ジューシィ・フルーツの素晴らしく楽しいテクノロック 結城永人 -2023年2月4日 YouTubeのホームに出て来た動画の歌う女性に「何だ、この妖艶な魅力は」と心を動かされて観てみたら聴き覚えのある曲だった。ずっと昔、幼い頃に聴いて「一体、誰が歌っているんだろう」と気になった記憶が微かに残っていた。初めて知ってとても嬉しかったんだけれども歌っていたのはジューシィ・フルーツというバンドのヴォーカルのイリア(奥野敦子)で、曲はジェニーはご機嫌ななめだったんだ。今聴いても全く古さを感じさせないほどに引き付けられ捲るし、他の曲にも幾つか聴き覚えがあって本当に気に入りの音楽を見付けたと感じる。 ジューシィ・フルーツのテクノロックが何よりも好きだ ジューシィ・フルーツのイリア|ステレオ音楽館|東京12チャンネル 今まで、散々、色んな音楽を聴いて来た中で、好きなのに良い曲を見付けることが難しくて、思う存分、聴けないものとしてテクノロックが個人的に挙げられる。 ジューシィ・フルーツのジェニーはご機嫌ななめは正しくテクノロックで、探すと他にもあって特に初期の曲に多いけど、とにかく人生で三回目の衝撃として著しく記憶に刻まれることとなった テクノロックの良い曲と殆ど出会えないままに過ごして来た数十年余り ジューシィ・フルーツ/Juicy Fruits|永チャン かつてテクノロックに引き付けられたことは三回しかなかったので、ジューシィ・フルーツの現時点の有り難みを噛み締めながら振り返ってみたい。 最初に見付けたテクノロックは青春期のライトセッドフレッドのDon't Talk Just Kissだった Don't Talk Just Kiss by Right Said Fred / Tug Records この曲はイギリスのロック歌手のエド・シーランの記事で少しだけ触れた。見付けた切欠は超大好きなソウルシンガーのジョセリン・ブラウンが共演したためだった。聴いてみたら曲としても最高に良かったので、テクノロックとの忘れ得ない出会いとして捉えられるに至った。 いつもテクノポップはあるもののテクノロックが希少で、どちらも似たようなものだけれどもシンセサイザーを中心とした音作りにエレキギターの音色が特徴的に重なって来るとロックの趣きが増すようで、個人的にテクノロックとしてテクノポップと区別して受け留めている。 ライトセッドフレッドのDon't Talk Just Kissが正しくそんな感じの音楽だった。素晴らしく気に入ってテクノロックをもっと聴きたいと初めて思わされたんだ。しかしライトセッドブレッドを含めて他に良いのがないということも分かってもどかしさを覚えた。もはや出会えただけで、幸運かも知れないような印象さえも抱いた。 ニ回目に見付けたテクノロックが最初から十何年か後のCAPSULEのFruits Clipperだった Fruits Clipper by capsule / Contemode CAPSULEはデビュー当時から「聴きたい音楽をやってくれる」と完全に嵌まったものの途中で音楽の方向性が変わって聴くのを止めてから暫くして又聴いてみたときにちょっと前にFruits Clipperが出ていてクラブダンスの渋いテクノビートにギンギンギラギラのエレキギターを絡めた完全無欠のテクノロックみたいな印象を抱いて「これは凄い」と感心せざるを得かなかった。 エレキギターが煩くて耳を塞ぎたくなるほどの力強さで、格好良い音楽とはこういうものだと生まれ始めてか心から認めた。 そして題名が不思議というか、何だろうと思わせて果物(Fruits/フルーツ)が出て来るけれどもいわれてみると確かに分かる。エレキギターのジュワッとした感触がまるで果物を絞るか何かで果汁が飛び散るように受け取れるのが面白い。 三回目に見付けたテクノロックが思い出のジューシィ・フルーツのジェニーはご機嫌ななめだった ジェニーはご機嫌ななめ by ジューシィ・フルーツ / 日本コロムビア テクノロックが好きだから聴きたいと思って新しい曲と出会える未来を心待ちにしたのがまさか過去にあったというのが本当にぴっくりしたんだ。しかも気になって歌手も曲名も知らず、心の片隅にずっと残っていたジューシィ・フルーツのジェニーはご機嫌ななめだったというのが本当に信じられない。 考えると、元々、ジューシィ・フルーツのジェニーはご機嫌ななめのような音楽に惹かれていたためにライトセッドのDon't Talk Just KissもCAPSULEのFruits Clipperも似たもののとして物凄く喜んでいたともいえなくはない。 人は自分では気付かず、潜在意識によって動かされて何かを得ることもあり得るし、僕にとってテクノロックがそういものだったとしたらジューシィ・フルーツのジェニーはご機嫌ななめの発見、または微かな記憶を踏まえれば再認識は一つの音楽の捉え方を大きく変えるかも知れない。 もしもジューシィ・フルーツのジェニーはご機嫌ななめをもっと早く知っていたらどんな音楽を聴くかという気持ちは今と全く異なったものになっていたみたいに想像してしまいもするわけだ。 ジューシィ・フルーツの音楽は素晴らしく楽しい ジューシィ・フルーツ/レッツゴーヤング|NHK ヴォーカル/ギターイリア(奥野敦子)ギター高木俊彦ベース沖山優司ドラム高木利夫 ※ジューシィ・フルーツは1984年に解散して2013年にイリアと高木利夫の二人を残して再結成されている。 ジューシィ・フルーツは1979年に結成された近田春夫のバックバンドのBEEFを前身として翌年にジェニーはご機嫌ななめでデビューした。近田春夫がレコード会社をキングレコードから日本コロムビアへ移籍する際に半年間は新しいレコード会社で曲を出せないという事情があって代わりにジューシィ・フルーツが作られたらしい。 イリア――近田さんのバックとして出たからそんな長くやると思わなかったし、売れると誰も思わなかったの。 西山毅――あぁ、そうなんですか。 イリア――誰も思わなかったの。近田さんの戻って来るまでの場繋ぎのバンドとしてやったから。 西山毅――うーん。 イリア――それで私が場繋ぎのヴォーカルとして歌ったから。 西山毅――うん。 イリア――そしたら何か、思いの外、売れちゃって、皆、びっくりしちゃって。 イリアと西山毅|昭和の名ギターソロ探訪『ジェニーはご機嫌ななめ』|西山毅 Official Channel ジューシィ・フルーツが、偶々、出て来たことは良質なテクノロックの稀少性と繋がるかどうかは別として非常に興味深い。 詞の内容に若者の性事情が含まれているのがこれも、先日、見付けて気に入ったアイドルグループのセブンティーンクラブのように面白いし、音楽の世界観にお巫山戯みたいな印象がはっきりあるのは長く続けるつもりがないせいだったのかも知れない。 イリアのギターアイドルとしての存在感とリズムの巧みさがずば抜けている ジューシィ・フルーツ/金曜娯楽館|日本テレビ メインヴォーカルのイリアが何といっても素晴らしい。ジェニーはご機嫌ななめは全て裏声で可愛いらしいけれども地声も本当に良い。まるでエレキギターのような痺れる魅力に溢れている。テクノロックにぴったりなのが個人的に嬉しいかぎりだ。 見た目も美しくて瞬く間に引き付けられる。歌い方もセクシーだから、尚更、目が離せなくなるんだ。スタイルも抜群で、しかも非常にお洒落で、特にハイヒールを履いてギターを弾く姿が今までの僕の記憶にはないくらいユニークで、本当に素敵だと思う。ほっそりして脚を開き気味に立つと小股の切れ上がった良い女をはっきり感じさせてくれるのも、中々、ない。嬉しいとしかいいようがない。 ジューシィ・フルーツのバンドとしての最も大きな特徴はメインヴォーカルとメインギターをイリアが一人でやっている。他のバンドが直ぐに思い当たらないくらい珍しいと思う。 なぜかと考えるとイリアが、元々、ギタリストだから自然にそうなったんだろう。普通と違うのはバンド名に彼女の名前がない。だから皆でやっているのかと思うし、そこでメインのヴォーカルとギターを両方ともやるバンドは他にあるのだろうか。一人でやるのは大変そうとか良いところを独り占めするなんて感じがしてしまう。 イリアがギタリストとして歌うバンドと捉えたら珍しくなくて気付くのは他のドラムとベースとサイドギターのメンバーが脇役に徹してリズムとコーラスをしっかりやっているのが凄いと驚く。 ライブ帝国 ジューシィ・フルーツ|ハピネット 一つはメロディーとリズムの対比が明瞭で、気持ち良く聴ける。ひょっとしたらジューシィ・フルーツよりもリズム感の良いバンドはないのではないかというくらいメロディーに対する乗りを強く感じる。 もう一つはコーラスの三人が全て男性だからメインの女性とのやはり対比が非常に明瞭で、ハーモニーが非常に気持ち良く聴けるのが嬉しいんだ。 聴いていると人類史上最高のバンドとも過言ではない惹かれ捲りのビートルズを彷彿させるほどの凄まじい美しさに触れるから聴かずにはいられない。 さらに良いのはちょっとした振り付けなどのメンバーの個々の動きが活かす。イリアと愉快な仲間たちみたいな様子で、パフォーマンスを観ていると本当に楽しい気持ちが素晴らしく伝わって来てエンターテインメントとしての魅力を増している。 ジューシィ・フルーツは音楽と動きががっちり噛み合ってイリアは可愛らしいギターアイドルとして、その他のメンバーは微笑ましいリズムの巧みさによってずば抜けているバンドだと思う。 ジューシィ・フルーツのDrink!は類も稀な傑作のテクノロックアルバムだ Drink! by ジューシィ・フルーツ / 日本コロムビア 色んな曲を聴いてみると必ずしもテクノロックをやるわけではないんだ。 デビュー当時の1980年前後にテクノブームがあって特に初期の曲にそうした感触が強い。ニューウェーブと呼ばれていた。すなわち1970年代のパンク以降の様々な影響を受けたロックの新種として捉えられていたんだ。 個人的にテクノロックに向いたジェニーはご機嫌ななめを含むファーストアルバムのDrink!が類も稀な傑作だと称えたい。 因みにジェニーはご機嫌ななめは録音では、一音、低いらしい。裏声で歌うけれどもライヴでは声が遠くまで通らないことに気付いて上げることにしたといわれる。ライヴと録音でアレンジも相当に異なるけれども違和感が大きいのは音程のせいだ。 どちらかというとライヴの方が良いと思うし、映像があれば動きの可愛らしさや微笑ましさも分かるからジューシィ・フルーツの素晴らしく楽しい魅力を知るには録音だけでは相当に物足りない。 何時かの微かな記憶から巡り会えた喜びは一入とはいえ、それでなくともテクノロックを素晴らしく楽しくやってくれるから最高のバンドだと認めたに違いない。 コメント 新しい投稿 前の投稿
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