ランベール・ウィルソンのLes Feuilles mortes(イヴ・モンタン)|人生歌 結城永人 - 2020年2月6日 (木) 2015年に発表されたランベール・ウィルソンのカヴァーで聴いたLes Feuilles mortes/枯葉(イヴ・モンタン)が人生歌として胸に響いた。 イヴ・モンタンのLes Feuilles mortes Yves Montand from Studio Harcourt / Public domain 作詞はジャック・プレヴェール、作曲はジョゼフ・コズマで、オリジナルの歌手はイヴ・モンタンになる。 Les Feuilles mortes(1946/オリジナル) ジョゼフ・コズマが1945年にローラン・プティ・バレエ団のRendez-vousのために書いた曲が元になっている。 1946年のマルセル・カルネの映画、Les Portes de la Nuit/枯葉〜夜の門〜の挿入歌としてジャック・プレヴェールが詞を付けて主演のイヴ・モンタンが歌ったのが最初だった。 イヴ・モンタンが1949年にLes Feuilles mortesをシングルで発表した。 映画、共々、歌もヒットしなかったようだけれども1951年に本国のフランスで人気歌手だったジュリエット・グレコがカヴァーすると多く知られるようになり、アメリカでも作詞家のジョニー・マーサーの英訳のAutumn Leavesが1950年のビング・クロスビーの楽曲を皮切りに広まり、さらに1955年のロジャー・ウィリアムズのピアノからジャズの器楽曲としても人気を博すに至った。 ランベール・ウィルソンによるカヴァー Lambert Wilson - Les feuilles mortes (Live au Studio Ferber 2015)|LambertWilsonVEVO ランベール・ウィルソンのLes Feuilles mortesのカヴァーは歌のモチーフの枯葉が寒々と吹き寄せられる様子が目に浮かぶほどに情感がたっぷり込められた劇的な表現が魅力だと思う。悲恋がテーマで、昔の幸せな付き合いから今の侘しい別れまでの気持ちの揺れ動きが声の強弱や調子によって手に取るように分かる楽曲でないか。聴きながら歌の世界へ自然に引き寄せられてしまう透き通った美しさがある。 Les Feuilles mortesの歌詞の内容 出だしの部分; おぉ! 君に思い出して欲しい 睦まじかった幸福な日々 あの頃の生活は素晴らしく 今日よりも熱い太陽だった 幾つもの枯葉が集められている そうだ、私は忘れない…… 幾つもの枯葉が集められている 思い出と後悔も 忘却の冷たい夜へと 北風が運び去る そうだ、私は忘れない…… 君は歌を歌ってくれた 私たちに似合いの歌 君が愛して私は愛した 二人一緒に暮らしていた 愛した君に、愛した私 なのに引き裂く人生は 只静かで、音もない 海が別れる恋仲の 足跡を洗い流す 原文 Oh! je voudrais tant que tu te souviennes Des jours heureux où nous étions amis En ce temps-là la vie était plus belle Et le soleil plus brûlant qu'aujourd'hui Les feuilles mortes se ramassent à la pelle Tu vois, je n'ai pas oublié... Les feuilles mortes se ramassent à la pelle Les souvenirs et les regrets aussi Et le vent du nord les emporte Dans la nuit froide de l'oubli Tu vois, je n'ai pas oublié La chanson que tu me chantais C'est une chanson qui nous ressemble Toi, tu m'aimais et je t'aimais Et nous vivions tous deux ensemble Toi qui m'aimais, moi qui t'aimais Mais la vie sépare ceux qui s'aiment Tout doucement, sans faire de bruit Et la mer efface sur le sable Les pas des amants désunis イヴ・モンタンのLes Feuilles mortes(訳出) ある恋の終わり、すなわち悲恋がテーマで、それが題名にもなる「枯葉」(Les feuilles mortes)をモチーフとして「幾つもの枯葉が集められている」(Les feuilles mortes se ramassent à la pelle)と過ぎ去った二人の経験に準えながら叙情的に捉えられている。 心に染みる美しさがあって不幸の中に消え残る命の煌めきが途轍もなく素晴らしいと感動を覚える。芸術性が非常に高くて、何年、経っても変わらないくらい人間とっての根本的な在り方か人生の謎(生きるとは何か)を恋人との悲しい別れを通じて解き明かしているようだ。 その他のアーティストによるカヴァー 十五組の楽曲; ルシール・デュモン(1950)エディット・ピアフ(1951)コラ・ヴォケール(1965)ローラ・フィジィ(1992)ナナ・ムスクーリ(1997)ポーラ・コール(1997)シャンタル・シャンベラン(2003)ディー・ディー・ブリッジウォーター(2005)アンドレア・ボチェッリ&ヴェロニカ・ベルティ(2006)イギーポップ(2009)エリック・クラプトン(2010)ヴァレリア・サッタミニ(2013)ピエール・ラロンド(2014)ミルヴァ(2018)フィリップ・ジャルスキー(2019) 世界でカヴァーが続々と生まれているLes Feuilles mortesは人生歌のスタンダードな名曲に他ならない。 参考サイト枯葉Autumn LeavesYves Montand – Les feuilles mortes LyricsCover versions of Les feuilles mortes by Yves Montand 結城永人の人生のスタンダードな名曲選集 コメント 新しい投稿 前の投稿
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