人生で好きな詩集を一つだけ挙げるならば銀色夏生のあの空は夏の中にしよう 結城永人 - 2016年8月9日 (火) 僕が銀色夏生のあの空は夏の中(詩集)をどうにも手放したくない最大の理由は神様を感じさせてくれるためだ。 恋愛詩として読めるのは受け取られたイメージの外観的な要素でしかないと気付いてから本当に素晴らしい詩人の言葉が散りばめられた詩集だとあの空は夏の中を考えるようになった。 銀色夏生の神様への内観に触れながら味わうとこの詩集は恋愛詩としても計り知れない良さを持っていたということが分かって来る。 本当に面白いのは作中の「あなた」を神様に重ね合わせて感じられるところで、一つの思いが崇高な世界を伴って表現されているせいだったんだ。 銀色夏生はきっと狙ってはいない、作者として。しかし恋人がかけがえのない存在だと詩的に追求している気持ちは率直ではないだろうか。 詩人の意向がそのような真実と汲み取られるかぎり、言葉の端々に崇高な世界を垣間見ることも断じて強ちではない。 僕は考えるけど、むしろ人生でかけがえのない存在に触れた瞬間の記憶、数えるしかないほどに衝撃的な経験の素晴らしい自分らしさから詩人は生まれて来るべきだとさえもいえるかのようだ。 銀色夏生のあの空は夏の中と付き合っていると人間も美しいと今更ながら認められて来てしまう。神様と同じように信じられるはずだし、すれば愛し返されもしないとはかぎらないという。安らぎを覚えるには正しく十二分の彼方だった。 今此処では奥深い気持ちの言葉にせよ、僕こそ真剣に、または眉間に皺を寄せながら詩集を手にする天使にせよ、互いに信じ合い、愛し合われて知り出し得た安らぎにとっての崇高な世界ならばおよそ何も変わることはないだろう。 一人の詩人と出会っていた。生まれたままの姿で、しかもだけれども星の光と見紛うばかりの輝きを放って聞こえて来る歌声の先に銀色夏生を見出だすこと、果たしてあの空は夏の中でなくては不可能だったみたいだ。 優しさに満ちた有り難い印象と相俟って心から惹かれないわけには行かない Blue hepatica flowers in a glass vase by Pezibear / Pixabay すなわち好きな詩集に他ならない。認めるほどに手放したくないと僕は本当に思う。 つめたくしてごめんね つめたくすることしかできなかったの あなたをとても好きで あなたをずっと待っていたことが とても悲しくて とてもくやしくて うれしかったのにどうしようもなくて つめたくしてしまったの 銀色夏生のあの空は夏の中 二十歳の終わり、僕は天使的な人に運命の恋を感じたけれども考えると彼女にとっては永遠の愛だったようだ。原因から探るように気持ちで捉えてみれば貴方自身の出会いは運命的ではなかった。極度に驚くけれども社会には《永遠的な出会い》もあるのかも知れない。天使的な人が二十一歳を過ぎて僕と共に成長することができたらたとえ夢の中でも手に入れることは決して難しくなさそうだった。 銀色夏生はどうだろう。一つの恋の思い出から《永遠的な出会い》が引き出される匂いはするものの知るよしまではないのではないか。自然にありそうなほどに却って怪しまれる、イメージの綺麗なところがどうも。なので引用は乙女心こそ受け取られるべく、真っ先に読まれてしまう。 文体は周りへ神経の細やかに行き届いた様子が如何にも魅力的で、かりに詩人が文体で歩き出す生き物ならば銀色夏生の右に出る者は少ないかも知れない。風格に満ちている筆致なのは間違いなくて触れ合っていると心が和まされる。 銀色夏生の詩は一番煎じのお茶のように物事の良さが非常に味わわれ易くなっていると思う。繊細な文体を通して詩の言葉が著されているためで、僕のように余りに激しい性格でも接しながら内面的に掻き乱されることは殆どない。 引用が乙女心ならば現在の回想によって人間的な逆転現象が起きていることを見逃してはならない。 彼女は彼の自分への憧れの的としての尊さを出会いから振り向いていた。彼では分かり難ければ「あなた」のためだった。恋愛において二人の関係性を通じて誰かが大人になるとは相手を知ることに基づいている。この認識が人間性の入れ換えの特質を持ち合わせているから男性ならば女性的な、女性ならば男性的な発想を社会的に有する結果にも繋がって来る。物真似ではない。誰でも大人になるほどに根本的に変わった人間性を表現できるようになる。 銀色夏生は自分の気持ちを相手の気持ちへと置き換えながら全く歌っていないんだ 注意するとあの空は夏の中の全体では極一部の発想だから詩集のイメージは可笑しいよりも切ないだろう。恋愛詩ならば別れを踏まえて認められた日記のような言葉遣いが多く見られるし、夜更けの孤独の有り様をはっきり伝えてもいる。聞けばとても静かで、恐ろしいくらいリアルなので、耳を傾ける気にはなれないとも過言ではない。しかしだからこそあの空の夏の中で与えられる別れの人知れない悲しみは本物だと信憑性は高まる。 もはや恋人が運命的な出会いを感じていたと明かされるかぎりだ。 引用の反省的な調子はどれも「あなた」の私を生きているとすればエレガントかも知れない。何となく自分の気持ちを描いているようにも見えるから必ずしも当たらないだろう。むしろ銀色夏生はラフな詩人だ。乙女心に重点が置かれているために生き方の優美さとしての「ごめんね」も風に託されているといって良い。誰かの一人の思いを自分以外のゆえに完全に受け入れない態度は無関心とも呼ばれるだろう。感じれば「つめたい」は性癖による。なので終わらずには済まない二人がいたと良く分かる言葉遣いだし、相手に申し訳ないかどうかはラフな詩人ならば痛み分けが最前線らしいけど、別れが悲しければ孤独も寂しさを否増して煽られるのではないか。 銀色夏生は夢見ることで人生を立て直したと想像するに難くない。詩は孤独を癒すためにあると定義されるかも知れないくらい迫真なんだ。経験が人を形作る、影も含めて。作詩するならば避けようもないまま、就中、天命に比すべき存在に向き合っていたわけではないか。 僕は疑いの余地もなく、詩集のあの空は夏の中は自分らしさの宝庫だと認めて止めない。望ましい芸術だし、本当に好きなばかりなので、銀色夏生の掴んだ真実は人生に役立つといわざるを得ない。性癖によらずとも孤独はおいそれと宥め透かされる気持ちではない、皆には恐らく。 神様を感じさせてくれるのは繊細な文体で祈りが込められた詩ならではの喜ばしい効果かも知れない White Clouds on Blue Sky by Miguel Á. Padriñán / Pexels さては「あなた」が振り返るならば僕も天使的な人への思いを見透かされたに等しかった。何一つ責めるつもりはなかったわけで、運命的な出会いが続かないことを嘆くも何も受け入れることしかできなかった。いい換えると永遠の愛の気持ちは正しく自然体だった。 銀色夏生はしかし相手と共に悩んでいるようだ。もはや続かなくても又新しく続くのが必然でも偶然でも運命の恋の成り行きならば出会いの純粋さこそ保とうとしていると感じるしかない。僅かでも合わせることのできなかった気持ちが「あなた」を、運命的な出会いの尊さを、恋そのものを傷付けていたはずではなかったか。 この世の終わりを考えなくては行けないからあの空は夏の中は理想像をかぎりもなく歌い上げた恋愛詩なんだと気付くべきところに差しかかっている。 タイトルは謎多い。なぜあの夏は空の中ではないのか。空を見上げれば夏の日を思い浮かべさせて銀色夏生はくれない。空も一緒に夏の日の経験に消え去ってしまうんだ。 夏が来れば思い起こされる向日葵畑のような情緒が「あの空」の一言に封じ込められている。世界が遠ざかって気を失いかけながら息も絶え絶えの「夏の中」だけが頼もしいわけだと僕は感じる。 空気が大事で、恋人との別れに際しては一人寂しくもしぶとく生き抜いた銀色夏生が詩人ならばクールだろう。 そうだ、私は運命に負けない。 今は、どんなこと言われても、負けない。 だって、運命よりもあの人の方が大事だもの。 銀色夏生のあの空は夏の中 どうしてかは空気のせいだ。空気がなければ誰もが窒息して死ぬだろう。しかし気付かせるのは「あの人」だったと考えざるを得ない。別れの悲しみが付き合いの喜びに反比例するかぎり、人が孤独に耐えられるのは夢のお陰だ。過去を壊しても現在は癒されないし、未来も無茶苦茶だろう。他の誰でもなくて自分にとって必要不可欠だった喜びこそ古くも取り帰すべきだと僕はいいたい。 そして銀色夏生も別れの悲しみを諦めがちに「運命」と引き受けるよりも人生を前向きに進み出したのだった。 もう一つ注目されるのは相手を恋人として追いかけるだけが全てではない気持ちだ 純粋さを傷付けられて雪山で遭難するように自殺するかも知れないし、引き千切られた運命的な出会いは相手にとって大変な痛手かも知れない。絶望が押し寄せて来るほどに一人は危険過ぎて僕にはとてもではないけど、誰にもオススメできる暮らし向きではないと断らざるを得ない。 ただし銀色夏生の言葉はそこまで届き得るほどの響きがあると思う。 詩の「運命よりもあの人の方が大事」は憐れむべき破滅の道を含意した認識に違いないはずだ。さもなければ「あなた」もついに神様ではあり得ない。一体全体、どうして見殺しにされず、「私は運命に負けない」と挫けない心が得られたのだろう。手を差し伸べる誰かがそばにいなければ空を越えて羽搏いて行く夢の翼に学ぶべきだった。だからこそ「あなた」も知らない顔で済ませるばかりの相手とは呼ばれないんだ。 クレーの死と炎を引き合いに出してみれば心の耳が白い顔になっているのではないか Death and Fire by Paul Klee / Public domain 人は自分が自分でなくなるままに絶望を生きているのだから凍り付いた魂に他ならず、得られるかぎりの温かみを求めている。破滅の道を進むことは出口の見えない内面の帰結だろう。いつか閉ざされた成功の鎌鼬によって人は切り裂かれた期待の足首を押さえながら踞っている。叫びとも付かない叫びを耳にした僕は白い顔をまるで炎のように逆立てて死を予感せざるを得ない。芸術こそ必要だ。人生は失敗だけが取り柄ではないと出口を見付け出さなければ希望は芽生えない。世界も生き残るには厳しいばかりだ。 銀色夏生はあの空は夏の中で失われた二人の関係から夢という名の幸せを介しながら救いを掴むように自分らしさを詩的に紐解いていたと僕は思う。 およそ別れの悲しみが強ければ強いほどに人間ではもう耐え切れないだろう 孤独が寂しければ寂しいほどに魂も凍り付いて希望は押し退けられてしまう。 僕は天使的な人と出会わなければ以前よりも成長することはできなかった。青春期の別れは仕様がないにせよ、自らの運命の恋と引き換えに貴方の永遠の愛を手に入れて再出発していた。本当に欲しかった相手の思いが心を素晴らしく鍛え上げたせいで、尚一層と自分らしく命を輝かせるようにも生き延びているのだった。自由を感じる。 詩人の夢が「あなた」を薔薇で飾るようにロマンチックではないにせよ、いっそ透き通って見定めるならばあの空は夏の中は心も浮き立つばかりのスペクタクルではないかしら。 理想像といった。恋人のイメージならば確かにそうだろう。ただし「あの人」は別れの悲しみを踏み越えずに出会われはしなかったし、絶望の縁に潜むような身構えをしているんだ。触れ合いは実地には極めて厳しいかも知れない。ならば夢見てこその気持ちにかぎる。追いかけてもいっそ無駄足だ。 銀色夏生はあの空は夏の中で僕に全てを教えてくれた。それは身を呈して守らなければならない世界だった。自分らしさならばまるでマントのように風雨を防ぐことに繋がるだろう。全てを見損うべきではない。 生まれて来たのも何かの縁だ。生活の巡り合わせも奇跡と呼べるかぎり、もはや急いではならなかった。忙し過ぎても元気ならば笑って良い、きっと。取るものも手に付かないままでも気楽に過ごせると嬉しい。 コメント 新しい投稿 前の投稿
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