キルケの怨霊的で非常に執念深い攻撃性 結城永人 - 2017年3月5日 (日) ギリシャ神話のキルケはオデッセイア(ホメロス)に示されている。英雄のオデッセウスが遭遇する様々な苦難の一つがアイアイエ島のキルケで、女神だけれども気に入った人間の男性をそばに連れ込んでは飽きると豚に主に変えてしまうという魔力を持っていた。 オデッセウスは配下の男性陣が悉く豚に変えられてしまってこの先もまだ苦難を幾多と乗り越えなくてはならなさそうなところで、大変に参らされずにはいなかった。 しかし彼一人は大丈夫だった。というのも守護神のヘルメスに魔除けの薬草のモーリュを貰っていたためで、魔力が通じずに敵わないと屈したキルケは配下の男性陣を人間に又戻すしかなかった。 オデッセウスは惚れ直したのか、そこからキルケの魅力に反対に取り憑かれるように一年くらいアイアイエ島で喜ばしく過ごしていたとされる。 オデッセイアの物語ではトロイア戦争に勝って祖国イタケに帰る途中だったけど、とにかく配下の男性陣からかけられた声に思い立ってオデッセウスはキルケと別れてアイアイエ島を離れる決意を固めるに至ったようなんだ。 するとキルケに忠告された、船旅の最中にセイレーンという怪物の海域で、その歌を聞いてならない、さらに後からは二つの岩が見付かるけれどもカリュプデスか、スキュラの出会さどちらかの怪物を選ばなくてはならない。 オデッセウスは怖じ気付く間もなく、配下の男性陣と共に出航して行く。 セイレーンの海域は配下の男性陣にその歌を聞かないように指揮してオデッセウスが一人だけで聞いて苦しみながら持ち堪えて無事に通り抜けたらしい。 二つの岩は最初は迷っていて埒が開かないとスキュラへオデッセウスは向かうようにした。 スキュラは元々はニュンペ(精霊)だったものの海神のグラウコスに愛されていると嫉妬したキルケの魔力によって怪物に変えてられていたらしい。 六つの犬の頭に十二の足を持っていた。オデッセウスの船は襲われるしかなくてスキュラの頭の分だけ六人の配下の男性陣がきっかり食い殺されてしまったにせよ、何とか無事に通り抜けらしくて全ての危険も逃れ去った。 イギリスの画家でウォーターハウスのキルケを題材にした絵:オデッセウスに盃を与えるキルケと嫉妬するキルケを手引きにギリシャ神話のキルケとは何かを考えてみたい。 キルケは怨霊的で非常に執念深い攻撃性を抱えているとすると越えられるかどうかが人生を左右するのは目に見えて明らかなはずだ。 誰かに祟られては快適な暮らしを疎外される。かりに何もなければ何もないはずの人間関係でも自分から他人への分からない気持ちまで探ろうとすると厳しいと思う。止めておくべきなのにどうしても追求してしまうとなると堪らないのは嫌われながら呪われる場合の一点に絞られて来そうだ。 ウォーターハウスのキルケは怨霊的で非常に執念深い攻撃性から表現されているようで、見ていると文学的な印象も濃厚ではないか。 キルケにはキルケの真実がある。他人への分からない気持ちとは何かを詮索する余り、まさか深入りしながら反対に自分こそ疑心暗鬼に陥っては虚しいかぎりだろう。勘繰っても偽りから全てに判断を下してはならないという人間関係の戒めを受け取る。 常々、安心して落ち着いた生活が望まれるし、ギリシャ神話のキルケもオデッセウスを殺し切れなかったように見ないで済ませるべき血を呼び起こしたくなければ人々に憤慨される切欠は作らず、言動に注意しながら友好を慎み深く求めるだけだ。 コメント 新しい投稿 前の投稿
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