クリオネに見られる三つの特徴/本体だけの巻き貝と流氷の天使とバッカルコーン 結城永人 - 2017年3月11日 (土) 水中をほよほよ泳いでいて小さくて可愛いクリオネは見ているだけで心行くまで満足させられてしまっていていつも余り多くを知らなかったのではないか。 果たしてどんな生物かも分からないくらい風変わりな存在なので、もう少し細かく覚えておいて他の生物と同じように捉えられると良いと感じたんだ。 Clione from OpenCage / CC BY-SA クリオネの三つの特徴を挙げる 本体だけの巻き貝流氷の天使バッカルコーン クリオネは巻き貝の一種で、生まれると普通に貝殻を持っているらしいけれども暫くして本体しかなくなる。すなわち貝殻のない貝だから普段は目にしない格好だと珍しく思われ易かったわけだ。 和名では裸亀貝と呼ばれる。亀貝の仲間だけれども貝殻を脱ぎ捨てて完全に裸になっているイメージだろう。暑いせいかと人間に見立てれば直ぐに感じるけれども生息するのは海の寒流域とされる。冷たい水を好んでいて日本では北海道の沿岸でしか見られない。 面白い、裸なのに暑くないなんて想像力を掻き立てられて。寒いのが嬉しいとしたらとても元気で、健康そのものではないかと気持ちはもう咄嗟に見習いたくなる。クリオネは素晴らしい世界を表現しているから引き付けれずにいなかったとも過言ではないだろう。 貝にしては水中を泳いでいるのも非常に不思議だけれども加えて泳ぎ方が他の魚などに比べて又珍しくておよそ人間に近い。全身が細長い感じだし、頭から胴体までが垂直に立っていたりもする。そして胴体に薄くて平たい大きめの翼足が二つ付いていて左右から鳥が空を飛ぶように水中を泳いでいる。 Clione from OpenCage / CC BY-SA クリオネの最も魅力的な特徴かも知れない。詩があるんだ、いってみれば。調べると「流氷の天使」と親しまれている、日本では人々に。幻想的な雰囲気が全体に透き通ったクリオネからは自然に醸し出されて止まないし、海の神秘、または水中の謎めきを心から味わわせてくれる。注目せざるを得ない所以ではないか。 気に入るのも本当に水を飛んでいるところだろう。クリオネは空を歌いながら詩的に感じ取らせる。遠くないし、人々の目の前に引き寄せている。空を間近に見詰める気分こそはクリオネならではの衝撃なんだ。出会いとしてはもはや稀有だといって良いと思う。 Clione Feeding|International Society for Neuroethology クリオネは頭に柔らかそうな角が両端に二つ付いていて見た目は魔法使いのとんがり帽子とも重なってやはり可愛りかぎりだけれども食事中はその間からバッカルコーン(口円錐)が飛び出して来る。六本の触手で獲物を抱え込んで養分を吸い取るらしい。 驚かされる、余りに力強くて。しかし野生の真実を思い知らされる瞬間だと認めながら狼狽えた心臓ならば持ち堪えるしかない。クリオネは決して水を飛んでいるだけではないと頷くべきだし、バッカルコーンで野生の真実を劇的に印象付けるのもまさか非常に有り難い。 Clione from OpenCage / CC BY-SA クリオネは全体が頭と胴体に大きく分かれているけれども腹は実際には頭に付いていて胴体ではない。しかも腹に口が付いているために大抵の動物とは似通わないんだ。全体が胴体に等しい、器官としては。口の付いている部分が頭なんだけれども胴体と変わらずに腹にもなっていると考えれば理解し易い。 生物によって部分が配置される仕方は同じではないわけなので、全体からは必ずしも捉え切れない場合があるんだ。 クリオネは北寄りの寒い海でプランクトンとして細かく浮かび漂いながら暮らしている。 想像するほどに波任せの気儘な生活が羨ましい。プランクトンでは他の大きな魚に餌だと直ぐに飲み込まれそうだし、生き残れるかどうかは奇跡でしかない。見れば感動も一入のはずにせよ、風情は否が応にも自由だから愉快ではないかと笑みが溢れる。 コメント 新しい投稿 前の投稿
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