ブラックキャブの運転手という必死に努力してしか叶えられない夢に 結城永人 - 2017年7月30日 (日) イギリスのロンドンにはブラックキャブと称される伝統的なタクシーが走り回っている。百五十年以上の歴史を誇り、辻馬車の時代から人々の運搬を革新的に引き継がれた自動車の黎明期を思わせる小さめの箱形の車体は独特な趣きで愛され続けて来てさほど大きく変わることもなかったらしい。もはや街の名物の一つとして完全に定着しているかぎりで、ブラックキャブはロンドンと地元の人たちや観光客にとっても心から切り放せない存在に他ならないんだ。 世界最高と目されるくらい厳しいブラックキャブの採用試験 Taxi in London by Ralf Roletschek / GFDL 知って個人的に最も興味深く感じたのは運転手になる資格を得るための採用試験が非常に大変で、世界のどんな職業よりも厳しいとさえも考えられるためだった。 国際的な大都市のロンドンはイギリスの首都として大勢の人が暮らしているし、世界でも指折りの繁栄を極めている状態なのは間違いないだろう。しかし二万五千以上の通りと十万を越すランドマークの数々を適切に案内するためにブラックキャブの運転手は全てを完璧に記憶してなければ最初から就業する許可を与えられもしなかったというわけなんだ。正しく超難関と呼ぶに相応しい採用試験を幾つも潜り抜けて初めて手渡されるのが緑のバッジだけれども人々から愛されると共にロンドンの街を誰よりも知り尽くして的確に案内するに違いないブラックキャブの運転手への信頼の証といって良いと思う。一年間に七千人とも目される志願者が寝る間を惜しむように勉強に勉強を重ねながら必死に努力していると聞いて胸が熱くなる感じがした。 夢に向かって励むばかりの人生は本当に大変だし、毎年、百人くらいしか合格しないらしくて採用試験への取り組みは途中で止めてしまう人も七千人から差し引くと物凄く多いはずにせよ。 もしも叶ったら最高の気分なのはいうまでもないほどの衝撃的な喜びだとも想像してしまう。 Taxi in St Katharine Docks by Panhard / CC BY 地球ドラマチックの【超難関!タクシー運転手試験~ロンドン ブラックキャブ~】を観たら合格者の最終試験の直後の表情を捉えていて素晴らしい瞬間に出会して感動したけれども心がふわふわ浮き上がって子供が生まれたのと同じくらい嬉しいという言葉が放たれもしていた。本当にひょっとすると他の誰にも分からないような努力の積み重ねの結果ではないか。感動しつつも気が動転し兼ねない様子だとも一人の合格者の表情や言葉から受け取ったんだ。本当に珍しいし、自分自身の記憶の引き出しから空白しか出て来ないのが呆れさせる。さてはブラックキャブの運転手への過酷な道程ならではの深過ぎる余りの味わいみたいだ。 人間にとって必死に努力するとは何かを教えるブラックキャブ What's It Like Driving A Black Cab?|Londoist Ltd 街を覚えるだけだからコンピューターにやらせておけば済むとはかぎらない。ブラックキャブの運転手に正確無比な記憶が求められるのはコンピューターの高速のナビゲーションに置き換えられない良さがあるのではないか。掴み取るのはやおら心許ない胸のうちを強いられる。一つだけはっきりいえるのは人間が人間以外ではなくて同類との触れ合いを好むような現実のためにタクシーではナビゲーションを使うよりも頼りの運転手を必要としている。 ブラックキャブの運転手はすなわち人間的な温もりの期待に途轍もなく応えようとイギリスのロンドンという国際的な大都市の丸暗記を目指して必死に努力しなければならないはずだろう。 僕も「親近感を強く覚えた」と咄嗟に驚いたにせよ、夢追い人として真実に見習うべきなのは現代の情報化社会という状況に逆行する心意気の中に込められた思いの美しさだ。だからこそ志願者が殺到するほどにブラックキャブの採用試験は超難関なのではないか。新しいと認める、世界観が何よりも人々にとって。 Taxi in the city of London by mattbuck / CC BY-SA およそ合格するのに四年を費やすといわれる。ロンドンの全域をバイクで、地球、何周分も走って覚えたり、毎日、長時間、知識を大量に蓄えながらやって行かなくてはならないので、医師とか弁護士なんて狙えばもっと金儲けになる仕事は他に幾らでも見付かりそうなのに避けられてしまう。イギリスの国柄なのか、ブラックキャブの運転手は比較的に高収入(年収五百万円程度)なのに加えて個人営業で自由な時間を増やせるのが良いと特別の利点が挙げられもする。 考えると奇妙だ。自由な時間が欲しければ逆に高収入の条件を削って普通の仕事を選ぶのが簡単で失敗しないから余程と賢いだろう。何でブラックキャブの運転手に志願者が殺到するのか。古いから良いといつまでも廃れない魅力に憧れる気持ちもあって知るべきだし、頑張り抜いた暁に手に入れられる緑のバッジも栄誉に他ならないにせよ、二十一世紀の世界不況を踏まえてはさほど大きな理由には含まれて来ない、就職への希望として。本当に奇妙で、何だろうと訝しく思わせる。 ブラックキャブの運転手が凄いのは世界観が新しいせいだ Taxi in London by Ralf Roletschek / GFDL 人工知能の記事で種々と調べながら本文には載せなかったものの人間が負けるのは当たり前で、最後の砦だった脳もついに機械に能力のデータ解析では紛れもなく追い付かないし、引けを取り出している。手や足の動きならばもう既に比べようもないほどに突き放されたとも過言ではないけど、コンピューターに初めて負けた脳と慣れればきっと驚くに足りないわけのそのうちに人々の生活はどのように変わって行くのかが気になってしまう。 現時点、期待と不安の混じり合った形で思い描く未来しかなくなったのは確かだと振り返ってみるとちょっと前のブログでは無言だった感想ながら気持ちには人間的な温もりこそ否が応にもクローズアップされるかぎり、もはやどんな機械とも相容れない根本的に捉えられる新しい世界観として注目したいと受け留めるんだ。 ブラックキャブの運転手は就職するには飛んでもなくあり得ないのに大人気なのは人類の行く末を先取りしたイメージを持っているところが著しく引き付けられるし、何よりも良いと端的に思う。 たぶん機械だらけの世の中が訪れれば人々は実生活で身も心も虚しくなって行くはずだ。 作家活動とサイト運営に人間的な温もりを多めに加味するのが望ましいとブラックキャブの運転手のドキュメントから学び知った。自分自身と重なってよもや他人事ではなく、とても面白いと頷きつつも必死に努力する気持ちの並々ならない大きさへは頭が下がるばかりなのが悔しいほどに鼓舞される思いを抱かせるんだ。負けて堪るか、同じように頑張らなくては未来を明るく照らし出せないと感じ入っては一人ぼっちなのに志から正しく盛り上がらずにいない。 参考サイトロンドンタクシー「世界一難しい試験」と言われるロンドンのタクシー免許試験とは? コメント 新しい投稿 前の投稿
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