株式市場のマネーゲームで世界同時株高 結城永人 - 2018年1月16日 (火) 日本の株式市場が高騰していて日経平均株価が1992年の二万二千九百円台を二十六年振りに更新したといわれる。史上最高値はバブル経済と呼ばれた1989年の三万八千九百円台らしいので、まだ一万六千円以上の開きが残されているにせよ、1991年にバブル経済が崩壊した直後の水準まで日本の主立った企業/二百二十五社の株価が懐かしくも上昇している。不況が続いていて2008年に六千九百円台まで落ち込んでいたからさらに十年で三倍以上と急激に持ち直して来たんだ。 株式市場とは何か 日経平均株価|日本経済新聞社 会社で証券取引所に資本金の株式を公開している場合に売買が可能になって実際に取り引きが行われる状態を指している。株式を公開していて誰でも売買が可能な銘柄を持つ会社は上場企業と呼ばれる。証券取引所によって格付けされたりして例えば東京証券取引所(東証)ならば一部や二部やマザーズなんて分けられるようだけれども国内で有名な会社は大抵が一部上場企業に含まれる。株式は資本金だから買う人が会社の所用者(株主)だし、適宜、代表の社長を含めて取締役を選任するなどの会議(株主総会)が開かれて経営にも影響を及ぼすんだ。取り引きされる株式は買う人が多いと値段が上がって少ないと下がるので、人気によって商品と同じように変動する価格/値動きを持っている。だから市場だけれども株式は何かを生産するわけではないし、上場企業が魅力的かどうかの評価額を示しているかぎりの株式市場そのものは生産力に基づく商品やサービスの財市場とは区別される。他の債券(借入)と併せた証券市場、さらに財市場を生産力から実体経済と捉えると反対の資産市場の方面で、外国為替(通貨価値:貨幣の対外的な交換比率)も併せた金融市場の一つに数えられる。 僕は普段から投資と縁がないし、良く分からないので、この際、改めて復習しておきたい。貧乏だから生活費すらも危うくて無理とはいえ、将来、もしかしたら投資を行わないとはかぎらないから予行学習にもなる。何れにせよ、経済を理解するための知識を得られて嬉しいのは間違いない。 マネーゲームとは何か 100 US Dollar Banknotes by John Guccione www.advergroup.com / Pexels 巷でマネーゲームといわれるのは金融市場の取り引きが主体で、株式市場も入っている。それ以外では不動産などの実体経済での過剰な売買が投機的な意味合い(売るために商品が買われている)からマネーゲームといわれたりもする。 たぶん数学者のジョン・フォン・ノイマンの超凄まじい仕事の一つとして経済学者のオスカー・モルゲンシュテルンと共に経済学に取り入れられたというゲーム理論に由来しているのかも知れない。 囚人のジレンマが分かり易い。仲間同士の犯罪者がいて互いに自分の罪を軽くするために共犯者の相手を警察に教えるかどうかで、色んなパターンが出て来る。大まかに二つ挙げると軽い罪を求めながら黙っていても相手に自分を教えられては終わりだからもはやいうしかないと思う(有限繰り返しゲーム)とか重い罪さえ免れられればまだ益しだから自分を教えない相手のままに黙ってようと思う(無期限繰り返しゲーム)なんてあり得る。 人間の心理的な動き、個々の意思決定の仕方から世の中の経済活動の実態を算定するのに役立つのが経済学のゲーム理論なんだ。 株式市場では自分は良くても相手が同じように買うと値段が上がって同じように売ると値段が下がるし、あべこべに後者で買って前者で売るのが利益を多く得るけれども皆がそう思っているように値踏みだけで投機的に捉えると本当にマネーゲームといわれる通りだ。 今や世界同時株高が訪れていた New York Stock Exchange trading floor by Abhisit Vejjajiva / CC BY 現今、株価が急激に上昇しているのは日本だけではないらしい。世界同時株高が訪れているせいだったんだ。各国の中央銀行の金融緩和が下地になっていて会社の資金繰りが捗るために株式市場の取り引きも加熱しているようだ。些細な日常で取り上げた量子コンピューターとかクリーンエネルギーなんて生産力の歴史的な変わり目なのも大きいのではないか。経済への期待感がそうした財市場の著しいまでの開拓――関連産業が雨後の竹の子と幾らでも業績を上げ得る――と共に物凄く募っているわけだろう。取り分けアメリカがトランプ大統領で企業への法人税を引き下げてから人々の景気が殊更と活発らしくて国際的に波及効果を与えている。 日本の株式市場がアメリカによって好調というとヨーロッパの主要国や中国よりも安心と思われているためではないか。多額の赤字国債を抱えているはずでもまだ益しなくらいヨーロッパの主要国や中国の経済が警戒されていると推測したい。前者はEU(欧州連合)が揺らぎ続けるばかりの状況/移民が多くて失業率が高いなどから、後者は元気過ぎる余りの不透明な先行き/一帯一路でアジア全体を取り込むなどから本当にポシャらないとはかぎらない。経済とそして政治でも比較的に動きの少ない日本に海外の資金が大量に流れ込んだ様相を呈しているようだ。 トランプ大統領がアメリカファーストと自国優先、または保護主義ともいわれるけれども国際的に身勝手な振る舞いで経済を捉えるからアメリカ自体も警戒されるはずなので――国際関係でも北朝鮮の核ミサイル開発やパレスチナのイスラエルからのエルサレム奪還や世界の地球温暖化対策のパリ協定などに敵対しながら大暴れするのを止めない――恐らく日本の安倍首相も見抜くならばほくそ笑んでいるかも知れないにせよ、数多くの投資家たちにとって最も注目される国は日本しかなくなっているとも過言ではない状況だと考える。 しかし世界同時株高なので、どこの国でも一様に株式市場が好調を示しながら適温経済が生み出されているといわれる。会社の資金繰りが可もなく不可もない社会になって来ている。好景気という実感が必ずしも湧かないのは人々が就労所得を目立って増やしてないせいだけど、適温経済だと経営難の企業は減るから以前よりは少しずつでも賃金が上がって行くような傾向を持っているらしい。 日本の株式市場の驚くべき盛り返し Stock market changes by AhmadArdity / Pixabay 考えると投資的な意味合いのマネーゲームから会社の経営が拡大する流れとして人々の実生活での商品やサービスへの需要が予め見込まれないためだ。いきなり大金を貰って何に使って良いのかが分からないみたいな気持ちで、専ら実体経済が資金面に遅れる可能性が出て来ているのではないか。本来ならば逆だし、人々の実生活での商品やサービスの需要に対して生産力が必要で、資本金を増やすために株式が証券取引所に公開されたりもするわけだ。 近年は人工知能が金融市場に導入されていて株式でも何でも途方もないスピードで取り引きが行われているようで、諸々の金融商品の値動きが卓越しているからちょっと前と比べても経済状況が良ければ過敏に反応すると同時に勢い付きながら間断ないままに高騰し易いのかも知れない。 日本で二十六年振りの株式市場の驚くべき盛り返しは瞬く間に示されたと受け留められる。 マネーゲームの投機マネーが一方的に膨らんでいるかぎりは実体経済への影響は少ないけれども人々の生活が量子コンピューターとかクリーンエネルギーなんて仕方で大きく動き出したところに資金が的確に回って行くと社会が新しく進むのもきっと間断ないままだと思う。数多くの投資家たちも注目しているといわれるから世界同時株高によってどうなるかを俄然と気に留めておきたくなってしまう。早々にやって来るかも知れなければ移り行く時代にだけは総じて取り残されてはならなさそうだ。 参考サイト“バブル”再来?それとも… どうなる世界同時株高 コメント 新しい投稿 前の投稿
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