バスケスサウンズのBlowin' in the Wind(ボブ・ディラン)|人生歌 結城永人 - 2020年1月1日 (水) 2013年に発表されたバスケスサウンズのカヴァーで聴いたBlowin' in the Wind/風に吹かれて(ボブ・ディラン)が人生歌として胸に響いた。 ボブ・ディランのBlowin' in the Wind Joan Baez and Bob Dylan by Rowland Scherman / Public domain 作詞作曲はボブ・ディランで、オリジナルの歌手も彼になる。 Blowin' in the Wind(1963/オリジナル) 二連の歌詞で初めて公演されたのが1962年4月16日のガーズフォークシティで、盛況を得た。直ぐ後に三連目の歌詞が書かれ、早書きで既に出回ったものについては二連目と置き換えられたようだ。 曲は黒人霊歌のオデッタが歌ったNo More Auction Blockに着想を得ているとされる。聴き比べると確かにどことなく似ている感じがする。本人もBlowin' in the Windを作成した頃に同曲を歌っていた音源(1962年10月のカフェ・ガスライトでの演奏:アルバムのThe Bootleg Series Volume 1に所収)が残されている。 1963年のアルバムのThe Freewheelin' Bob Dylanで発表され、数ヵ月後の同年中にシングルでも発表された。 シングルではピーター・ポール&マリーのカヴァーヴァージョンが最初だった。ボブ・ディランのThe Freewheelin' Bob Dylanの数週間後の翌月に発表された。両方の共通のマネージャーだったアルバート・グロスマンが取り仕切って行った。ピーター・ポール&マリーのカヴァーヴァージョンはシングルだから録音して出すまでが早かったらしい。 すると大ヒットしたために作者のボブ・ディランの名前も全米、あるいは全世界に轟くことになったんだ。 バスケスサウンズによるカヴァー Blowin' in the Wind - Bob Dylan (cover)|Vazquez Sounds バスケスサウンズのBlowin' in the Windのカヴァーは最初のカヴァーヴァージョンで華々しい成功を収めたピーター・ポール&マリーと同じの男二人と女一人のトリオで、フォークの心温まる雰囲気も通じ合う。とはいえ、歌の表現は違ってピーター・ポール&マリーは三人が同じくらいの声で一緒に歌うけれどもバスケスサウンズは女性が一人で歌って男性は二人ともコーラスしかやらない。際立つのが懐かしさで――およそ一人身の真実(誰かがいると忘れがちで、誰もいないと覚付かない内面性そのもの)がメインヴォーカルから浮き彫りにされるせいだろう――いつかどこかで味わったような不思議な喜びを与えるのが詩的に良いと思う。美しくはオリジナルの世界を変えるメッセージに溢れた斬新な歌の核心を突いた表現に仕上がっているようだ。 Blowin' in the Windの歌詞の内容 出だしの部分; 人間はどれだけの道を行くものか かねて人間とは呼ばれずに 白鳩はどれだけの海を翔るものか かねて砂漠には眠らずに そう、砲弾はどれだけの時を飛ぶものか かねて長らくは止められずに 答えは、友よ、風に吹かれている 答えは風に吹かれている 原曲 How many roads must a man walk down Before you call him a man? How many seas must a white dove sail Before she sleeps in the sand? Yes, and how many times must the cannonballs fly Before they're forever banned? The answer, my friend, is blowin' in the wind The answer is blowin' in the wind ボブ・ディランのBlowin' in the Wind(訳出) 作者の気持ちとしては敵に抗って平和も遂げるのは難しくて結局は誰とも分かり合えずに死に行く人生、すなわち争いが全てでしかない人間の我欲に囚われた卑しさを暗示しているのか。しかし「答えは風に吹かれている」(The answer is blowin' in the wind)の一文から生きていても仕様がないほどの陰鬱な気分が刷新されるのが白眉だと感じる。自分自身の真実までも打ち壊しにしているというか、何もかも悲しみと決め付けて幻滅するのではない境地を想像させる。畢竟、世界に皆が生きるべき喜びと幸せの可能性を切り開く歌だから勇気付けられずにいない。 その他のアーティストによるカヴァー 十五組の楽曲; サム・クック(1964)シェール(1965)スティーヴィー・ワンダー(1966)ジョーン・バエズ(1967)シーカーズ(1968)ニール・ヤング(1991)アビシニアンズ(2001)エタ・ジェームズ(2002)ジュディ・コリンズ(1994)パティ・デューク(2013)ハンバート ハンバート(2016)キナ・グラニス(2017)オリータ・アダムス(2017)クローヴス(2019)アラン・テイラー(2019) 世界でカヴァーが続々と生まれているBlowin' in The Windは人生歌のスタンダードな名曲に他ならない。 参考サイト風に吹かれてBlowin' in the WindBlowin' In The Wind by Bob DylanBob Dylan – Blowin' in the Wind LyricsCover versions of Blowin' in the Wind by Bob Dylan 結城永人の人生のスタンダードな名曲選集 コメント 新しい投稿 前の投稿
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