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マリア・ヒタのÁguas de março(アントニオ・カルロス・ジョビン)|人生歌

2012年に発表されたマリア・ヒタÁguas de março三月の水が人生歌として胸に響いた。

作詞作曲はアントニオ・カルロス・ジョビン(トム・ジョビン)で、オリジナルの歌手も彼になる。

アントニオ・カルロス・ジョビンがブラジルの夏の終わりを告げるように降り出す三月頃の雨(南半球だから日本などの北半球の国とは季節が反対になる)をモチーフに作成した。

同国の詩人のオラーヴォ・ビラックO Caçador de Esmeraldas(エスメラルダスの猟師)の「Foi em março, ao findar das chuvas, quase à entrada」(三月、雨が上がり、入る頃に)などの詩の言葉に示唆されたかも知れない。

当時、ボサノヴァという音楽の新しいジャンルを生み出した中心人物の一人としてアメリカで大成功を収めていたアントニオ・カルロス・ジョビンだったけれどもそうした地位と名声を高めた華々しい生活の裏では妻との不仲や父親の不審な死や児童期に愛犬を誤って銃殺した罪悪感などの様々な苦悩を抱えながら精神科に五年くらい通ってもいたようなんだ。

Águas de marçoは詞の表現が独特で、物事を羅列するだけで終わってしまうような感じなんだ。情緒的なスタイルというか、文学上は意識の流れのように理詰めの脈絡を重視しない仕方だけれども本人によるとこれがどんな精神分析よりも良い治療になったそうだ。悲しみを考え過ぎない生き方が身に付いて毎日の心理的な圧迫が減って病状も回復したのかも知れないと想像する。

1972年にO Pasquimというブラジルの軍事政権への反体制的な新聞の付録のO Tom de Antonio Carlos Jobim e o Tal de João BoscoのA面で――そこにオラーヴォ・ビラックの三月の水に纏わる詩の言葉も引用されていたんだ――B面のジョアン・ボスコAgnus Seiと一緒に発表されたのが最初だった。

アントニオ・カルロス・ジョビンは何回もスタジオやライヴで新しく録音して発表しているけれども最も知られるのはブラジルの人気歌手だったエリス・レジーナとの共作で、大好評を得た1974年のアルバムのElis & Tomに収録されたデュエットになると思う。

マリア・ヒタのÁguas de marçoのカヴァーは本当に聴き易くて標準的と呼べるくらいバランス感覚に優れたアレンジによって全てが綺麗に纏まっていると惹かれる。歌声は瞬く間に心に染みる素晴らしに加えて諸々のニュアンスまで感情を込める細やかな表現が一層と豊かな感動を呼び覚まさずにいない。

因みに彼女はエリス・レジーナの娘なので――父はピアニストのセザル・カマルゴ・マリアーノだ――オリジナルを真っ先にカヴァーした1972年のソロや先述のアントニオ・カルロス・ジョビンとのデュエットが印象深い母と二代続けてÁguas de marçoの名演を残したといって良いだろう。

歌詞の内容

出だしの部分;

棒切れ、石ころ
道の終わり
切り株休み
一人ぼっち
硝子の破片
人生、太陽
夜中、死滅
投げ縄、釣り針
ペローバドカンポ
樹木の節目
カインガ、カンデイア
マチータ・ペレイラ
風の樹木
岸の崩れ
深遠な謎
否応なし

吹いている風
坂の終わり
梁、空っぽ
棟上げ祭
降っている雨
川べり談義
三月の水で
疲れの終わり
足、地面
出歩くばかり
手中の小鳥
パチンコの石
大空の鳥
地面の鳥
小川
噴水
パン一切れ

原文

É pau, é pedra
É o fim do caminho
É um resto de toco
É um pouco sozinho
É um caco de vidro
É a vida, é o sol
É a noite, é a morte
É o laço, é o anzol
É peroba do campo
É o nó da madeira
Caingá, candeia
É o Matita Pereira
É madeira de vento
Tombo da ribanceira
É o mistério profundo
É o queira ou não queira

É o vento ventando
É o fim da ladeira
É a viga, é o vão
Festa da cumeeira
É a chuva chovendo
É conversa ribeira
Das águas de março
É o fim da canseira
É o pé, é o chão
É a marcha estradeira
Passarinho na mão
Pedra de atiradeira
É uma ave no céu
É uma ave no chão
É um regato
É uma fonte
É um pedaço de pão

ペローバドカンポカインガカンデイアはブラジルに生えている木の名前。
※マチータ・ペレイラはブラジルの伝承の一本足のキャラクターのサシが姿を変えるとされる鳥で、専らセスジカッコウのこと。

アントニオ・カルロス・ジョビンのÁguas de março(訳出)

表現は情緒的なスタイルか意識の流れのようにある言葉に別の言葉が次々と繋がれて行く。ブラジルの夏の終わりに三月の雨が降り続いて至る所に水が溜まってどんどん流れて行くイメージを重ねると臨場感が増して迫って来る。そして人生も同じように捉えられるというのがこの歌ならではの魅力だと考える。どれも何の意味もない言葉、または物事かも知れないけれども気にかけてみると反対に何か意味のある言葉、または物事かも知れないわけなので、受け手の興味や関心によって歌詞の印象が相当に変わって来る。

根本的にいえば自分次第の見方が問われる世界の有り様を縦横無尽に示してはっきり味わわせくれるのが何よりの美点だろう。

その他のカヴァー

十五組の楽曲;

世界でカヴァーが続々と生まれているÁguas de marçoは人生歌のスタンダードな名曲に他ならない。

関連:結城永人の人生のスタンダードな名曲選集

参考:Waters of March Antônio Carlos Jobim – Águas de Março Lyrics Cover versions of Águas de Março by Antônio Carlos Jobim

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