ラドヤード・キップリングのアルマジロの始まりの日本語訳

自分の写真結城永人 -

イギリスの作家、小説家で詩人のラドヤード・キップリングの童話集その通り物語(1902)の収録作品のアルマジロの始まりの日本語訳を行った。

ラドヤード・キップリングのアルマジロの始まりの原文と朗読

The Beginning of the Armadillos by Rudyard Kipling/ラドヤード・キップリングのアルマジロの始まり
原文:Wikisource作品集
朗読:LibriVoxカラ・シャレンバーグ

両方ともパブリックドメイン(著作権なし)だから無料で自由に使って構わない。

ラドヤード・キップリングのアルマジロの始まりの日本語の訳文

ミツオビアルマジロ

これは、おぉ、諸賢、遥か遠い昔の又別の物語だ。その昔の真っ最中にツクンチクンの針鼠がいて殻付きの蝸牛や何かを食べながら濃密なアマゾン川の岸辺に暮らしていた。そして彼には友達がいてズシンドシンの亀だったが、緑のレタスや何かを食べながら濃密なアマゾン側の岸辺に暮らしていた。つまりだから〈それ〉で大丈夫だった、諸賢。分かるかな?

しかしもう一つ、やはり同じ頃、あの遥か遠い昔に色鮮やかなジャガーがいて濃密なアマゾン川の岸辺に暮らしてもいた;そして自分で捕まえたあらゆるものを食べるのだった。鹿や猿が捕まらないときは蛙や甲虫を食べるんだ;または蛙や甲虫が捕まらないときは自分のジャガー母さんへ行って針鼠や亀をどう食べるかを聞いた。

彼女は何度でも彼にいった、優美に尻尾を振りながら「あのね、針鼠を見付けたときは水の中に落とさなくてはならないよ、そうしてから解すんだ、そして亀を捕まえたときは足で殻から掬い出すんだ」。つまりだからそれで大丈夫だった、諸賢。

濃密なアマゾン川の岸辺のある美しい夜、色鮮やかなジャガーは倒れた木の幹の下に座るツクンチクンの針鼠とズシンドシンの亀を見付けた。彼らは走り去れなかった、するとそこでツクンチクンはボールに丸まった、針鼠だったから、そしてズシンドシンの亀は頭と足をやれるかぎり、殻の中に引っ込めた、亀だったから;つまりだから〈それ〉で大丈夫だった、諸賢。分かるかな?

「さぁ、良く聞きな」といったジャガー、「これは非常に重要だから。母さんは針鼠と会ったときは僕に水の中に落とすべき、そうしてから解すんだ、そして亀と会ったときは僕に足で殻から掬い出すべきだといっていた。さぁ、君たちのどちらが針鼠か? どちらが亀か? 斑点を守るに判らないから」。

「お母が話したことは確かなのか?」といったツクンチクンの針鼠。「君は確信するか? きっと亀を解すときは一掬いで水から剥かなくてはならない、そして針鼠を押さえたときは殻の上に落とさなくてはならないといったのさ」。

「お母が話したことは確かなのか?」といったズシンドシンの亀。「君は確信するか? きっと針鼠を水に浸けるときは足に落とさなくてはならない、そして亀と会ったときは自ずと解れるまで剥かなくてはならないといったのさ」。

「全くそんなふうだったと思わない」といったジャガー、しかし戸惑いを少し感じた;「しかし、頼むよ、もう一度、もっとはっきりいってくれ」

「水を足で掬うときは針鼠で解すのさ」といったツクンチクン。「覚えておきな、重要なのだから」。

「〈しかし〉」といった亀、「肉を押さえたときは亀に一掬いで落とすのさ。理解できないことはない?」。

「君たちには斑点が痛くなる」といった色鮮やかなジャガー;「しかもその上、僕は君たちの助言を全く求めない。君たちのどちらが針鼠か、そしてどちらが亀かを知りたいだけだ」

「教えるべきではないが」といったツクンチクン、「お好みならば僕を殻から掬い出して良いよ」。

「そうか」といったジャガー。「さぁ、君が亀だと分かった。分からないだろうと思ったな! さぁ、僕は分かったんだ」。ジャガーが肉厚の足を突き出した途端にツクンチクンが丸まった、するともちろんジャガーの肉厚の足は正に針で一杯になった。それよりも酷く、彼はツクンチクンを森と茂みへ叩き込みに込んだが、そこでは暗過ぎて彼を見付けられなかった。それから自分の肉厚の足をその口の中に入れた、するともちろん針で今まで以上に酷く痛め付けられるのだった。できるかぎりの速さで、彼はいった、「さぁ、あれは亀では全くないと分かった。しかし」――そうしてから自分の頭を針のない方の足で掻いた――「こっちは亀だとどうすれば分かるのか?」。

「しかし僕は亀〈だ〉」といったズシンドシン。「君の母親は全く正しかったのさ。君は僕を足で殻から掬い出すべきだ。始めな」。

「一分前、母さんがそういったといわなかったぞ」と色鮮やかなジャガー、針をその肉厚の足から吸い取りながら「母さんが全く違うことをいったといった」。

「まぁ、君が僕が君の母親が全く違うことをいったといったというとすれば僕にはどんな違いがあるとも分からないよ;なぜなら君の母親が君が僕が彼女がいったといったといったことをいったならばそれは僕が彼女がいったと彼女がいったことをいったとの全く同じなのだから。他方、殻で落として押さえる代わりに君が彼女が僕を一掬いで解すべきだといったと思うならば僕はどうすることもできないよな?」

「しかし君は僕の足で自分の殻から掬い出されたいといった」といった色鮮やかなジャガー。

「思い直せば僕がそんなようなことは何もいわなかったと気付くだろう。君の母親が僕を殻から掬い出すべきだといったといったんだよ」といったズシンドシン。

「そうすればどうなるだろう?」と甚だ軽蔑的にいったジャガーで、甚だ用心深かった。

「分からない、僕は前に殻から掬い出されたことはないからね;しかし真実に話すよ、もしも僕が泳ぎ去るのを見たければ僕を水の中に落とさければならないんだ」

「それは信じない」といった色鮮やかなジャガー。「僕は母さんがいわなかったのは確かかどうかを君から訊かれたことの扱いを話して貰ったことが全てごちゃ混ぜにされてしまった、自分の頭か色鮮やかな尻尾でいるのかどうかも分からないまでにさ;そして今や君は理解できることを話すようになるし、それには前よりももっと混乱させられる。母さんは君たち二匹のうちの一匹を水の中に落とすべきだと僕に話したし、君が水の中に落とされるのをとても心配すると思われるように僕は君が落とされたくないと考える。だから濃密なアマゾン川へ跳び入りな、さっさとやりな」。

「お母は喜ばないだろうと警告するよ。僕が話さなかったと彼女に話すなよ」といったズシンドシン。

「君が母さんが何をいったかについて他のことをいうならば――」、ジャガーは答えたが、文章を終えないうちにズシンドシンは濃密なアマゾン川へ静かに飛び込み、長らく水の下を泳ぎ、ツクンチクンが待っている岸辺に出て来た。

「命拾いしたものだ」といったツクンチクン。「色鮮やかなジャガーは好きではない。君は自分が何だと彼に伝えたか?」。

「僕は真意の亀だと真意に話したのに彼は信じなかったんだ、すると僕を確かめようと川へ跳び入らせた、もはや僕だし、彼は驚いた。さぁ、お母に伝えに行ったぞ。彼を聞け!」。

色鮮やかなジャガーが濃密なアマゾン川の周りの木々と茂みの中をあちこち喚いているのが聞こえてはお母が現れるまでだった。

「あら、あら!」と何度でもいった母親、優美に尻尾を振りながら「やらなくて良いそんな何をやっていたの?」。

「僕の足で殻から掬い出されたいというのを掬い出そうとしたら僕の足はチクン針で一杯になった」といった色鮮やかなジャガー。

「あら、あら!」と何度でもいった母親、優美に尻尾を振りながら「肉厚の足の針で、それは針鼠だったに違いないと分かるよ。水の中に落とさなくてはならなかったね」。

「それは他のものにやった;すると自分は亀だといった、すると僕は信じなかった、すると正しく亀だった、すると濃密なアマゾン川に飛び込んだ、すると再び上がって来なかった、すると僕は全く食べるものがなくなった、すると宿を他のどこかに探す方が益しだと考えた。彼らは哀れな僕にとって濃密なアマゾン川で利口過ぎる!」

「あら、あら!」と何度でもいった母親、優美に尻尾を振りながら「さぁ、良く聞いて私がいうことを覚えておいて。針鼠はボールに丸まって自分の針を一気にあらゆる方向に突き立てる。これで針鼠が分かったね」。

「このお母さんはちっとも好きになれない」といったツクンチクン、大きな葉っぱの影の下で「他に何を知るだろう?」。

「亀は丸まれない」、ジャガー母さんは続けた、何度でも優美に尻尾を振りながら「頭と脚を殻の中に引っ込めるだけだ。これで亀が分かったね」。

「このお母さんは全く好きになれない――全く」といったドシンもドシンの亀。「色鮮やかなジャガーでもあれらの指導は忘れないな。君が泳げないのは大変な哀れだ、針鼠」。

「僕に話すな」といったツクンチクン。「丸まれたらどんなに良いかを考えてご覧。これは窮地〈だ〉! 色鮮やかなジャガーを聞け」。

色鮮やかなジャガーは針をその足から吸い取りながら濃密なアマゾン川の岸辺に座って独りで歌っていた――

「丸まれないのに泳げる――
ズシンドシン、それが彼だ!
丸まるのに泳げない――
ツクンチクン、それが彼だ!」

「彼はそれをこの長い間にも忘れることはないだろう」といったツクンチクン。「顎を支えてくれ、ズシンドシン。僕は泳ぎを覚えることに努めよう。役立つと良い」。

「優秀!」といったズシンドシン;そして針鼠の顎を支えた、同時に針鼠は濃密なアマゾン川の水を蹴った。

「見事な泳ぎ手には未だ達しないな」といったズシンドシン。「さぁ、背板を少し緩めてくれれば僕は丸まるにはどうするかをやってみる。役立つと良い」。

ツクンチクンは亀の背板を緩めるのを手伝った、そのために捩って引っ張ってズシンドシンは実際にほんの少しだけ上手く丸まった。

「優秀!」といったツクンチクン;「しかしこの辺で止めておくべきだ。君の血相が変わっている。優しく、もう一度、水の中に導いてくれ、すれば君がいうにはとても簡単な横泳ぎを練習しよう」。するとそこで針鼠は練習した、そしてズシンドシンはそばを泳いだ。

「優秀!」といったズシンドシン。「もう少しの練習で鯨同然になるな。さぁ、申し訳なくも背と腹の板をもう二つの穴に緩めてくれれば君がいうにはとても簡単な美しい湾曲を試そう。色鮮やかなジャガーは驚かないか!」。

するとそこでツクンチクンは飛び込んだ、そしてズシンドシンはそばに飛び込んだ。

「優秀!」といったズシンドシン。「もうちょっと息を止めるように注意すると濃密なアマゾン川の底に居を構えることができるだろう、さぁ、僕は君がいうには破格に快適な耳の周りへの後ろ脚の巻き込みの練習をしてみよう。色鮮やかなジャガーは驚かないか!」。

「優秀!」といったツクンチクン。「しかし背板が少し突っ張っている。横並びに置かれる代わりにそれらが今や全く部分的に重なっている」。

「おぅ、練習の成果だね」といったズシンドシン。「君の針は一つが他のものに溶け合っているようだと、つまり前の頃よりも松毬のように、栗毬のようではなく、見えるようになっていると気付いた」。

「僕が?」といったツクンチクン。「それは水に浸って起きたんだ。おぅ、色鮮やかなジャガーは驚かないか!」。

彼らは朝が来るまで助け合いながら自分たちの練習を続けた;そして日が高くなったとき、休んで体を拭いた。そのとき、自分たちが両方とも以前の自分たちとは非常に異なっているのが分かった」。

「ツクンチクン」と朝食後にいった亀、「僕は昨日の自分ではない;しかし色鮮やかなジャガーを未だ面白がらせるんだと思う」。

「それは僕が今しも思っていることだったよ」といったツクンチクン。「鱗は針の途方もない改良だ――泳げるのはいうまでもなく。おぅ、色鮮やかなジャガーは驚か〈ない〉か! 彼を見付けに行こう」。

間もなく、彼らはジャガーを見付けた、まだ前夜に傷付いた自分の肉厚の足を治そうとしているのだった。彼は仰天した余り、三回、後ろに止まらず、色鮮やかな尻尾から倒れた。

「おはよう!」といったツクンチクン。「今朝のお母様は如何かな?」。

「非常に良いよ、ありがとう」といった色鮮やかなジャガー;「しかし許しておくれ、この瞬間にも君の名前を思い出せないとわ」

「冷たいな」といったツクンチクン。「昨日の今頃は僕をその足で殻から掬い出そうとしたと分かれば」。

「しかし君に殻は一つもない。針ばかりだった」といった色鮮やかなジャガー。「そうだったと覚えている。僕の足を見てみな!」。

「君は僕に濃密なアマゾン川へと落として溺れ死にさせると話した」といったズシンドシン。「今日はなぜそんなに失礼で忘れっぽいのか?」。

「君の母親がいったことを思い出せないのか?」といったツクンチクン――

「丸まれないのに泳げる――
ズシンドシン、それが彼だ!
丸まるのに泳げない――
ツクンチクン、それが彼だ!」

それから彼らが両方とも丸まって色鮮やかなジャガーの周りをゴロゴロ転がっては彼の目はその頭の中で車輪を真実に回すまでだった。

それから彼は自分の母親を呼びに行った。

「母さん」、彼はいった、「今日は森に二匹の新しい動物がいる。泳げないといわれた一匹が泳いで丸まれないといわれた一匹が丸まる;そして彼らは自分たちの針を分け合って持っている、あれだ、一つが滑らかで、他のものが全くの針ではなく、それらの両方が鱗になっているから;しかもそれ以外に彼らはゴロゴロ転がっているし、良い気分ではなくなる」。

「あら、あら!」と何度でもいったジャガー母さん、優美に尻尾を振りながら「針鼠は針鼠であって針鼠以外の何者でもあり得ない;そして亀は亀であってその他の者ではあり得ることはない」。

「しかし針鼠ではないし、亀ではない。両方とも少しだけだよ、もはやそれ相応の名前が分からない」。

「馬鹿げている!」といったジャガー母さん。「あらゆるものはそれ相応の名前を持っている。本当のものを見付け出すまで『アルマジロ』と呼ばなくてはならないよ。もはやそれは放っておかなくてはならないよ」。

そこで色鮮やかなジャガーは教えられた通りにした、分けても放っておくことに関して;しかし好奇心を引かれるのはその日から今日までそのことだ、おぉ、諸賢、濃密なアマゾン川の岸辺の誰もツクンチクンとズシンドシンをアルマジロ以外の何者とも呼ぶことはなかった。針鼠と亀が他の場所にはいる、もちろん(何匹かは私の庭にいる);しかし遥か遠い昔に濃密なアマゾン川の岸辺に暮らした松毬の鱗みたいに一つが他のものにピョコピョコと重なる自分たちの鱗を持つ本当に古くて利口な種族はいつもアルマジロと呼ばれる、なぜなら彼らはとても利口だったからだ。

だから〈それで〉大丈夫だ。諸賢。分かるかな?

私がアマゾン川を帆行したことはなく、
  ブラジルに着いたことはなかった;
しかし〈ドンとマグダレーナ〉は、
  望めばそこへ行くことができる!

毎週、サウサンプトンからさ、
白と金の大きな蒸気船が
リオへ揺れ進んで行く
(リオへ揺れ進む揺れ進む!)
もはやリオへ揺れたいものだ
老いる前にいつの日か

私がジャガーを見たことはなく
  装甲に覆われたアルマジル
オォ ジロングも未だなかったし、
  それはないだろうと思う、

リオへ行かなければ
見るべきそれらの驚きが
リオへ揺れ進む揺れ進む
リオへ揺れて本当に進む!
おぅ、リオへ揺れてみたいな
老いる前にいつの日か

参考:The Beginning of the Armadillos

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