トム・ジョーンズの(Sittin' On) The Dock of the Bay(オーティス・レディング)|人生歌 結城永人 - 2020年1月2日 (木) 1969年に発表されたトム・ジョーンズのカヴァーで聴いた(Sittin' On) The Dock of the Bay(オーティス・レディング)が人生歌として胸に響いた。 オーティス・レディングの(Sittin' On) The Dock of the Bay Otis Redding from Coveralia 作詞作曲はオーティス・レディングとスティーヴ・クロッパー(ブッカー・T&MGズ)で、オリジナルの歌手はオーティス・レディングになる。 (Sittin' On) The Dock of the Bay(1968/オリジナル) オーティス・レディングがバーケイズとの巡業で1967年8月に訪れたカリフォルニア州サウサリートのウォールドーポイント小港で屋形船に乗っているときに(Sittin' On) The Dock of the Bayの冒頭部分を思い付いて書き留めた。日々、少しずつ歌詞を書き足して行って11月にプロデューサーでギタリストのスティーヴ・クロッパーと会って最終的な仕上げと録音を行った。 聴いて余りにポップ過ぎるとオーティス・レディングは妻に不満を漏らしていたらしく、所属するスタックスレコードの仲間のステイプルシンガーズをバックコーラスに入れようとしたけど、しかし実現されず、未完成な気持ちがするから何とかしたいと苦慮していたものの録音から三日後に飛行機の事故に遇って他界してしまう。 共作者のスティーヴ・クロッパーが生前に教えられていた屋形船に乗っている雰囲気を出したかった気持ちを汲んで鴎の鳴き声や海の波の音を追加して1968年に遺作として発表された。 トム・ジョーンズによるカヴァー BBC Proms: Tom Jones and Steeve Cropper: (Sittin' On) The Dock of the Bay|BBC Music トム・ジョーンズの(Sittin' On) The Dock of the Bayのカヴァーは最初に出たときの二十代の優美な伴奏で稍遅めに染々と聴かせる人間味の溢れる歌声も素敵だったけど、しかし五十年近く過ぎ去ったスティーヴ・クロッパーとの共演(The Stax Records: 50 Years of Soul Prom/スタックスレコード:ソウルプラムの五十年)の七十七歳の老境の歌声も円熟味を増し捲っていて相当に凄いと圧倒された。 数多の無駄を省いた伴奏はギターだけの簡素なアレンジで、只々、今を生きる一人の人間の真髄に迫るかのような表現に甚だ畏敬の念を抱かされる。 (Sittin' On) The Dock of the Bayの歌詞の内容 出だしの部分; 朝日の中に座り 日没へと座るだろう 次々と来る船を見 そして再び去るのを見る 入り江の桟橋に座り 潮流が回り行くのを見る オーォ、入り江の桟橋に只座り 時間を潰している 原文 Sittin' in the mornin' sun I'll be sittin' when the evenin' come Watching the ships roll in And then I watch 'em roll away again, yeah I'm sittin' on the dock of the bay Watching the tide roll away Ooo, I'm just sittin' on the dock of the bay Wastin' time オーティス・レディングの(Sittin' On) The Dock of the Bay(訳出) 残りの部分も踏まえて補足すると故郷を出て何の生き甲斐もないから「時間を潰している」(Wastin' time)ので、なぜ座っているかのニュアンスとしては誰かのせいで予定を待たされるよりも自分自身が暇を持て余してしまっている気持ちに近い。 本当に詩情の塊のような歌詞になっていて気持ちに合わない言葉が一つも出て来ないのは味わうほどに大変な感動を覚える。人生の上手く行かなさを心に受け入れる歌で、どんなに救われなくても本当の自分を見失なわない柔軟さと寛大さが人間として格好良いと憧れる。 その他のアーティストによるカヴァー 十五組の楽曲; ステイプルシンガーズ(1968)グレン・キャンベル(1969)セルジオ・メンデス&ブラジル '66(1969)アル・ジャロウ(1978)サミー・ヘイガー(1979)ロッド・スチュワート(1985)マイケル・ボルトン(1987)ロッサーナ・カザーレ(1987)フランコ・バッティアート(2008)アリ・レノックス(2013)ダニエル・ボアヴァントーラ(2014)ソフィア・ディオン(2015)マンデルバルトのマヌマテイの起用(2016)ホイットニー・マクレーン(2018)レイナ・デル・チド(2019) 世界でカヴァーが続々と生まれている(Sittin' On) The Dock of the Bayは人生歌のスタンダードな名曲に他ならない。 参考サイトドック・オブ・ベイ(Sittin' On) The Dock of the Bay(Sittin' On) The Dock Of The Bay by Otis ReddingOtis Redding – (Sittin' On) The Dock of the Bay LyricsCover versions of (Sittin' On) The Dock of the Bay by Otis Redding 結城永人の人生のスタンダードな名曲選集 コメント 新しい投稿 前の投稿
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