佐々木朗希の投球フォームの良いところ

自分の写真結城永人 -

日本プロ野球で佐々木朗希が完全試合を圧倒的な仕方で成し遂げられたのはなぜか。次元が違うと呼ばれるほどの内容を示した大きな要因の一つとして投球フォームのずば抜けた素晴らしさが上げられる。

佐々木朗希投手 先発前々日ブルペンにカメラが潜入【広報カメラ】|千葉ロッテマリーンズ

高校時代からプロ野球の最速レベルの163キロのストレートを投げて令和の怪物と呼ばれたけど、しかし決して筋肉が物凄く多くて怪力でやっているというわけではない。

一体、どんな良さがあって飛んでもない衝撃の完全試合を成し遂げることができた投球フォームなのかを調べてみた。

投球フォームの一般的な良いところ

バランス

佐々木朗希が膝を曲げた左腕を上げて投球を始動している

前脚の左脚を高く上げることによって振り下ろすときに軸脚となる右脚で地面を強く蹴り込んで力を生み出せる。

ヒップファースト

腰の後ろ(尻の上)から始動して左脚の爪先が軸脚の方に残しながら全身が深く横向きのV字型(>)になるので、それだけ地面を蹴り出すときの反発力を大きく使える。

ステイクローズ

グローブを使って上体、主に肩の開きをボールを投げ放す瞬間まで防いでいるため、途中で力が逃げて投球が弱まることがない。

テイクバック

投げる右腕を身体の側面(腹側や背中側ではなく)から大きくずらして引くことがないため、肘から吊り上げるインバートWのスタイル(テイクバックからリリースまでの間に手と肘と首のラインが逆W/M字型になること:ボールの威力は増すが、肩や肘を壊し易いとされる投げ方)になり難い。

スタンダードW

前脚が着地したときに手が上がり、手と肘と首のラインが通常のW字型になり、怪我が少なくて力を効率的に使える投球に近付いている。

ストライド

前脚を非常に長く踏み出してエクステンション(プレートからリリースまでの距離)を伸ばしているためにボールに長く力を伝えてスピードや切れを増している。

ただし、エクステンション比が大きくなりすぎると、逆に球速に対してネガティブな影響を与えている。つまり、無理矢理前でリリースし「過ぎる」と逆に球速が低下する可能性を示唆しており、必ずしも球持ちを長くすればいいとは言えない。

「球持ちの良さ」は本当に重要? ピッチングへの影響をデータで探る|スポーツナビ

エクステンションは伸ばし過ぎると逆効果だったり、または投球フォームによって短くても球速が落ちるとはかぎらないらしい。

佐々木朗希の場合は必要以上に広くなく、しかも自分の投球フォームに上手く合っているわけだ。

準備される肘の角度

テイクバックから振り上げた手と肘の角度が直角(90°)を越えている。すると腕を大きく振ることができてボールに威力を増し易い。

ショルダー&ヒップセパレーション

佐々木朗希が投球の途中で大きく胸を張っている

腰の回転が始まっても肩は開かずに残っていて上体が捻れた状態なので、リリースで激しく解き放つ力を得られる。

投げる直前の肘の高さ

オーバーハンドで肘の高さが頭の方まで良く上がり、肘への外反ストレス(肘の外側の骨の圧迫や内側の靭帯の伸長への余計な負荷)を軽減している。

これは紛らわしい表現で、上に上げた300勝投手たちと逆のことを言っています。すべての投球フォームでトップを高くすることは当てはまりません。逆に怪我につながる危険性があります。特に肘を高くして、背中側に大きく引いてしまうと肘、肩の怪我につながります。

投手フォームによって必ずしも肘を高くすることが良いとはかぎらない。

佐々木朗希の場合はオーバーハンドで投げ下ろすスタイルで、しかもテイクバックが真っ直ぐに近いから非常に向いているといえる。

最大外旋位

軸脚と背中と投げる腕のラインの角度が深く――良く反り返り――全身の力を使って(手投げではなく)無理なく、しかもダイナミックな投球を可能にしている。

力を入れてるようにはみえずとも160km/h前後を叩き出すその美しいフォームは、各ボディパーツを上手く連動させられる能力の現れに他なりません。

撓やかな腕の振りは肩から肘を経て手へと鞭のように伸びて行く。それぞれの関節の柔らかさ、すなわち可動域の広さが多いほどに加速するけど、その力の土台となるのが最大外旋角度という投球フォームの体重移動の時点での背中側の弓形の度合いになる。

佐々木朗希の場合は全身から腕の振りを活かしてボールを非常に強く投げることができる。

グローブの引き

投げない左腕のグローブを下の方へ引いてオーバーハンドの上体の滑らかな回転を助けている。

リリース

ボールを投げ放す瞬間に肘が胸郭よりも前に出ていない。すると肩や背中の筋肉を使うことができてボールに勢いを増す。

外旋運動

テイクバックの後からリリースの前まで深い最大外旋角度(背中側への良い反り返り)によってボールを肘で押し出すよりも上から地面に叩き付けるように投げているので、力を全身から効率的に加えられる。

腕の振りの減速

着地した前脚よりも頭と胸郭が出ているので、前脚の太腿で投げる腕の肩や肘への衝撃を吸収できて怪我を防ぐことに役立つ。

フォロースルー

佐々木朗希がボールを投げ放して左脚で立っている
佐々木朗希投手 先発前々日ブルペンにカメラが潜入【広報カメラ】|千葉ロッテマリーンズ

投げる方の右肩がキャッチャーを向き、投げない方の左腕が引き切られ、股関節も十分に回転して軸足が(膝下から)真上に蹴り上がり、可能な限りの力で無駄なく投球できている。

参考:投手編:大船渡:佐々木朗希「163キロを怪我なく投げることが出来る理由」レジースミス ベースボール

高校時代からプロ入りしても投手フォームは殆ど変わってないようで、実際、三年目の現在も球速は特に増してない。一つだけテイクバックを小さくしてトップを早めに作るようになったと聞くことがある。トレーニングの大半は春から秋までのシーズンに耐えられる体力を新しく付けることなのかも知れない。

ストレートの速さはアマチュアのときでも十二分のものだったし、投球フォームは基本的に完成されていたといって良さそうだ。もちろんさらに良くなる可能性もあるにせよ、完全試合を圧倒的な内容で実現するのも当然だと思えるくらいあらゆる面で特筆すべき良さが見受けられる。

プロ野球の経験者が注目する良いところ

五十嵐亮太が左脚でくの字ステップを行っている

プロ野球の経験者が佐々木朗希の投球フォームの良いところを語っていて実戦に役立つというか、勝って活躍できる部分として興味深く感じる。

五十嵐亮太の注目:くの字ステップ

佐々木投手、ロッテの、も、股関節の使い方がめっちゃ巧いです。反動を使ってここからこう行くので、あれは最高です。

※ここからこうとはくの字ステップと呼ばれる動作で、上げた前脚を幾らか横向きに寝かせながら踏み込んで行くこと。

五十嵐亮太/斉藤和巳&五十嵐亮太が教える 速球の投げ方【ピッチャーズバイブル】|フルタの方程式【古田敦也 公式チャンネル】

館山昌平の注目:縦方向の重心移動

大きく脚を振り上げるんですけど、重心が身体から離れることもなく、上から下にしっかりと加速できる。

【完全投球・佐々木朗希を館山解説】2球種を分析/奥川と比較/170㎞は投げられる?|館山昌平チャンネル

下柳剛の注目:とても鋭い球持ち

格段に真っ直ぐが速なってるよな。テイクバックのこのリラックス状態っていうのが物凄く良いよな。で、パチャーンって。この引っ繰り返ってからのバーンってあの速さは、本当、体幹も股関節も物凄くトレーニングで仕上げて来たんやろうね。

※引っ繰り返ってからとは投げる腕を振り上げたトップの位置から。

【独自解釈】28年ぶり完全試合"佐々木朗希"の投球メカニズムを『技巧派』下柳が徹底解析!! 異次元のストレートはなぜ生まれたのか|柳に風【下柳剛公式チャンネル】

野村弘樹の注目:優れたトータルバランス

フォームに無駄がない。それで上と下のタイミングが合ったときの真っ直ぐは抜群に良いです。

※上と下は上半身と下半身。

野村弘樹/【佐々木朗希徹底解剖!】元横浜エース・野村弘樹さんをゲストに千葉ロッテ・佐々木朗希投手が大谷翔平選手やダルビッシュ選手と比較して何がどう違うのかを分かりやすく解説!武器・器・その凄さを熱く語る!|田中大貴のアスリートチャンネル【アスチャン!】

川上憲伸の注目:弾性に満ちた動き

細かい筋肉とか柔軟性とかね。バネ。やっぱりこれは凄いな。でも柔らかさが下半身に出捲ってるでしょう、もう。

佐々木朗希の投球フォームは絶賛されるけれども天性の素質に支えられた部分が多く指摘される。自然に身に付いたのではないかとか教えられれば誰でも真似できるようなものではない。しかし投手として理想的な印象を与えるほどに好ましく、非の打ち所がない投手フォームだとすれば良いところは万人に共通する可能性があると思う。少しでも近付けたり、自分に合うようにアレンジしたりしながら取り入れるべき見本になるはずだ。

コメント