もう本当に時津風部屋力士暴行死事件の時太山と福岡猫虐待事件のこげんたも殺されて当然だとは考えられない

十年前なので、今の若い人たちは知らないのではないか、時津風部屋力士暴行死事件を。大相撲の新弟子として時津風部屋に入門した時太山がたった数ヶ月後に業界用語で可愛がりと称する稽古を口実に親方と兄弟子から集団暴行(リンチ)を受けて死んだ。享年十七で本当に無惨な最期を遂げるばかりの印象を残した。


犯人は全て逮捕されて首謀者の時津風親方がやらせたから最も重い刑事責任を問われたけれども裁判所で下された判決は傷害致死の罪で六年の懲役でしかなかった。本人は何一つ反省していなかったはずだし、被害者の時太山への誹謗中傷を行いながら大相撲で親方の命令に背いた弟子としてもはや殺されて当然だとも考えていたようだった。だから軽過ぎる判決ではないかと僕は裁判所に呆れる他なかったというか、日本相撲協会を解雇されたとかテレビや雑誌で世の中に極悪人として大きく取り上げられたなんて状況が踏まえられた審理に基づくにせよ、刑罰への虚しさを禁じ得なかった。


以来、僕は大相撲を観ないと決めた。それまでもさほど注目してなかったけれども自分自身に誓って人殺しを禄に悔い改めもせず、命の尊さを少しも知らない時津風部屋の親方と兄弟子を生み出した世界には関わりたくなかった。日本では戦国時代の武家社会に匹敵する時代錯誤も甚だしいわけで、容認しては永遠の詩人として現代に思う存分と生きられなくなるのではないか。考えるほどに背を向けてしまう以外に本心に相応しい誠実さはなかったんだ。


時太山というとこげんたを思い出す。これもやはり今の若い人たちは知らなさそうで、時津風部屋力士暴行死事件よりも古いから尚更と仕様がない。ちょっとだけだけれどもとにかく福岡猫虐待事件で死んだ子猫だった。犯人は野良猫だから殺されて当然だと考えていたようなところが時津風親方と心理的に近かったし、命の尊さを少しも知らない人間によって引き起こされた事件としてイメージが重なり合って来たんだ。こげんたは本当に無残な最期を遂げるばかりの印象を残していたわけで、あるとき、不意に世の中に広まった写真などから全身が傷だらけでボロ雑巾のように亡くなった時太山を知るや否や憐れみこそ親身に繋がらずにいなかった、空にでも。


遠い雲の連なり

それぞれの事件には時代も影響していたかも知れない。残酷な衝動が野蛮な性状によって歯止めを失いながら社会に露呈されたんだ。さもなければ殺されて当然だと人間でも動物でもどんな理由から考えて良いはずの日本だったんだろう。教科書に載っているのか。時津風部屋力士暴行死事件でも福岡猫虐待事件でも犯人は自分で犯行を思い付いた可能性が非常に高い、日本の教育方針はむしろ反対だから一般的に歯止めがかかるはずだったと推理するかぎり、何れも常識人として正気を保てなかった要因は世の中の風潮に求めざるを得ない。


社会学的にいえば長引く経済不況による恐怖感とインターネットの普及による孤独感が二つの大きな《人々の内面を蝕んで行く病》だろう


近年では感情爆発という現象も知覚されている。本人は訳も分からないままに凶悪犯罪を犯したりしてしまう事例が新しく目立って来たようなんだ。時津風部屋力士暴行死事件や福岡猫虐待事件の犯人は自分で考えて自分で間違いなく行っていたから完全には当て嵌まらないけれども内面を差し示すと感情爆発に等しいだろう。だからこそ少なくとも日本では常識人としての命の尊さを人生から吹き飛ばされていたというか。一般的に不味いし、道徳的に止めるべきだと気付かなくなってしまっていたのではないか。


人間にとって経済上の恐怖感と生活上の孤独感が絡み合ってどうにも堪らない内面を強いられ易いし、延いては感情爆発で酷く逃れるしかないみたいな事態に見舞われかねない時代だから常日頃と注意するべきだといっておきたい。


僕は時太山への償いを込めて大相撲を喜んで観ずに十年が過ぎたけれども日馬富士の貴ノ岩への暴行問題で貴乃花親方の常識破りの正義感に誠実さを本格的に受け取らされて気持ちが揺らいだ。


大相撲を又観て良いのか。弟子の貴ノ岩を守るために貴乃花親方は日馬富士を警察に訴えて日本相撲協会に報告しなかった。貴乃花親方は日本相撲協会の理事だから報告する義務を怠っていて頂けないと思われるけれども時太山以来の暴行問題の責任を深く深く感じ取りながらもはや日本相撲協会を打ち壊してでも一から立て直さなければ大相撲そのものは終わりだとそうした組織の抜本的な改革を望んでの驚くべき行動力を示しているのではないか。貴乃花親方の誠実さから認められる人情を全く取り零さない心境を察すると何もかも面白くないとも感じない。


貴乃花親方の相撲への思いは誰よりも真面目で本当に素晴らしいはずだし、咄嗟に肩入れするほどの日馬富士の貴人ノ岩への暴行問題の対応については良くやってくれたというか、かつて力士を目指しながら時津風部屋力士暴行死事件で不本意に絶命せざるを得なかった時太山の悲惨な生涯が報われるから速やかに惹かれるのは確かだ。

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