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サティの三つのジムノペディで良い演奏が見付かった


タニア・スタヴレヴァというブルガリアのピアニストの演奏で、サティ三つのジムノペディを聴いて良いのではないかと思った。


咄嗟には難しくていつも直ぐには納得できないばかりのサティの三つのジムノペディなんだけれども何よりもテンポが合うか合わないかなんだ。単純といえば単純ながら音楽の基本的なところなので、もう出だしで全てが決まってしまうし、演奏者の表現したい気持ちも瞬く間に分かってしまうのではないかと感じなくはない。サティの作曲家としての真骨頂というか、楽想が完璧に再現されるほどに音楽の味わいが美しく変わるように聴きたくなる。


それこそテンポ一つで全く別の世界に込み入りそうな三つのジムノペディなので、考えると空恐ろしくもある芸術性をサティには犇々と認めずにもいられないわけだった。


個人的には正反対だろう、芸術家として。僕は誰が読んでも同じでしかない詩を本質的に目指しているけれどもサティはサティだけが聴いて良い音楽を特質的に作曲したかったのではないか。


すると無理なんだ、サティ以外に三つのジムノペディを完璧に再現する、楽譜をとことん追求してもできないし、むしろやったら間違っているに過ぎないくらい真剣そのものだからもはや正確無比に演奏するとかなんて芸当は――。


サティのスペシャリストが演奏者で、主要な作品群から分けてもピアニストでいるとすれば意味合いが反り捲っていて思いから近付きながらパフォーマンスはぐちゃぐちゃでもサティは本当に一人しかいないと教えてくれるかどうかが最低限の要件になるだろう。


三つのジムノペディは出だしから安心して聴けるかどうか、作曲家のサティという存在に触れられるかどうかに興味も関心も尽きる。


タニア・スタヴレヴァのテンポはちょっと遅くていきなり頷くのはやはり厳しい。只、サティの指定では「Lent et douloureux」(レント・エ・ドゥルルー/ゆっくりと苦しく)となっているようなので、一番目のジムノペディはちょっと遅くて合っているといえなくはないだろう。厳しいし、急いで欲しいけれども却ってサティの思いに浸りながら他の誰にも真似できない真意に内面から目覚めるのは有り難いし、良い演奏だとも感じ出した。


好んで聴いてみるとちょっとだけ遅くて普通ならば眠たくなるような印象が強いままに進んで行くのが冴えた音色によって支えられているのがユニークだ。


サティでなければ本当に子守唄で終わってしまうようなスタイルの演奏だとすれば独創的な芸術こそ堪能させられる。思いから近付くという点では浸りながら楽想に気付かせるタニア・スタヴレヴァは只者ではなかった、ピアニストとして。


初めての世界だろう、三つのジムノペディにとっても僕が知るかぎり。まるで鍾乳洞の中で天井から冷え凍えた水滴が見て回るほどにあちこち少しずつ落ちて来るみたいな情感が味わわれる。振り返ると珍しくなかった、他の演奏者でも。


ただし雰囲気ではなくて詩としっかり結び付いた形で音符を紡ぎ出すとなると稀有だし、冴えた音色の賜物だから聴き惚れながら素晴らしく素敵だと称えるのもまさか吝かではない。

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