歯科の詰め物/被せ物の銀歯のパラジウムを含む金銀パラジウムの危険性 結城永人 - 2020年2月21日 (金) 日本の保険適用の歯科治療で詰め物(インレイ、オンレイ)/被せ物(クラウン)の銀歯に良く使われる素材が金銀パラジウムなんだ。1960年代からアマルガムと共に銀歯の主要な素材だったけれどもアマルガムが水銀中毒の恐れなどによって1990年代以降は殆ど使われなくなり、2016年には保険適用も外されてからは金銀パラジウムだけが最も多用される状況に変わって来た。 金銀パラジウムは歯の詰め物/被せ物として安全かというと必ずしも断定できない危険性が指摘されていて欧米では見た目も天然歯と合わせるために治療で銀歯自体が一般的に使われないらしい。 特に問題になるのが含有物のパラジウムで、口の中の食事の酸によって溶け出して体内に取り込まれると金属アレルギーの原因になったり、その他の金属との衝突か一つでも唾液で高められる電導性からガルバニック電流(ガルバーニ電流)が生じて脳や心臓などの生体電流を乱して不調を引き起こしたりすることが懸念されている。 金銀パラジウムのパラジウムの使用 Dentists by Cpl. Michael Lockett / Public domain 元々、金銀パラジウムは口の中で溶けるから歯科治療に向かない素材と分かっていたらしいけれども詰め物/被せ物として溶けないようにするには金などの詰め物/被せ物に向いた貴金属(イオン化して化合物を作ったり、水に溶け難いもの)を、75%以上、含まなくてはならず、値段が高くなってしまうのも考慮されずにいなかった。 “代用合金”とはいわずと知れた12%金銀パラジウム合金(以下金パラ)である。金パラは1961年に国民皆保険が導入された際に、まだ戦後の貧しかった経済状況下でやむなく導入されたいわくつきの代用合金である。当初、国は銅亜鉛合金を保険診療に導入しようとした。それに対し日本補綴歯科学会はそれには反対したが、当時の厳しい経済状況に鑑み、貴金属に替わる安価な代用金属として開発された金パラを最低限許容できる金属としてとりあえずやむなく認めたものである。ただし、同時に、代用合金の金パラをできるだけ早期に金合金に移行するようにという条件付きであったというが、半世紀以上、学会の勧告は完全に無視されたままである。 第85回:早急に”代用合金”から脱皮を!|Dentwave.com パラジウムは貴金属に含まれて基本的に詰め物/被せ物に合うけれども酸に弱い性質があって食事で溶ける可能性が金よりも高い。 日本で銀歯に使われる金銀パラジウムの組成成分の割合は12%の金と20%のパラジウムがJIS規格で定められていてどの歯医者で治療しても同じで、残りの部分がメーカーによって差はあるものの概ね50%の銀と20%の銅と微量のインジウムが含まれる。 金の割合が12%で、12%金銀パラジウム合金と呼ばれる。成分組成は銀の割合が半分程度で最も多い。銀も貴金属だけれども水に溶ける可能性が比較的に高くて金よりは歯の詰め物/被せ物には向いてないようだ。しかし金が主体の成分組成の金合金は値段が高くなるのが難点なんだ。保険適用で一般的な歯科治療に使うには金合金に等しい適度な硬さが得られて使い心地に優れるパラジウムを配合した金銀パラジウムという銀が主体の成分組成の銀合金が安くて採用された。 金銀パラジウムのパラジウムの症状 銀歯から溶け出したパラジウムが心配される要因は主に二つ、金属アレルギーとガルバニック電流の健康被害になる。 金属アレルギーの場合 体質によって症状の大きさに個人差があって一説には半数程度の使用者に悪影響を及ぼすかも知れず、全く何もなくて大丈夫な使用者も少なくはなさそうだ。 口内炎や舌炎口の中の粘膜や舌に炎症が起きる。口唇炎や口角炎口の外の唇や唇の隅に炎症が起きる。扁平苔癬/口腔扁平苔癬皮膚、口腔は頬の内側の粘膜などに網状の白斑の病変を生じる。掌蹠膿疱症掌や蹠/手の平や足の裏、または爪に膿疱(膿で濁った水疱)ができて鎖骨や首や腰に関節炎を併発することもある。味覚障害食事で味が分かり辛くなる。湿疹/顔面湿疹全身、顔の皮膚炎、部分的に湿り気を帯びて腫れたような状態から痒みや痛みも出る。アトピー性皮膚炎全身に激しい痒みのある赤い発疹などの皮膚炎を生じる。 金属アレルギーは発症するのに時間がかかるタイプの遅延型アレルギーで、銀歯のパラジウムを使い始めて何年も経ってから悪影響を及ぼす場合もあると用心しなくてはならない。 多くは皮膚や粘膜の疾患になる。その他に味覚障害や脱毛症や頭痛や肩凝りなどのアレルギー性の様々な症状が出る。何れも長引くほどに重症化して同時に多くの不調を来すかも知れない。 銀歯の含有物ではパラジウム以外に水銀やニッケルやコバルトや錫やクロムや銅なども金属アレルギーの因子になり易い。 ガルバニック電流の場合 銀歯ならばパラジウムにかぎらず、どんな金属が含まれていても脳や心臓の生体電流が乱されて血液やリンパの流れが異常を来したりしながら調子を落とし得るし、誰でも悪影響を及ぼされる可能性は否定できない。 頭痛、その他の痛み、肩凝り、苛立ち、不眠、疲労感、不定愁訴(原因不明の全般的な不調)、自律神経失調症(眩暈、冷や汗、吐き気、胃腸障害、不安感、気分の落ち込みなど)が挙げられる。 銀歯が発生したガルバニック電流で焼け焦げたり、溶け去ったりすることもあるようで、もはや詰め物/被せ物の役割を果たせず、虫歯や歯周病にかかったたり、一部でも壊れるとさらに金属の表面積が増えるために金属アレルギーやガルバニック電流の危険性が増すかも知れない。 金属の電流は各物質のイオン化傾向という電子を放出する性質による電位差が大きいと相互間の電圧が高まって速やかに働く。なので一つよりも色んな種類の金属を含む銀歯が口の中にあるとガルバニック電流の影響は相当に増えると考えられる。一人の歯医者は治療で同じ素材の銀歯を使うことが多いとすると何人もの歯医者にかかるほどに全体的か部分的でも違う素材の銀歯が使われて口の中の金属の種類が増え易くなる。または自分で頼んでいつもと違う素材の銀歯を敢えて使う場合もあるかも知れないけれどもガルバニック電流の恐れも増さないとはかぎらない。 金属アレルギーとガルバニック電流の他にも電磁波過敏症が指摘される。すなわち銀歯のパラジウムなどの金属がアンテナの役割を果たして身の周りの電化製品が発する電磁波を引き付けて不調に陥り兼ねない。 皮膚や神経や関節や感覚や心理など、日常生活のあらゆる面で調子を落とす症状が起こり得る。 色んな病気の症状と重なって判断するのは難しいけれども何かの治療を試しても駄目なときは考えると良いかも知れないから覚えておきたい。 金銀パラジウムのパラジウムの除去 A prosthedontic laboratory technician by Seaman Dagan Alexander / Public domain 歯科で金属アレルギーのパッチテストやガルバニック電流の測定を行った上で、金銀パラジウムをその他の大丈夫な詰め物/被せ物に取り替えるのが最善策だ。 自由診療で治療費が高額になるけれどもセラミックやハイブリッドレジン(CAD/CAM冠:プラスチックとセラミックの合成素材で、奥歯の小臼歯と大臼歯は金属アレルギーやその他の条件で保険適用も可能になる)は金属としての影響が全くなく、金の含有率が高い金合金も溶け難いから金属アレルギーの危険性は少ない。 全ての歯科でやっているわけでないから事前に可能かどうかを調べてからかかる必要がある。 治療費が嵩むし、僕なんか金銀パラジウムの銀歯がたぶん十何本も入っていて直ぐに取り替えるのは厳しいけど、そうした場合は症状に十分に留意して耐えられるうちは溶け出して気がかりなパラジウムを少しでも多く体外へ排出するように解毒を図るしかない。 一般的にいって重金属などの有害物質は糞尿から排出される割合が最も高いからヨーグルトなどの発酵食品や野菜と果物とナッツ類などの食物繊維の豊富な食事と適度な運動と十分な睡眠で腸内環境をしっかり整えることが必要だろう。 そして重金属に対しては挟み込んで体外に排出し易くするキレート作用のある栄養素を取るのも効果的らしい。野菜や果物のビタミンC、レモンや梅干しのクエン酸、昆布や若芽などのアルギン酸、ニンニクや玉葱などの硫黄化合物、貝や蛸や烏賊のタウリン、玄米や黒胡麻のフィチン酸などが挙げられる。 解毒を重視する生活は総じて健康に役立つので、金銀パラジウムの銀歯があってもなくても積極的にやって良いと思うし、取り替えられないパラジウムの悪影響を仕様がなしに避けるためならば何もしないよりは調子を上げられるチャンスと捉えると気持ちも明るく取り組み易い。 関連ページ歯科の詰め物/被せ物の銀歯の無機水銀を含むアマルガムの危険性 参考サイト歯科医院と金属アレルギー歯の治療が原因で,アレルギーになることがあるの?注意!その体の不調、銀歯が原因かもしれないアルミホイルなどをかんだときに痛みが走る原因は「○○電流」金属アレルギービタミンCで重金属をGET OUT! コメント 新しい投稿 前の投稿
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