佐々木朗希の飛んでもない衝撃の完全試合

自分の写真結城永人 -

プロ野球で千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希がオリックスバファローズとの試合で先発して完全試合を実現した。

リアルタイムで観てなかったけれどもインターネットの動画でダイジェストを観て結果もさることながら内容が余りに圧倒的で本当に驚かされた。

佐々木朗希の完全試合の三つの大記録

千葉ロッテマリーンズのユニフォームを着た佐々木朗希が右手にボール持ち、左腕に花束を抱えながら笑っている
  • 二十歳五ヵ月での達成は史上最年少記録
  • 十三者連続奪三振は世界最多記録
  • 一試合十九奪三振は日本プロ野球タイ記録

個人的に完全試合を観たのは二回目で、槙原寛己がかつて実現したのをテレビでリアルタイムで観ていた。1994年5月14日の広島東洋カープとの試合で、最後に本人を含めてチーム全体が物凄く喜んでいたけれどもギリギリの緊張感の中で達成されたという感じがしたし、少しでも状況が変われば駄目だったかも知れなくて観ているだけでも決まった瞬間は息が抜けたようだった。

しかし今回の佐々木朗希の場合は三振が物凄く多くて相手の打者が殆ど打てないし、ボールにバットを当てるのを四苦八苦している状況だったから本当に危なげなく、こんなに簡単に達成できるものかと逆の印象から唖然とするほどだった。

正直、余り、意識してなくて、あの、打たれたら、それで良いかなと思って、最後まで、えぇ、松川を信じて投げました。

※松川は完全試合で捕手を務めた松川虎生

日本プロ野球で完全試合は槙原寛己の達成以来、一度もなくて佐々木朗希の達成で二十八年振りの快挙だったけど、とにかく長らく実現されなくてもう二度とないのではないか、野球の展開も変わって昨今では投手の分業制によって先発が一試合を投げ切ること自体が珍しいし、新しく観ることもなさそうだと思った。

佐々木朗希は令和の怪物と呼ばれて高校時代から160キロ以上という世界最速水準の速いストレートを持つから殆ど無理みたいな完全試合も不可能ではなかったんだと改めて認める。

佐々木朗希の三振を取り捲ったフォーク

今回の完全試合は相手チームの打者が手も足も出ない様子で、三振が物凄く多かった。文字通り、完全(に抑え込まれた)試合だと感じるわけで、連続と一試合での記録まで残した。

どうして三振がそんなに多く取れたのかはストレートが非常に速いのに加えて良く落ちるフォークとのコンビネーションが効果的だった。試合を観て圧巻なのは空振りする打者のバットとボールのずれが動画でもはっきり分かるくらい大きい。打者のタイミングが合ってないと同時に投球の切れが素晴らしいから何センチも開いてしまうのではないか。

打者のバットとボールの離れ具合から佐々木朗希にとっては完全試合でさえも簡単みたいな正しく怪物級の印象を与えられる。

関連:佐々木朗希が完全試合の途中で松川虎生を指差した気持ち

新しく作り出された日本と世界の三振の記録

佐々木朗希が完全試合を実現した直後に両腕を開きながら背中を向けて立っている

佐々木朗希が完全試合と共に作り出した三振の記録が二つあって十三者連続奪三振は日本とアメリカの世界新記録、一試合十九奪三振は日本タイ記録になる。

佐々木朗希の完全試合に纏わる連続奪三振の記録

九者連続奪三振(日本プロ野球)
1957年7月23日の梶本隆夫(阪急ブレーブス)
1958年5月31日の土橋正幸(東映フライヤーズ)
十者連続奪三振(メジャーリーグ)
1970年4月22日のトム・シーバー(ニューヨークメッツ)
2003年5月17日のエリック・ガニエ(ロサンゼルスドジャース)
2021年6月25日のアーロン・ノラ(フィラデルフィアフィリーズ)
2021年8月11日のコービン・バーンズ(ミルウォーキーブルワーズ)

佐々木朗希は連続奪三振の日本記録を六十四年振り、世界記録を五十二年振りに更新した。

佐々木朗希の完全試合に纏わる一試合奪三振の記録

一試合十九奪三振(日本プロ野球)
1995年の野田浩司(オリックスブルーウェーブ)
一試合二十奪三振(メジャーリーグ)
1986年4月29日と1996年9月18日のロジャー・クレメンス(ボストンレッドソックス)
1998年5月6日のケリー・ウッド(シカゴカブス)
2001年5月8日のランディ・ジョンソン(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)
2016年5月11日のマックス・シャーザー(ワシントンナショナルズ)

佐々木朗希は一試合奪三振の日本記録に並び、世界記録に一つ届かなかった。

個人的に最初の日本記録の野田浩司は良く覚えている。というのも、当時、最も好きな日本プロ野球の球団がオリックスブルーウェーブだった。世界のトップ選手となるイチローが出始めて阪神大震災と共に「がんほろうKOBE」を合言葉に初優勝したのが1995年で、野田浩司は先発の中心投手の一人だった。一試合十九奪三振の日本新記録を達成した試合はリアルタイムて観てなかったけれども情報を掴んで良くやったと感心したのは確かだった。

彼には試合でいつも何とか頑張って勝ってくれと祈るような思いがあった。投げ方が一生懸命という印象で、最も気に入って期待していたし、チームの守りで誰よりも応援していたせいか。そして同じくらいの好投手が揃った先発陣の中で、二十代後半の最盛期といって良くて、一番、勝って貰わなくては困るみたいな感じもした。

千葉ロッテマリーンズの本拠地は三振が増えるかも知れない

ZOZOマリンスタジアムの観客席から見下ろされた内野

一試合十九奪三振の日本記録については球場の千葉マリンスタジアム(現在はZOZOマリンスタジアム)の特有の風が良く取り上げられる。投手から打者の向こう側のバックネットに吹いた風が跳ね返って向かって来るらしい。するとストレートが伸び上がり易く、フォークが大きく落ちるから普通の球場よりも投手に有利な面がある。

追い込んだら、大体、まぁ、僕もそうだし、たぶん中嶋もフォークで三振を狙いに行ってくれてたんじゃないかなと思います。

※中嶋は一試合十九奪三振で捕手を務めた中嶋聡

野田浩司は正しくストレートとフォークが得意な投手だったけど、風を上手く利用してしかも調子が物凄く良かったために三振を取り捲ったようだ。

佐々木朗希も全く同じで、ストレートとフォークが得意球だし、どちらの球質もどこの球場でも打つのが大変なくらい突き抜けて優れるにせよ、日本記録に届くまでに三振を取り捲ることに繋がった可能性もなくはない。

佐々木朗希の投球フォームの素晴らしさ

佐々木朗希投手 NPB史上28年ぶりの完全試合達成!全27アウトハイライト|千葉ロッテマリーンズ

今年でプロ入りから三年目の佐々木朗希だけれども僕が投球をちゃんと見たのは今回の完全試合が初めてだった。プロ野球自体を殆ど観なくなっているので、彼のせいではない。毎日が忙しい余り、ゆっくり過ごせないことが最大の要因かも知れない。

佐々木朗希の投球を初めてちゃんと見て素晴らしいと思ったのはフォームだ。

思い起こすのが、昔、プロ野球を良く観ていた頃に大好きだった投手の伊良部秀輝渡辺久信だった。前者は速球派の代表格で、1993年5月3日に当時の日本最速の158キロを記憶したこともある。後者も150キロ近いストレートを持つ速球派で、1996年6月11日にノーヒットノーランを達成したり、トップクラスの好投手だった。

二人は投球フォームが似てなくて伊良部秀輝は狙い済まして指先に全ての力を結集して投げるみたいな力強さがあって逞しい感じで、渡辺久信は腕の振りがまるで鞭のように柔らかく、全身が滑らかに躍動して撓やかな感じがして対照的な印象を与える。

佐々木朗希の投球フォームは伊良部秀輝の逞しさと渡辺久信の撓やかさという互いに相反するような二つの良さを併せ持つところに素晴らしさがあると個人的に感じる。

関連:佐々木朗希の投球フォームの良いところ

近年だとアメリカのメジャーリーグで大活躍の大谷翔平が日本一の投手だと思ったけれども投球フォームが少し固い感じがするのが物足りなかった。二刀流で打撃も鍛えるからそうならざるを得ないのかは分からないけど、とにかく佐々木朗希の投球フォームには逞しさだけではなく、撓やかさも十分に感じるから投手としては大谷翔平よりも理想的だと喜ぶ。実際の投球を見るかぎり、もはや相当に気に入ってしまう。

大谷翔平本人も記者からの質問で、佐々木朗希の完全試合に触れて投手として自分よりも凄いかも知れないといったとも伝えられている。

佐々木朗希は翌週の次の試合でも完全試合に近い結果を残しつつもマリーンズの監督によれば「いろいろ先々考えると、ちょっとあそこが、今日は限界だったのかなと思います」(【ロッテ】井口監督が佐々木朗希の降板理由明かす「味方が点を取っていても8回で代わっていた」)というわけで、最終回だけ外された。二試合連続で完全試合を実現したらそれも前代未聞の大記録になったけれども八回まででも飛んでもないことが起きていたと認める。

投球内容は二試合連続で四死球がなかったのがコントロールの良さを示しているので、人一倍のスピードに加えて狙い通りにいつも打者の厳しいところに投げられるとしたらあらゆる試合で負ける理由を探すのが難しくなる。

参考:佐々木朗希の完全試合 【令和の伝説】佐々木朗希『日本新記録・13者連続三振』 若きバッテリーが歴史つくる!! 佐々木朗希『日本記録タイ19奪三振・完全試合達成』《THE FEATURE PLAYER》 「連続奪三振」と「1試合奪三振」のメジャーリーグ記録は… 偉業達成!佐々木朗希投手 完全試合達成直後の様子にカメラが接近!【広報カメラ】 【直撃】完全試合&13者連続奪三振の佐々木朗希投手に単独インタビュー

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