとフェテスは彼が依然として飲み屋から飲み屋へと耐え難いグレイに付き従っていると想像しながら独りで微笑んだ。自由時間が打たれるや否や彼は自分の昨晩の連れを求めてあちらこちらへ急ぎ回った。彼らを見出だすことはしかしながらできなかった;そして自室へ早く戻り、ベッドに早く入り、熟睡するのだった。

朝の四時に彼は良く知る合図で起こされた。扉へ降りたとき、驚異で一杯になってギグ馬車とマクファーレン、そしてギグ馬車に非常に良く知られたあれらの長くてぞっとする荷造りの一つを見付けた。

「何だ?」、彼は叫んだ。「一人で出て行ったのか? どうやって上手くできたのか?」。

しかしマクファーレンは粗雑に黙った、業務に向かうように彼に告げたけど。彼らが死体を階上へ持ち込んで机に置いたとき、マクファーレンはまるで立ち去るような振りを先ずした。それから止まりながら躊躇っているようだった;するとそして「顔を見た方が良いぞ」といった彼、何か強制的な調子で。「その方が良いぞ」、彼は繰り返した、フェテスは彼の顔を驚いて見入ったけど。

「しかしどこで、どうやって、いつ手に入れたのか?」と叫んだもう一人。

「顔を見ろ」が唯一の答えだった。

フェテスはふら付いた;奇妙な疑問に攻め立てられた。彼は若い医師から死体へと見回すとさらに又戻した。終いにははっとして勧められたようにした。殆ど目にした光景は予想されていたものの衝撃は過酷だった。見ると死の硬直でじっとしながら袋用麻布の粗末な層の上に裸だったけど、良い服装の膨よかな肉付きの飲み屋の戸口で罰当たりだったままのあの人で、思慮を欠いたフェテスの中でさえも良心の怯えは多少とも呼び起こされた。彼の知る二人がこれらの冷たい机に置かれることになってこそ魂に木霊する〈明日は貴方に死が訪れる〉だった。だが、これらは二番目の考えでしかなかった。彼の最初の関心はウルフを見据えていた。挑むにはそんな重大な準備はできなかったので、己の仲間の顔をどう見るべきかも分からなかった。敢えて目を合わさず、もはや思うままの言葉も声もなかった。

最初に進み出たのはマクファーレンだった。静かに後ろに近付いてその手をもう一人の肩に優しくもしっかりと置いた。

「リチャードソンは」といった彼、「頭を取るかも知れない」。

これまでリチャードソンは解剖するための人体のその部分について長らく心配していた生徒だった。答えはないままに殺人者は再開した:「業務の話だが、私に払っておくれ;勘定を、そらな、取り纏めておくれ」

フェテスは自身の極僅かな声を見付けた:「貴方に払う!」、彼は叫んだ。「それで貴方に払う?」。

「まぁ、そうだ、もちろんしておくれ。どうぞできるだけ是非とも、しておくれ」と返したもう一人。「私は只で渡しやしない、君は只で受け取りやしない;それで私たち両方で妥協しよう。これはジェーン・ガルブレイスの件とは又別だ。もっと事態が悪化すればもっと私たちはまるで全てが大丈夫なように行動しなくてはならない。老K――はどこに金を保管するのか?」。

「あそこ」と掠れ声で答えたフェテス、隅の食器棚を指しながら。

「鍵を渡して、それでは」と穏やかにいったもう一人、手を開きながら。

一瞬の躊躇いがあって賽は投げられた。マクファーレンはぴくぴくした痙攣を、限りない解放の最小限の表れを抑えることができなかった、己の指の間に鍵を感じたとき。食器棚を開け、ペンとインクと一つの仕切りに立てかけられた紙の本を取り出し、引き出しの資金からその場合に適した金額を分けた。

「さぁ、ここを見ろ」、彼はいった、「払い込みがあった――君の誠実さの最初の証拠;君の保証への第一段。今や第二でそれに片を付けなくてはならない。君の簿記に支払いを記入して、そうすれば君の方では悪魔を寄せ付けないかも知れない」。

次の幾秒はフェテスにとって思いは苦しみだった;しかし怯えを釣り合わせて打ち負かすのは直近だった。かりにマクファーレンへの現在の不服を避けられたらどんな未来の困難も正に歓迎されるところのようだった。彼は今まで持っていた蝋燭を下ろすと安定した手で日付、類別、取り扱い金額を記入した。

「そして今や」といったマクファーレン、「君が儲けをポケットに入れると公平になるよ。私は自分の分け前を既に貰ったんだ。序でながら世人に幸運がちょっと巡り、余分なシリングを幾らかポケットに貰うとき――口に出すのは憚られるが、その場合の行動規範があるんだ。治療なし、高い教科書の購入なし、昔の借金の清算なし;借りろ、貸すな」。

「マクファーレン」と始めたフェテス、依然として何やら掠れた声で「僕は貴方に余儀なくさせられて首を絞首台に置いたんだ」。

「私に余儀なくさせられて?」と叫んだウルフ。「おぅ、さぁさ! 君は私がその問題を良く確かめるかぎり、徹して自己防衛からするべきことをやった。私が困ったことになったと思ってみてごらん、君はどこにいるだろうか? この第二の小さな問題は第一からはっきりと来ている。グレイ氏はガルブレイス嬢の延長上だ。始められなければそのときに止まる。かりに始めれば君は始め続けなくてはならない;それが真実なんだ。悪人に休息なし」。

暗黒の恐怖感と掴まれた悲運の裏切りに不幸な生徒の魂は握られた。

「神様!」、彼は叫んだ、「しかし僕は何をしてしまったのか? そしていつ始めたのか? 授業の助手にさせられたために――理由の名目において、それにおいて害悪がどこにあるのか? 奉仕は立場を求めた;奉仕はそれを得たのかも知れない。〈彼〉は今の〈私〉がいるところにいたのか?」。

「お仲間よ」といったマクファーレン、「何という下男か! 君にどんな害悪が加えられて〈しまった〉のか? かりに喋らないでいたら君にどんな害悪が加え〈られる〉のか? ほら、おい、この生活が何なのかが分かるか? 私たち――獅子と子羊のうちの二人団だ。もしも君が子羊ならばグレイかジェーン・ガルブレイスみたいにこれらの机に置かれることになるだろう;もしも君が獅子ならば生きて私みたいに、K――みたいに、少しでも知力や勇気を持つ大切な人みたいに馬を駆るだろう。最初はふら付かされる。しかしK――を見ろ! お仲間よ、君は利口だ、肝が据わる。私は好きだね、K――だって好きさ。君は狩りで過ごすために生まれた;するといっておくよ、私の名誉と人生経験にかけて、今から三日後 、君は全てのこれらの虚仮威しを道化芝居での高校男子みたいに笑うだろう」。

ついにそれでマクファーレンは出発すると昼前に身を隠すべ路地を己のギグ馬車で乗り上がって行った。フェテスはこうして悔やみながら一人で残された。自分が関わっている惨めな危難に気付くのだった。弱さには限りがないと、そして譲歩から譲歩へと、自分がマクファーレンの運命の裁決者から支払い済みの救いようのない共犯者へと落ちてしまったといいようもなく狼狽しながら気付くのだった。彼は少しでも勇敢になろうとそのときはどんな犠牲も厭わなかった、しかし自分が尚も勇敢かも知れないと思い当たることはなかった。ジェーン・ガルブレイスの秘密と取り引き日記帳の呪うべき記入に彼の口は閉ざされた。

数時間が過ぎた;学徒が到着し始めた;不幸なグレイの各部が一人又一人と分配されると何の言葉もなしに受け取られた。リチャードソンは頭を貰って嬉しがった;すると自由時間の鐘が鳴る前にフェテスは如何に遠くそれらが既に安全な方へ向かったかを悟って歓喜に震えた。

二日間、偽装の恐ろしい成り行きを増加する楽しさと共に見守った。

三日目にマクファーレンが姿を現した。病気だった、彼はいった;しかし生徒たちを指導する精力を以て失われた時間を取り戻した。殊にリチャードソンへ最も有益な援助と助言を差し出した、するとその生徒は実験補佐の称賛で励まされながら野心的な希望に燃え上がってはメダルを既に掴んだと思い浮かべた。

一週間が終わる前、マクファーレンの予言は果たされたのだった。フェテスは己の怯えを生き抜くと己の卑劣さを忘れたのだった。勇気を得意がり始めるとその物語を気持ちに案配して病んだ誇りでこれらの出来事を見返すことができるくらいだった。己の共犯者を見ることは殆どないのだった。彼らは授業の業務中にもちろん会った;自分たちの命令をK――氏から一緒に受け取るのだった。偶には一言か二言を個人的に交わしたし、マクファーレンは最初から最後まで優しくて明るいに取り分け違いなかった。ただし自分たちの共通の秘密にいい及ぶことを少しでも避けているのは明白だった;つまりフェテスが獅子と放棄された子羊と運命を共にしたと彼に話したときでさえも彼は平静を保っておくように笑顔で彼に合図するだけだった。

やっと二人組を密な団結へ、もう一度、放り込む機会が訪れた。K――氏は再び実験対象が不足した。教え子たちは熱心で、いつもしっかり補充されていることがこの教師の要求の一部だった。とするとグレンコースの鄙びた墓地での埋葬の報せが届いた。時間は殆ど場所を問うことはなかった。それは、そのとき、現在のように横道に人々の居住地の求めから位置しており、六本の杉の木の郡葉の深くへ埋もれていた。近隣の丘での羊の鳴き声、両手の細流、一方は小石の間で大きな音を発て、他方は池から池へとひっそり溢れつつ、山地の古い花咲く栗の木の風の戦ぎ、七日に一度、鐘の鳴る音と先詠者の古い節回し、そんな音だけが田舎の教会の辺りの静けさを掻き乱していた。復活者――その頃の通称として使われて――は慣習上の信心のどんな神聖によっても阻止されることはなかった。侮蔑して古い墓の巻き物や喇叭、参拝者や会葬者に歩き古された小道、遺族の愛情の供物や碑文を汚辱することがその商売の部分だった。鄙びた地方へ、そこは愛が並大抵ではなく頑強で、そこは幾つかの血縁か連帯の絆で教区の社会全体が結ばれていたが、死体泥棒は自然な敬意から不快感を与えられるどころか、その仕事の簡単と安全から引き付けられた。地中に置かれた死体へ、遥かに異なった目覚ましを楽しく期待し、あの急かした、ランプに照らされた、怯えに憑き纏われた踏み鋤と根掘り鍬の復活が現れた。棺は抉じ開けられた、死に装束は破かれたけど、すると憂鬱な遺物は袋用麻布を着せられながら月のない脇道を数時間とガタガタ運ばれた後にやっとぽかんと口を開けた少年たちの授業の前に極度に侮蔑的なまでに陳列された。

何やら二羽の禿げ鷲が瀕死の子羊に飛びかかるかも知れないようにフェテスとマクファーレンはあの緑に囲まれた長閑な休息所の墓に解き放たれることになった。農家の妻、六十年と暮らしながら良いバターと信仰厚い会話で知られた女性が真夜中に己の墓から引っ掻き回されると自分がいつも晴れ着で誉め称えていたあの遠方の町へ、死んで裸で、運ばれることになった;その家族の横の場所は最後の審判の雷鳴まで空くことになった;彼女の罪のない殆ど畏れ多い各部は解剖学者のその最上の好奇心へ陳列されることになった。

ある午後遅く、二人組は出発した、クロークにすっぽり包まれて満々の瓶を持ち寄りながら。雨が容赦なく降った――冷たく、濃く、打ち据える雨が。偶さか風の一吹きが起きたが、落ちる水のこうした面には抑え込まれた。瓶とその他の全て、悲しみと静けさの車旅はペニキュイック、彼らが夜を過ごすはずのところまでだった。一旦は止まった、その用具一式を教会墓地から遠からず、厚い茂みの中に隠すため、そしてもう一旦はフィッシャーズトリストだった、台所の火の前で祝杯を上げてはウイスキーのちび飲みをエールのグラスに変えるため。旅の終わりに達したとき、ギグ馬車は仕舞われ、馬は餌を貰って寛ぎ、二人の若い医師は個室で、その家が供する最高の晩餐と最高の葡萄酒の席に着いた。明かり、暖炉、窓を叩く雨、彼らの前に置かれた冷たく、ちぐはぐな成果は食事の楽しみに興趣を添えた。あらゆるグラスで彼らの温情は増大した。直ちにマクファーレンは小さく積んだ金貨をその連れに手渡した。

「賛辞を」、彼はいった。「パイプに着ける火みたいに飛散するこんな少しの下××い用立ての友達同士に」。

フェテスはその金をポケットに入れるとその所感を高らかに称賛した。「貴方は哲学者だ」、彼は叫んだ。「僕は貴方を知るまで頓馬だった。貴方たちの間の貴方とK――を、誓って! 僕を一人前にしてくれたんだ」。

「もちろんだろう」と称賛したマクファーレン。「一人前? いっておくよ、この前の朝、私を後援するのは一人前を要求した。何人か大きな喧しい四十歳の臆病者が下××いことを目にして気分を悪くしたんだ;君ではない――君は冷静を保った。私は見守った」。

「まぁ、そうだろう?」、フェテスはこうして自慢した。「私のことではない。一方では妨げられるしかなかったにせよ、他方では貴方の謝意を宛てにできたんだ、分かるよね?」。すると自分のポケットをピシャリと打っては金貨が鳴るまでだった。

マクファーレンは何許か警告のある触りをこれらの不快な言葉で感じた。自由の若い連れを大層と首尾良く指南してしまったと悔やんだかも知れないが、口出しする暇はなかった、というのももう一人が騒々しくこんな自慢話を続けた:――

「凄いことは怖じ気付かないことだ。今、貴方と僕の間で、僕は首を吊りたくない――それが実際上だ;しかし偽善的ないい方ではなく、マクファーレン、僕は不面目と共に生まれた。地獄、神、悪魔、正、不正、罪当たり、犯罪、または好奇心の全ての古い天井桟敷の見物人――それらに少年たちは怖がらされるかも知れないが、世の中の人たちは貴方と僕みたいに侮蔑する。グレイの思い出に乾杯!」

このときには何にしても夜遅くなっていた。ギグ馬車は順序良く扉へ持ち回されて両側のランプに明るく輝いており、若者たちは支払いを済ませて道を行かなくてはならなかった。自分たちはピーブルスへ向かうと告げると町の最後の家並みから離れるまでそんな方角へ駆った;それからランプを消しながら自分たちの行路を戻るとグレンコースの方へ裏道を辿るのだった。彼ら自身による移動と間断なく耳障りに降り注ぐ雨以外に音はなかった。真っ暗闇だった;ここそこで白い門か壁の白い石が彼らを、夜通し、短い間隔を取って先導した;ただし大部分の他となると並み足で、もはや殆ど手探りのまま、道を厳かに隔てられた目的地へその共鳴する暗黒を越えて選び取るのだった。埋葬地の近隣を横切る低い森の中、最後の煌めきが彼らを逸した、するとマッチを点してギグ馬車の角灯を照らし直さなければならなくなった。こうして雫を垂らす木々の下、巨大に動く影法師に包囲されながら彼らは自らの不浄な労働の現場に到着した。

彼らは両者ともそんなことには慣れっこで踏み鋤には強力だった;もはや棺の蓋がガタガタと鈍く報いられるまで彼らの仕事は二十分と費やされなかった。その瞬間にマクファーレンは手を石で負傷しながら頭の上にうっかり放り出した。墓は彼らが今や殆ど肩まで入っていたが、墓地の台地の端に近かった;するとギグ馬車のランプは彼らの労働を良く照らして木に立てかけられていたにせよ、急な岸の直ぐそばの縁で小川へ下がるのだった。例の石で狙いを確かに定められた見込みだった。それから割れる硝子のガシャーンという音が来た;夜が彼らに襲いかかった;音が鈍くか鳴り響きながら代わる代わる角灯が岸の下へ弾んで行って木々と偶に打つかるのを告げた。一二個の石がその落下で取り剥がされて峡谷の深みへとその後からガタガタ鳴った;するとそして静けさが夜みたいに改めて支配し始めた;ついに彼らは最大限の暗闇へ耳を傾けたかも知れなかったが、聞こえるのは雨以外になく、今や風に悠々と進みながら今や開けた土地の何マイルもしっかり降り頻っているのだった。

彼らはその忌み嫌う仕事の終わりに近付いたので、闇の中で仕上げるのが最も賢いと判断した。棺は掘り起こされると壊して開けられた;死体は雫を垂らす大袋に入れられてギグ馬車へ彼らの間で運ばれた;一人はその席にそれを保つために登ってもう一人は馬の口を取りながらフィッシャーズトリストのそばの広い道に出るまで壁と茂みに沿って手探りした。朧気に拡散する光線があって彼らは昼みたいに歓んで迎えた;それによって馬を良い調子で押しながら町の方角へ陽気にガタガタ進み始めた。

彼らは両者とも作業中に肌まで濡れてしまっていた、そして今やギグ馬車が深い轍の中で跳び跳ねたけれども彼らの間に立てかけられてあったものが今や一人と今やもう一人と落下した。恐るべき接触のあらゆる繰り返しにそれぞれが直感的にそれを大慌てで追い払った;そして成り行きは当たり前だったけれども連れ同士の神経に堪え始めた。マクファーレンは農家の妻に感じ悪い冗談を少しいったが、唇から虚ろに来ては沈黙に落ちて行った。依然として彼らの異常な荷物は横一杯に突き当たっていた;そして今や頭がまるで内密のように肩に置かれ、そして今や水浸しの大袋の布が顔辺りに冷ややかにぱたぱた動くのだった。忍び寄る興醒めがフェテスの魂を捉えた。その包みを覗くと幾許か当初よりも大きく思われた。田舎の全域、つまりあらゆる遠方から農家の犬が彼らの移動に悲惨な吠え声を上げて付き添った。するとどんどん彼の思いは膨らんだ、異常な奇跡か何かが成し遂げられたのだと、名付けようもない変化か何かが亡骸に起きたのだと、犬が遠く吠えているのは自分たちの罪深い荷物を恐れているのだと。

「お願いだから」といった彼、発言を果たすのに大変な努力を要しながら「お願いだから、明かりを灯そう!」。

外見上、マクファーレンは同じ方向に影響を受けた;というのも返事はしなかったけれども馬を止め、その連れに手綱を渡し、下がって行き、残ったランプを燃やし始めたためだった。彼らはそのときにはアーカンクリニーに至る交差点に近付いて来ていた。雨は依然としてまるで大洪水が戻っているように降り注いで明かりをそんな水と闇の世界で得ることは簡単な問題ではなかった。ついにちら付く青い炎が蝋燭の芯に移されると拡大して明瞭化しながら広くて丸い霧のような明るさをギグ馬車の周りに発し始めたとき、二人の若者は互いの顔と自分たちの引き連れるものを見ることができるようになった。雨に粗雑な袋詰めは下の死体の輪郭を象られていた;頭は胴と異なりながら肩はくっきりと形作られた;同時に幽霊的で人間的な何かが彼らの目をその車旅のぞっとする仲間に鋲留めにするのだった。

暫くの間、マクファーレンは身動きせずに立っていた、ランプを掲げながら。名付けようもない恐さが濡れた膜みたいに死体の周りを包みながらフェテスの顔の白い肌を固まらせた;意味のない恐ろしさ、あり得ないものへの嫌悪が彼の脳を登り通した。又別の時計が刻む音と彼は伝えたのだった。さてや彼の仲間が彼に先んじた。

「それは女性ではない」といったマクファーレン、潜めた声で。

「僕たちが入れたときは女性だった」と囁いたフェテス。

「ランプを持ってくれ」といったもう一人。「顔を見るべきだ」。

そしてフェテスがランプを取ったときにその連れは大袋の締め具を解くと例の顔から覆いを引き下ろした。明かりは見慣れ過ぎた、これらの若者の両者とも、屡々、目にした顔立ちの浅黒い、良く象られた特徴と綺麗に剃られた頬にとてもはっきり落ちていた。狂乱した喚き声が夜へと鳴り響き上がった;それぞれが車道へ自分の側から跳んだ;ランプは落ち、壊れ、消えた;すると馬はこの尋常ではない大騒ぎに怯えさせられたので、跳んで駆け足でエディンバラの方へ去って行った、ギグ馬車の他でもない乗客、死者の骸と長らく解剖されたグレイを一緒に運びながら。

参考:R.L.スティーヴンソン『死体泥棒』

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