セピア色の写真が懐かしいのは古びて汚れた感じが自然なほどに 結城永人 - 2017年5月29日 (月) 今年は気に入った鈴蘭の写真が色々と撮れた。小さな蕾から咲き出してさらに虫も来てついに見納めるまで嬉しかったと思い出しながら又一枚を仕上げた。 Photoshop ExpressのエフェクトでセピアⅢを使ってみた。格好良いイメージだ、鈴蘭は可愛いけれども。印象がガラリと変わって薄暗い雰囲気の中で懐かしさが切なくも込み上げるのが詩情だと思う。もう二度と手の届かない記憶の世界、言葉が心に染みて来るのは確かだ。愛と優しさがなければ成り立たないと分かるから改めて自分に取り入れたくなる。セピアⅢというPhotoshop Expressのエフェクトの一つの良さだろう。詩情と共に出会いから幸せを掴むかぎりの人生の素晴らしさに匹敵するような写真が得られる。 Photoshop ExpressのエフェクトにはセピアⅡもある。気に入ってセピアを探すとセピアⅠがなくてなぜと訝る。記憶の世界と捉えると白黒がたぶんセピアⅠに相当するのかも知れない。セピアがセピアⅡからしか出て来なくてもおかしくはない。セピアⅡの色合いはオーソドックスで、茶色がかっているのが普通に考えると間違いないくセピアⅠだと感じるし、認めてはセピアそのものと呼べる。 セピア色は烏賊墨に由来する 西洋で古代ギリシャの時代から筆記用具に烏賊墨が使われていた。食料として烏賊を捕まえていて墨を吐くと気付いたせいか、インクに適していると考えられたみたいだ。最初はパピルスの紙に葦の筆で文章を作成することが多かったらしくてそこに烏賊墨のインクも必要だったわけだ。インク自体は他にも煤の黒や赤土の赤が使われていたかも知れないけれども次いで古代ローマの時代でも烏賊墨は黒として多用されていたらしい。 中世になると筆に烏賊墨を付けて紙に文章を作成していた。ただし悪臭を放ったり、劣化して色褪せたりするから必ずしも便利なインクではなかったんだ。少しずつ使われなくなってしまった。黒としては煤が良かったのかも知れないし、硫酸鉄などから新しいものも出て来ていたようだ。 ところが烏賊墨のインクは終わらなかった。完全に廃れるよりも品質改善を受けて二つの難点を克服しながら再登場を果たしていた。 近代以降、西洋では全土に渡って筆記用具の必需品と大きく広まったらしい。色も変わってしまってもはや黒ではなかった。品質改善から便利で、しかも初めて茶色として使われ出したといわれる。 セピア色のサンプル/カラーコード:#6b4a2b 独特の風合いの茶色がセピア色と呼ばれるのは烏賊墨のインクに由来しているためだけれども色自体は決して烏賊墨のままの黒でなくても構わないというのはインクとしての品質改善の後だった。 烏賊墨のインクは茶色になってさらに新聞や雑誌の印刷にも積極的に使われ出した。 現代では流石に廃れているけれどもセピア色は筆記用具と印刷から西洋人に物凄く流行っていた。 白黒から古びた写真のセピア色 二十世紀初頭、世の中に写真が普及し始めた頃は銀塩カメラ(手巻きのフィルム)で撮影してモノクロ印画紙に現像していて暫くすると変色したといわれる。白黒だったのにセピア色になってしまう。懐古的な印象を与えるわけだけれども人々は自然に古びたセピア色に気付くと共に「セピア=レトロ」のイメージを好んでセピア調という写真を敢えて作り出したりもしていたらしい。 今でも同じだ、全く。セピアで撮影したり、エフェクトをかけたりした新しい写真を知っている。ただし気持ちまで懐古的な印象を変わらずに与えるというのは汚れた感じが大きいためだろう。独特の茶色の色合いが土埃に塗れたような趣きを持っている。イメージはアンティークに近付く。 写真のセピア色の切欠は銀塩カメラによるモノクロ印画紙の白黒写真が変色して本当に古びた結果だったけれどもどうしてかはインクの烏賊墨とは又別の事情が絡んでいたんだ。それ自体に烏賊墨が使われているわけではないながらかねて人々に親しまれていた品質改善の後の烏賊墨のインクのセピア色と似ていたせいだった。 コメント 新しい投稿 前の投稿
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